21 / 155
偶然は必然
しおりを挟む
「それにしてもやけに話が盛り上がっているみたいだな」
「ああ、佳都は弓弦くんが気に入ったみたいだ」
「アヤシロのうさぎが私の可愛いうさぎとこんなにも似たタイプだとは思わなかったな」
今までのアヤシロのイメージなら、男女はともかくもっと年の近い大人なタイプを選ぶと思っていた。
だが、ケイトくんと一緒のところを見るとアヤシロの表情が今までにみたことがないほど柔らかく、心から気を許しているのがわかる。
そんなふうに本当の自分をさらけ出せる恋人を求めていたのだろう。
そう考えれば本当にあの可愛らしい彼はアヤシロの理想通りの恋人だといえよう。
まぁ、同じことを私もセルジュに思われているのだろうな。
ユヅルは、私が今までに相手にしたこともないような幼い存在なのに、ユヅルだけは出会った時から違っていた。
年齢とか性別とか何もかも関係なく、私を癒してくれるユヅルが私の特別だったのだ。
私とアヤシロ、どちらも同じようなタイプを一生のパートナーとして選んだのは、私たち自身が似ているということなのかもしれないな。
「ああ、それは俺も思ってた。それに最近こういうことが続いていて、驚いてるんだ」
「そうなのか?」
「ああ、前に話したことがある俺の親友たちを覚えているか?」
「ああ。もちろん! avocatとdocteurの彼らだろう?」
「そうそう。あの二人も最近揃って恋人ができたんだが、弓弦くんと同じ18歳の男の子なんだよ」
「――っ! 本当か?」
「ああ、驚くだろう?」
「それは……確かに驚くな……」
「あいつらも俺たちと同じように人に関心がなくて、心から愛する人に出会ったことがなかったんだ。だが、俺が佳都に出会ってからその繋がりであいつらも立て続けに一生のパートナーに出会えて、そして、ロレーヌも……なんて。偶然にしちゃ出来すぎてるだろう?」
確かにそうだ。
私とユヅルが出会えたのも偶然が重なったようなものだ。
とはいえ、偶然も重なれば必然となる。
私とユヅルはいろいろなことを乗り越えて、あの時ようやく出会ったのだ。
とすれば、あの出会いは決して偶然ではない。
私とユヅルが出会うようにしてくれたのだ。
そうとしか考えられない。
「我々が同じように幸せになれるようにどこかで繋がっていたんだろうな。だから、きっとavocatの彼とその恋人もdocteurの彼とその恋人も、出会ったのは必然だよ」
「ははっ。必然か……そうかもな」
幸せの連鎖が幸運をもたらしたな。
そんなことを思っていると、
「僕も絶対遊びに行くよ!! わぁーい、楽しみだな」
という、ケイトくんの声が耳に入ってきた。
その声に誘われるように、ユヅルに声をかけると、どうやらフランスに遊びにきてくれるという約束をしたのだという。
そうか、ケイトくんがフランスに来る。
ということはアヤシロも一緒だろうな。
そう確信しながら尋ねると、当然のように一緒について行くと話しながら、先日の二人の新婚旅行の話題を出してきた。
アヤシロとケイトくんがフランスを含めたヨーロッパに新婚旅行に向かっていた時、私はちょうどアメリカに行っていた。
そもそもの予定では、アヤシロと打ち合わせを終えてからアメリカへ行く予定だったが、アヤシロがその期間、この新婚旅行に向かうと連絡があったから、予定を変更して先にアメリカに行ったのだ。
考えてみれば、もし、アヤシロたちがこの期間に新婚旅行に行っていなければ、当初の予定なら今頃はアメリカにいたはずなのだ。
もし、アメリカにいればユヅルのあの助けを求めてきた電話にすぐに対応できたかどうか……。
もし、すぐに電話を取れたとしてもユヅルの元に駆けつけるまでにどれほど待たせてしまったか……。
あの時、ユヅルをあの部屋に一人で過ごさせていたらきっとユヅルは不安と悲しみに押しつぶされて辛い夜を過ごしていたに違いない。
やはり私とユヅルの出会いは偶然ではなく、必然だったのだ。
アヤシロがケイトくんと出会ったのも、私たちを出会わせるための布石だったのかもしれないとさえ思えてくる。
そう話すと、アヤシロは満更でもなさそうな笑みを浮かべながら珍しくご褒美をねだってきた。
私ほどでないとはいえ、日本でも富裕層の部類に入るだろうアヤシロが私にそんなことを頼んでくるとは一体何が欲しいのか?
