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似つかわしくない客
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藤乃くんの気が変わらないうちにと急いで宿へと車を走らせた。
高い要塞のような壁に囲まれたこの宿は、プライバシーを完全に守ってくれる心から落ち着ける場所だ。
俺も蓮見も安心して常駐できるのはこういう理由だからだ。
浅香の宿だけだからな、蓮見がトップ俳優である南條くんを連れてのんびりできるのは。
入り口という入り口すら見つけるのが難しいこの宿の中に入ると、藤乃くんは目を丸くして驚いていた。
口をポカンと開けているその無防備な顔が恐ろしく可愛らしかった。
ふふっ。隣でそんな顔をされたら俺の口で塞いでしまいたくなるな。
宿の入り口に着くと茶色の車が一台端の方で停まったままになっている。
ドアマンの女性と車の持ち主である女性二人とがどうやら揉めているようだ。
沖縄の開放感とは程遠い、まるでキャバ嬢のような露出の多い格好にこの宿に似つかわしくない言葉遣い。
そもそも浅香の宿は一見の客は認めていないはずだ。
この女性たちの予約を浅香の宿が取ったのか……? 信じられないな。
普段の俺なら浅香のためにもドアマンの女性に代わって応対の一つでもしてやるだろうが、悪いが今の俺にはそんな余裕はない。
藤乃くんをエスコートしなければいけないのだからな。
急いで助手席へと回り込み、扉をあけ手を差し出すと、藤乃くんの手がそっと重ねられた。
ああ、小さくて柔らかくてずっと触っていたくなる手だ。
思わずスリスリと撫でたくなるのを必死で我慢した。
連絡した時に『倉田』で頼んでいたせいか、ドアマンの彼もちゃんと俺のことを『倉田』と言ってくれてホッとした。
その上、彼は丁寧な態度で『ごゆっくりお過ごしください』と藤乃くんに挨拶をしてくれた。
やっぱり浅香の宿は教育が行き届いているな。
彼からの丁寧な挨拶に少しテンパったのか、『あ、あの……はい。その、ゆっくりします』と顔を真っ赤にしながら答えていたのがものすごく可愛かった。
と同時にこんなに可愛い表情をドアマンの彼も見たのかと思うと少し苛立ってしまう自分がいる。
さっと藤乃くんをドアマンの彼から見えない場所に隠し、中へと入った。
俺たちの後方から、さっき揉めていた女性客の騒いだ声が耳に入ってきていたが、藤乃くんに夢中になっていた俺にはどうでもいいことだと流してしまっていた。
それが藤乃くんにあんな嫌な思いをさせてしまうことになるとは、その時の俺は何もわかっていなかった。
俺と藤乃くんのことをしっかり頼んでおこうと思い、藤乃くんをロビーに残しフロントへ向かった。
「本日はご宿泊、誠にありがとうございます」
「ああ、突然で急がせたんじゃないか?」
「いいえ。あちらのお部屋はいつでもお泊りいただけるようにとオーナーからも言いつかっておりますので、お泊まりいただけて光栄でございます」
「そう言ってもらえると助かるよ。それからさっき電話でも言っておいたんだが、今回の宿泊では『倉田』で頼むよ。特に彼の前ではな」
「承知いたしております。どうぞご心配くださいませんように。それではお部屋にご案内いたします」
「ああ。ありがとう」
ホッとして、ロビーにいるはずの藤乃くんを探すと、変な女に声をかけられているのが見えた。
あのケバケバしい格好……さっき入り口で揉めてた奴らか?
宿のスタッフが止めているのも聞かずに彼に声をかけてやがる。
普段の俺ならフロントの社員に声をかけ引き離させていたことだろう。
が、相手が藤乃くんというだけで俺の足は一直線に彼の元へと向かっていた。
「泊めてくれるんだったら、わたしたちのこと好きにしてくれてもいいですよ」
そんなふざけたことを言いながら嫌がる藤乃くんの両腕を取り抱きついているのを見た時、そいつらへの怒りが込み上げてもうどうしようもなかった。
急いで駆け寄り縋りつかれている腕を引き離し、藤乃くんを腕の中に奪還した。
藤乃くんが少しでも彼女たちと一緒にいることを望んでいるならとも思ったが、俺が藤乃くんを腕に抱きしめた時とてつもなく安心した表情をしているのを見て俺もホッとしたんだ。
藤乃くんは彼女たちといるよりも俺といるのを望んでくれているのだ。
それならばあいつらに情けをかける必要は全くない。
「話は聞こえたが、私たちはそんな提案に乗るつもりはない。
悪いが、他を当たってくれ。まぁ、君たちのような人間を部屋に泊めるような客はこの宿にはいないと思うがな」
茫然としている奴らにそうキッパリ言い放って、藤乃くんの肩を抱き部屋へと連れて行こうとしたのだが、
「ちょっと待ちなさいよっ! そんな言い方ってないんじゃない?
困っている人間に対してそんな言い方するなんて、あんた人間のクズね! 仕事とか言いながら男2人でこんなとこ泊まるなんて結局はナンパ目的のくせにお高くとまってんじゃないわよ! 少し見た目がいいからって調子に乗らないでよね」
と奴らの1人が金切り声を上げながら文句を言ってきた。
その耳障りな声に藤乃くんはみるみるうちに顔色を悪くして俺に寄りかかってきた。
おそらく前の会社でこんなふうに罵られていたことを思い出したんだろう。
藤乃くんのことが心配で声をかけていると、奴らからなおも暴言が続く。
「はっ! なに? あんたたちってそういう関係なワケ?
なーんだ、それならわたしたちみたいな美人の誘いも断るの当然だわ。
ゲイカップルなら仕方ないわよね~!
大体、最初っからこんな高級ホテルに男同士で泊まりに来るなんておかしいと思ってたわ。
うーわっ、わたし、初めて見たわ。ゲイとかキモっ」
言っておくが俺はゲイではなく、バイだ。
好みであれば男女は問わない。
それを恥ずかしいと思ったことはないし、こんなふうに初対面で訳のわからない女に罵られる謂れなど何もない。
大体、俺の恋愛対象が異性だけだったとしてもお前らみたいな馬鹿な奴の誘いなんて乗る訳ないだろうが。
俺は隣にいる藤乃くんを怖がらせないように沸き上がる怒りを押し殺して、奴らに尋ねた。
「言いたいことはそれだけか?」
俺のビリビリとした怒りに周りのスタッフは身体を震わせているが、馬鹿な奴らは何も気づいていない。
それどころか、
「はぁっ? 何? 本当のことを言っただけでしょ? 男同士なんてキモいのよ!
ここはね、あんたたちみたいなゲイカップルが泊まれるホテルじゃないの! もう出てったら?
あんたたちがいなくなれば、わたしたちがそこに泊まれるじゃない! 早く出ていきなさいよっ!」
と暴言を吐き続ける。
本当に馬鹿な奴らだ。
追い出されるのがどちらかなど火を見るより明らかだというのに。
俺は騒ぎを聞きつけやってきたここの支配人に『頼むぞ』と声をかけ、藤乃くんを連れその場を立ち去った。
すぐに支配人と他のスタッフに取り押さえられ、俺たちの背後で叫び声を上げ続ける奴らの声が耳に入ってきていたが、ここからすぐに追い出される奴らだ。
もう二度と会うこともないだろう。
俺たちに暴言を吐いた制裁を与えたかったが、藤乃くんとの大事な二人の時間をこれ以上奪われたくない。
それに、もうこれ以上変なものを彼の美しい瞳に映したくない。
俺は奴らの様子が藤乃くんに見えないように、部屋まで連れて行った。
浅香が俺と蓮見のために用意してくれている専用部屋は、この宿の広い庭の中にただ一つだけ佇む離れだ。
きっと藤乃くんの想像していた部屋と違ったのだろう。
大きな目をパチクリさせて驚いている姿が実に愛らしい。
引き戸を開け中に入ると『わぁーっ』と歓声をあげ喜んでくれた。
よかった、顔色が良くなっている。
この部屋に連れてきて本当に良かった。
まず先に……と、藤乃くんの使う部屋に案内し、普段着に着替えるようにと促し部屋を出た。
自室に行き、さっと着替えを済ませ先ほどの奴らをどうしたのかを尋ねるために支配人へと電話をかけた。
ーはい。松川でございます。
ー私だ。さっきの奴らはどうなった?
