初めて恋したイケメン社長のお相手は童顔の美少年でした

番外編

蛍への提案

『天涯孤独になった僕をイケメン外国人が甘やかしてくれます』の日本旅行編
＜驚きの名前＞というお話の裏側のお話になります。
短いですが楽しんでいただけると嬉しいです♡


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＜side匡＞

ミシェル・ロレーヌが日本にやってくるという連絡を受けた翌日ある考えが浮かび、しばらくその調整を行なっていたのだが、蛍の日課にしているピアノレッスンの最中、ようやくスマホに嬉しい連絡が来て私は蛍にその内容を伝えに向かった。

「蛍、少し話をしてもいいだろうか？」

曲の終わりを見計らって声をかけると、ちょうど今から休憩をしようと思っていたと言ってくれて、私に笑顔を見せた。

「何かありましたか？」

「提案なんだが……ミシェル・ロレーヌと日本で会うとき、うちのホールでちょっとしたコンサートを行うのはどうだろう？」

「えっ？　コンサート、ですか？　でも、休暇で来ているのに……」

「悪い。私の説明が良くなかったな。もちろん私もチケットを売って客を集めて行うコンサートをするつもりはないよ。ただ、蛍は言っていただろう？　先日ロレーヌ総帥と結婚を発表した彼が素晴らしいヴァイオリニストだって」

ロレーヌ総帥が同性婚を発表した相手が、フランスの伝説のヴァイオリニストであるニコラ・ロレーヌと、その彼が唯一才能を認めていた女性ヴァイオリニスト、江波天音との間に生まれた、素晴らしいヴァイオリンの才能の持ち主だと言うことは現在音楽業界ではかなりの話題になっている。

彼がフランスに移住してから、ニコラ・ロレーヌが眠る墓地や、クリスマスマーケットでたびたび演奏を行っていたという話が、ロレーヌ総帥との結婚発表を機に再燃しているからだ。

彼の周りを騒がせたくないというロレーヌ総帥の意向で表立って彼にヴァイオリンの演奏を求めることはこれからもないだろうが、蛍はミシェル・ロレーヌから直々にロレーヌ総帥の伴侶　ユヅル・ロレーヌのヴァイオリンの実力を聞き、一度一緒に弾いてみたいと漏らしていたのを私は聞き逃さなかった。

せっかくこうしてミシェル・ロレーヌとともにロレーヌ総帥の伴侶が日本にやってくるのなら、蛍の願いを叶えてあげたいと思ったのだ。

幸いなことに、我が一ノ宮グループが所有している大きな音楽ホールがいくつかあり、確認したところ、彼らが日本に滞在している間、二日間だけある音楽ホールを貸切にすることができた。

そこで、蛍のピアノとミシェル・ロレーヌ、そしてユヅル・ロレーヌの三重奏が聴けたら……そんな気持ちでの提案だったのだ。

「彼はプロのヴァイオリニストではないから、こういう機会でも無いと蛍と一緒に演奏をするのは難しいだろう？　せっかくならその機会ができればと思ったんだ」

「匡さん……わざわざ僕のために……」

「いや、私も蛍のピアノが聴きたいからしたことだよ。どうだろう？　ミシェル・ロレーヌに提案するだけしてみないか？　ホールは使えるようにしてあるから」

蛍が演奏してくれるなら最高級のピアノを搬入することも決定しているが、そのことは内緒にしておこう。
あくまでも彼らが望むなら願いを叶えたいだけだから。

そうして、蛍はすぐにミシェル・ロレーヌにメッセージを送った。

彼らはすでに日本入りをしていて、今日は友人たちと初詣に行っているようだ。

もし彼らが乗り気なら、明日と明後日のどちらかで演奏会を楽しめるに違いない。
さて、どんな反応をしてくれるだろう。

楽しみだな。