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調査結果とお詫びの品
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警視庁で自分の仕事をこなしていると、上着の内ポケットに入れているプライベート用のスマホが振動を伝えた。
ちょうど休憩を取ることころだったから都合がいい。その場を離れてスマホを確認すると、相手は要さんではなく成瀬だった。
あいつが途中経過を送ってくるはずはないからきっと調査が終わったという連絡だろう。
メッセージを確認すると、やはり頼んでおいた玻名崎商会の元社員の居場所を突き止めたということだった。
驚いたことに二人は同じ店で働いていた。
六本木の地下にある怪しげなBAR『Tubéreuse』そこが二人の仕事場だ。
「トゥべルーズ……」
この名前に聞き覚えがあってなんだったかと思っていると、メッセージの先に正解があった。
ここは要さんの実父であり、藤乃くんの義父である島村怜士が足繁く通っていた店で、ここで周平さんたちが島村を罠に嵌め、奴から全てを奪った場所だ。
なるほど……。
奴らは玻名崎商会を辞めた後も島村とは繋がっていたということか。
島村は周平さんたちの手によって全てを失ったあと、倉橋くんの手によって知り合いの店に引き取られたから二度と外を出歩くことはないと成瀬が話していたな。
Tubéreuse……危険な快楽という意味を持つ花を店の名前にしているくらいだ。
成瀬の調査でもぼったくりや売春行為が常習化しているようだし、これだけでも逮捕できるがそれでもまた数年で出所してくる。それに要さんへのパワハラとセクハラについては証拠不十分で罪にも問えない。
やっぱり島村と同じ運命を辿ってもらうことにしようか。
ただ周平さんに協力してもらうつもりだったが、あの店で島村を罠にかけたのならその場に黒岩たちがいれば周平さんのことを覚えているかもしれない。そうなると罠にかける前にバレる恐れがある。
とりあえず奴らの居場所だけでなく、奴らの普段の生活スケジュールも調べてくれているようだから、どのタイミングで罠にかけるか、その内容も含めて周平さんとしっかり打ち合わせしておいた方が良さそうだな。
それにしても調査に三日は欲しいと言っていたのに、こんなに短時間でここまでの情報を手に入れられるとは……。
成瀬もその助手くんも一体どんなことをしているのか……興味はあるが、知らない方が身のためなんだろうな。
成瀬にお礼のメッセージを送り、仕事に戻ろうとして涼平くんのことを思い出して、電話をかけてみた。
ーあれ? 真壁さん。電話なんて珍しいですね。
ーああ、今大丈夫かな? 周平さんには東京にいると聞いたんだが。
ーはい。今、肉の仕入れが来たところで銀座店にいますよ。
ーそうか、それならよかった。悪いんだが、涼平くんのおすすめの肉を西表島にいる八尋さんに私からだと言って贈ってもらえないだろうか?
ー八尋さんに? それは構いませんが、真壁さん……八尋さんと知り合いでした?
ー周平さんから何も聞いていないのか?
ー兄貴から? いや、特には。
周平さんらしいな。私が直接話すまではたとえ弟であっても軽々しく話したりしない。
そこが周平さんの優しさであり尊敬するところだ。
ー少し前に東京で会ったんだ。それで知り合いになったんだよ。だがその時にちょっと迷惑をかけてしまったものでね。そのお詫び方々、涼平くんのところの美味しいお肉でも食べてもらおうと思ったんだよ。
ーああ、なるほどそういうことですか。でもうちの肉なら今度試食会に来てもらうのでその時食べてもらえますよ。八尋さんにはずっと断られてたんですが、今回はやっと同伴者も一緒に参加してくれるんで朝陽も喜んでます。
ーそうか……一緒に……。それは楽しそうだな。だが、その試食会まではまだ日にちがあるだろう? その前に同伴者にも涼平くんのところの美味しい肉の虜になってもらいたいからやっぱり贈らせてもらうよ。
ー真壁さんにそこまでうちの肉を期待してもらうなんて嬉しいですよ。ちょうど滅多に手に入らない良い肉が入ったのでそれにしますか?
ーああ。値段はどれだけかかっても構わないから。できるだけ早い便で送って欲しい。
ーわかりました。今日ちょうど石垣にも送る荷物があるのでそれに間に合わせるように送りますね。何かメッセージカードを入れますか?
