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おまけ 短編
ドキドキの帰京
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「朝陽、早くおいで」
何、ここ?
……凄すぎないか?
昨日、『飛行機のチケットはもう取っておいたから。後でスマホに送っておくよ』
そう言われて、安心していたのだけど……当日那覇空港に着いて手荷物を預け検査場を通り過ぎ、涼平さんに連れられるまま入ったここはファーストクラス専用ラウンジ。
「えっ? ここ……?」
「まだ出発まで時間あるからここで休もう」
「で、でもここファーストクラス専用だって……」
「ああ。朝陽に送ったチケットにもファーストクラスだって書いてあっただろう?」
慌ててスマホの画面を確認すると、羽田行きのチケットにファーストクラスの文字が……。
しかも、席の番号になぜか赤いマークがついている。
これってなんだろう?
俺は初めてみるファーストクラスのチケットに驚いていると
『ほら、行くよ』と手を取られ、ラウンジの中へと連れて行かれた。
「蓮見さま。南條さま。本日は当ラウンジをご利用いただき誠にありがとうございます。
どうぞお席までご案内いたします」
すごいっ! 何にも説明していないのに俺たちのこともう知ってるみたいだ。
ファーストクラスに乗る人のリストとかあるのかなぁ……。
待機している飛行機が見える大きな窓の前に案内され、席に座ると今まで座ったことのないふかふかのシートに驚いた。
「何かお食事をお持ちいたしますか?」
「いや、機内で食べるから飲み物だけにしておこう。
シャンパンとオレンジジュースを頼む」
「畏まりました」
すぐに持ってきてくれた飲み物を飲みながら、たわいもない話をしているとあっという間に搭乗時刻になっていた。
「行こうか」
差し出された手をなんの躊躇いもなく取ると、涼平さんがふわりと笑った。
外で手を繋ぐのはまだ慣れないけれど、涼平さんのこの笑顔が見られるのは嬉しい。
俺は俳優と言っても舞台専門で国内は新幹線での移動が多かったし、飛行機の場合は絶対エコノミーしか与えられなかった。
それくらいの知名度と実力しかなかったからだ。
それを嫌だとも思っていなかったし、それが当然だと思っていた。
そもそも国内線にファーストクラスがあるのも知らなかったんだ。
だから、機内に入って初めて見るファーストクラスの座席の広さに
思わず『わぁっ、すごいっ!』と声を上げてしまった。
「ふふっ。朝陽は可愛いな」
涼平さんにクスクス笑われながら、案内された席を見て
『うわぁ、なに、これ?』とまだ声を上げてしまった。
でも、この席を見たら誰だって声を上げると思う! 絶対に!
だって……隣同士の席がソファーみたいになっているんだ。
間の仕切りもない。
周りの席を見ると、大きなリクライニングの席が一つずつ分かれていて間には大きな仕切りもある。
これ、どういうこと?
驚きのあまりぼーっと突っ立っていると、
「ほら、朝陽。こっちにおいで」
涼平さんの蕩けるような甘い声が耳を擽り、身体がゾクゾクと震えてしまう。
『ふふっ』と笑いながら、涼平さんは俺を席に座らせた。
『ほら、朝陽は窓側だよ』
『シートベルトして』
『ブランケットもらおうか?』
甲斐甲斐しくお世話をされ、ふっわふわのブランケットをかけられ、中でぎゅっと手を握られたところでハッと我に返った。
「あ、あの涼平さん……、こ、この席って……周りと全然違う気が、するんですけど……」
「ふふっ。気づいた? ここはね、カップルシート。
特にハネムーンのカップルに人気がある席なんだよ」
「か、カップル……は、ハネムーン……」
口に出すだけで顔が真っ赤になってしまう。
ってことは周りから俺たちそういうふうに見られてるってこと??
うわっ! これ……恥ずか死ぬ……。
「朝陽、この席嫌だったか?」
「えっ?」
隣を見るとしょんぼりと項垂れた涼平さんが
『朝陽なら喜んでくれると思ったんだけどな……。朝陽に嫌な思いさせてしまったんだな』と寂しそうな声で小さく呟く。
「そ、そんなことないです!! すっごく嬉しいです!!
ただびっくりしちゃっただけで! 俺も涼平さんとくっついて座れて嬉しいですっ!」
『だから顔を上げてくださいっ!』そう必死にいうと、涼平さんはにっこりと笑って
「そうか。それなら良かった」
とさっきまでのしょんぼりした顔が嘘のようにニコニコと満面の笑みを浮かべている。
えっ? これ、俺やっちゃった?
気づいた時には時すでに遅し。
俺は羽田までの約3時間……涼平さんに至れり尽くせり甘やかされて身も心もトロトロに蕩かされてしまったのだった。
ああ……これから一緒に生活とかちゃんとやれるのかな……心配になってきた。
何、ここ?
……凄すぎないか?
昨日、『飛行機のチケットはもう取っておいたから。後でスマホに送っておくよ』
そう言われて、安心していたのだけど……当日那覇空港に着いて手荷物を預け検査場を通り過ぎ、涼平さんに連れられるまま入ったここはファーストクラス専用ラウンジ。
「えっ? ここ……?」
「まだ出発まで時間あるからここで休もう」
「で、でもここファーストクラス専用だって……」
「ああ。朝陽に送ったチケットにもファーストクラスだって書いてあっただろう?」
慌ててスマホの画面を確認すると、羽田行きのチケットにファーストクラスの文字が……。
しかも、席の番号になぜか赤いマークがついている。
これってなんだろう?
俺は初めてみるファーストクラスのチケットに驚いていると
『ほら、行くよ』と手を取られ、ラウンジの中へと連れて行かれた。
「蓮見さま。南條さま。本日は当ラウンジをご利用いただき誠にありがとうございます。
どうぞお席までご案内いたします」
すごいっ! 何にも説明していないのに俺たちのこともう知ってるみたいだ。
ファーストクラスに乗る人のリストとかあるのかなぁ……。
待機している飛行機が見える大きな窓の前に案内され、席に座ると今まで座ったことのないふかふかのシートに驚いた。
「何かお食事をお持ちいたしますか?」
「いや、機内で食べるから飲み物だけにしておこう。
シャンパンとオレンジジュースを頼む」
「畏まりました」
すぐに持ってきてくれた飲み物を飲みながら、たわいもない話をしているとあっという間に搭乗時刻になっていた。
「行こうか」
差し出された手をなんの躊躇いもなく取ると、涼平さんがふわりと笑った。
外で手を繋ぐのはまだ慣れないけれど、涼平さんのこの笑顔が見られるのは嬉しい。
俺は俳優と言っても舞台専門で国内は新幹線での移動が多かったし、飛行機の場合は絶対エコノミーしか与えられなかった。
それくらいの知名度と実力しかなかったからだ。
それを嫌だとも思っていなかったし、それが当然だと思っていた。
そもそも国内線にファーストクラスがあるのも知らなかったんだ。
だから、機内に入って初めて見るファーストクラスの座席の広さに
思わず『わぁっ、すごいっ!』と声を上げてしまった。
「ふふっ。朝陽は可愛いな」
涼平さんにクスクス笑われながら、案内された席を見て
『うわぁ、なに、これ?』とまだ声を上げてしまった。
でも、この席を見たら誰だって声を上げると思う! 絶対に!
だって……隣同士の席がソファーみたいになっているんだ。
間の仕切りもない。
周りの席を見ると、大きなリクライニングの席が一つずつ分かれていて間には大きな仕切りもある。
これ、どういうこと?
驚きのあまりぼーっと突っ立っていると、
「ほら、朝陽。こっちにおいで」
涼平さんの蕩けるような甘い声が耳を擽り、身体がゾクゾクと震えてしまう。
『ふふっ』と笑いながら、涼平さんは俺を席に座らせた。
『ほら、朝陽は窓側だよ』
『シートベルトして』
『ブランケットもらおうか?』
甲斐甲斐しくお世話をされ、ふっわふわのブランケットをかけられ、中でぎゅっと手を握られたところでハッと我に返った。
「あ、あの涼平さん……、こ、この席って……周りと全然違う気が、するんですけど……」
「ふふっ。気づいた? ここはね、カップルシート。
特にハネムーンのカップルに人気がある席なんだよ」
「か、カップル……は、ハネムーン……」
口に出すだけで顔が真っ赤になってしまう。
ってことは周りから俺たちそういうふうに見られてるってこと??
うわっ! これ……恥ずか死ぬ……。
「朝陽、この席嫌だったか?」
「えっ?」
隣を見るとしょんぼりと項垂れた涼平さんが
『朝陽なら喜んでくれると思ったんだけどな……。朝陽に嫌な思いさせてしまったんだな』と寂しそうな声で小さく呟く。
「そ、そんなことないです!! すっごく嬉しいです!!
ただびっくりしちゃっただけで! 俺も涼平さんとくっついて座れて嬉しいですっ!」
『だから顔を上げてくださいっ!』そう必死にいうと、涼平さんはにっこりと笑って
「そうか。それなら良かった」
とさっきまでのしょんぼりした顔が嘘のようにニコニコと満面の笑みを浮かべている。
えっ? これ、俺やっちゃった?
気づいた時には時すでに遅し。
俺は羽田までの約3時間……涼平さんに至れり尽くせり甘やかされて身も心もトロトロに蕩かされてしまったのだった。
ああ……これから一緒に生活とかちゃんとやれるのかな……心配になってきた。
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