ーはい。先ほど強制的に外に連れ出しましたので、もう二度とこちらに入ってくることはないかと存じますが、とりあえず今、大急ぎであの者達の情報を集めております。
ーそうか。奴らは予約客ではなかったのだろう?
ーはい。予約のお客さまのお車が通過するときに飛び込んでこられたようで……こちらの不手際でご迷惑をおかけしまして大変申し訳ございません。
ーなるほど。入り口のシステムをもう一度見直す必要があるようだな。
これは浅香に報告しておいた方がいいだろう。
ーはい。すぐにご報告いたします。
ーああ。一応私の方からも報告しておこう。
それから、15分後くらいに出かけるから、その時までに頼む。
ーはい。畏まりました。
松川支配人はもう一度謝罪の言葉を述べ、電話を切った。
奴らがもう一度何かを仕掛けてくるようならその時は容赦はしない。
あの馬鹿女たちの様子を見ていると嫌な予感がしないでもないが、奴らの情報さえ手に入ればとりあえずは追い出したことだし、よしとするか。
リビングへと向かうと藤乃くんはまだ来ていなかったが、すぐに来るだろうとお茶を淹れて待っているとカタンと扉が開く音が聞こえ、『お待たせしました』と少し照れたような声が耳に入ってきた。
ああ、来たか。
『うぐっ――!』
目を向けて驚いた。
だって、そこにいたのは高校生と言ってもおかしく無いほどの可愛い美少年が立っていたんだから。
なんだこれ?
マジか……可愛いすぎだろっ。
はにかんだその顔がさらに俺の心を鷲掴みにしていく。
うーわっ、もう俺ダメだ。
彼はもう俺のものだ。
絶対に逃したりするものか。
がっちりと囲い込んで俺から離れられなくしてやる。
高い要塞のような壁に囲まれたこの宿は、プライバシーを完全に守ってくれる心から落ち着ける場所だ。
俺も蓮見も安心して常駐できるのはこういう理由だからだ。
浅香の宿だけだからな、蓮見がトップ俳優である南條くんを連れてのんびりできるのは。
入り口という入り口すら見つけるのが難しいこの宿の中に入ると、藤乃くんは目を丸くして驚いていた。
口をポカンと開けているその無防備な顔が恐ろしく可愛らしかった。
ふふっ。隣でそんな顔をされたら俺の口で塞いでしまいたくなるな。
宿の入り口に着くと茶色の車が一台端の方で停まったままになっている。
ドアマンの女性と車の持ち主である女性二人とがどうやら揉めているようだ。
沖縄の開放感とは程遠い、まるでキャバ嬢のような露出の多い格好にこの宿に似つかわしくない言葉遣い。
そもそも浅香の宿は一見の客は認めていないはずだ。
この女性たちの予約を浅香の宿が取ったのか……? 信じられないな。
普段の俺なら浅香のためにもドアマンの女性に代わって応対の一つでもしてやるだろうが、悪いが今の俺にはそんな余裕はない。
藤乃くんをエスコートしなければいけないのだからな。
急いで助手席へと回り込み、扉をあけ手を差し出すと、藤乃くんの手がそっと重ねられた。
ああ、小さくて柔らかくてずっと触っていたくなる手だ。
思わずスリスリと撫でたくなるのを必死で我慢した。
連絡した時に『倉田』で頼んでいたせいか、ドアマンの彼もちゃんと俺のことを『倉田』と言ってくれてホッとした。
その上、彼は丁寧な態度で『ごゆっくりお過ごしください』と藤乃くんに挨拶をしてくれた。
やっぱり浅香の宿は教育が行き届いているな。
彼からの丁寧な挨拶に少しテンパったのか、『あ、あの……はい。その、ゆっくりします』と顔を真っ赤にしながら答えていたのがものすごく可愛かった。
