最強の職業は解体屋です! ゴミだと思っていたエクストラスキル『解体』が実は超有能でした

服田 晃和

文字の大きさ
60 / 67
第4章 憎しみの結末

第181話 親友

しおりを挟む
「ただいまより、準々決勝第2試合を開始いたします!両選手、闘技場中央までお進みください!」

 審判が高らかに宣言し、闘技場内で歓声が沸き起こる。俺は反対側の入口に立っているヴァルトを見て笑顔を浮かべた。これから親友と本気で戦うことが出来る。それだけで自然と胸が躍ってしまう。

 俺達はお互いの事だけを視界に入れながら、ゆっくりと歩みを進めていった。

「試合開始に先駆けまして、両選手の紹介をさせて頂きます!」

 指定の位置で俺達が足を止めると、前までの試合では無かった審判による選手紹介が始まった。審判はまず俺と反対の方へと体を向け、手元のメモを見ながらヴァルトの紹介を始めた。

「栄えある準々決勝に駒を進めた一人目は、ウォーレン学園一年代表、ヴァルト。バッカス選手!職業はなんと『竜剣士』です!その戦いっぷりは、正に『正々堂々』の言葉を体現していると言わんばかりのもの!この試合でも、それを貫くことが出来るか!!」

 ヴァルトの紹介が終わると、会場から拍手や指笛が飛び交い始める。ヴァルトを鼓舞するかのような会場の反応に、本人は手を振ることで答えて見せた。

 一方の俺はというと、審判の選手紹介をする内容に少しの不安を抱いていた。

 ヴァルトの職業を紹介したという事は、俺の職業も紹介するという事。別に他人にどう思われようが関係ないが、観衆が俺の職業を馬鹿にした場合、ユウナやヴァルトが悲しむかもしれない。それが少しだけ不安だ。

「相対するは、同じウォーレン学園の生徒という身でありながら、今フェルデア王国で最も有名な男!数か月前には二体のオークキングを討伐し、更には病に伏せるユウナ王女を救った英雄!その名も……アレク・カールストン!!!」
 
「ウォォォ!!アレク!アレク!アレク!」

 俺の不安をよそに、審判が紹介をし終えると会場中にアレクコールが沸き起こった。自慢気にこちらを見てくる審判には少しムカついたが、マイナスな印象を持たれずに済んだことには素直に感謝するとしよう。

「それでは両者、準備は宜しいですね?」

「はい」

「ああ」

 俺達の返事を聞き、審判が両手を左右へと広げる。観衆が声を静めて試合開始の合図を松中、俺はヴァルトと目を合わせてニヤリと笑う。

「あの時の拳の借り、今ここで返させて貰うぞ!」

「有り難く頂戴するとしよう。……私が勝った後でな!」

 互いが言葉を交わした後、審判の両手が振り下ろされた。

「始め!!!」

「『#火矢__ファイヤーアロー__#』!!」

 開始と同時に、俺は八本の火矢をヴァルトに向けて放つ。友との戦いで全力を出さないなど、そんな恥ずかしいことは無い。俺が放った火矢が迫る中、ヴァルトは表情を崩さずに剣を握りしめる。そして次の瞬間──

「はぁぁぁぁ!!」

 ヴァルトが握りしめた剣が淡く光ったかと思うと、迫りくる火矢に向けてその剣を振り下ろした。そしてデイルとの一戦で披露したように、俺の火矢を真っ二つにして見せる。

 魔法が切れるところなど見たことが無かった観客たちは、度肝を抜かれたのか口を大きく広げて固まってしまった。そのまま一本、二本と立て続けに切り落としていき、最後の火矢を両断したところで、ようやく完成が沸き起こった。

「やるな、ヴァルト」

 ヴァルトに賞賛の言葉をかけるが、内心穏やかではなかった。魔法を切られることは予想していたものの、実際に目の前でやられると動揺してしまう。

「当然だ!今度は私から行かせてもらうぞ!!」

 ヴァルトは勢いそのままに剣先を俺の方へと向け、腰をわずかに落とした。

「『#竜突撃__ドラゴンストライク__#』!!」

 スキルを発動させたヴァルトの体が加速し、一瞬の内に俺の目の前へ剣先が到達する。だが選抜大会の時に何度もこの目で見ることが出来たのだ。発動直前のヴァルトの体勢を見れば、スキルを発動させようとしていたことくらいお見通しである。

「はあっ!」

 右手に握っていた剣をヴァルトの剣にぶつけ、剣先を逸らさせた。勢いを止めることが出来ないヴァルトのボディにそのまま左拳をお見舞いする。

「がぁっ……」

 カウンターを食らい苦悶の表情を浮かべ、下を向くヴァルト。だが負けじとヴァルトは右手で俺の肩を掴み、そのまま上に飛び跳ねるように俺の顔面に頭突きを食らわせてきた。

「ぐっ……」

 鼻にヴァルトの頭がクリーンヒットし、思わずのけ反る。ヴァルトはその隙を見逃さず、スキルを発動させた。

「『#強斬__パワースラッシュ__#』!!」

 左手に握られたヴァルトの剣が俺の右肩目掛けて振り下ろされる。強斬のスキルで攻撃力が僅かながら強化されているため、生身で受けるのは回避しなければならない。だが、後ろにのけ反ってしまっているせいで、足に力が上手く伝わらず、後ろへ飛ぶことが出来ない。

 回避行動が不可能と判断した俺は直ぐに左手で魔法を発動させた。

「『風圧弾エアバースト』!!」

 剣が体にぶつかる直前、ヴァルトに向けて風の弾丸をお見舞いする。ヴァルトに衝突した風の弾はそこで弾けると、俺とヴァルトの間に激しい暴風を撒き越した。

 その風にお互い吹き飛ばされ、後方へとゴロゴロ転がっていく。何とか体勢を立て直し、右手をついて立ち上がろうとするが、右肩が僅かに切られていることに気づいた。吹き飛ばされる直前、ヴァルトの剣が触れていたのだ。

 試合開始から僅かの間に繰り広げられた攻防に、観客席は怒号めいた歓声で溢れかえる。互いの名前が叫び交わされる中、俺の視界にはただ一人の存在しか映っていなかった。

 腹部に風圧弾が直撃したはずなのに、立ち上がったヴァルトは、笑みを崩すことなく俺を真っ直ぐに見つめている。口端から流れ出た血を手の甲で拭い、ニヤリと口角を上げるヴァルト。

「はぁ、はぁ……いくぞぉぉぉぉ!!」

 ヴァルトの声が俺の体を震わせる。ヴァルトはそのまま先程と同じ位置まで腰を落とした。また『竜突撃』が来る。そう思ったのだが、ヴァルトの構えが少し違うことに違和感を覚えた。

「『竜翼の爪撃ドラゴンエッジ』!!」

 ヴァルトが口にした言葉は聞いたこともないスキル名だった。一体どんな技なのか?そんな想像をする暇もなく、ヴァルトが俺に向かって駆けてくる。その速度をこれでは『竜突撃』と同じではないか。

 俺は直ぐに右方向へと身体を逸らし、ヴァルトへカウンターを食らわせようとする。『竜突撃』の弱点は真っ直ぐにしか移動できないこと。十分に反応出来る距離を保てていれば、回避することは容易だ。

 勝手に決めつけ、油断した俺が拳を振り上げたとき、予想外の出来事が起きた。

 真っ直ぐに駆け抜けると思っていたヴァルトが、俺にぶつかる直前で目の前から姿を消したのだ。

「なっ!」

 本当に姿を消したわけでは無く、速度を落とさずに直前で方向転換したのは分かっていた。それを目でおえてはいたものの、反応が間に合わず、ヴァルトが横薙ぎにふるった剣が俺の右腕を斬りつける。

 ダメージを減らすため、ヴァルトの力に逆らわず自分で左側へと飛ぶ。しかし、スキルで強化されていたヴァルトの一撃は、遥かに重いモノだった。

 斬られた腕から夥しい量の血が流れ始める。腕を伝い、ポタポタと地面へ垂れていく血が、その傷の深さを物語っていた。


しおりを挟む
感想 169

あなたにおすすめの小説

スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~

深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】 異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

異世界をスキルブックと共に生きていく

大森 万丈
ファンタジー
神様に頼まれてユニークスキル「スキルブック」と「神の幸運」を持ち異世界に転移したのだが転移した先は海辺だった。見渡しても海と森しかない。「最初からサバイバルなんて難易度高すぎだろ・・今着てる服以外何も持ってないし絶対幸運働いてないよこれ、これからどうしよう・・・」これは地球で平凡に暮らしていた佐藤 健吾が死後神様の依頼により異世界に転生し神より授かったユニークスキル「スキルブック」を駆使し、仲間を増やしながら気ままに異世界で暮らしていく話です。神様に貰った幸運は相変わらず仕事をしません。のんびり書いていきます。読んで頂けると幸いです。

