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第二章 (恋人編)

花村 柊   8−2※

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ようやくフレッドの涙も落ち着いて、ぼくたちは身体を離した。
ずっとくっついていたせいか寂しいと思ってしまったのはどうやらぼくだけではないようだ。

「そろそろ食事にしようか」

そう誘ったフレッドは、ぼくを抱き抱えようとしたので、ぼくは町でやったようにフレッドの腕に絡みつき、手を恋人繋ぎにしてフレッドを見上げた。

「ねぇ、知ってる? この手の繋ぎ方、恋人繋ぎって言うんだよ」

「そうか……恋人繋ぎ。抱き抱えるのも良いが、こっちも良いもんだな」

フレッドは嬉しそうに指を絡め合った手を何度も見て

「今日はこれでダイニングルームに行くか」

と言って書斎を出た。


「マクベス! マクベス!」

フレッドが声をかけると、マクベスさんはどこからともなく現れた。

ほんと、ここの使用人さんって不思議だよね。
声かけたらすぐ来てくれるんだもん。すごいな。

「食事にするから、支度を」

「はい。かしこまりました」

そう言うマクベスさんの視線が、ぼくたちの繋がった手に向いているのが分かって、思わず手を離そうとしたけれど、フレッドがガッチリと握っていて離れなかった。

こういうとこ、可愛いんだよね……。

ぼくもガッチリと握り直すと、フレッドは優しく頭を撫でてくれた。

それから食事を終え、いつものようにお風呂に入った。

「ねぇ、今日もフレッドの髪洗って良い?」

「ああ、頼むよ」

ぼくは髪を洗うための泡を手にたっぷりと取り、フレッドの髪に指を通した。

金色の髪が真っ白な泡で包まれる。

こんなに綺麗なのになんで白が迫害対象なんだろう……。この国大好きだけど、ここだけが納得できないなぁ。

指の腹で頭皮もしっかりマッサージしながら、シャワーで泡を洗い流すと艶々と綺麗な髪が現れた。

「やっぱりフレッドの髪、綺麗だなぁ」

うっとりと見つめていると、鏡越しにフレッドが笑っているのが見えた。

「んっ? なぁに?」

「いや、シュウにそんな恍惚とした表情で髪色を褒められたら嬉しくて……。シュウに髪を洗ってもらうようになって、初めて自分の髪が好きになれたんだ、私は」

「そっか。良かった、ぼくの好きな髪をフレッドも好きになってくれて」

そのあと、フレッドもぼくの髪を洗ってくれて身体はいつものように各々でとフレッドに言われ泡を渡されたけれど、自分と全く違う逞しい身体を触ってみたくて、泡まみれの手でフレッドの背中にそっと触れてみた。

「シュ、シュウ!」

フレッドが慌てふためいていたけど、

「もう暴れちゃダメだよ! ほら、背中向けて!」

と諫めると大人しくぼくに背中を向けた。

「シュウ、じゃあ背中だけで! 背中だけでいいからな」

「えーっ、どうしようかな。ふふっ」

いつもと違って慌てているフレッドの様子が面白くて、ついイジワルをしてしまう。

ぼくにもこんな一面があったんだって自分でも驚いた。

フレッドの大きな背中を撫でながら、脇腹の方に傷痕があるのを見つけた。

「あれっ? これ、怪我したの?」

「んっ? どこだ? ああ、それは昔、剣術の稽古の時にな」

「痛そう……」

稽古という言葉に似つかわしくないほどの大きな傷痕に驚いてそっと指をなぞってみる。

「ふぁ……つ」

「えっ?」

フレッドから可愛い声があがって、ぼくのいたずら心がムクムクと湧き上がってくる。

「シュ、シュウ!」

「んっ? なぁに?」

フレッドの慌てた声も聞こえないふりをして、しゃがみこんで傷痕を触っていると、フレッドの手がぼくの指を捕まえた。

「イタズラばかりだな、今日のシュウは」

そう言って、振り返ったフレッドの股間がちょうどしゃがんでいたぼくの目の前に現れた。

見たこともないほどの大きなアレがお腹についてしまいそうなくらい天を見上げていた。

「わぁ……っ、お、っきい」

自分のと比べようもないほど大きなフレッドのモノを目にして気が動転してしまい、気づいたらもう片方の手を伸ばして先端に触れてしまっていた。

「な……っ、シュウ!!」

うわっ……熱い。

天を仰いだソレに指先で触れると、じんじんと熱さが伝わってくる。

すごい……。大人ってこんなに大きいんだ……。
それともフレッドだから?

