異世界でイケメン騎士団長さんに優しく見守られながらケーキ屋さんやってます

波木真帆

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番外編

僕たちの幸せ※

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この度、こちらの作品がBL小説大賞で奨励賞をいただきました。
これもひとえにこの作品を愛してくださった皆さまのおかげです。
本当にありがとうございます!
応援してくださった皆さまに感謝の気持ちを込めて、お礼のお話を書きましたので楽しんでいただければ嬉しいです♡


  *   *   *




騎士団長の仕事はすでに辞めてしまって、普段は公爵さまの仕事に忙しくしているランハートだけど、年に数回ある遠征訓練には、お父さまにどうしてもと頼まれて参加している。
本当なら三日間の日程で行われるはずの遠征訓練を、三日も僕たちのそばから離れるなんてできない! と言い張って、翌日の夕方には帰ってくるように日程を変更させている。
それでも毎回行きたくないと言って寝室で駄々をこねるランハートの姿は、絶対にテオには見せられないな……。

だから、なんとかして行ってもらおうと、帰ってきたらご褒美をあげるからと約束をして送り出すのが、もはや慣例になっている。

昨日も夕方に帰ってきて、帰りの挨拶もそこそこにすぐに僕を寝室に連れ込んでそのまま愛し合った。

テオはその間、グレイグさんに面倒を見てもらっているから安心だ。
5歳になったテオは年齢以上に賢くて、遠征訓練から帰ったランハートが僕と寝室に籠るのはもう当たり前のように感じているようで、ランハートが帰ってきた瞬間さっと僕のそばから離れていく。

流石に寝室で何をしているかはわかっていないと思うけど、行ってらっしゃいと笑顔で見送られるのもなんとなく複雑な気がする。

最初の頃は愛し合った翌日はずっと動けないくらいだったけれど、最近はそこまで激しくはない。
でも別に愛情が減ったわけではなくてむしろ、愛されている感覚は日々増していっている。

ランハートの伴侶になって20年、多分、いい意味で落ち着いたんだろうなと思っている。

ランハートは50歳を迎えたけれど、ここの寿命は120歳は余裕で超えているらしいからまだまだ若い部類。
精力的に動いているせいか、皺ひとつなくて出会った頃のイケメン姿を保っている。
ランハートには40を過ぎた僕の方が全然変わってないと言われているけれど……。

ふふっ。
こうやって寝顔を見られるのも僕だけか……。
いつまで経っても幸せで怖いくらいだな。

そっとランハートの頬を撫でていると、閉じられていた大きな目がゆっくりと開き、僕の顔をすぐにとらえた。

「ヒジリ、起きていたのか?」

「うん。ランハートの寝顔みてた」

「飽きないか?」

「飽きるわけないよ。だって、僕の大好きな旦那さまの顔だよ」

「――っ、ヒジリっ、私も飽きないよ。いつまでもずっとヒジリを見ていたい」

チュッと頬にキスされて、じっと僕の目を見つめられると、身体の奥が疼いてくる。
つい数時間前まで愛されていたのに……。

それでも一度沸き上がった欲は抑えられなくて、

「ねぇ、もう一回したい」

とランハートの耳元で囁いた。

「ヒジリ、いいのか?」

そう尋ねてくるランハートの目はもうすでにギラギラと獰猛な獣のそれになっていた。

「来て……」

僕の言葉を合図にランハートは寝たままのその状態で僕を背中から抱きしめ、さっきの交わりで柔らかく解れたままの僕のお尻に大きく昂ったモノをググッと押し込んできた。

「ああっ……らん、はぁとぉ……」

「ヒジリ、気持ちいいか?」

「あぁっ、んんっ、すごぃ……きもちぃ……っ」

ランハートの大きなモノが僕の中を擦るたびにものすごい快感がゾクゾクと身体中を貫いていく。

「らん、はぁとぉ……っ、だい、すきぃ……」

「くっ――! ヒジリっ!! ああ、もう可愛すぎるっ!!」

ランハートが興奮しながら激しく腰を動かすたびに、僕のお尻にぱん、ぱんと衝撃がくる。
グチュグチュといやらしい音が寝室中に響くのを聞きながら、僕はあっという間に絶頂を迎えピュルピュルと蜜を吐き出した。

数時間前の交わりでいっぱい出した後だからか、あまり量は出なかったけれど、ランハートは僕のそれを掬い上げ、僕に見せつけるようにぺろっと舐め取った。

「ヒジリ、私のもいっぱい飲んでくれっ――ゔぅっ!!」

嬉しそうにそういうとガツガツと腰を動かし僕の最奥に熱い蜜を放った。
じわじわと身体中にランハートの蜜が広がっていくのを感じながら、

「らん、はぁとぉ……あい、してる……」

と気持ちを伝えて、僕は意識を失った。

気づいた時にはすでに身体を清められ、綺麗なシーツにランハートと一緒に横たわっていた。

「ヒジリ? 起きたか?」

「うん。ランハート、水……飲ませて」

「ああ、すぐに」

そう言って僕の口にレモン水を口移しで飲ませてくれるのも、今ではお決まりのことだ。

「珍しかったな、今日は。ヒジリから誘ってくれるとは……」

「ふふっ。当分さっきみたいなのはできなくなるかなと思って……」

「んっ? どういう意味だ?」

「あのね、できたみたい……赤ちゃん」

「えっ? あ、かちゃん? えっ? ど、どういうことだ?」

目を丸くして混乱しているランハートを少し可愛いなと思いながら、僕は説明を続けた。

「昨日ね、ランハートがいなかったからテオと一緒に寝たんだ。その時に弟か妹欲しいって言われて……そうしたら、夢に神さまが現れてね、テオの願いを叶えてくれたんだよ」

「そ、それじゃあ……いま、ヒジリのお腹の中には……」

「うん。赤ちゃんがいるよ。ランハート……嬉しい?」

「嬉しいに決まっているだろう!! ああっ、私たちに二人目がっ!!! テオの弟か妹ができるのだな。ああ、なんて嬉しい報告なんだ!!!」

「よかった、喜んでくれて……」

「だが、あんなに激しくして大丈夫だったのか? 先に言ってくれれば意識を失うほど激しくなど――」
「だって、いっぱい愛されたかったから。ランハートに激しく愛されるの……僕、大好きなんだよ」

「ヒジリっ!!」

僕をぎゅっと抱きしめてくれるけれど、お腹には当てないようにしてくれている。
ああ、もうパパモードになってるな。

そんなランハートも好きだけど、僕だけに激しい愛を見せてくれるランハートも好きなんだ。

赤ちゃんはもちろん大丈夫。
だって、僕たちのたっぷりの愛に包まれて大きくなるんだから……。

4人家族になるのが楽しみだ。
お兄ちゃんになるテオに早く教えてあげよう。
きっと喜んでくれるよね。
僕たち家族はこれからも幸せだ。
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