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楽しい休暇を
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<sideハロルド>
「さて、仕事もようやく片付いた。明日から一週間、休暇をたっぷりと楽しむとしよう。アラン、おいで」
声をかけると嬉しそうに私の膝に乗ってきて、自分から抱きついてきてくれる。仕事を終えてほんのりと汗をかいたアランの匂いに一気に滾りそうになる。アランとの素晴らしい時間を過ごすために、ここしばらくは愛し合うのも控えめに……と言っても、必ず一度はアランの最奥に触れていたが、仕事に支障をきたさない程度にはとどめていたから、この休暇が楽しみで仕方がなかった。
愛し合っている時のアランは、快感に貪欲で「もっと、もっと……っ」 と欲しがるから、それを理性で抑えるのは大変なことだったが、明日からの休暇はたっぷりと時間を気にせず愛し合うことができる。本当に待ち侘びた時間だ。
「ハロルドさま。それで明日からはどこにいくんですか?」
「ここから二時間ほど馬車で行った場所に美しい別荘があるんだ。そこでゆっくり二人だけの時間を過ごそう」
「わぁ、ハロルドさまと二人っきりですか?」
「もちろんジュードとシェフのロニーは一緒に連れていくことになるが、離れにいるからアランが会うことはないよ」
「あの、それってジュードさんとロニーさんの迷惑にはならないですか?」
「ははっ。アランは優しいな。だがその点は気にしないでいい。ジュードたちにとってもいい休暇になるからな。この屋敷にいるより随分楽になるはずだよ」
「そうなんですね。それなら良かった。僕……ハロルドさまとずっと一緒に過ごせるなんて嬉しいです。仕事の時間も何も気にしないでずっといられるなんて幸せですね」
「ああ。私もだよ。アラン……明日、別荘に着いたらすぐに愛し合おう。ひとときも離れたくない」
「はい。ハロルドさま……僕も、ずっと離れたくないです」
「アラン……愛してるよ」
アランの唇に自分のそれを重ねると、そのまま甘い口内に舌を滑り込ませた。
クチュクチュと舌が絡まる音が執務室に響く。このまま押し倒してしまいたくなるが、ここは我慢だ。
名残惜しく思いながらも唇を離し、夕食を食べようと誘った。
アランは私との旅行がよほど楽しみなようで食事中も風呂場でもかなりはしゃいでいたが、そのせいか、ベッドに入るとすぐに眠りについた。アランが深い眠りに落ちたところで、私はそっとベッドを抜け出し、ジュードの元に向かった。
「旦那さま。アランさまはお休みになられましたか?」
「ああ。ぐっすりだよ。旅行の準備はどうなっている?」
「はい。それはもう万全に整ってございます」
ジュードの自信満々な笑みにホッとする。これならアランがあちらで困ることはなさそうだ。
そう。旅行の準備はほとんどがアランのためのもの。肌の弱いアランのために特別に揃えたものを全て別荘に持ち込むのだ。私のものはどうでもいい。
「そうか、それならいい。明日は途中の町で食事を摂っていくから店を探しておいてくれ」
別荘に着いたらすぐに愛し合えるようにお腹いっぱいにさせておかないとな。
「それならすでに席をお取りしております。ロニーの友人がやっているお店でかなりの人気だそうでアランさまもお喜びになると思いますよ」
「ほお、ロニーの友人か。それなら安心だな。では明日、頼んだぞ」
「はい。お任せください。ただし、旦那さま。くれぐれもアランさまにご無理をなさいませんようにお気をつけください」
ここにきてすぐにアランに無理をさせてしまったのをいつまでも言ってくるがあの時とは状況が違うのだ。我慢だってできるようになった。
「わかっている。休暇は一週間もあるのだからな。最初からがっついたりはしないよ」
「それならよろしゅうございます」
「お前たちも二人でのんびりと過ごすのは良いが、食事と私たちの世話を忘れないように」
「――っ、旦那さま。お揶揄いにならないでくださいっ」
一気に顔を赤らめるジュードの姿に、微笑ましく思えるのは私にも愛しい存在ができたからだろう。
さぁ、とにかくこれで準備万端だ。
アランとの楽しい休暇を楽しみに私は欲望を抑えつつ、アランが眠るベッドに向かった。