と同時にこんなに可愛い表情をドアマンの彼も見たのかと思うと少し苛立ってしまう自分がいる。
さっと藤乃くんをドアマンの彼から見えない場所に隠し、中へと入った。
俺たちの後方から、さっき揉めていた女性客の騒いだ声が耳に入ってきていたが、藤乃くんに夢中になっていた俺にはどうでもいいことだと流してしまっていた。
それが藤乃くんにあんな嫌な思いをさせてしまうことになるとは、その時の俺は何もわかっていなかった。
俺と藤乃くんのことをしっかり頼んでおこうと思い、藤乃くんをロビーに残しフロントへ向かった。
「本日はご宿泊、誠にありがとうございます」
「ああ、突然で急がせたんじゃないか?」
「いいえ。あちらのお部屋はいつでもお泊りいただけるようにとオーナーからも言いつかっておりますので、お泊まりいただけて光栄でございます」
「そう言ってもらえると助かるよ。それからさっき電話でも言っておいたんだが、今回の宿泊では『倉田』で頼むよ。特に彼の前ではな」
「承知いたしております。どうぞご心配くださいませんように。それではお部屋にご案内いたします」
「ああ。ありがとう」
ホッとして、ロビーにいるはずの藤乃くんを探すと、変な女に声をかけられているのが見えた。
あのケバケバしい格好……さっき入り口で揉めてた奴らか?
宿のスタッフが止めているのも聞かずに彼に声をかけてやがる。
普段の俺ならフロントの社員に声をかけ引き離させていたことだろう。
が、相手が藤乃くんというだけで俺の足は一直線に彼の元へと向かっていた。
「泊めてくれるんだったら、わたしたちのこと好きにしてくれてもいいですよ」
そんなふざけたことを言いながら嫌がる藤乃くんの両腕を取り抱きついているのを見た時、そいつらへの怒りが込み上げてもうどうしようもなかった。
急いで駆け寄り縋りつかれている腕を引き離し、藤乃くんを腕の中に奪還した。
藤乃くんが少しでも彼女たちと一緒にいることを望んでいるならとも思ったが、俺が藤乃くんを腕に抱きしめた時とてつもなく安心した表情をしているのを見て俺もホッとしたんだ。
藤乃くんは彼女たちといるよりも俺といるのを望んでくれているのだ。
それならばあいつらに情けをかける必要は全くない。
「話は聞こえたが、私たちはそんな提案に乗るつもりはない。
悪いが、他を当たってくれ。まぁ、君たちのような人間を部屋に泊めるような客はこの宿にはいないと思うがな」
茫然としている奴らにそうキッパリ言い放って、藤乃くんの肩を抱き部屋へと連れて行こうとしたのだが、
「ちょっと待ちなさいよっ! そんな言い方ってないんじゃない?
困っている人間に対してそんな言い方するなんて、あんた人間のクズね! 仕事とか言いながら男2人でこんなとこ泊まるなんて結局はナンパ目的のくせにお高くとまってんじゃないわよ! 少し見た目がいいからって調子に乗らないでよね」
と奴らの1人が金切り声を上げながら文句を言ってきた。
その耳障りな声に藤乃くんはみるみるうちに顔色を悪くして俺に寄りかかってきた。
おそらく前の会社でこんなふうに罵られていたことを思い出したんだろう。
藤乃くんのことが心配で声をかけていると、奴らからなおも暴言が続く。
「はっ! なに? あんたたちってそういう関係なワケ?
なーんだ、それならわたしたちみたいな美人の誘いも断るの当然だわ。
ゲイカップルなら仕方ないわよね~!