それでも友人の頼みは聞いてあげねばならない。
それが大切な友人ならばなおのことだ。
何が欲しいのかと尋ねた私に、アヤシロがねだってきたのは
「近いうちにフランス行くから、あのホテルに宿泊させてくれないか?」
というあまりにも簡単すぎる願いだった。
「ああ、佳都は弓弦くんが気に入ったみたいだ」
「アヤシロのうさぎが私の可愛いうさぎとこんなにも似たタイプだとは思わなかったな」
今までのアヤシロのイメージなら、男女はともかくもっと年の近い大人なタイプを選ぶと思っていた。
だが、ケイトくんと一緒のところを見るとアヤシロの表情が今までにみたことがないほど柔らかく、心から気を許しているのがわかる。
そんなふうに本当の自分をさらけ出せる恋人を求めていたのだろう。
そう考えれば本当にあの可愛らしい彼はアヤシロの理想通りの恋人だといえよう。
まぁ、同じことを私もセルジュに思われているのだろうな。
ユヅルは、私が今までに相手にしたこともないような幼い存在なのに、ユヅルだけは出会った時から違っていた。
年齢とか性別とか何もかも関係なく、私を癒してくれるユヅルが私の特別だったのだ。
私とアヤシロ、どちらも同じようなタイプを一生のパートナーとして選んだのは、私たち自身が似ているということなのかもしれないな。
「ああ、それは俺も思ってた。それに最近こういうことが続いていて、驚いてるんだ」
「そうなのか?」
「ああ、前に話したことがある俺の親友たちを覚えているか?」
「ああ。もちろん! avocatとdocteurの彼らだろう?」
「そうそう。あの二人も最近揃って恋人ができたんだが、弓弦くんと同じ18歳の男の子なんだよ」
「――っ! 本当か?」
「ああ、驚くだろう?」
「それは……確かに驚くな……」
「あいつらも俺たちと同じように人に関心がなくて、心から愛する人に出会ったことがなかったんだ。だが、俺が佳都に出会ってからその繋がりであいつらも立て続けに一生のパートナーに出会えて、そして、ロレーヌも……なんて。偶然にしちゃ出来すぎてるだろう?」
確かにそうだ。
私とユヅルが出会えたのも偶然が重なったようなものだ。
とはいえ、偶然も重なれば必然となる。
私とユヅルはいろいろなことを乗り越えて、あの時ようやく出会ったのだ。
とすれば、あの出会いは決して偶然ではない。
私とユヅルが出会うようにしてくれたのだ。
そうとしか考えられない。
「我々が同じように幸せになれるようにどこかで繋がっていたんだろうな。だから、きっとavocatの彼とその恋人もdocteurの彼とその恋人も、出会ったのは必然だよ」
「ははっ。必然か……そうかもな」
幸せの連鎖が幸運をもたらしたな。
そんなことを思っていると、
「僕も絶対遊びに行くよ!! わぁーい、楽しみだな」
という、ケイトくんの声が耳に入ってきた。
その声に誘われるように、ユヅルに声をかけると、どうやらフランスに遊びにきてくれるという約束をしたのだという。
そうか、ケイトくんがフランスに来る。
ということはアヤシロも一緒だろうな。
そう確信しながら尋ねると、当然のように一緒について行くと話しながら、先日の二人の新婚旅行の話題を出してきた。
アヤシロとケイトくんがフランスを含めたヨーロッパに新婚旅行に向かっていた時、私はちょうどアメリカに行っていた。
そもそもの予定では、アヤシロと打ち合わせを終えてからアメリカへ行く予定だったが、アヤシロがその期間、この新婚旅行に向かうと連絡があったから、予定を変更して先にアメリカに行ったのだ。
考えてみれば、もし、アヤシロたちがこの期間に新婚旅行に行っていなければ、当初の予定なら今頃はアメリカにいたはずなのだ。
もし、アメリカにいればユヅルのあの助けを求めてきた電話にすぐに対応できたかどうか……。
もし、すぐに電話を取れたとしてもユヅルの元に駆けつけるまでにどれほど待たせてしまったか……。
あの時、ユヅルをあの部屋に一人で過ごさせていたらきっとユヅルは不安と悲しみに押しつぶされて辛い夜を過ごしていたに違いない。
やはり私とユヅルの出会いは偶然ではなく、必然だったのだ。
アヤシロがケイトくんと出会ったのも、私たちを出会わせるための布石だったのかもしれないとさえ思えてくる。
そう話すと、アヤシロは満更でもなさそうな笑みを浮かべながら珍しくご褒美をねだってきた。
私ほどでないとはいえ、日本でも富裕層の部類に入るだろうアヤシロが私にそんなことを頼んでくるとは一体何が欲しいのか?
それでも友人の頼みは聞いてあげねばならない。
それが大切な友人ならばなおのことだ。
何が欲しいのかと尋ねた私に、アヤシロがねだってきたのは
「近いうちにフランス行くから、あのホテルに宿泊させてくれないか?」
というあまりにも簡単すぎる願いだった。
応援ありがとうございます!
24
お気に入りに追加
1,579
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる