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37. 出禁
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火曜日。俺彼会にももうすっかり慣れた。1コマ分しか時間がないことが惜しいほどに毎回あっという間に時間が過ぎる。
「そういや葉大の調子どうなん?」
「昨日一昨日よりはだいぶ良くなってそう、ちゃんと食ってるっぽいし」
「ほーん、よかったな。俺も風邪ひいてみのりんに看病されたいなーやばい萌える、そういうシチュってよくね?」
「あーまぁ、わからんでもない。俺は看病とかしてないけど」
「そうなん⁉葉大一人暮らしだしやってんのかと思ったわ」
「…出禁されてるし」
「マージ⁉お前なんかやらかしたん?」
おかしそうに身を乗り出して笑う井口を軽く睨みつける。笑うとこじゃない、俺は結構ショック受けたのに。
「別になんも。うつすからとか言って入れてくれない」
「あーまぁインフルだもんな、しゃーなしか」
「あいつの場合普通の風邪でも入れてくんなそう」
「俺なら風邪で弱ってる時こそ彼女に癒されたいけどなー。まっ!お前癒しってタイプじゃないもんな!」
悪気のなさそうなへらへらとした笑顔で刺してきやがる。的外れでもないし何も言い返せない、俺は別に愛想もよくないしぶっきらぼうな態度をとってしまうことが多いしどうせ癒し要素なんかない。
「心配なら今度合鍵でも貰っとけば?一人暮らしで連絡取れないのとかこわくね?」
「合鍵……そういうのって俺からくれって言っていいもん?こう、向こうが渡したくて渡すもんじゃないの」
「まぁ幼馴染だしいいんじゃね?」
俺が寄越せといえば渡してくれるとは思うけど、正直あいつから渡してほしい気持ちがある。何となくその方が俺は嬉しい…けど、やっぱり連絡つかないと不安ではある。これって普通の感覚なのか、俺が心配性なのか、重いんだろうか。
問題は三日目の水曜日に訪れた。普通に大の欲求不満である。そろそろ顔だけでも見たいしできないにしても行ってもいいんじゃないかと打診したが、「あと二日はダメ」と断られてしまった。そもそも水曜は毎週家に行っていた日だから余計ムラムラする。
ひとりベッドの上で葉大の指の動きを思い出す。腰をなぞる熱い手が次第に胸の上でするすると指で円を描く。体中に触れる柔らかい唇。余裕のなさそうな吐息が今にも耳元で聞こえる気がしてぞくぞくする。かたくなった自身のものに手を伸ばし、くちくちと扱いてもそれだけでは足りず、後ろへの刺激が恋しくなる。指を入れてみても自分ではうまくできないからもどかしくて切なさばかりが募る。
「…ッ………ふ…」
気持ちいいのに、物足りなさがむずがゆい。
布団に放り投げていたスマホがブーッブーッと震えてびくりと肩を震わす。タイミングがいいんだか悪いんだかわからない。中断してすぐにスマホを取った。
「も、もしもしっ」
「久~、もしかしてなんかしてるとこだった?ごめん、今平気?」
「やっ…平気。全然」
「そう?ならよかった。」
やばい。想像以上に声がクる。葉大にバレないようにそろりと手を添わせる。
「俺今起きたとこなんだけど、久の声聞きたくてかけちゃった。今はだいぶ調子いい」
「んっ…よかったな。…なぁ、葉もう一回名前呼んで」
「何、珍しい。どうしたの久」
「………ッ別に、なんでもない」
「久」
「…ん」
「ひーさ。今なにしてんのか教えて」
「ッ…なんも、してないって」
「久。教えて」
「…~~ッ、お前がっ……会ってくんないから…ッ」
「うん?だから?」
「……ひとりでしてんだよ…っ、言わせんなばか」
「…かわいー…ビデオ通話にして。顔見たい」
「や、やだ」
「じゃあどこをどういうふうに触ってるのか教えてよ。久」
「…っ…前と、……後ろ…。でもっ俺、自分じゃもううまくできないんだよ…ん…」
「…マジで見たいんだけど、だめ?」
「だ、めっ」
「…久。後ろじゃなくて乳首触ってみよっか。久はもう乳首で気持ちよくなれるもんね」
「…ッ、るさい…」
「久。俺としてる時の触り方思い出して。まわりスリスリ撫でた後に押し潰してクリクリすんの好きでしょ」
「ん…、…っ…葉…」
「…クッソ可愛い。ちゃんと両手動かしてる?」
「…ぅん…っ、…もっいくっ…イく……ンッ…」
汚れた自分の手を見ていると徐々に頭が冷えて「俺はなんつーことしてんだ」という気持ちと羞恥心が湧いてくる。ひとりでしてんのがバレたのも、ひとりでする時に後ろいじってんのがバレたのも最悪だ、恥ずかしすぎる、なんで言ってしまったのか自分でもわからない。
「……………あー…最悪。本当にタイミング悪い、…最悪お前…」
「最高だったけど。ていうかし続けたのは久の意思でしょ」
「……ッ、んなことより体調どうなんだよ」
楽しそうににやにやした顔が容易に想像できて腹が立つ。でも何を言っても火に油を注ぐような気がして話題を変えることにした。
「だいぶよくなったよ、でもさっきので熱上がったからなー、もう一回してくれたら下がるかも」
「随分元気そうだな、もう切っていいか?」
「ちょ、まって!ごめん久、もう言わないからもう少し話そう」
「…次したらお前んち殴り込みに行くからな」
楽しそうに話す様子からして本当にかなり良くなったことが改めてわかってほっと安心する。早く葉大宅出禁が解ける土曜にならないかと思った。
「そういや葉大の調子どうなん?」
「昨日一昨日よりはだいぶ良くなってそう、ちゃんと食ってるっぽいし」
「ほーん、よかったな。俺も風邪ひいてみのりんに看病されたいなーやばい萌える、そういうシチュってよくね?」
「あーまぁ、わからんでもない。俺は看病とかしてないけど」
「そうなん⁉葉大一人暮らしだしやってんのかと思ったわ」
「…出禁されてるし」
「マージ⁉お前なんかやらかしたん?」
おかしそうに身を乗り出して笑う井口を軽く睨みつける。笑うとこじゃない、俺は結構ショック受けたのに。
「別になんも。うつすからとか言って入れてくれない」
「あーまぁインフルだもんな、しゃーなしか」
「あいつの場合普通の風邪でも入れてくんなそう」
「俺なら風邪で弱ってる時こそ彼女に癒されたいけどなー。まっ!お前癒しってタイプじゃないもんな!」
悪気のなさそうなへらへらとした笑顔で刺してきやがる。的外れでもないし何も言い返せない、俺は別に愛想もよくないしぶっきらぼうな態度をとってしまうことが多いしどうせ癒し要素なんかない。
「心配なら今度合鍵でも貰っとけば?一人暮らしで連絡取れないのとかこわくね?」
「合鍵……そういうのって俺からくれって言っていいもん?こう、向こうが渡したくて渡すもんじゃないの」
「まぁ幼馴染だしいいんじゃね?」
俺が寄越せといえば渡してくれるとは思うけど、正直あいつから渡してほしい気持ちがある。何となくその方が俺は嬉しい…けど、やっぱり連絡つかないと不安ではある。これって普通の感覚なのか、俺が心配性なのか、重いんだろうか。
問題は三日目の水曜日に訪れた。普通に大の欲求不満である。そろそろ顔だけでも見たいしできないにしても行ってもいいんじゃないかと打診したが、「あと二日はダメ」と断られてしまった。そもそも水曜は毎週家に行っていた日だから余計ムラムラする。
ひとりベッドの上で葉大の指の動きを思い出す。腰をなぞる熱い手が次第に胸の上でするすると指で円を描く。体中に触れる柔らかい唇。余裕のなさそうな吐息が今にも耳元で聞こえる気がしてぞくぞくする。かたくなった自身のものに手を伸ばし、くちくちと扱いてもそれだけでは足りず、後ろへの刺激が恋しくなる。指を入れてみても自分ではうまくできないからもどかしくて切なさばかりが募る。
「…ッ………ふ…」
気持ちいいのに、物足りなさがむずがゆい。
布団に放り投げていたスマホがブーッブーッと震えてびくりと肩を震わす。タイミングがいいんだか悪いんだかわからない。中断してすぐにスマホを取った。
「も、もしもしっ」
「久~、もしかしてなんかしてるとこだった?ごめん、今平気?」
「やっ…平気。全然」
「そう?ならよかった。」
やばい。想像以上に声がクる。葉大にバレないようにそろりと手を添わせる。
「俺今起きたとこなんだけど、久の声聞きたくてかけちゃった。今はだいぶ調子いい」
「んっ…よかったな。…なぁ、葉もう一回名前呼んで」
「何、珍しい。どうしたの久」
「………ッ別に、なんでもない」
「久」
「…ん」
「ひーさ。今なにしてんのか教えて」
「ッ…なんも、してないって」
「久。教えて」
「…~~ッ、お前がっ……会ってくんないから…ッ」
「うん?だから?」
「……ひとりでしてんだよ…っ、言わせんなばか」
「…かわいー…ビデオ通話にして。顔見たい」
「や、やだ」
「じゃあどこをどういうふうに触ってるのか教えてよ。久」
「…っ…前と、……後ろ…。でもっ俺、自分じゃもううまくできないんだよ…ん…」
「…マジで見たいんだけど、だめ?」
「だ、めっ」
「…久。後ろじゃなくて乳首触ってみよっか。久はもう乳首で気持ちよくなれるもんね」
「…ッ、るさい…」
「久。俺としてる時の触り方思い出して。まわりスリスリ撫でた後に押し潰してクリクリすんの好きでしょ」
「ん…、…っ…葉…」
「…クッソ可愛い。ちゃんと両手動かしてる?」
「…ぅん…っ、…もっいくっ…イく……ンッ…」
汚れた自分の手を見ていると徐々に頭が冷えて「俺はなんつーことしてんだ」という気持ちと羞恥心が湧いてくる。ひとりでしてんのがバレたのも、ひとりでする時に後ろいじってんのがバレたのも最悪だ、恥ずかしすぎる、なんで言ってしまったのか自分でもわからない。
「……………あー…最悪。本当にタイミング悪い、…最悪お前…」
「最高だったけど。ていうかし続けたのは久の意思でしょ」
「……ッ、んなことより体調どうなんだよ」
楽しそうににやにやした顔が容易に想像できて腹が立つ。でも何を言っても火に油を注ぐような気がして話題を変えることにした。
「だいぶよくなったよ、でもさっきので熱上がったからなー、もう一回してくれたら下がるかも」
「随分元気そうだな、もう切っていいか?」
「ちょ、まって!ごめん久、もう言わないからもう少し話そう」
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