大体、最初っからこんな高級ホテルに男同士で泊まりに来るなんておかしいと思ってたわ。
うーわっ、わたし、初めて見たわ。ゲイとかキモっ」
言っておくが俺はゲイではなく、バイだ。
好みであれば男女は問わない。
それを恥ずかしいと思ったことはないし、こんなふうに初対面で訳のわからない女に罵られる謂れなど何もない。
大体、俺の恋愛対象が異性だけだったとしてもお前らみたいな馬鹿な奴の誘いなんて乗る訳ないだろうが。
俺は隣にいる藤乃くんを怖がらせないように沸き上がる怒りを押し殺して、奴らに尋ねた。
「言いたいことはそれだけか?」
俺のビリビリとした怒りに周りのスタッフは身体を震わせているが、馬鹿な奴らは何も気づいていない。
それどころか、
「はぁっ? 何? 本当のことを言っただけでしょ? 男同士なんてキモいのよ!
ここはね、あんたたちみたいなゲイカップルが泊まれるホテルじゃないの! もう出てったら?
あんたたちがいなくなれば、わたしたちがそこに泊まれるじゃない! 早く出ていきなさいよっ!」
と暴言を吐き続ける。
本当に馬鹿な奴らだ。
追い出されるのがどちらかなど火を見るより明らかだというのに。
俺は騒ぎを聞きつけやってきたここの支配人に『頼むぞ』と声をかけ、藤乃くんを連れその場を立ち去った。
すぐに支配人と他のスタッフに取り押さえられ、俺たちの背後で叫び声を上げ続ける奴らの声が耳に入ってきていたが、ここからすぐに追い出される奴らだ。
もう二度と会うこともないだろう。
俺たちに暴言を吐いた制裁を与えたかったが、藤乃くんとの大事な二人の時間をこれ以上奪われたくない。
それに、もうこれ以上変なものを彼の美しい瞳に映したくない。
俺は奴らの様子が藤乃くんに見えないように、部屋まで連れて行った。
浅香が俺と蓮見のために用意してくれている専用部屋は、この宿の広い庭の中にただ一つだけ佇む離れだ。
きっと藤乃くんの想像していた部屋と違ったのだろう。
大きな目をパチクリさせて驚いている姿が実に愛らしい。
引き戸を開け中に入ると『わぁーっ』と歓声をあげ喜んでくれた。
よかった、顔色が良くなっている。
この部屋に連れてきて本当に良かった。
まず先に……と、藤乃くんの使う部屋に案内し、普段着に着替えるようにと促し部屋を出た。
自室に行き、さっと着替えを済ませ先ほどの奴らをどうしたのかを尋ねるために支配人へと電話をかけた。
ーはい。松川でございます。
ー私だ。さっきの奴らはどうなった?
ーはい。先ほど強制的に外に連れ出しましたので、もう二度とこちらに入ってくることはないかと存じますが、とりあえず今、大急ぎであの者達の情報を集めております。
ーそうか。奴らは予約客ではなかったのだろう?
ーはい。予約のお客さまのお車が通過するときに飛び込んでこられたようで……こちらの不手際でご迷惑をおかけしまして大変申し訳ございません。
ーなるほど。入り口のシステムをもう一度見直す必要があるようだな。
これは浅香に報告しておいた方がいいだろう。
ーはい。すぐにご報告いたします。
ーああ。一応私の方からも報告しておこう。
それから、15分後くらいに出かけるから、その時までに頼む。
ーはい。畏まりました。
松川支配人はもう一度謝罪の言葉を述べ、電話を切った。
奴らがもう一度何かを仕掛けてくるようならその時は容赦はしない。
あの馬鹿女たちの様子を見ていると嫌な予感がしないでもないが、奴らの情報さえ手に入ればとりあえずは追い出したことだし、よしとするか。
リビングへと向かうと藤乃くんはまだ来ていなかったが、すぐに来るだろうとお茶を淹れて待っているとカタンと扉が開く音が聞こえ、『お待たせしました』と少し照れたような声が耳に入ってきた。
ああ、来たか。
『うぐっ――!』
目を向けて驚いた。
だって、そこにいたのは高校生と言ってもおかしく無いほどの可愛い美少年が立っていたんだから。
なんだこれ?
マジか……可愛いすぎだろっ。
はにかんだその顔がさらに俺の心を鷲掴みにしていく。
うーわっ、もう俺ダメだ。
彼はもう俺のものだ。
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