【完結】魔王を倒してスキルを失ったら「用済み」と国を追放された勇者、数年後に里帰りしてみると既に祖国が滅んでいた

きなこもちこ
ファンタジー
🌟某小説投稿サイトにて月間3位(異ファン)獲得しました! 「勇者カナタよ、お前はもう用済みだ。この国から追放する」 魔王討伐後一年振りに目を覚ますと、突然王にそう告げられた。 魔王を倒したことで、俺は「勇者」のスキルを失っていた。 信頼していたパーティメンバーには蔑まれ、二度と国の土を踏まないように察知魔法までかけられた。 悔しさをバネに隣国で再起すること十数年……俺は結婚して妻子を持ち、大臣にまで昇り詰めた。 かつてのパーティメンバー達に「スキルが無くても幸せになった姿」を見せるため、里帰りした俺は……祖国の惨状を目にすることになる。 ※ハピエン・善人しか書いたことのない作者が、「追放」をテーマにして実験的に書いてみた作品です。普段の作風とは異なります。 ※小説家になろう、カクヨムさんで同一名義にて掲載予定です

侯爵家三男からはじまる異世界チート冒険録 〜元プログラマー、スキルと現代知識で理想の異世界ライフ満喫中!〜【奨励賞】

のびすけ。
ファンタジー
気づけば侯爵家の三男として異世界に転生していた元プログラマー。 そこはどこか懐かしく、けれど想像以上に自由で――ちょっとだけ危険な世界。 幼い頃、命の危機をきっかけに前世の記憶が蘇り、 “とっておき”のチートで人生を再起動。 剣も魔法も、知識も商才も、全てを武器に少年は静かに準備を進めていく。 そして12歳。ついに彼は“新たなステージ”へと歩み出す。 これは、理想を形にするために動き出した少年の、 少し不思議で、ちょっとだけチートな異世界物語――その始まり。 【なろう掲載】

収納魔法を極めた魔術師ですが、勇者パーティを追放されました。ところで俺の追放理由って “どれ” ですか?

木塚麻弥
ファンタジー
収納魔法を活かして勇者パーティーの荷物持ちをしていたケイトはある日、パーティーを追放されてしまった。 追放される理由はよく分からなかった。 彼はパーティーを追放されても文句の言えない理由を無数に抱えていたからだ。 結局どれが本当の追放理由なのかはよく分からなかったが、勇者から追放すると強く言われたのでケイトはそれに従う。 しかし彼は、追放されてもなお仲間たちのことが好きだった。 たった四人で強大な魔王軍に立ち向かおうとするかつての仲間たち。 ケイトは彼らを失いたくなかった。 勇者たちとまた一緒に食事がしたかった。 しばらくひとりで悩んでいたケイトは気づいてしまう。 「追放されたってことは、俺の行動を制限する奴もいないってことだよな?」 これは収納魔法しか使えない魔術師が、仲間のために陰で奮闘する物語。

老衰で死んだ僕は異世界に転生して仲間を探す旅に出ます。最初の武器は木の棒ですか!? 絶対にあきらめない心で剣と魔法を使いこなします!

菊池 快晴
ファンタジー
10代という若さで老衰により病気で死んでしまった主人公アイレは 「まだ、死にたくない」という願いの通り異世界転生に成功する。  同じ病気で亡くなった親友のヴェルネルとレムリもこの世界いるはずだと アイレは二人を探す旅に出るが、すぐに魔物に襲われてしまう  最初の武器は木の棒!?  そして謎の人物によって明かされるヴェネルとレムリの転生の真実。  何度も心が折れそうになりながらも、アイレは剣と魔法を使いこなしながら 困難に立ち向かっていく。  チート、ハーレムなしの王道ファンタジー物語!  異世界転生は2話目です! キャラクタ―の魅力を味わってもらえると嬉しいです。  話の終わりのヒキを重要視しているので、そこを注目して下さい! ****** 完結まで必ず続けます ***** ****** 毎日更新もします *****  他サイトへ重複投稿しています!

異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します

桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。