20 / 207
ヒトのキョウカイ1巻(異世界転生したら未来でした)
20 (20世紀シネマ館)
しおりを挟む
ニューアキバなどがある商業区画は、他では手に入らない珍しいものも多い。
そして学校帰りの暇つぶしとして、何気なく探検に来たナオが見た物は『20世紀シネマ館』。
6階建ての建物で 1階がレンタルムービーショップ…2階が映画館だった。
この時代に映画館と言うものかなり珍しい。
VRを使えば個人レベルで最高の音質の大画面映画を楽しめるし、更にVRだけに立体表示や感覚も操作出来る為、迫力と言う意味では到底かなわない。
だが、あえて効率を捨ててレトロに生きるヒトもいる。
ナオはそれが気になり、入ってみる事にした。
「うわぁ~」
映画館風の内装に複数の棚に映画のBDの箱が置いてあるレンタルムービーショップだ。
それはナオにとっての現代にあった20世紀、21世紀の化石映画だ。
受付には、映画館の制服?のような塗装をされたドラムが立っている。
棚の横にある端末で、条件を付けずに検索した所ヒットした映画は5万にも及ぶ。
「おや…新しいお客さん なんて 珍しいですね…。」
今時、視力補正にメガネなんて必要ないのに あえて度のついたメガネをかけるレトロで痩せた男だ。
「僕は『スプリング』、ここの店長をしています。
良かったら僕の話に付き合ってくれませんか?」
平日の午後4時頃…この時間帯にショップにいるのはオレとスプリングだけだ。
よっぽど人が来なくて暇で映画トークをしたいのか、はたまた化石映画に興味を持つヒトを引き込もうとしているのか。
ナオはとりあえず話をしてみる事にした。
1階のの端にあるソファーに腰を下ろし、スプリングが話す。
「君も驚いているだろう…今時 映画の店頭販売なんて」
今はネットやVRが普及している為、ネットに繋げさえすれば視聴期間付きのムービーデータを購入する事は出来るし、月額1000トニーでムービー見放題と言うサービスもある。
質や量、値段を見てももう現実世界で販売する理由がそもそもない…こんなレトロな作品でも無ければ。
「いえいえ、むしろオレの時代はこれが普通だったので…そもそもこっちに来てまだ1カ月程度ですからね。」
「ん?時代?君は外から来たのかな?」
「2020年から脳だけコールドスリープで、1カ月前に義体を貰って こっちに住む事になりました。」
「2020年!?」
「え?そんなに驚くほどですか?」
「君は君の価値を理解していない…君は生きる化石だよ。
大戦でネットに繋がっていた2050年より前のデータは殆ど失われてしまったんだ。
今現存しているのは、隔離《スタンドアロン》状態だったサーバーかHDDとかDVDの旧メディアだけだってのに…。」
スプリングが頭を抱える。
「と言ったって、どうしようもないでしょう…主観で1カ月しかたってないんですから…。」
ナオは立ち上がり、棚のパッケージを見に行く。
「『星間戦争』に『私はヒューマノイド』『電脳世界』メジャー所が揃《そろ》っているな。」
「てことは、見たことあるの?」
「星間戦争EP9の上映が去年だったけど死ぬほど忙し過ぎて見てない。
それ以外は有名どころ位かな…。」
「見てみるかい?