ぼくは初めてみる自分以外のモノにドキドキしながら、ごくりと唾を飲み込んだ。

片手では収まりきれないほど太いソレを指を使って下から上へと撫でていく。

「あぁ……っ」

吐息と共にフレッドの身体がビクビク震えるのがわかった。

先ほどでも大きかったソレがさらに体積を増しガチガチに昂っていく。

うわぁ、すごい。

ぼくの動きにフレッドが反応していることが嬉しくて、もっと気持ちよくなって欲しくて指を広げて
握り包みこもうとしたけれど、あまりの太さにぼくの片手では指が届かない。

ほんとに大きいな……。よしっ!

ぼくは力の抜けてしまっているフレッドの手から捕まえられていた自分の手を引っこ抜き、両手でフレッドの逞しいモノを包み込んでみた。

「うぅ……っ」

フレッドの苦しそうな声が気になりながらも、手のひらに感じるドクドクと脈打つ熱を手離さずにいられない。

「ああ……っ、シュ、ウ……ダメだ……っ」

ぼくはフレッドの言葉を無視して、包み込んだフレッドのモノを両手で上下に擦っていく。

「ねぇ、きもちいぃ?」

見上げると、フレッドは更に身体を震わせた。

「ああっ、シュウが……こんなに淫らに……。
シュウ、最高だ……」

フレッドのうっとりとした表情にぼくも嬉しくなって、フレッドのモノに顔を近づけ、懸命に両手の動きを速めていくと、先端から白い蜜がトプっと溢れ出てきた。

ふわっと甘い香りがする。
なに? 美味しそう……。

ぼくは吸い寄せられるように、目の前に現れた白い蜜を舌を出して先端をペロっと舐めてみた。

うわっ、何これ? 甘い!

「シュウ?! な、何やってるんだ!」

フレッドの焦る声もぼくには聞こえないほど、フレッドの甘い白蜜に心を奪われていた。

まるで子猫にでもなったように次々に溢れ出る白蜜を舌でペロペロと舐めていく。

「ああ……っ、もう、イ……くっ」

その瞬間、フレッドの両手がぼくの頬を包み、フレッドの大きなモノから引き剥がした。

『ビューッ、ビュル、ビュル、ビュク……』

「わぁ……っ」

フレッドの先端からものすごい勢いで弾け飛んだ白蜜がぼくの顔にかかった。


咄嗟に目を瞑ったけれど、熱いものが頬を伝って唇の端に流れてくるのを感じる。

ぼくはあの甘い蜜の誘惑に勝てずに、目を閉じたまま舌を出して唇の端についたフレッドの白蜜を舐めとろうとチロチロと舌を動かすがなかなか舐め取れない。

うーん、もどかしい。

すると、タイルをバタバタと走る音が聞こえたと思ったら、お湯に濡れた柔らかな布がぼくの頬を拭い取っていくのがわかった。

「シュウ、すまなかった。決して顔にかけるつもりはなかったんだ!」

必死に謝るフレッドの声を聞きながら、

ああ、もったいない……。
あの甘いやつ……まだ舐めたかったな。

そんなことを思っていた。

何度か洗った布で綺麗に拭い取られてから、ぼくはゆっくりと目を開けた。

「ふふっ。大丈夫だよ。ねぇ、フレッド……気持ちよかった?」

「ああ、気持ち良すぎて天にも昇る心地だったよ」

そう言ってフレッドはぼくを宝物のように大事に抱きしめ、『風邪をひくといけないから』とそのまま抱きかかえたまま、湯船へと入った。

香りの強いラベンダーのような菫色の少しとろみのあるお湯の中に浸かると、身体がじわじわと温まっていくのがわかる。

「ふぃーっ、きもちいい」

フレッドの膝の上で向かい合わせに座りながら、甘い雰囲気のかけらもなくそんな声をだしてしまって、自分で今のちょっとおじさんくさかったなと心の中で笑っていると、フレッドが聞きにくそうに口を開いた。

