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勘違い
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「ロベール!」
隣を歩く比呂が、嬉しそうに声を上げ、コレットさんに向かって手を振る。
「ほら、隼人も手を振りなよ」
「えっ、俺は……」
比呂たちみたいな関係じゃないのに。
そう思ったけれど、俺に向かって手を振ってくれている先生を見ると、反応しないのも悪い気がしてきた。
俺は手を顔の位置まで上げて、先生に向かって小さく手を振った。
その瞬間、先生の表情が柔らかくなった。
それを見て、胸がどくんと震えた。
俺が手を振ったからって、あんな顔するなんて……
なんか俺たちまで付き合っているみたいに見える。
「隼人。行こう!」
嬉しそうにコレットさんに向かって駆け寄っていく比呂に声をかけられて、俺もついていく。
『ロベール、待たせちゃった?』
すぐに英語で話しかける比呂を見て、普段は英語で会話していると話していたことを思い出す。
コレットさんも日本語はできるけど、周りから話しかけられにくくなるから英語で話をしていたら、それが癖になったと言っていた。確かにネイティブな英語で会話している人には声かけにくいから、それが正しいんだろう。
『いや、私が早く着きすぎただけだ。Mr.クマと興味深い話ができてよかったよ』
『それならよかった。ね、隼人』
笑顔の比呂には話を振られて慌てて頷いた。
すると、先生が笑顔で一歩前に出てきた。
「隼人くん。お昼はちゃんと食べた?」
「あ、はい」
あってすぐそのお礼を言おうと思っていたのに、すっかり忘れてしまっていた。
「あの、すごく美味しかったです。比呂と一緒に全部食べました」
「そうか。よかった」
その優しい表情に何故かドキドキしてしまう。
「じゃあ、アレックスも待ってるし帰ろうか」
「は、はい」
普通に誘われて、俺は緊張しながら比呂を見た。
「隼人。また来週ね」
何か言われるかと思ったけど、普通に手を振られた。
「あ、うん。来週な」
俺が声をかけると、比呂はコレットさんとピッタリと寄り添いながら車に向かった。
「隼人くん。行こうか」
さっと手を差し出され、その手をつい取ってしまったのは比呂がコレットさんにエスコートされて助手席に乗り込んでいるところを見てしまったからだろう。
まるで姫のように大切に助手席に乗せられ、さっとシートベルトまでつけてくれた。
運転席に回り込み、颯爽と乗り込んできた先生があまりにもかっこよくて、顔が熱くなる。
車が走り出してもなかなか顔の火照りがおさまらず、黙って窓の外を眺めていた。
「隼人くん。どうかしたのか?」
「えっ、あ。いや、なんでも、なんでもないです」
「ははっ。その焦り方でなんでもないとは思えないが、まぁ君の気持ちはわかってるよ」
「えっ!」
俺の気持ちがわかってるってどういうことだ?
びっくりして、運転席の先生に視線を向ける。
すると、先生はにっこりと笑って口を開いた。
「彼らの仲の良さに当てられたんだろう? 私も君たちが来るのを待っている間、ずっとコレットさんに惚気られていたからな」
そう言われて、ああ、そういうことか……と胸を撫で下ろしたのも束の間、
「明日は休みだし、楽しい夜を過ごすようだよ」
とすごい言葉を投げかけられて、言葉に詰まる。
比呂と、コレットさんが……
想像するだけで顔が赤くなっていく。
「私たちも楽しい夜を過ごそうか」
「えっ!!」
先生からの思わぬ言葉に一際大きな声が出た。
「あ、あの……それって……」
声を上擦らせながら尋ねると先生は笑って答えた。
「アレックスも私たちが休みの日はわかるみたいでね。いっぱい遊んでとせがんでくるから、楽しい夜になるよ」
そう言われて、俺は自分が勘違いしたことに恥ずかしさを抑えられなかった。
隣を歩く比呂が、嬉しそうに声を上げ、コレットさんに向かって手を振る。
「ほら、隼人も手を振りなよ」
「えっ、俺は……」
比呂たちみたいな関係じゃないのに。
そう思ったけれど、俺に向かって手を振ってくれている先生を見ると、反応しないのも悪い気がしてきた。
俺は手を顔の位置まで上げて、先生に向かって小さく手を振った。
