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番外編
もし、あの時ひかりと出会わずに待ち合わせ場所から離れていたら…… 5
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私は静かに立ち上がり、ひかりくんの隣の椅子に座った。
「ごめん。驚かせたかな?」
彼の小さな手を握り、怖がらせないように優しく問いかけた。
すると、ひかりくんは私を見つめたままゆっくりと口を開いた。
「とく、べつって……ほんとう、ですか?」
「本当だよ。私は、ひかりくんに惹かれている。だから、少しでもこうして触れていたい。その思いが溢れてつい、あんなことをやってしまった。怖がらせてしまったかな?」
私の言葉に彼は首を横に振った。
「あの、それじゃあ……僕のこと、抱いてもらえますか?」
「えっ?」
想像していた答えの上をいく言葉に、思わず驚きの声が出た。
ひかりくんは、その私の驚きを違うほうに受け取ってしまったようだ。
一気に顔を赤く染め、目には涙を溜めている。
「僕なんか、むりですよね。ごめんなさい……っ、今の忘れてください!」
慌てて立ちあがろうとする彼をさっと抱き寄せる。
「ちがっ、そんなことないよ。だから落ち着いて」
小さな身体をそっと腕の中に閉じ込めると、ピッタリとピースがはまったような感じがした
やっぱりこの子は私の運命の相手なんだろう。
あの成瀬もきっと溺愛しているあの子と出会った時、今の私と同じように思ったに違いない。
――あの子を助けられるのはお前だけだよ。
成瀬があの時、ああ言ったのは医師としての私に向けての言葉ではなく、運命の相手を見つけた自分の経験を踏まえてそう言ってくれたのかもしれない。
「私は、ひかりくんが望んでくれるよりもずっと前から君と深く繋がりたいと思っていた。だから、ひかりくんが私に抱かれたいと思ってくれているのはとても嬉しいよ」
「せんせぇ……それ、ほん、とう?」
あまりにもびっくりしすぎて、敬語もなくなっているのがたまらなく可愛い。
「本当だよ。私はひかりくんに嘘はつかない。信じてくれるだろう?」
笑顔で見つめると、頬を染めながら頷いてくれる。
「よかった。とりあえず食事を済ませよう。デザートにケーキもあるし、その後でひかりくんをたっぷりと味わわせてくれ」
ひかりくんの赤い頬に唇をチュッと当てると、首まで一気に顔を赤くする。
頬にキスしただけでこんな可愛い反応をする子が、抱いて欲しいと頼んでくるなんて……
よほど深い事情があるんだろう。
ひかりくんが抱えているセンシティブな問題というのはこれか?
先に話を聞いてからにしたほうがいいか。
いや、トラウマがあるのなら安心させるためにも先に抱いたほうがいいのか。
それは少し考えたほうがいいのかもしれないな。
少し安心したのか、美味しそうにハンバーグを食べ始めたひかりくんをみながら、私はこれから先の進め方を考えていた。
「ご馳走様でした」
彼の小さな身体には量が多すぎたかと心配したが、全て綺麗に完食してくれた。
「こんなに手の込んだ美味しいご飯、初めて食べました」
「気に入ってくれたなら嬉しいよ」
そう言いつつも、ひかりくんの食生活が気になって仕方がなかった。
どれだけ食べても太りにくいという遺伝的な体質を持つ人もいるが、ひかりくんの場合はあまりいい栄養状態じゃなかったのだろう。
両親が食事には無頓着なのか、ひかりくんだけに食事を与えていなかったのか、そのあたりはまだわからないが、これからはしっかりと栄養たっぷりの食事を摂らせよう。
「ケーキは入りそう?」
「はい。あの、でも……先生が半分食べてくれたら……」
「じゃあ半分こして食べようか」
その言葉に嬉しそうに笑ってくれた。
シェアして食べるのか嬉しいのか、それとも私と半分こだから嬉しいのか、いずれにしても喜んでくれるのを見るのは嬉しい。
ひかりくんにケーキの箱の中を見せて、今から食べるケーキを選んでもらう。
熟考の末、ひかりくんは宝石のように輝いていた苺のショートケーキを選んだ。
「上にのっている苺は最初に食べる? それとも最後?」
「えっと……最後、に……」
「私と同じだな。美味しいものは最後に残したい主義なんだ」
そう告げると、可愛い笑顔を見せてくれる。