私の匂いに反応して無意識に誘ってくるアランをなんとか躱しつつ、出発の朝を迎えた。
「さて、仕事もようやく片付いた。明日から一週間、休暇をたっぷりと楽しむとしよう。アラン、おいで」
声をかけると嬉しそうに私の膝に乗ってきて、自分から抱きついてきてくれる。仕事を終えてほんのりと汗をかいたアランの匂いに一気に滾りそうになる。アランとの素晴らしい時間を過ごすために、ここしばらくは愛し合うのも控えめに……と言っても、必ず一度はアランの最奥に触れていたが、仕事に支障をきたさない程度にはとどめていたから、この休暇が楽しみで仕方がなかった。
愛し合っている時のアランは、快感に貪欲で「もっと、もっと……っ」 と欲しがるから、それを理性で抑えるのは大変なことだったが、明日からの休暇はたっぷりと時間を気にせず愛し合うことができる。本当に待ち侘びた時間だ。
「ハロルドさま。それで明日からはどこにいくんですか?」
「ここから二時間ほど馬車で行った場所に美しい別荘があるんだ。そこでゆっくり二人だけの時間を過ごそう」
「わぁ、ハロルドさまと二人っきりですか?」
「もちろんジュードとシェフのロニーは一緒に連れていくことになるが、離れにいるからアランが会うことはないよ」
「あの、それってジュードさんとロニーさんの迷惑にはならないですか?」
「ははっ。アランは優しいな。だがその点は気にしないでいい。ジュードたちにとってもいい休暇になるからな。この屋敷にいるより随分楽になるはずだよ」
「そうなんですね。それなら良かった。僕……ハロルドさまとずっと一緒に過ごせるなんて嬉しいです。仕事の時間も何も気にしないでずっといられるなんて幸せですね」
「ああ。私もだよ。アラン……明日、別荘に着いたらすぐに愛し合おう。ひとときも離れたくない」
「はい。ハロルドさま……僕も、ずっと離れたくないです」
「アラン……愛してるよ」
アランの唇に自分のそれを重ねると、そのまま甘い口内に舌を滑り込ませた。
クチュクチュと舌が絡まる音が執務室に響く。このまま押し倒してしまいたくなるが、ここは我慢だ。
名残惜しく思いながらも唇を離し、夕食を食べようと誘った。
アランは私との旅行がよほど楽しみなようで食事中も風呂場でもかなりはしゃいでいたが、そのせいか、ベッドに入るとすぐに眠りについた。アランが深い眠りに落ちたところで、私はそっとベッドを抜け出し、ジュードの元に向かった。
「旦那さま。アランさまはお休みになられましたか?」
「ああ。ぐっすりだよ。旅行の準備はどうなっている?」
「はい。それはもう万全に整ってございます」
ジュードの自信満々な笑みにホッとする。これならアランがあちらで困ることはなさそうだ。
そう。旅行の準備はほとんどがアランのためのもの。肌の弱いアランのために特別に揃えたものを全て別荘に持ち込むのだ。私のものはどうでもいい。
「そうか、それならいい。明日は途中の町で食事を摂っていくから店を探しておいてくれ」
別荘に着いたらすぐに愛し合えるようにお腹いっぱいにさせておかないとな。
「それならすでに席をお取りしております。ロニーの友人がやっているお店でかなりの人気だそうでアランさまもお喜びになると思いますよ」
「ほお、ロニーの友人か。それなら安心だな。では明日、頼んだぞ」
「はい。お任せください。ただし、旦那さま。くれぐれもアランさまにご無理をなさいませんようにお気をつけください」
ここにきてすぐにアランに無理をさせてしまったのをいつまでも言ってくるがあの時とは状況が違うのだ。我慢だってできるようになった。
「わかっている。休暇は一週間もあるのだからな。最初からがっついたりはしないよ」
「それならよろしゅうございます」
「お前たちも二人でのんびりと過ごすのは良いが、食事と私たちの世話を忘れないように」
「――っ、旦那さま。お揶揄いにならないでくださいっ」
一気に顔を赤らめるジュードの姿に、微笑ましく思えるのは私にも愛しい存在ができたからだろう。
さぁ、とにかくこれで準備万端だ。
アランとの楽しい休暇を楽しみに私は欲望を抑えつつ、アランが眠るベッドに向かった。
私の匂いに反応して無意識に誘ってくるアランをなんとか躱しつつ、出発の朝を迎えた。
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