「……シュウ、あんなもの舐めたりして大丈夫だったか?」

「あんなもの?」

「ほら、私の……その……」

ああっ、アレか。
言いにくそうにモジモジしてるフレッドが可愛い。

「うん。大丈夫だったよ。すごく甘くってびっくりしちゃった!」

「甘い?!」

「うん。すっごく良い匂いがして、つい舐めちゃったけど、すっごく甘くてクセになる味だね」

「ゔぅっ……っ」

「わぁっ」

突然腰を後ろに引いたフレッドの行動に驚いて、深い湯船に落ちそうになる。

「ああっ、悪い」

フレッドがさっと脇の下に手を入れ、抱き上げてくれた。

「ああ、ビックリした……。大丈夫、大丈夫。
でもフレッド、どうかしたの?」

「……アレを甘いと感じるのは、生涯でただ1人なんだよ」

「えっ? どういうこと?」

何がただ1人?

フレッドは思い詰めた表情をして、

「話が長くなりそうだから、部屋で話をしよう」

と言って、ぼくを抱き抱え湯船から出してくれた。

ほかほかになった身体をふわふわで大きなバスタオルで包まれ優しく拭き取られる。
用意してあった夜着を着ている間に、フレッドはもうすでに着替え終わっていた。

ぼくの着替えが終わったのを確認して、フレッドは再びぼくを横抱きに抱き抱え、寝室へと向かった。

寝室に足を踏み入れると『クゥークゥー』とパールの柔らかな寝息が聞こえる。
起こさないようにそっとベッドに潜り込み、ぼくは横向きになったフレッドの腕の中にぽすんと入り込み身体を横たわらせた。

ふわりと漂うフレッドの匂いにつつまれながら、少し速いフレッドの心臓の鼓動を聞いていると、フレッドが口を開いた。

「……まず話しておきたいことがあるんだ。
シュウ、ここにきた日に一緒に風呂に入っただろう? その時に身体を洗った後、パチッと電流が流れるような感覚がなかったか?」

電流? ああーっ、あった! あった!
フレッドに触られると身体の中を電流が通り抜けていくような不思議な感覚。

「うん。あった! あったよ! 不思議だなって思ってたんだ。自分で触っても何ともないのにフレッドが触るとパチッとくるから、静電気なのかと思ってた! あっ……っと」

あの時の衝撃を思い出して、つい声が大きくなってしまう。
ぼくはパッとパールの方を振り返ったけれど、パールは健やかに眠っていてほっとした。

「あの電流に何か理由があったの?」

ゆっくりフレッドの方に向き直り、聞いてみると観念したように詳細を語り始めた。

「……ああ。あのときシュウの身体を洗うために使った『泡オイル』は別名【伴侶の証】と言ってな、身体の相性が良い相手が触れるとあの電流のような反応が起こるんだ。
私が触って、もしシュウに反応があったら、何としてでも私の伴侶にしようと思って……本当はちゃんと話してからやるべきだったのだが黙って使ってしまった……。
ずっと謝ろうと思っていたんだ。すまなかった」

そんな効果があったんだ……。
でも反応があったらって……

「……もし、ぼくに反応がでなかったら諦めるつもりだったの?」

「いや、違う!
私は見目も悪いし、シュウのような美しい人に好きになってもらえるなんてあの時は思いもしなかったから、シュウを口説けるような自信になれるものが欲しくて……そう、何か確証が欲しかったんだ。
だけど、例え、反応がなくても私の内面を好きになってもらう努力をしようと思っていたんだ! 
それは誓う!」

フレッドの真剣な言葉が真実なんだと訴えている。

「ふふっ。分かってる。大丈夫だよ」

「ああ、シュウ!」

フレッドに抱きしめられると、身体全部で愛を感じるからすごく心地良い。

「あの【伴侶の証】は、触られる方の想いは関係ないんだ。
触る方が好意を持って触れ、それが身体の相性が良い相手なら、例え嫌いな相手だとしても反応する。
【伴侶の証】で選ばれた相手は、身体を重ねるととてつもない快楽が得られるんだ。
だから、どんなに嫌いでも、身体さえ合わせれば好きになってもらえる可能性は増える」