その瞬間、先生の表情が柔らかくなった。
それを見て、胸がどくんと震えた。
俺が手を振ったからって、あんな顔するなんて……
なんか俺たちまで付き合っているみたいに見える。
「隼人。行こう!」
嬉しそうにコレットさんに向かって駆け寄っていく比呂に声をかけられて、俺もついていく。
『ロベール、待たせちゃった?』
すぐに英語で話しかける比呂を見て、普段は英語で会話していると話していたことを思い出す。
コレットさんも日本語はできるけど、周りから話しかけられにくくなるから英語で話をしていたら、それが癖になったと言っていた。確かにネイティブな英語で会話している人には声かけにくいから、それが正しいんだろう。
『いや、私が早く着きすぎただけだ。Mr.クマと興味深い話ができてよかったよ』
『それならよかった。ね、隼人』
笑顔の比呂には話を振られて慌てて頷いた。
すると、先生が笑顔で一歩前に出てきた。
「隼人くん。お昼はちゃんと食べた?」
「あ、はい」
あってすぐそのお礼を言おうと思っていたのに、すっかり忘れてしまっていた。
「あの、すごく美味しかったです。比呂と一緒に全部食べました」
「そうか。よかった」
その優しい表情に何故かドキドキしてしまう。
「じゃあ、アレックスも待ってるし帰ろうか」
「は、はい」
普通に誘われて、俺は緊張しながら比呂を見た。
「隼人。また来週ね」
何か言われるかと思ったけど、普通に手を振られた。
「あ、うん。来週な」
俺が声をかけると、比呂はコレットさんとピッタリと寄り添いながら車に向かった。
「隼人くん。行こうか」
さっと手を差し出され、その手をつい取ってしまったのは比呂がコレットさんにエスコートされて助手席に乗り込んでいるところを見てしまったからだろう。
まるで姫のように大切に助手席に乗せられ、さっとシートベルトまでつけてくれた。
運転席に回り込み、颯爽と乗り込んできた先生があまりにもかっこよくて、顔が熱くなる。
車が走り出してもなかなか顔の火照りがおさまらず、黙って窓の外を眺めていた。
「隼人くん。どうかしたのか?」
「えっ、あ。いや、なんでも、なんでもないです」
「ははっ。その焦り方でなんでもないとは思えないが、まぁ君の気持ちはわかってるよ」
「えっ!」
俺の気持ちがわかってるってどういうことだ?
びっくりして、運転席の先生に視線を向ける。
すると、先生はにっこりと笑って口を開いた。
「彼らの仲の良さに当てられたんだろう? 私も君たちが来るのを待っている間、ずっとコレットさんに惚気られていたからな」
そう言われて、ああ、そういうことか……と胸を撫で下ろしたのも束の間、
「明日は休みだし、楽しい夜を過ごすようだよ」
とすごい言葉を投げかけられて、言葉に詰まる。
比呂と、コレットさんが……
想像するだけで顔が赤くなっていく。
「私たちも楽しい夜を過ごそうか」
「えっ!!」
先生からの思わぬ言葉に一際大きな声が出た。
「あ、あの……それって……」
声を上擦らせながら尋ねると先生は笑って答えた。
「アレックスも私たちが休みの日はわかるみたいでね。いっぱい遊んでとせがんでくるから、楽しい夜になるよ」
そう言われて、俺は自分が勘違いしたことに恥ずかしさを抑えられなかった。
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いぬぞ〜さま。コメントありがとうございます!
ロベールと一緒にいたおかげで隼人に可愛く手を振ってもらえたくま先生。
これがヒロのおかげだと知って、お礼が届いちゃうかもですね。
自分見て赤くなってドギマギしてたら脈アリなのは確実にわかってますね(笑)
四葩さま。コメントありがとうございます!
わんこと人間はパートナーですからね。
小型犬はもちろん可愛いですがおっきなもふもふ犬はパートナー感が強いですよね。
このクマさん。今はまだ紳士的ですが閨ではおそらく本家まっくちゅ並にすごそうな気がします(笑)
名は体を表すと言いますしね。絶対に翌日が休みじゃないと、特に初めては無理ですね。
Madame gray-01さま。コメントありがとうございます!
ふふ🤭絶対に、確実に、間違いなく詰めてきますね(笑)
またアレックスがいい協力者になってくれるかな。