ああ、こんなにも純粋な笑顔を見せてくれる彼の中に、どんな不安があるんだろう……
全てを吐き出させて早く楽にしてやりたい。
そう思わずにいられない。
「ごめん。驚かせたかな?」
彼の小さな手を握り、怖がらせないように優しく問いかけた。
すると、ひかりくんは私を見つめたままゆっくりと口を開いた。
「とく、べつって……ほんとう、ですか?」
「本当だよ。私は、ひかりくんに惹かれている。だから、少しでもこうして触れていたい。その思いが溢れてつい、あんなことをやってしまった。怖がらせてしまったかな?」
私の言葉に彼は首を横に振った。
「あの、それじゃあ……僕のこと、抱いてもらえますか?」
「えっ?」
想像していた答えの上をいく言葉に、思わず驚きの声が出た。
ひかりくんは、その私の驚きを違うほうに受け取ってしまったようだ。
一気に顔を赤く染め、目には涙を溜めている。
「僕なんか、むりですよね。ごめんなさい……っ、今の忘れてください!」
慌てて立ちあがろうとする彼をさっと抱き寄せる。
「ちがっ、そんなことないよ。だから落ち着いて」
小さな身体をそっと腕の中に閉じ込めると、ピッタリとピースがはまったような感じがした
やっぱりこの子は私の運命の相手なんだろう。
あの成瀬もきっと溺愛しているあの子と出会った時、今の私と同じように思ったに違いない。
――あの子を助けられるのはお前だけだよ。
成瀬があの時、ああ言ったのは医師としての私に向けての言葉ではなく、運命の相手を見つけた自分の経験を踏まえてそう言ってくれたのかもしれない。
「私は、ひかりくんが望んでくれるよりもずっと前から君と深く繋がりたいと思っていた。だから、ひかりくんが私に抱かれたいと思ってくれているのはとても嬉しいよ」
「せんせぇ……それ、ほん、とう?」
あまりにもびっくりしすぎて、敬語もなくなっているのがたまらなく可愛い。
「本当だよ。私はひかりくんに嘘はつかない。信じてくれるだろう?」
笑顔で見つめると、頬を染めながら頷いてくれる。
「よかった。とりあえず食事を済ませよう。デザートにケーキもあるし、その後でひかりくんをたっぷりと味わわせてくれ」
ひかりくんの赤い頬に唇をチュッと当てると、首まで一気に顔を赤くする。
頬にキスしただけでこんな可愛い反応をする子が、抱いて欲しいと頼んでくるなんて……
よほど深い事情があるんだろう。
ひかりくんが抱えているセンシティブな問題というのはこれか?
先に話を聞いてからにしたほうがいいか。
いや、トラウマがあるのなら安心させるためにも先に抱いたほうがいいのか。
それは少し考えたほうがいいのかもしれないな。
少し安心したのか、美味しそうにハンバーグを食べ始めたひかりくんをみながら、私はこれから先の進め方を考えていた。
「ご馳走様でした」
彼の小さな身体には量が多すぎたかと心配したが、全て綺麗に完食してくれた。
「こんなに手の込んだ美味しいご飯、初めて食べました」
「気に入ってくれたなら嬉しいよ」
そう言いつつも、ひかりくんの食生活が気になって仕方がなかった。
どれだけ食べても太りにくいという遺伝的な体質を持つ人もいるが、ひかりくんの場合はあまりいい栄養状態じゃなかったのだろう。
両親が食事には無頓着なのか、ひかりくんだけに食事を与えていなかったのか、そのあたりはまだわからないが、これからはしっかりと栄養たっぷりの食事を摂らせよう。
「ケーキは入りそう?」
「はい。あの、でも……先生が半分食べてくれたら……」
「じゃあ半分こして食べようか」
その言葉に嬉しそうに笑ってくれた。
シェアして食べるのか嬉しいのか、それとも私と半分こだから嬉しいのか、いずれにしても喜んでくれるのを見るのは嬉しい。
ひかりくんにケーキの箱の中を見せて、今から食べるケーキを選んでもらう。
熟考の末、ひかりくんは宝石のように輝いていた苺のショートケーキを選んだ。
「上にのっている苺は最初に食べる? それとも最後?」
「えっと……最後、に……」
「私と同じだな。美味しいものは最後に残したい主義なんだ」
そう告げると、可愛い笑顔を見せてくれる。
ああ、こんなにも純粋な笑顔を見せてくれる彼の中に、どんな不安があるんだろう……
全てを吐き出させて早く楽にしてやりたい。
そう思わずにいられない。
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