「ってことは、フレッドと……その、身体を合わせるってことをしたらフレッドを好きになったかもしれないっていうこと?」

「ああ、そうだ」

「じゃあ、どうしてしなかったの? 
あっ、そっか。
ぼくたちは男同士だから身体を合わせるとかできないからか」

「えっ? いや、その……男同士でもできる、んだが……それはまた今度……」

モゴモゴと言いにくそうに話すフレッドの言葉が聞き取れなくて、

「なぁに?」

と聞いてみたけど、

「ゴホン、なんでもない。
えー、なんでしなかったのかと言うと……私はシュウに身体から無理やり好きになってもらうのではなく、本当に心が通じ合ってから身体を合わせたかったんだ。無理やり好きになってもらっても虚しいだけだろう」

「うん」

たしかに。そうだよね。
ぼくたちが身体を合わせるってどうやるのかわからないけど……無理やりはやっぱりいやだもん。

「あの【伴侶の証】は、まぁ、運が良ければ10数人くらいは反応が出るだろう。身体の相性が合う人は多くはないが、全くいないわけではない。その人に出逢えるかどうかというところだな。貴族の場合は縁談で結婚することが多いから、自分の伴侶になる相手が相性が合うか初夜の時に一応調べてみるということが多いんだ。まぁ、合わなかったとしても、結婚をやめるほどの事案ではないから、合ったら良かったなと思う程度だな」

「ふぅん、そうなんだ。とりあえず確認してみるくらいのもの?」

「そうだな。だが、それと違って…アレを甘いと感じるのは、生涯で互いにその人ただ1人だけなんだ。他の人はどんなに身体の相性がよくても苦くて舐めたりなんかできない」

「じゃあ、フレッドのを甘く感じたのは、ぼくにとってフレッドが唯一の存在っていうこと?」

「ああ! そうだ! そして、私にとってもシュウが唯一の存在だということだ! だから、嬉しい」

そっか、そうなんだ。
この国でフレッドに出会った瞬間、惹かれたのは唯一の存在だったからなのかもね。
ぼくにはあっちに唯一がいなかったんだ!
だから、神様がフレッドに合わせるために連れてきてくれたのかもしれないな。

「ふふっ。そっか、そうなんだ……ぼくも嬉しい」

ぼくはぎゅっとフレッドに抱きついた。

「ああ……っ、私がこの前シュウのを舐めていれば、唯一の人だとあの時わかったのにな。
はぁ……っ、シュウのを舐めたかった……」

えっ? あの時の? 

心底残念そうに言うフレッドだけど、いやいや、恥ずかしいよぉ。

って、ぼくもフレッドの舐めたからおんなじか……。

いや、でも自分のを舐めてもらうのはちょっと勇気がいるな……。

「なぁ…… シュウ、今からはだめか?」

「えっ? 今から? って、あの……」

「私がシュウの唯一だと知ったら、私もシュウを唯一だと感じたいんだ!」

いや、でも……しなくても、お互いってわかってるんだ……よね?

「で、でも……もうわかってるのに? ここで?」

「伴侶と同衾しているのだからいいだろう?」

フーフーと鼻息荒く、フレッドの水色の瞳もギラギラと光っているように見える。
ちょっと……怖い、んだけど……。

「あ……っ、でも、パールが……」

「大丈夫、リンネルは眠ると夜が明けるまでは起きないものだ」

いつもの優しいフレッドと違って、
少し、いや……かなり強引なフレッドだけど、
なんだろう……なぜか少しドキドキして来ちゃった……。

「なぁ、シュウ……だめか?」

さっきの強引なフレッドはどこに行ったの?
そんな捨てられたわんこみたいなしょんぼりした顔で言われたらだめだって言えないよ……。

「い、いいよ……」

「シュウ!! ああ、愛してる!」

さっきのしょんぼりわんこみたいな表情はどこにいったのかと思うほど、今度は満面の笑みでぼくを抱きしめ、いそいそとぼくの夜着ローブを脱がそうとする。

「あっ……っ、ちょっ、と待って……」

「シュウ……やっぱり、ダメ、か……?」

「ううん……そうじゃなくって、あの、先に……ち、ちゅーして欲し、いなって……」

「ちゅう?」

ああっ、フレッドには分からなかった?
は、恥ずかしい……。
もう一度ねだるなんて出来ないし……。

ぼくは自分の顔がどんどん赤らんでいくのを感じながら、何と言えば良いのか分からずに俯いていた。

「シュウ、悪かった……。愛してるシュウを蔑ろにして自分の欲望だけ押し付けようとしてしまった……」

えっ? どういうこと?
拒んだと思われた?
フレッドに嫌われちゃったのかな……。

くすん。

涙が出てきそうになった時、不意にぼくの顎に手をかけられ、クイっと上を向かされた。

目の前にフレッドの綺麗な瞳が現れたかと思うと、だんだん近づいてきて、瞳が閉じられた瞬間、フレッドの形の良い唇がぼくのそれに重なり合った。

「ふぅ……っ、んっ」

下唇を啄むバードキスから、深いキスへと移るのに時間はかからなかった。
どちらからともなく気づいたら舌が絡み合っていた。
まるで生き物のように口腔内を動き回るフレッドの舌が、ぼくの気持ち良いポイントを的確についてくる。

「ん……っあ」

舌先を吸いつかれて、ぼくの身体がピクっと反応してしまう。

「ああ、シュウ……かわいい」

深いキスを繰り返しながら、フレッドの手がぼくの夜着の中をまさぐりながら入り込んでくる。

「はぁ……っん」

人差し指で乳首を擦られ、ぼくの身体がビクビクと揺れると同時に、重なり合っていた唇が離れフレッドの唇が首筋から胸元へと下りていく。

「………っん……」

くすぐったいような感覚がやがて快感へと移っていく頃に、フレッドの唇はぼくのもう片方の乳首へと辿り着いた。

激しく吸い付かれ、優しく舐められ、甘く噛まれたりしながら、もう片方の乳首もカリカリと指で弄られる。

「ひゃ……ぁっ、んんっ」

その得も言われぬ快感にぼくは喘ぐことしかできずにいた。

「ああ、シュウ……シュウ」

フレッドは唇と指でぼくの乳首を愛でながら、もう片方の手がぼくの下着の中に潜り込んできた。

ぼくのモノは今までの刺激でとっくに大きく育ってしまっている。
ムクっと勃ち上がってしまった淫らな状態を知られるのが恥ずかしくて、身体をくねらせて逃げようとしたけれど、フレッドの大きな手はぼくの下生えをさわさわと撫でそのまま簡単にぼくのモノを捕まえてしまった。