ーそうだな。じゃあ<恋人さんと幸せな時間を過ごしていただけますように。冬貴>と入れておいてくれ。
ーそれはいいですね。わかりました。送ったら連絡入れますね。
ーああ、ありがとう。頼むよ。
これで自分の非礼が無しになるとは思っていないが、崇史さんが恋人さんと少しでも良い時間が過ごせるように願うだけだ。
* * *
六本木の地下にある怪しげなBAR『Tubéreuse』は
『運命の出会いは空港で ~クールなイケメン社長は無自覚煽りの可愛い子ちゃんに我慢できない』の
番外編『俺たちのミッション2』に出てきますので未読の方はぜひそちらも併せてご覧いただけるとわかりやすいかと思います。
ちょうど休憩を取ることころだったから都合がいい。その場を離れてスマホを確認すると、相手は要さんではなく成瀬だった。
あいつが途中経過を送ってくるはずはないからきっと調査が終わったという連絡だろう。
メッセージを確認すると、やはり頼んでおいた玻名崎商会の元社員の居場所を突き止めたということだった。
驚いたことに二人は同じ店で働いていた。
六本木の地下にある怪しげなBAR『Tubéreuse』そこが二人の仕事場だ。
「トゥべルーズ……」
この名前に聞き覚えがあってなんだったかと思っていると、メッセージの先に正解があった。
ここは要さんの実父であり、藤乃くんの義父である島村怜士が足繁く通っていた店で、ここで周平さんたちが島村を罠に嵌め、奴から全てを奪った場所だ。
なるほど……。
奴らは玻名崎商会を辞めた後も島村とは繋がっていたということか。
島村は周平さんたちの手によって全てを失ったあと、倉橋くんの手によって知り合いの店に引き取られたから二度と外を出歩くことはないと成瀬が話していたな。
Tubéreuse……危険な快楽という意味を持つ花を店の名前にしているくらいだ。
成瀬の調査でもぼったくりや売春行為が常習化しているようだし、これだけでも逮捕できるがそれでもまた数年で出所してくる。それに要さんへのパワハラとセクハラについては証拠不十分で罪にも問えない。
やっぱり島村と同じ運命を辿ってもらうことにしようか。
ただ周平さんに協力してもらうつもりだったが、あの店で島村を罠にかけたのならその場に黒岩たちがいれば周平さんのことを覚えているかもしれない。そうなると罠にかける前にバレる恐れがある。
とりあえず奴らの居場所だけでなく、奴らの普段の生活スケジュールも調べてくれているようだから、どのタイミングで罠にかけるか、その内容も含めて周平さんとしっかり打ち合わせしておいた方が良さそうだな。
それにしても調査に三日は欲しいと言っていたのに、こんなに短時間でここまでの情報を手に入れられるとは……。
成瀬もその助手くんも一体どんなことをしているのか……興味はあるが、知らない方が身のためなんだろうな。
成瀬にお礼のメッセージを送り、仕事に戻ろうとして涼平くんのことを思い出して、電話をかけてみた。
ーあれ? 真壁さん。電話なんて珍しいですね。
ーああ、今大丈夫かな? 周平さんには東京にいると聞いたんだが。
ーはい。今、肉の仕入れが来たところで銀座店にいますよ。
ーそうか、それならよかった。悪いんだが、涼平くんのおすすめの肉を西表島にいる八尋さんに私からだと言って贈ってもらえないだろうか?
ー八尋さんに? それは構いませんが、真壁さん……八尋さんと知り合いでした?
ー周平さんから何も聞いていないのか?
ー兄貴から? いや、特には。
周平さんらしいな。私が直接話すまではたとえ弟であっても軽々しく話したりしない。
そこが周平さんの優しさであり尊敬するところだ。
ー少し前に東京で会ったんだ。それで知り合いになったんだよ。だがその時にちょっと迷惑をかけてしまったものでね。そのお詫び方々、涼平くんのところの美味しいお肉でも食べてもらおうと思ったんだよ。
ーああ、なるほどそういうことですか。でもうちの肉なら今度試食会に来てもらうのでその時食べてもらえますよ。八尋さんにはずっと断られてたんですが、今回はやっと同伴者も一緒に参加してくれるんで朝陽も喜んでます。
ーそうか……一緒に……。それは楽しそうだな。だが、その試食会まではまだ日にちがあるだろう? その前に同伴者にも涼平くんのところの美味しい肉の虜になってもらいたいからやっぱり贈らせてもらうよ。
ー真壁さんにそこまでうちの肉を期待してもらうなんて嬉しいですよ。ちょうど滅多に手に入らない良い肉が入ったのでそれにしますか?
ーああ。値段はどれだけかかっても構わないから。できるだけ早い便で送って欲しい。
ーわかりました。今日ちょうど石垣にも送る荷物があるのでそれに間に合わせるように送りますね。何かメッセージカードを入れますか?
ーそうだな。じゃあ<恋人さんと幸せな時間を過ごしていただけますように。冬貴>と入れておいてくれ。
ーそれはいいですね。わかりました。送ったら連絡入れますね。
ーああ、ありがとう。頼むよ。
これで自分の非礼が無しになるとは思っていないが、崇史さんが恋人さんと少しでも良い時間が過ごせるように願うだけだ。
* * *
六本木の地下にある怪しげなBAR『Tubéreuse』は
『運命の出会いは空港で ~クールなイケメン社長は無自覚煽りの可愛い子ちゃんに我慢できない』の
番外編『俺たちのミッション2』に出てきますので未読の方はぜひそちらも併せてご覧いただけるとわかりやすいかと思います。
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