3 / 14
とある小説サイトの王者
しおりを挟む「糞。何なんだよコイツは。今までは俺が一番人気のある小説投稿者だったというのに。」
急に現れた、パソコンの画面に映る現在最も勢いのある小説投稿者の『モブ』を睨みつける。こいつは、ランキング一位を一ヶ月近く独占している「最強の実力者のモブ」という小説を書いた者で、圧倒的な実力をどのように隠していくかというのが元に進んでいく物語で、まるで実際に経験したかのような話が毎日のように投稿されていく。
そんな勢いのある「最強の実力者のモブ」という作品のところに、サブ垢を使って今日もコメントを荒らしにいく。
──────────────────────
137:俺が一番
『すみません。この圧倒的な学力を隠そうとする為に、テストとでわざと主人公が手を抜くところのシーンって書く必要ありますか?』
─────────────────────
よし、完璧。
書いた自分でも、は?と思うほど意味の無い文。
実力を隠す為に、テストとでわざと主人公が手を抜くシーンなんて、いるに決まっているだろう。逆に無かったら、主人公はどのようにして実力を隠したのか疑問で埋まるだろう。
なら、何故こんな質問をしたかというと……
コメント欄を荒らす為だ。
こんな意味不明の、頭悪いとしか思えないコメント。
この小説を見ている他の人が見たとしたら、俺がわざわざ書いた意図を理解しない奴が「何で、こんなコメントするんだよ。必要に決まってるだろ。帰れ阿保。」とか言って、俺に罵声を浴びせてくることだろう。
そうしたら、俺は頭悪く「阿保って何だよ。阿保に阿保と言われる筋合いはない」とか言って、そいつと喧嘩を繰り広げる。
そうすれば、純粋な励ましの声や意味のある指摘をする人の意見が乗るコメ欄が、俺が起こしたしょうもない喧嘩で荒れるだろう。
ふっふっふっ。
荒らしてやるぜ、そのコメント。
精神的に苦しめ。
すると、カップラーメンが作れるような、指で何分たったのか数えられる程の短い時間が経って、俺にコメントが帰ってきた。
これはどういうことだ。
帰ってきたコメントに俺は、驚きから一瞬声が発することが出来なくなる。
何で…………コイツが。
俺に返ってきた、一つ一つきっちりと丁寧に解説されたコメントと、そのコメ主に頭を抱えたくなる。
─────────────────────
作者:モブ
『貴重な質問有難うございます。今回この主人公がテストで手を抜くシーンを書いたのは、このシーンが無いと主人公がどのようにしてその圧倒的な学力を隠したか分からないからです。例えばです。蟻と象が居たとしましょう。そして、その蟻と象が戦って蟻が勝った。……という結果が残ったとします。普通に考えて、一円玉よりも小さい蟻と何トンもある人間の何倍もある大きい象。そんな蟻と象が戦ったら、象が勝つと思いますし、蟻が勝つとは誰も思いません。ですが、実はこの蟻。一時的に象よりも大きくなれるとしたらどうでしょう。そうすれば、蟻が象に勝つことも予想出来ます。ですが、今回のように蟻が象よりも一時的に大きくなれるということが分からなかったら、象が勝つと誰もが思います。主人公がテストで手を抜いたシーン。これは、この蟻が象に勝てた説明の部分、『蟻が一時的に象よりも大きくなれる』と同じ部分になります。だから、今回圧倒的な学力を隠す為に、主人公はテストで手を抜いたというシーンを入れました。雑な説明ですが、これで理解していただけると嬉しいです。(ーー;』
─────────────────────
何だよ、この滅茶苦茶真面目なコメント。
普通俺のような頭悪い奴は、作者なら無視したり、何かコメントをすることはあっても、ここまでは丁寧なコメントにならないだろ。
予想外の展開に、画面から溢れる光以外何も見えない暗闇の中で、頭を抱える。
ど、どうしてこうなった。
おい。俺に誰か罵声を浴びせろ。
流れてくるコメントは、作者のモブはこんなコメントに対しても、とても丁寧な対応をしてくれるということについての賛辞。
コメント欄は、みるみる内にモブの対応に対しての賛辞で溢れ、結果的に俺のコメントはモブの株を上げただけだった。
マジで、何なんだよコイツ。
俺は、パソコンに映るモブという文字を強くまた睨んだ。
21
あなたにおすすめの小説
『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』
夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」
教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。
ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。
王命による“形式結婚”。
夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。
だから、はい、離婚。勝手に。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。
何か問題あります?
夫から『お前を愛することはない』と言われたので、お返しついでに彼のお友達をお招きした結果。
古森真朝
ファンタジー
「クラリッサ・ベル・グレイヴィア伯爵令嬢、あらかじめ言っておく。
俺がお前を愛することは、この先決してない。期待など一切するな!」
新婚初日、花嫁に真っ向から言い放った新郎アドルフ。それに対して、クラリッサが返したのは――
※ぬるいですがホラー要素があります。苦手な方はご注意ください。
《完結》「パパはいますか?」ある日、夫に似た子供が訪ねて来た。
ヴァンドール
恋愛
嫁いですぐに夫は戦地に赴いた。すると突然一人の男の子が訪ねて来た「パパはいますか?」
その子供の顔は戦地に行った夫にそっくりだった。
行き遅れのお節介令嬢、氷の公爵様と結婚したら三人娘の母になりました
鳥柄ささみ
恋愛
お節介焼きで困っている人を放っておけないシアは、数多のご令嬢達から人気の令嬢だ。毎日ファンレターが届き、社交界に出れば令嬢に取り囲まれるほどである。
けれど、それに反比例するように男性からの人気はなく、二十七だというのに嫁の貰い手もないため、毎日母から小言をもらっていた。
そんなある日のこと、突然公爵家から縁談の話が。
シアは公爵家がなぜ自分に縁談など持ち掛けるのかと訝しく思いつつ話を受けると、なんと公爵の後妻として三人の娘の母代わりになれと言われる。
困惑するも、自分へ縁談を持ちかけた理由を聞いて、お節介なシアは嫁ぐこと決めたのだった。
夫になるレオナルドはイケメンなのに無表情で高圧的。三人の娘も二女のアンナを除いて長女のセレナも三女のフィオナもとても反抗的。
そんな中でもお節介パワーを発揮して、前向きに奮闘するシアの物語。
※他投稿サイトにも掲載中
で、お前が彼女に嫌がらせをしている理由を聞かせてもらおうか?
Debby
恋愛
ヴェルトが友人からの手紙を手に辺境伯令嬢であるレィディアンスの元を訪れたのは、その手紙に「詳細は彼女に聞け」と書いてあったからだ。
簡単にいうと、手紙の内容は「学園で問題を起こした平民──エボニーを妻として引き取ってくれ」というものだった。
一方その話を聞いてしまった伯爵令嬢のオリーブは動揺していた。
ヴェルトとは静かに愛を育んできた。そんな自分を差し置いて、言われるがまま平民を妻に迎えてしまうのだろうか。
そんなオリーブの気持ちを知るはずもないエボニーは、辺境伯邸で行儀見習いをすることになる。
オリーブは何とかしてヴェルトを取り戻そうと画策し、そのことを咎められてしまう。もう後は無い。
オリーブが最後の望みをかけてヴェルトに自分を選んで欲しいと懇願する中、レィディアンスが静かに口を開いた。
「で、そろそろお前が彼女に嫌がらせをしている理由を聞かせてもらおうか」
「はい?」
ヴェルトは自分が何を言われたのか全く理解が出来なかった。
*--*--*
覗いてくださりありがとうございます。(* ᴗ ᴗ)⁾⁾
★全31話7時19時更新で、全話予約投稿済みです。
★★「このお話だけ読んでいただいてもOKです!」という前提のもと↓↓↓
このお話は独立した一つのお話ですが、「で。」シリーズのサイドストーリーでもあり、第一弾「で、私がその方に嫌がらせをする理由をお聞かせいただいても?」の「エボニーその後」でもあります(あるいは「最終話」のその後)。
第一弾「で、私がその方に嫌がらせをする理由をお聞かせいただいても?」
第二弾「で、あなたが私に嫌がらせをする理由を伺っても?」
第三弾「で、あなたが彼に嫌がらせをする理由をお話しいただいても?」
どれも女性向けHOTランキングに入り、特に第二弾はHOT一位になることが出来ました!(*´▽`人)アリガトウ
もしよかったら宜しくお願いしますね!
完結 「愛が重い」と言われたので尽くすのを全部止めたところ
音爽(ネソウ)
恋愛
アルミロ・ルファーノ伯爵令息は身体が弱くいつも臥せっていた。財があっても自由がないと嘆く。
だが、そんな彼を幼少期から知る婚約者ニーナ・ガーナインは献身的につくした。
相思相愛で結ばれたはずが健気に尽くす彼女を疎ましく感じる相手。
どんな無茶な要望にも応えていたはずが裏切られることになる。
天然だと思ったギルド仲間が、実は策士で独占欲強めでした
星乃和花
恋愛
⭐︎完結済ー本編8話+後日談7話⭐︎
ギルドで働くおっとり回復役リィナは、
自分と似た雰囲気の“天然仲間”カイと出会い、ほっとする。
……が、彼は実は 天然を演じる策士だった!?
「転ばないで」
「可愛いって言うのは僕の役目」
「固定回復役だから。僕の」
優しいのに過保護。
仲間のはずなのに距離が近い。
しかも噂はいつの間にか——「軍師(彼)が恋してる説」に。
鈍感で頑張り屋なリィナと、
策を捨てるほど恋に負けていくカイの、
コメディ強めの甘々ギルド恋愛、開幕!
「遅いままでいい――置いていかないから。」
自業自得じゃないですか?~前世の記憶持ち少女、キレる~
浅海 景
恋愛
前世の記憶があるジーナ。特に目立つこともなく平民として普通の生活を送るものの、本がない生活に不満を抱く。本を買うため前世知識を利用したことから、とある貴族の目に留まり貴族学園に通うことに。
本に釣られて入学したものの王子や侯爵令息に興味を持たれ、婚約者の座を狙う令嬢たちを敵に回す。本以外に興味のないジーナは、平穏な読書タイムを確保するために距離を取るが、とある事件をきっかけに最も大切なものを奪われることになり、キレたジーナは報復することを決めた。
※2024.8.5 番外編を2話追加しました!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる