誰にも気づかれなかった僕の生き方が、世界を変えていました。

シロトネ

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第18話 揺れる秤

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王都・魔導師団ソル・マギア本部。

そこは、空に浮かぶ白い塔。
雲の上に築かれた神殿のような建築物。
中枢には、選ばれし者たちだけが入れる「議定の間」が存在していた。

その部屋に、六人の魔導師が集まっていた。

それぞれが、階位を持ち、王都における魔法の秩序を保ってきた者たち。

そして今、その中心には一つの話題が置かれていた。

「――第零形態オリジン・ナンバー、“ユイ”についてだ」


発言したのは、評議第四席フォース・ゼドリア。

豪奢な黒の法衣をまとい、瞳には魔導印。
「統制」と「力の管理」を何より重んじる、冷徹な男だった。

「我々の手に、起源に近い力が入る。
それはこの世界の均衡を握る鍵となる。
“管理対象”として拘束し、力の解析と応用を急ぐべきだ」

その発言に、室内がざわつく。

だがそれに反対するように、別の声が上がった。


「待て。彼は、意思を持ち、生きている。
その存在が“危険”であると断言できぬ今、
力のみに着目した“確保”は、愚かとしか言えない」

そう発言したのは、第三席サード・エリシアだった。

ユイと直接対面した彼女は、確かに揺れていた。

感情ではない。理性として。
「これは、人である」という判断が、揺らぎはしなかった。


「……私は“観測”を提案する。
長期的に、ユイ自身がその力とどう向き合うかを見守るべきだ」

「愚かだな、エリシア。感情に引きずられたか?」

ゼドリアの皮肉に、エリシアは冷たく返す。

「感情ではない。あなたは“可能性”と“危機”を混同している」


会議室に、静かな緊張が走る。

そのとき、最上席――議長・オルステッドが口を開いた。

老人のようで、しかし声は澄んでいた。

「――結論は保留とする。
ユイが“この世界の脅威”であるか、それとも“希望”であるか。
その判断は、我々ではなく……本人に委ねるのが道理だ」

その言葉に、誰も逆らえなかった。

ただ――ゼドリアの目だけが、静かに“怒り”と“野心”を燃やしていた。

◇ ◇ ◇

その頃、村の丘。

ユイは遠くを見つめていた。
どこかで、“何かが動いている”気配を感じ取っていた。

「……世界が、僕を“秤”にかけ始めてる」

風が吹いた。

けれど、ユイの中には、もう“決意”があった。

「誰かに決められるだけの人生じゃ、意味がない。
僕は、自分で選ぶ。
たとえ、その選択が誰かの怒りを買っても、世界を敵に回しても――」

彼の目は、揺れていなかった。
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