初めて恋したイケメン社長のお相手は童顔の美少年でした

波木真帆

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運命の相手※ +おまけ

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蛍の身体を清め、もう一つの寝室に連れていく。綺麗にベッドメイキングされたシーツに蛍を抱きしめながら横たわる。

ああ、なんと満ち足りた気分なのだろう。今まで離れて過ごせていたのが不思議なほどに、今はもう蛍を手放すこともできない。

「蛍……愛しているよ」

目を閉じたままの蛍の瞼にそっと口付けを落とす。蛍の目が見つめるものの先にいつも私を映してくれ。蛍への想いが込み上げてきて、腕の中の蛍をギュッと抱きしめると蛍は嬉しそうに微笑んで、私の胸元に顔を擦り寄せた。

私をこんなにも必要としてくれているのが嬉しい。

蛍が誰から愛し合う術を教えてもらったのか、それはまだわからないままだ。だが、蛍の身体はまだ誰にも開かれていないことは、私が身をもって体験した。いささかの嫉妬は消せないが、それでも蛍を私のものにしたことに変わりはない。

もう誰にも渡さない。蛍は一生私だけのものだ。

蛍もそう思ってくれるだろう?

蛍を抱きしめる幸せの重みを感じていると、腕の中の蛍がそっと身動いだ。

「う、ん……っ」

ゆっくりと瞼が開いて、私の顔を映していく。それだけで心の奥底から幸せが湧き上がってくるのだから、本当に不思議だ。

「あ……きょ、うさん……」

「ああ、そうだ。蛍の伴侶だよ」

「は、んりょ……あっ!」

「よかった、覚えていてくれたようだな」

「わすれる、わけないです……」

ほんのりと頬を染めてそう言ってくれる蛍が愛おしくてたまらない。そう思っていると、続けて出てきた言葉に驚いた。

「だって……こんなに、しあわせだってそうぞういじょう、だったから……。報告、しなきゃ!」

「報告? 誰に何を言うんだ?」

「僕に、愛し合うことがこの上なく幸せなことだって、教えてくれた友人がいるんです……」

「友人? 誰か、聞いてもいいだろうか?」

友人と言いつつ、好きだった相手だってことはないだろうか? 必死に緊張を抑えながら、蛍に問いかけると蛍はにっこりと笑って口を開いた。

「匡さん、ミシェル・ロレーヌって知ってますか?」

「ん? あ、ああ。世界的に有名なヴァイオリニストだろう?」

孤児院で生まれ育った彼は、独学でヴァイオリンを学び、その実力をフランスの大富豪ロレーヌ総帥に見出され、プロのヴァイオリニストとして世界中を飛び回っているはずだ。確か、ロレーヌ総帥の従兄弟だったか、兄弟だったかと同性婚を発表したはずだ。

「彼は僕の数年来の親友なんです」

「えっ? じゃあ、蛍の知識は……」

「はい。全てミシェルに教えてもらったんです。いつか大切な人ができた時のためにって」

「じゃあ、中に出してとねだってきたのは……?」

「あれは……ミシェルが、中に出されるたびにいつも幸せが溢れ出てくるって教えてくれたから……それを感じてみたかったんです。でも……」

「でも?」

「話で聞いているよりもずっとずっとすごかったです。中を擦られるのも信じられないくらい気持ちがよかったし、中に出された瞬間、匡さんと一人の人間になったようなそんな充足感で幸せで……わっ!! ど、どうしたんですか?」