初回サービスで3万トニーの大型シアタールームを無料で使わしてあげるよ。」
あー絶対にシアタールームを自慢したいだけだろ…。
プシュー
スライドドアの圧縮空気の音がする…見た目はエレベーターのドアに近いが窓が大きい。
スペースコロニーと同じ設計基準であるこの都市の建物は、すべて簡易型宇宙船となっている…。
コロニー自体が崩壊するような事体になった時、住民はシェルターには逃げ込まず(と言うよりない)最寄りの建物に逃げ込む為だ。
よって建物の強度はとても高く、気密性、放射線、空調関係など宇宙空間に放り出されても大丈夫な設計になっている。
そして、中に入ってきたのは何とも意外なレナだった。
「ナオも来てたんだ…。
あーでも21世紀から来たんだから必然なのかな?」
「おおレナちゃんか?1週間ぶり位?」
「こんにちはマスター…個室のシアタールーム空いてる?」
「ああ、もちろん大丈夫だよ」
「なら1つ予約しておくから」
「まいど」
レナは、そのままレンタルムービーの棚の横に置いてある端末を使い…借りる映画を検索し始めた。
「レナはこちらの常連なんですか?」
「ああそうだよ…えーとレナちゃんが この都市に来たくらいだから大体3年位かな…。
4歳の幼年生達の紹介でね…。」
「4歳…かアイツ妙に子供達と交流があるんだよな…。」
ウチらの寮にも初等部の子供は結構いるが、8歳くらいの中学年に人気がある。
「あー多分その子達レナちゃんの元同級生…レナちゃんここに来てから1年幼年学校にいたから馬鹿で…。」
確かにレナは、テストの成績も良くなく赤点と補習の常連だったりする。
だが怠《なま》けていて勉強していない訳では無く、レナは勉強家だ…ただ時間が足りて無いように感じる。
そして思い出したかのようにナオが言う。
「あっスプリング…レナが好きな映画ってどんな奴?」
「レナちゃんの借りるのは、1800年の産業革命時代が多いかな」
「よし、ならレナの借りるムービーを大型シアタールームで見るってのはどうだ?」
「良いけど…レナちゃんからOKがでたらね」
「えっ別に良いけど…大勢で見るにはちょっとね~」
レナが軽く渋る。
「もしかして、プライベートで見たかった?」
「いや、じゃなくて問題は内容…とは言え変えるものな~いいよ。
内容は保証しないけどね」
「OK出たぞ…スプリング」
ナオが大声でスプリングに言う。
「よーし、じゃシアタールームに招待しましょう。
ドラムちゃ~ん…常連さんにメール、5時00開場、5時10分上映で」
「マスター、残り30分程しかありませんが、よろしいでしょうか?」
ドラムが気を使いスプリングに一応聞いてくる。
「一応通知しているだけ、気になったら見に来る人もいるでしょう。」
「了解しました…通知します。」
「じゃ30分で立ち上げるよ…え~と…ナオ君も手伝って…。」
「はいよ…といってもどこまで出来るかって感じだろうけどね。」
2階への階段を2人は上り、階段脇のディスレイには『映画 花売り少女のラッダイト』と表示され、下には『PM 5:00 開場 PM 5:10 上映』、画面の右下に『現在時刻 PM4:26』と表示されている。
レナは自販機で飲み物を購入してソファーに座りくつろぐ…。
この映画館は 月全体の人数でも500人も入ら無いし、その大半も週末が多い。
平日に来るのは10人程度で、借りる人はマスターとお喋りする事が多いため、あまり利益にはならない。
都市が文化遺産としてお金を出していなければ、とっくに廃業している状態だ。
そして気まぐれ…今回みたいに、自分の気に入った新規の客には大型シアタールームを無料で貸し自慢したり、僅《わず》か30分しかないのに募集をかけて見たりする。
普通なら、そんな事をした所で集まらないのだが…ここは普通では無い。
プシューと圧縮空気の音がして子供が中に入ってくる。
7歳の男の子で名前は『ヒロム』…ソファーに座る私を見つけると、こっちにやって来た。
「ようレナ…映画を見に来たぜ」
「早いね…てか募集かけてから、まだ10分経っていないでしょうに…。」
「たまたま この辺りを歩いていたら、レナの主催の映画のチラシが来るんだぜ。
こりゃ行くきゃないだろう…。」
「はい?私の?…。」
ヒロムは、指2本で空中にL字を描き、空中にARウィンドウが表示する。
