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エピローグ
「ミスティシャ! 無事か!」
「あら、お父さま。遅かったですわね」
使用人から連絡が行ったのでしょう、お父さまが慌てた様子で部屋にやってきました。
本館から離れはその名の通り少し離れておりますが、それにしても時間がかかっています。おそらく使用人はかなりの間、どうすべきか悩んでいたのでしょうね。
わたくしが秘密を持っておりますので、この離れの使用人は鈍いものばかりをあえて採用しております。
でもそれも、そろそろ鍛え直すべきかもしれませんわね。
なんといっても妻を娶ったのですから。
「わたくしは無事ですわ。ローダドはちょっと無事ではないですけれど」
「ああ、アレがどうなろうと知ったことではないよ。生きていれば陛下も文句は言わないだろう」
「まあ、お父さまったら」
「そんなことより、かわいいおまえに何かあったらどうするのだ。やはり新たに離れをたてるか、牢をつくるべきだったのだ……」
「必要ないですわ、わたくしが躾けますもの」
「そうは言うが……」
ふと、お父さまは眉をひそめました。
部屋にたちこめる精の匂いに気づいてしまったのかもしれません。
「ミ、ミスティシャ、その」
「お父さま、初夜ですのよ。わたくし……男になりましたわ」
「そっ……そん……な……」
お父さまはがっくりと床に膝をついてしまいました。
「あのかわいかったミスティシャが、くぅっ……!」
「お父さまったら……今もわたくしはかわいいでしょう?」
「うっ、かわいい! かわいいが! くそ、このかわいい娘が、なんてことだ!」
「まあそうおっしゃらないで」
お父さまの愛情が深いのはいつものことです。
わたくしはお父さまの背中に腕を回して甘えました。ええ、こうして宥めないといつまでも落ち着かないのですから。
「あんの泥棒猫めぇっ……殺してやりたい」
「お父さまの台詞ではないと思いますわ。それにわたくしの妻を勝手に殺さないでくださいませ」
「うっ、うっ、娘が、娘が父より妻を選ぶだなんて」
「お父さまにはお母さまがいるではないですか」
「そうだけどぉ! 娘は別枠だし!」
「わたくしだって妻は別枠なのです。お父さまは大好きなお父さまですわ」
お父さまをひとしきり宥めてから、わたくしは小さくあくびをしました。
「ごめんなさい、疲れてしまって。わたくしはもう寝ますわ」
「ああ、ゆっくり休めるように別の部屋を用意させよう!」
「大声を出さなくてもわかっておりますわ。ローダドにもしっかり休んでもらわなければなりませんものね」
寝台は広いですけれど、起きたときにわたくしがいたら、また叫んだりし始めるかもしれませんわ。
あ、でも部屋の鍵は締めておきましょう。逃げ出されたらわたくし怒ってしまいますわ。
「……ああそうだ、おまえが令嬢でないことは?」
「さすがに気づかれたのではないかしら? でも、大丈夫ですわ」
「まあそうだな。妻が男だったとか叫んでも、誰も信じる者はいるまい。またわがままを押し通そうとしていると思われるだけだ。ふはは、自業自得だな!」
「ええ、そうして孤立させるのもよいですわね……」
誰も頼るものがいなくなったら、わたくしに甘えてくるかもしれません。
嫌がるのもいいですが、それはそれで見てみたいところですわ。後ろからも良いですけれど、しっとり顔を見ながらもしてみたいですし、足を大開脚もさせてみたいですわ、ローダドって体は硬かったかしら?
たぶん硬いですわね柔軟もしていないでしょう。わたくしが手伝って差し上げてもいいですわね。
「ミスティシャ……」
「あ、失礼いたしましたわ」
きっと欲まみれの顔を見せてしまっていたのでしょう。お父さまがなんとも言えない表情ですわ。
「おやすみなさいませ、お父さま。……あ、明日のローダドの食事ですけれど、味は薄めにと料理長に言っておいてくださいますか?」
「………………ウン」
刺激の強い食事はお尻に悪いですから。
とは、言わなくてもわかってくださったようです。わたくしも父親に何を言っているのだろうという気分になってしまいましたが、それでも高揚は消えませんでした。
眠れるかしら?
