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第1章 幼年期
8.心の傷
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僕、何をしちゃったんだろう、お母様にごめんなさいしたら許してくれる、のかな?
ノエルはそんなことを考えながら、重たい足取りで自分の部屋に向かった。廊下を歩いている途中で、ノエルを必死に探していた乳母と遭遇し、「坊ちゃん、勝手に居なくならないでください!」と、少し涙目で叱られてしまった。
乳母のエマは、普段なら「ごめんね」だとか「でも…」だとか、話しかけてくるはずのノエルが下を向き、歩き続ける姿に違和感を感じ、「ノエル坊ちゃん、何かありましたか?」と、尋ねた。
僕は、お母様の「他の人には言ってはいけない。」という言葉を思い出した。これは、エマにも言っちゃだめなことなんだ。多分約束を破ったら更に嫌い、って言われちゃう。
「ちがうよエマ、なんでもないの。」
「……それならいいのですが。」
エマはノエルの目元が赤く腫れていることに気がついたが、その言葉を聞き、深く言及することを止めた。
うそを言っちゃった。うそをつくのは、だめな事だってにーに達に教えてもらったのに。また、ごめんなさいが増えちゃった。
「僕、今から自分のお部屋でお昼寝するの。」
「畏まりました。それでは寝具を整えさせて頂きますね。」
「うん、ありがと。」
そしてノエルは自室に着き、エマがベッドを整え終わると同時にベッドに飛び付くと、すぐに眠ってしまった。エマは「お行儀悪いですよ。」とは言いながらも、ノエルの傍にしゃがみ、頭をポンポンと優しく撫でてくれた。
今日起きた出来事にノエルの小さな体は辟易し、体力の限界であった。エマの言葉に耳を傾ける暇もなくすぐに、すぅすぅと小さな寝息を立てながら眠ってしまった。
***
うぅ、ん……、なんだか重たい気がする……
ゆっくりと瞼を持ち上げると、すぐ隣でノエルの体をがっちりと抱きしめ、覆い被さるようにローレンツが寝ていた。
「ろ、ろいにぃに…ねぇねぇ、僕ぎゅうぎゅう、さ、れて潰れ、ちゃうよ…?っぐぅ……」
ノエルが苦しそうな声をあげると同時に、すっと腕の力が弱まった。
「…っふぁ………あぁ、ごめん、ついついノエルが可愛くって。」
ノエルの声に目を覚ましたローレンツは、ノエルの頭をくしゃくしゃと撫で、頬を擦り寄せてきた。いつもなら、「頭くしゃくしゃだから、よくないの!」と怒るところだが、今日のノエルは何も言わずに、ローレンツの胸に自分の顔を埋めた。
「ろいにぃには僕のことは好きくない…?」
「そんな訳ないだろう?俺は何があってもノエルの味方だし、ずーーっと大好きだぞ。と言うかなんでノエルが悪い子になんだ?みんなノエルのことは大好きだよ。」
ローレンツは、ノエルの前だけで見せる甘い笑顔で微笑んだ。そしてノエルのおでこに、頬に、ちゅっとキスを落とした。
「うん……僕もにぃに大好き。」
ノエルは、ローレンツのその言葉を聞いて心底安心したようにローレンツに再度ぎゅっと抱きついた。
「おぉ………っと、ところでなんでノエルが悪い子なんだ?」
ローレンツはあまりの破壊力に悶えつつも、先程引っかかった”悪い子”という言葉について言及した。
「他の人には言ってはいけない。」にはもちろんローレンツも含まれる訳で、ノエルは両手を口元に当て、口を噤んだ。その間ノエルの言葉を待つように、こちらを見つめ続けているローレンツに、何か言わなくちゃ!と頭がぐるぐる回る。
「………え、えっとね、あのね、僕ね…、けんか!そう、けんかしちゃったの。僕が悪いことしちゃったみたいなの!」
ノエルは言葉に詰まりつ、ふんわりとローレンツにその旨を伝えた。多分これなら大丈夫なはず。
ローレンツは上手く言葉を繋げられないノエルに、「うん。」「それで?」と何度も相槌を打ち、頭を優しく撫でながらしっかりとノエルが紡ぐ話を聞いてくれた。
「どうしたら、またなかよしになれるのかな…?」
「しっかりと誠心誠意謝れば…そうだな、心からごめんなさいって気持ちを伝えればいいんじゃないか?あとは手紙とか…って、まだノエルには字を書くのは無理か。」
自らを顧み、謝ろうと、謝れば許してもらえると考えていた。ローレンツのアドバイスによってその意思は確固たるものになった。エルメンガルドに悪意のある言葉を一方的に投げられたのにも関わらず。
「僕できるよ!るーにぃにから教えてもらう!」
ノエルは”文字を書くのが無理だ”と言われたのが悔しく、ぷいとそっぽを向き拗ねてしまった。
「えぇと……ノエルごめんな?俺もノエルに文字を教えれる…「やなの!るーにーにがいいの!」