不可視状態になっているので、こちらからは青い画面にしか見えないがヒロムは手慣れた動作でいくつかタッチし、映画のチラシを実体化させた。
「ホイこれ」
私は、チラシを手渡《てわた》しで 受け取る…紙ながら、しっかり重量の感覚を再現された無駄にクオリティの高いARチラシだ。
見てみると主催者の欄はナオではなく、私になっている。
その下には、タイトルの『花売り少女のラッダイト』に『PM 5:00 開場 PM 5:10 上映』の時間…。
それに、参加予定の『YES NO』にフードメニューの注文ボタン、更に下には、開場までの残り時間が秒刻みでカウントされたARを生かしたデザインになっている。
「と言っても これを子供に見せていいのかな…。」
私のお気に入りの映画なのだが、この映画にはいわゆる『濡れ場』がある…。
私が渋《しぶ》ったのはそれだ。
それも成人女性が演じ、それを当時の最先端のCG加工で少女化して『これは成人女性です』と言い切る限りなく黒に近いグレーだ。
そんなアントニーが喜びそうな作品ではあるのもの、話としてはよく出来ており、スラム街出身の私としては共感を覚える事が多い…なのでよく見るのだけど…。
「後2人来るから、ポテトL3つで…。」
受付の後ろにある簡易厨房で人工油を温め揚げ物の準備をしていたドラムちゃんに、受付の机からギリギリ顔を出したヒロムが注文をし、ドラムちゃんが遠隔でレジを操作して、ヒロムがどうにかキャッシャーに手をかざし、画面のYボタンを押して会計を終える。
「ありがとうございました~」
厨房で調理しながらドラムちゃんが言う。
残り時間が10分を切った位でヒロムの友達の2人、歳をとった老人に会社帰りのカバンを下げた青年だ。
「30分で5人か…いきなり募集をかけた割には集まったわね。」
「いいえ、レナさん違いますよ…現在30分で7人です。
残り2人は5時に仕事が終わってから来るそうで、ギリギリか5分遅れるかもしれないとの事です。」
厨房のドラムちゃんが、そう返答する。
普通のドラムはルーチン的な接客が多いが、マスターが手を加えている事もあって、VR用のAI位の会話が出来るようになっている。
「レナさんは何か注文しますか?」
「私はドリンクで十分…と言うよりいつも聞いてない?」
「営業です…レナさんはドリンク位しか買ってもらえないので…。」
「私は毎回個室使っているからいいの…化石映画は持ち出し出来ないし、そもそも 今は再生媒体も無いからね。」
ここで扱っている作品は、現代で流通している映画と化石映画に分かれ、貸し出しも1週間の期限で再生権利を買うと言うものだ。
なので、返却はしなくても再生期間が過ぎたら自動的に見れなくなるようになっている。
しかも、デバイスにセキュリティ付きのデータを送るのではなく、映画館側が行うリアルタイム配信なので、手元にデータは残らず権利データをハックして解除する事も出来ない。
そして、そんな手続きはネットで十分出来、そもそもここに来る理由が無い…従ってここに来るのは、シアタールームを含めたアトラクションとして楽しむ人達だ。
そこは、旧メディアへの並々ならぬこだわりを持つマスターとその人望がなせる業ともいえる。
さて時間は戻り、スプリングと2階に行ったナオは…。
そして学校帰りの暇つぶしとして、何気なく探検に来たナオが見た物は『20世紀シネマ館』。
6階建ての建物で 1階がレンタルムービーショップ…2階が映画館だった。
この時代に映画館と言うものかなり珍しい。
VRを使えば個人レベルで最高の音質の大画面映画を楽しめるし、更にVRだけに立体表示や感覚も操作出来る為、迫力と言う意味では到底かなわない。
だが、あえて効率を捨ててレトロに生きるヒトもいる。
ナオはそれが気になり、入ってみる事にした。
「うわぁ~」
映画館風の内装に複数の棚に映画のBDの箱が置いてあるレンタルムービーショップだ。
それはナオにとっての現代にあった20世紀、21世紀の化石映画だ。
受付には、映画館の制服?のような塗装をされたドラムが立っている。
棚の横にある端末で、条件を付けずに検索した所ヒットした映画は5万にも及ぶ。
「おや…新しいお客さん なんて 珍しいですね…。」
今時、視力補正にメガネなんて必要ないのに あえて度のついたメガネをかけるレトロで痩せた男だ。
