イケメンスパダリ弁護士に助け出されて運命が変わりました

波木真帆

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番外編

姫とワルツを

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理央を抱きしめながら、そっとラファエルに視線を向けると目に涙を浮かべながら笑顔を見せてくれた。

きっといい写真を撮ってくれたに違いない。
そのために理央とのキスだって目の前で見せたんだ。

綺麗な庭で美しい理央との甘いキス。
理央の夢が叶った思い出のワンシーン。

一生の宝になるだろう。


「理央、次の撮影場所に行こうか」

「は、はい。次はどこですか?」

「ふふっ。着いてからのお楽しみだ」

ガラスの靴は履かせたまま、理央を優しく抱き上げる。

「私の可愛い姫……それでは参りましょうか」

そう言ってにっこりと微笑めば、理央の頬がほんのり赤くなる。

「照れているのか?」

「だって、凌也さん。本当の王子さまみたい」

「ふふっ。理央だけの王子だから間違いではないだろう?」

「――っ、そっか。そうですね。僕の王子さま……ふふっ。カッコいい」

ああ、本当に可愛いな。

ついついこの後何もなければ……なんて思ってしまうが、これからが本番なんだからと必死に自分を抑えつける。
理央のためだ。
俺は理央の笑顔を見るためにここまで来たんだからな。

必死に興奮を抑え、理央を連れて行ったのは広々とした舞踏室。

「凌也さん、ここ……」

「シンデレラが王子さまとダンスを踊った場所によく似ているだろう?」

「えっ、じゃあ……」

「ふふ」

俺は察しのいい理央に笑顔で返しながら、そっと理央を腕から下ろした。

ささっとミアさんが理央のそばに駆け寄ってきて、ドレスの裾を綺麗に広げていく。
俺はその間に少し理央から距離を撮って準備が整うのを待っていた。

準備が整って、俺は理央の前にたち、

「姫……私と踊っていただけますか?」

と手を差し出した。

理央はほんのり顔を赤く染めながら、

「は、はい。喜んで」

と俺の手の上にそっと小さな手を乗せる。

そのタイミングで緩やかなワルツの曲が流れ出した。

理央は最初のこの形だけだと思っていたようで、曲がかかって

「凌也さん……あの、僕……踊れない、です……」

と不安げに小声で訴えてくる。

「ふふっ。大丈夫。俺に任せていればいい。理央は片手で裾を持ち上げてくれ」

「こ、こうですか?」

ふわりと上がった裾から綺麗なガラスの靴が輝きを放ちながら現れた。
ああ、やっぱりよく似合う。

「そう。上手だよ」

曲に合わせて俺がステップを踏めば、元々運動神経の良い理央は俺についてくる。

動くたびに理央のふわふわのドレスがゆらゆらと揺れてなんとも美しい。
もっとその様子が見たくて理央をくるりと回転させるとふわりとドレスが翻り、さらに美しさを増した。

理央はダンスに夢中で気づいていないだろうが、ラファエルもミアさんも我々の美しいダンスに魅入っているようだ。
それでもラファエルのシャッターだけは途切れることがないのだからさすがだ。

一曲を踊り終え、理央を抱きしめる。

フゥフゥと軽く息切れしているようだ。
少し疲れさせたか。

「疲れたか?」

「少しだけ。でもすごく楽しかったです」

「ああ、俺も楽しかったよ。初めてでも踊れるものだな」

「えっ? 凌也さんも初めてだったんですか?」

「ああ。俺にとって理央が初めてのダンスの相手だよ」

「ふふっ。嬉しいです」

ダンスだけじゃなくて、心が伴っているという面においてはどれも理央が初めての相手なんだけどな。

「じゃあ、そろそろ支度部屋に戻って結婚式の時間まで休憩しようか」

「はい。とうとう結婚式なんですね、ドキドキします」

「ふふっ。大丈夫。俺がずっとそばにいるからな」

嬉しそうな理央を抱き上げ、俺たちは支度部屋に戻った。


『おかえりなさいませ。撮影はいかがでしたか?』

『ああ、どこもかしこも素晴らしくてたくさんの写真を撮れたよ』

『それはようございました。旦那さまももうそろそろお戻りになりますので、しばらく御休憩なさってください。紅茶をお淹れいたします』

『ありがとう。助かるよ』

理央も撮影で疲れている上にダンスまでさせてしまったからな。
ジュールさんの紅茶を飲ませることができてよかった。

『紅茶でございます。こちらのお菓子もどうぞお召し上がりください』

「理央、食べていいぞ」

「わぁ、美味しそう! 『ぱぴぃ、めるしぃ』」

『ふふっ。どういたしまして』

理央は前に教えてもらっていたフランス語をちゃんと覚えていたのだな。
ちゃんとお礼も言えてよかった。

ジュールさんもすごく嬉しそうだ。
そりゃあそうか。
あんなにも辿々しい発音で可愛らしくお礼を言われたのだからな。

「汚すといけないから、俺が食べさせよう」

可愛いサイズのマカロンを一つ取り、理央の口に運ぶと慣れた様子で口を開ける。

もうすっかり食べさせるのも慣れてきたな。
これでいい。

ピンクのマカロンは木苺のようだな。

「おいしーいっ!!」

嬉しそうに笑う理央の姿に俺も、そしてジュールさんも笑顔が溢れていた。

疲れているからか、少し甘みのある紅茶を淹れてくれたようで理央は嬉しそうに飲んでいる。
もうすっかり味覚も覚えてもらっていて助かる。
さすがロレーヌ家の執事だな。


しばらく休憩したところで、

『ご参列の皆さまが礼拝堂にお集まりになりました』

と連絡が来て、俺は理央を抱き上げ、礼拝堂に向かった。

「理央、緊張しなくて良いからな。ずっと俺がそばにいるし、見守ってくれているのは俺たちの結婚を喜んでくれている人だけだからな」

「はい。でも、やっぱり緊張します。だって……佳都さんたちみたいに、凌也さんと夫夫になれるんですよね。ふふっ。嬉しい」

「ああ、俺もだよ」


礼拝堂の入り口に着くと、まだ悠木もロレーヌ総帥もついていなかった。
俺たちが一番乗りか。

この扉の向こうに綾城たちが待っていてくれるんだよな。

綾城たちの結婚式を思い出して、俺も少し緊張してきた。
でも、腕の中の理央の温もりが俺の緊張をほぐしてくれる。

俺たちの結婚式までもうすぐだ。
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