最近のノエルは1度言い出したら中々きかない。そんなノエルの様子にローレンツが文字を教える事は早々に諦めた。
「あぁ……なんか余計なこと言ったっぽいな。」
結果的にルーベルトが教えることなってしまい、せっかくのノエルと一緒に過ごす時間を逃し、ローレンツはとてつもなく損した気分になった。
ノエルはそんなことを考えながら、重たい足取りで自分の部屋に向かった。廊下を歩いている途中で、ノエルを必死に探していた乳母と遭遇し、「坊ちゃん、勝手に居なくならないでください!」と、少し涙目で叱られてしまった。
乳母のエマは、普段なら「ごめんね」だとか「でも…」だとか、話しかけてくるはずのノエルが下を向き、歩き続ける姿に違和感を感じ、「ノエル坊ちゃん、何かありましたか?」と、尋ねた。
僕は、お母様の「他の人には言ってはいけない。」という言葉を思い出した。これは、エマにも言っちゃだめなことなんだ。多分約束を破ったら更に嫌い、って言われちゃう。
「ちがうよエマ、なんでもないの。」
「……それならいいのですが。」
エマはノエルの目元が赤く腫れていることに気がついたが、その言葉を聞き、深く言及することを止めた。
うそを言っちゃった。うそをつくのは、だめな事だってにーに達に教えてもらったのに。また、ごめんなさいが増えちゃった。
「僕、今から自分のお部屋でお昼寝するの。」
「畏まりました。それでは寝具を整えさせて頂きますね。」
「うん、ありがと。」
そしてノエルは自室に着き、エマがベッドを整え終わると同時にベッドに飛び付くと、すぐに眠ってしまった。エマは「お行儀悪いですよ。」とは言いながらも、ノエルの傍にしゃがみ、頭をポンポンと優しく撫でてくれた。
今日起きた出来事にノエルの小さな体は辟易し、体力の限界であった。エマの言葉に耳を傾ける暇もなくすぐに、すぅすぅと小さな寝息を立てながら眠ってしまった。
***
うぅ、ん……、なんだか重たい気がする……
ゆっくりと瞼を持ち上げると、すぐ隣でノエルの体をがっちりと抱きしめ、覆い被さるようにローレンツが寝ていた。
「ろ、ろいにぃに…ねぇねぇ、僕ぎゅうぎゅう、さ、れて潰れ、ちゃうよ…?っぐぅ……」
ノエルが苦しそうな声をあげると同時に、すっと腕の力が弱まった。
「…っふぁ………あぁ、ごめん、ついついノエルが可愛くって。」
ノエルの声に目を覚ましたローレンツは、ノエルの頭をくしゃくしゃと撫で、頬を擦り寄せてきた。いつもなら、「頭くしゃくしゃだから、よくないの!」と怒るところだが、今日のノエルは何も言わずに、ローレンツの胸に自分の顔を埋めた。
「ろいにぃには僕のことは好きくない…?」
「そんな訳ないだろう?俺は何があってもノエルの味方だし、ずーーっと大好きだぞ。と言うかなんでノエルが悪い子になんだ?みんなノエルのことは大好きだよ。」
ローレンツは、ノエルの前だけで見せる甘い笑顔で微笑んだ。そしてノエルのおでこに、頬に、ちゅっとキスを落とした。
「うん……僕もにぃに大好き。」
ノエルは、ローレンツのその言葉を聞いて心底安心したようにローレンツに再度ぎゅっと抱きついた。
「おぉ………っと、ところでなんでノエルが悪い子なんだ?」
ローレンツはあまりの破壊力に悶えつつも、先程引っかかった”悪い子”という言葉について言及した。
「他の人には言ってはいけない。」にはもちろんローレンツも含まれる訳で、ノエルは両手を口元に当て、口を噤んだ。その間ノエルの言葉を待つように、こちらを見つめ続けているローレンツに、何か言わなくちゃ!と頭がぐるぐる回る。
「………え、えっとね、あのね、僕ね…、けんか!そう、けんかしちゃったの。僕が悪いことしちゃったみたいなの!」
ノエルは言葉に詰まりつ、ふんわりとローレンツにその旨を伝えた。多分これなら大丈夫なはず。
ローレンツは上手く言葉を繋げられないノエルに、「うん。」「それで?」と何度も相槌を打ち、頭を優しく撫でながらしっかりとノエルが紡ぐ話を聞いてくれた。
「どうしたら、またなかよしになれるのかな…?」
「しっかりと誠心誠意謝れば…そうだな、心からごめんなさいって気持ちを伝えればいいんじゃないか?あとは手紙とか…って、まだノエルには字を書くのは無理か。」
自らを顧み、謝ろうと、謝れば許してもらえると考えていた。ローレンツのアドバイスによってその意思は確固たるものになった。エルメンガルドに悪意のある言葉を一方的に投げられたのにも関わらず。
「僕できるよ!るーにぃにから教えてもらう!」
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最近のノエルは1度言い出したら中々きかない。そんなノエルの様子にローレンツが文字を教える事は早々に諦めた。
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