「僕は『スプリング』、ここの店長をしています。
良かったら僕の話に付き合ってくれませんか?」
平日の午後4時頃…この時間帯にショップにいるのはオレとスプリングだけだ。
よっぽど人が来なくて暇で映画トークをしたいのか、はたまた化石映画に興味を持つヒトを引き込もうとしているのか。
ナオはとりあえず話をしてみる事にした。
1階のの端にあるソファーに腰を下ろし、スプリングが話す。
「君も驚いているだろう…今時 映画の店頭販売なんて」
今はネットやVRが普及している為、ネットに繋げさえすれば視聴期間付きのムービーデータを購入する事は出来るし、月額1000トニーでムービー見放題と言うサービスもある。
質や量、値段を見てももう現実世界で販売する理由がそもそもない…こんなレトロな作品でも無ければ。
「いえいえ、むしろオレの時代はこれが普通だったので…そもそもこっちに来てまだ1カ月程度ですからね。」
「ん?時代?君は外から来たのかな?」
「2020年から脳だけコールドスリープで、1カ月前に義体を貰って こっちに住む事になりました。」
「2020年!?」
「え?そんなに驚くほどですか?」
「君は君の価値を理解していない…君は生きる化石だよ。
大戦でネットに繋がっていた2050年より前のデータは殆ど失われてしまったんだ。
今現存しているのは、隔離《スタンドアロン》状態だったサーバーかHDDとかDVDの旧メディアだけだってのに…。」
スプリングが頭を抱える。
「と言ったって、どうしようもないでしょう…主観で1カ月しかたってないんですから…。」
ナオは立ち上がり、棚のパッケージを見に行く。
「『星間戦争』に『私はヒューマノイド』『電脳世界』メジャー所が揃《そろ》っているな。」
「てことは、見たことあるの?」
「星間戦争EP9の上映が去年だったけど死ぬほど忙し過ぎて見てない。
それ以外は有名どころ位かな…。」
「見てみるかい?
初回サービスで3万トニーの大型シアタールームを無料で使わしてあげるよ。」
あー絶対にシアタールームを自慢したいだけだろ…。
プシュー
スライドドアの圧縮空気の音がする…見た目はエレベーターのドアに近いが窓が大きい。
スペースコロニーと同じ設計基準であるこの都市の建物は、すべて簡易型宇宙船となっている…。
コロニー自体が崩壊するような事体になった時、住民はシェルターには逃げ込まず(と言うよりない)最寄りの建物に逃げ込む為だ。
よって建物の強度はとても高く、気密性、放射線、空調関係など宇宙空間に放り出されても大丈夫な設計になっている。
そして、中に入ってきたのは何とも意外なレナだった。
「ナオも来てたんだ…。
あーでも21世紀から来たんだから必然なのかな?」
「おおレナちゃんか?1週間ぶり位?」
「こんにちはマスター…個室のシアタールーム空いてる?」
「ああ、もちろん大丈夫だよ」
「なら1つ予約しておくから」
「まいど」
レナは、そのままレンタルムービーの棚の横に置いてある端末を使い…借りる映画を検索し始めた。
「レナはこちらの常連なんですか?」
「ああそうだよ…えーとレナちゃんが この都市に来たくらいだから大体3年位かな…。
4歳の幼年生達の紹介でね…。」
「4歳…かアイツ妙に子供達と交流があるんだよな…。」
ウチらの寮にも初等部の子供は結構いるが、8歳くらいの中学年に人気がある。
「あー多分その子達レナちゃんの元同級生…レナちゃんここに来てから1年幼年学校にいたから馬鹿で…。」
確かにレナは、テストの成績も良くなく赤点と補習の常連だったりする。
だが怠《なま》けていて勉強していない訳では無く、レナは勉強家だ…ただ時間が足りて無いように感じる。
そして思い出したかのようにナオが言う。
「あっスプリング…レナが好きな映画ってどんな奴?」
「レナちゃんの借りるのは、1800年の産業革命時代が多いかな」
「よし、ならレナの借りるムービーを大型シアタールームで見るってのはどうだ?」
「良いけど…レナちゃんからOKがでたらね」
「えっ別に良いけど…大勢で見るにはちょっとね~」
レナが軽く渋る。
「もしかして、プライベートで見たかった?」
「いや、じゃなくて問題は内容…とは言え変えるものな~いいよ。
内容は保証しないけどね」
「OK出たぞ…スプリング」
ナオが大声でスプリングに言う。