蛍の言葉があまりにも幸せすぎて、興奮が抑えられなかった。

「あ、あの……これ……っ」

蛍を強く抱きしめて一気に欲望を溢れさせた昂りを蛍の腹に擦り付けると、蛍はすぐにそれが何なのか気づいたようだ。
真っ赤な顔で尋ねてくる蛍に、

「悪い。蛍が可愛すぎて我慢ができない。もう一度だけ、蛍の中に挿入らせてくれ……」

と言いながら、私の昂りを受け入れたばかりでまだほぐれたままの蛍の後孔に昂りをググッと押し込んだ。

「ひゃあっん!!」

疲れ果てていた蛍の身体は程よく力が抜け、ぐずぐずに蕩けた中が一気に私の昂りを埋め込んでいく。

「ああっ、蛍っ!! 最高だっ!!」

蛍をギュッと抱きしめながら、腰を大きく動かすと、蛍はその度に甘い声をあげる。そして、私にピッタリとくっついたままあっという間に絶頂を迎え、蜜を放った。

「蛍……愛してるっ!! う゛ぅーっ!!!」

ほんの数時間前にたっぷりと注いだはずの欲望の蜜がまたドクドクと蛍の中に広がっていくのを感じる。

「蛍……幸せか?」

「ん…っ、し、あわせ……」

嬉しそうに微笑む蛍を抱きしめながら、私はしばらくその余韻に浸っていた。



「あの、いつかミシェルに会ってもらえませんか?」

湯船の中で抱き合っていると、蛍がそんなことを言ってきた。

「私が、ミシェル・ロレーヌに?」

「はい。ずっと僕に大事な相手ができるのを楽しみにしていてくれたので……紹介したいなって……」

ロレーヌ一族との接点ができるのは申し分ないが、緊張の方が大きいな。だが、ミシェル・ロレーヌにはお礼も言いたい。

「わかったよ。今度紹介してくれ」

「わぁ! 約束ですよ!」

とはいえ、忙しいだろうからそんなにすぐには会えないだろうと思っていたのだが、それからすぐに日本に会いに来ると連絡が来て驚いてしまったのは別のお話。


<おまけ>

『ねぇ、ケイはどんな人だったらいいなって思う?』

「うーん、そうだな……。セルジュさんをみているから、ついつい理想が高くなっちゃうけど……やっぱり、僕がピンチに陥った時に颯爽と助けてくれるような、そんな王子さまみたいな人だったらいいな。優しくて、強くて……僕だけを愛してくれる人なら嬉しいけど……』

『欲張りだなぁ……』

『やっぱりそんな人いないかな?』

『セルジュはケイの理想にピッタリだけど、セルジュは僕のだから』

『わかってるよ。それに理想通りじゃないよ』

『えっ?』

『だって、セルジュさんは僕だけを愛してくれないでしょう?』

『確かに。セルジュは僕一筋だからね』

『いいなぁ。でも僕にもいつかきっと僕だけを守って愛してくれる人に出会えるはず』

『うん、絶対に見つかるよ! だから、この人かもって思ったら目を見るんだよ』

『目?』

『そう、目。運命の相手は目を見ただけで惹かれるんだ。僕がセルジュと初めて出会った時、そうだったから』

幸せそうな表情を浮かべるミシェル。きっとその時のことを思い出しているんだろうな。

でも、目か……。本当にそんな人に出会えたらいいなぁ。


  *   *   *


「おい! お前、ふざけんなよ!」

「いやー、助けて!」

楽譜屋さんを探して歩いていると急に声をかけられて、知らないというと突然怒り出して追いかけてきた。必死に逃げて、横道から大通りにようやく出られたと思った瞬間、ドンと誰かにぶつかってしまった。大きな身体で抱き止められて、その優しい受け止め方に悪い人じゃないって直感した。

「助けてください! あの人に追いかけられてて……」

後ろを気にしつつそう言うと、その人は僕をそっと背中に隠し、あっという間に追いかけてきた男をやっつけてくれた。そのあまりの強さに驚きつつも、今までの恐怖が一気に押し寄せてきて立っていられなくなった。

ああ、座り込んじゃうと思ったと同時にふわりと身体が浮き上がった。

驚きながらもこれ以上迷惑をかけられなくて、謝りながら顔を上げると、

「全然大丈夫じゃないだろう。しばらくこのままでいたらいい。落ち着いたら下ろしてあげるよ」

と優しく微笑んでくれた。

その時の彼の優しい目に身体中に電流が走ったような不思議な感覚を覚えたんだ。

――運命の相手は目を見ただけで惹かれるんだ。

ああ、ミシェルの言っていたことはこれだったのかも……。

本当に運命ってあるんだね。僕は幸せだよ。


  *   *   *

ここまで読んでいただきありがとうございます!
ミシェルとの出会いは『極上紳士のプライベートレッスン ~孤児はフランス貴族に溺愛される』という作品の番外編に載せていますので未読の方はぜひそちらも読んでみてください♡
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