「……っんあ……」

「シュウ……気持ち良くなってくれて嬉しい」

「ああ……っん、はぁ……」

嬉しそうに大きな手でぼくのモノをすっぽり包み込み刺激してくるフレッドの声が耳に入らないほど、ぼくはフレッドがもたらす快感におかしくなってしまっていた。

「はぁ……ん、フレッ、ド……もっと、さわっ……て」

「シュウ……これ以上煽らないでくれ」

自分でも何を言ったのか分からなくなっていたけれど、フレッドの刺激がますます深くなっていったことだけは分かった。

気づいたら、胸元にいたはずのフレッドの姿はぼくの下の方に移っていて、指だけがぼくの乳首を弄っていた。

「フレッ、ド……ど、こ?」

フレッドの顔が見えなくて、寂しくなっていると
突然ぼくのモノが温かい何かで包まれた。

「ひゃ……ぁ、な、に……?」

力の抜けきった身体を必死に起こして下を覗き込むと、フレッドの綺麗な金髪がぼくの股間に埋まっているのが見えた。

「えっ……っ? なに? なん、で?」

ぼくの声が聞こえたのか、フレッドが顔を上げると、さっきまでぼくの唇と重なり合っていたフレッドの形の良い唇がぼくのモノを根元まで含んでいる。

「や……っ、だめ……っ、そん、なとこ、きたな……っ」

「シュウの全てが美しいよ」

そう言うと、また口を大きく開けて根元まで深く咥える。

フレッドが上下に動かすたびにとんでもない快感がぼくを襲う。

「……っん、はぁ……んん」

口腔内を動き回っていたあの舌が、今度はぼくの先端や根元の柔らかいものまで満遍なく舐め尽くしていく。

フレッドの動きに合わせてじゅぷじゅぷという淫らな音が寝室内に響きわたる。

「……ぁあん、も、う……だめっ、フレッ、ド……好き……」

その瞬間、フレッドの口の中でぼくのモノが
『ビュク、ビュク』と音を立てて弾け出たのがわかった。

飛び出した白濁がフレッドの舌に綺麗に舐め取られ、コクッと喉が動き、ちゅぽんと口を離された時にはぼくのモノはフレッドの唾液に照らされてキラキラと光っていた。

「ああ、甘い。甘くて蕩けそうだ。シュウ……愛してるよ……」

「……ぼ、くも……あい……し、て…………る」

遠のいていく意識の中で必死に紡いだ言葉がフレッドに届いたか分からなかったけれど、ぼくはフレッドの愛を一心に浴びながら夢の世界へ意識を飛ばした。


フレッドと濃密で幸せな夜を過ごしてから3日。

朝食を食べ終えたぼくは、いつもなら図書室や散策で午前中の空いた時間を過ごすのだけど、今日は大事なお客さんが来るから部屋から絶対に出てはいけないと言われている。

部屋でパールを膝に乗せながら、ここ3日間の生活を思い出していた。

朝はフレッドに抱きしめられながらおはようのキスをして目覚め、
フレッドに選んでもらった服を身につけ、よく似合ってると言われてキス、
少しの時間でも離れようとしないフレッドとぴったりくっつきながら朝食を食べさせ合い、食後にキス、
執務室に向かうフレッドに『お仕事頑張って』とキスを送り、
スペンサー先生が一緒なのにも関わらず
これまたぴったりとくっつきながら昼食を食べさせ合い、食後にキス、
午後の仕事に向かうフレッドにキスを送り
仕事を終えて、『お疲れさま』のキス、
夕食はまたまたぴったりとくっつきながら食べさせあっての食後にキス、
お風呂でキス以外のイチャイチャもあって……の、
寝るときは甘い蜜を舐め合って……からのキス……………………。

思い出すだけで顔が赤くなってしまう。

ねぇ、これって普通なの?????
こんなにしょっちゅう……き、キスとかするもの?

一度フレッドに『さすがに……キスしすぎじゃない?』と尋ねたら、
それはそれは寂しそうな顔で、『イヤか?』と聞きかえされた……。

「いや、イヤではないんだけど、周りの目が恥ずかしいっていうか……その、」

「なんだ、使用人のことは石か置物と思えば良い。唯一の存在に出会えたら、みんなこうなるものだ」

そう、あっけらかんと言われて終わってしまった。

うーん。確かに人生で出逢えるかどうかの唯一の人に逢えたらそうなるのかもしれない。
それは分からないでもないんだけど……。
せめて、2人っきりで部屋にいる時だけとかがいいんだけどな。

この屋敷の皆さん、ぼくとフレッドがイチャイチャしててもみんな好意的で、そんな雰囲気になるとささっといなくなってしまう。
マクベスさんはもちろん、シンシアさんやメリルさんにも『どうぞ、どうぞ』と言われると恥ずかしさが増す気がする……。

まぁ、ぼくもフレッドとくっついておきたいのはそうなんだけど、どうなんだろうなぁ……。

あんまりずっと一緒にいると、フレッドに飽きられそうで怖いんだよね……。

はぁーーっ。

思わず溜め息をついてしまった。

その声にパールがムクっと起き上がり、ぼくの手をペロペロと舐めてくれる。

「ふふっ。慰めてくれてるの? 別に何かあったから溜め息ついたわけじゃないよ。ありがとう」

『キュキューン』

ぼくの言葉がわかっているように返事を返してくれるパールが本当に可愛い。

すると、突然パールがぼくの手を引いて、寝室の本棚へと連れて行った。

「んっ? パール、どうしたの?」

パールはあの本屋さんで見つけた冬馬さんトーマ王妃の日記を尻尾でタシタシと軽く叩いている。

「なぁに? この本がどうかしたの?」

そう尋ねてもパールは尻尾で軽く叩き続ける。

見ろってことなのかな?
そういえば、あの時フレッドが来て途中でそのままになっちゃってたんだっけ。

ぼくは本棚から日記を取り出し、ベッドに腰をかけるとパールはトテトテとやってきて、またぼくの膝に丸くなるように座り込んだ。

ふふっ。パール、かわいいな。
ぼくはパールの頭をひと撫でしてから、あの続きから読み始めた。

あっ……っ! これっ!
パールはこれを見せたかったんだろうか?

うーん、どうしよう。気になるなぁ……。
よし! フレッドに頼んでみよう。
でも、許してくれるかな?


その夜、ぼくはお風呂の後、ドキドキしながらフレッドを書斎に誘った。

ぼくの様子がいつもと違うことに気づいたのか、
フレッドは心配そうに尋ねてきた。

「シュウ、どうした? 何か話でもあるのか?」

「うん。あのね、ぼく……王都に行きたいんだ!」
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