神童と言われてきた俺は、爪を隠しモブに徹します。……ってあれ?気付けば主人公がやりそうなラブコメが始まってる件

狼狼3

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とある小説サイトの王者

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「糞。何なんだよコイツは。今までは俺が一番人気のある小説投稿者だったというのに。」

 急に現れた、パソコンの画面に映る現在最も勢いのある小説投稿者の『モブ』を睨みつける。こいつは、ランキング一位を一ヶ月近く独占している「最強の実力者のモブ」という小説を書いた者で、圧倒的な実力をどのように隠していくかというのが元に進んでいく物語で、まるで実際に経験したかのような話が毎日のように投稿されていく。

 そんな勢いのある「最強の実力者のモブ」という作品のところに、サブ垢を使って今日もコメントを荒らしにいく。

──────────────────────
 137:俺が一番

『すみません。この圧倒的な学力を隠そうとする為に、テストとでわざと主人公が手を抜くところのシーンって書く必要ありますか?』

 ─────────────────────

 よし、完璧。
 書いた自分でも、は?と思うほど意味の無い文。
 実力を隠す為に、テストとでわざと主人公が手を抜くシーンなんて、いるに決まっているだろう。逆に無かったら、主人公はどのようにして実力を隠したのか疑問で埋まるだろう。
 なら、何故こんな質問をしたかというと……
 コメント欄を荒らす為だ。

 こんな意味不明の、頭悪いとしか思えないコメント。
 この小説を見ている他の人が見たとしたら、俺がわざわざ書いた意図を理解しない奴が「何で、こんなコメントするんだよ。必要に決まってるだろ。帰れ阿保。」とか言って、俺に罵声を浴びせてくることだろう。
 そうしたら、俺は頭悪く「阿保って何だよ。阿保に阿保と言われる筋合いはない」とか言って、そいつと喧嘩を繰り広げる。 
 そうすれば、純粋な励ましの声や意味のある指摘をする人の意見が乗るコメ欄が、俺が起こしたしょうもない喧嘩で荒れるだろう。

 ふっふっふっ。
 荒らしてやるぜ、そのコメント。
 精神的に苦しめ。

 すると、カップラーメンが作れるような、指で何分たったのか数えられる程の短い時間が経って、俺にコメントが帰ってきた。

 これはどういうことだ。

 帰ってきたコメントに俺は、驚きから一瞬声が発することが出来なくなる。
 何で…………コイツが。
 俺に返ってきた、一つ一つきっちりと丁寧に解説されたコメントと、そのコメ主に頭を抱えたくなる。

─────────────────────
作者:モブ

『貴重な質問有難うございます。今回この主人公がテストで手を抜くシーンを書いたのは、このシーンが無いと主人公がどのようにしてその圧倒的な学力を隠したか分からないからです。例えばです。ありと象が居たとしましょう。そして、その蟻と象が戦って蟻が勝った。……という結果が残ったとします。普通に考えて、一円玉よりも小さい蟻と何トンもある人間の何倍もある大きい象。そんな蟻と象が戦ったら、象が勝つと思いますし、蟻が勝つとは誰も思いません。ですが、実はこの蟻。一時的に象よりも大きくなれるとしたらどうでしょう。そうすれば、蟻が象に勝つことも予想出来ます。ですが、今回のようにということが分からなかったら、象が勝つと誰もが思います。主人公がテストで手を抜いたシーン。これは、この蟻が象に勝てた説明の部分、『蟻が一時的に象よりも大きくなれる』と同じ部分になります。だから、今回圧倒的な学力を隠す為に、というシーンを入れました。雑な説明ですが、これで理解していただけると嬉しいです。(ーー;』

─────────────────────

 何だよ、この滅茶苦茶真面目なコメント。
 普通俺のような頭悪い奴は、作者なら無視したり、何かコメントをすることはあっても、ここまでは丁寧なコメントにならないだろ。

 予想外の展開に、画面から溢れる光以外何も見えない暗闇の中で、頭を抱える。
 ど、どうしてこうなった。
 おい。俺に誰か罵声を浴びせろ。

 流れてくるコメントは、作者のモブはこんなコメントに対しても、とても丁寧な対応をしてくれるということについての賛辞。
 コメント欄は、みるみる内にモブの対応に対しての賛辞で溢れ、結果的に俺のコメントはモブの株を上げただけだった。

 マジで、何なんだよコイツ。
 俺は、パソコンに映るモブという文字を強くまた睨んだ。
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