ああ、明日からが楽しみすぎますわ!
「あら、お父さま。遅かったですわね」
使用人から連絡が行ったのでしょう、お父さまが慌てた様子で部屋にやってきました。
本館から離れはその名の通り少し離れておりますが、それにしても時間がかかっています。おそらく使用人はかなりの間、どうすべきか悩んでいたのでしょうね。
わたくしが秘密を持っておりますので、この離れの使用人は鈍いものばかりをあえて採用しております。
でもそれも、そろそろ鍛え直すべきかもしれませんわね。
なんといっても妻を娶ったのですから。
「わたくしは無事ですわ。ローダドはちょっと無事ではないですけれど」
「ああ、アレがどうなろうと知ったことではないよ。生きていれば陛下も文句は言わないだろう」
「まあ、お父さまったら」
「そんなことより、かわいいおまえに何かあったらどうするのだ。やはり新たに離れをたてるか、牢をつくるべきだったのだ……」
「必要ないですわ、わたくしが躾けますもの」
「そうは言うが……」
ふと、お父さまは眉をひそめました。
部屋にたちこめる精の匂いに気づいてしまったのかもしれません。
「ミ、ミスティシャ、その」
「お父さま、初夜ですのよ。わたくし……男になりましたわ」
「そっ……そん……な……」
お父さまはがっくりと床に膝をついてしまいました。
「あのかわいかったミスティシャが、くぅっ……!」
「お父さまったら……今もわたくしはかわいいでしょう?」
「うっ、かわいい! かわいいが! くそ、このかわいい娘が、なんてことだ!」
「まあそうおっしゃらないで」
お父さまの愛情が深いのはいつものことです。
わたくしはお父さまの背中に腕を回して甘えました。ええ、こうして宥めないといつまでも落ち着かないのですから。
「あんの泥棒猫めぇっ……殺してやりたい」
「お父さまの台詞ではないと思いますわ。それにわたくしの妻を勝手に殺さないでくださいませ」
「うっ、うっ、娘が、娘が父より妻を選ぶだなんて」
「お父さまにはお母さまがいるではないですか」
「そうだけどぉ! 娘は別枠だし!」
「わたくしだって妻は別枠なのです。お父さまは大好きなお父さまですわ」
お父さまをひとしきり宥めてから、わたくしは小さくあくびをしました。
「ごめんなさい、疲れてしまって。わたくしはもう寝ますわ」
「ああ、ゆっくり休めるように別の部屋を用意させよう!」
「大声を出さなくてもわかっておりますわ。ローダドにもしっかり休んでもらわなければなりませんものね」
寝台は広いですけれど、起きたときにわたくしがいたら、また叫んだりし始めるかもしれませんわ。
あ、でも部屋の鍵は締めておきましょう。逃げ出されたらわたくし怒ってしまいますわ。
「……ああそうだ、おまえが令嬢でないことは?」
「さすがに気づかれたのではないかしら? でも、大丈夫ですわ」
「まあそうだな。妻が男だったとか叫んでも、誰も信じる者はいるまい。またわがままを押し通そうとしていると思われるだけだ。ふはは、自業自得だな!」
「ええ、そうして孤立させるのもよいですわね……」
誰も頼るものがいなくなったら、わたくしに甘えてくるかもしれません。
嫌がるのもいいですが、それはそれで見てみたいところですわ。後ろからも良いですけれど、しっとり顔を見ながらもしてみたいですし、足を大開脚もさせてみたいですわ、ローダドって体は硬かったかしら?
たぶん硬いですわね柔軟もしていないでしょう。わたくしが手伝って差し上げてもいいですわね。
「ミスティシャ……」
「あ、失礼いたしましたわ」
きっと欲まみれの顔を見せてしまっていたのでしょう。お父さまがなんとも言えない表情ですわ。
「おやすみなさいませ、お父さま。……あ、明日のローダドの食事ですけれど、味は薄めにと料理長に言っておいてくださいますか?」
「………………ウン」
刺激の強い食事はお尻に悪いですから。
とは、言わなくてもわかってくださったようです。わたくしも父親に何を言っているのだろうという気分になってしまいましたが、それでも高揚は消えませんでした。
眠れるかしら?
ああ、明日からが楽しみすぎますわ!
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