「よーし、じゃシアタールームに招待しましょう。
ドラムちゃ~ん…常連さんにメール、5時00開場、5時10分上映で」
「マスター、残り30分程しかありませんが、よろしいでしょうか?」
ドラムが気を使いスプリングに一応聞いてくる。
「一応通知しているだけ、気になったら見に来る人もいるでしょう。」
「了解しました…通知します。」
「じゃ30分で立ち上げるよ…え~と…ナオ君も手伝って…。」
「はいよ…といってもどこまで出来るかって感じだろうけどね。」
2階への階段を2人は上り、階段脇のディスレイには『映画 花売り少女のラッダイト』と表示され、下には『PM 5:00 開場 PM 5:10 上映』、画面の右下に『現在時刻 PM4:26』と表示されている。
レナは自販機で飲み物を購入してソファーに座りくつろぐ…。
この映画館は 月全体の人数でも500人も入ら無いし、その大半も週末が多い。
平日に来るのは10人程度で、借りる人はマスターとお喋りする事が多いため、あまり利益にはならない。
都市が文化遺産としてお金を出していなければ、とっくに廃業している状態だ。
そして気まぐれ…今回みたいに、自分の気に入った新規の客には大型シアタールームを無料で貸し自慢したり、僅《わず》か30分しかないのに募集をかけて見たりする。
普通なら、そんな事をした所で集まらないのだが…ここは普通では無い。
プシューと圧縮空気の音がして子供が中に入ってくる。
7歳の男の子で名前は『ヒロム』…ソファーに座る私を見つけると、こっちにやって来た。
「ようレナ…映画を見に来たぜ」
「早いね…てか募集かけてから、まだ10分経っていないでしょうに…。」
「たまたま この辺りを歩いていたら、レナの主催の映画のチラシが来るんだぜ。
こりゃ行くきゃないだろう…。」
「はい?私の?…。」
ヒロムは、指2本で空中にL字を描き、空中にARウィンドウが表示する。
不可視状態になっているので、こちらからは青い画面にしか見えないがヒロムは手慣れた動作でいくつかタッチし、映画のチラシを実体化させた。
「ホイこれ」
私は、チラシを手渡《てわた》しで 受け取る…紙ながら、しっかり重量の感覚を再現された無駄にクオリティの高いARチラシだ。
見てみると主催者の欄はナオではなく、私になっている。
その下には、タイトルの『花売り少女のラッダイト』に『PM 5:00 開場 PM 5:10 上映』の時間…。
それに、参加予定の『YES NO』にフードメニューの注文ボタン、更に下には、開場までの残り時間が秒刻みでカウントされたARを生かしたデザインになっている。
「と言っても これを子供に見せていいのかな…。」
私のお気に入りの映画なのだが、この映画にはいわゆる『濡れ場』がある…。
私が渋《しぶ》ったのはそれだ。
それも成人女性が演じ、それを当時の最先端のCG加工で少女化して『これは成人女性です』と言い切る限りなく黒に近いグレーだ。
そんなアントニーが喜びそうな作品ではあるのもの、話としてはよく出来ており、スラム街出身の私としては共感を覚える事が多い…なのでよく見るのだけど…。
「後2人来るから、ポテトL3つで…。」
受付の後ろにある簡易厨房で人工油を温め揚げ物の準備をしていたドラムちゃんに、受付の机からギリギリ顔を出したヒロムが注文をし、ドラムちゃんが遠隔でレジを操作して、ヒロムがどうにかキャッシャーに手をかざし、画面のYボタンを押して会計を終える。
「ありがとうございました~」
厨房で調理しながらドラムちゃんが言う。
残り時間が10分を切った位でヒロムの友達の2人、歳をとった老人に会社帰りのカバンを下げた青年だ。
「30分で5人か…いきなり募集をかけた割には集まったわね。」
「いいえ、レナさん違いますよ…現在30分で7人です。
残り2人は5時に仕事が終わってから来るそうで、ギリギリか5分遅れるかもしれないとの事です。」
厨房のドラムちゃんが、そう返答する。
普通のドラムはルーチン的な接客が多いが、マスターが手を加えている事もあって、VR用のAI位の会話が出来るようになっている。
「レナさんは何か注文しますか?」
「私はドリンクで十分…と言うよりいつも聞いてない?」
「営業です…レナさんはドリンク位しか買ってもらえないので…。」
「私は毎回個室使っているからいいの…化石映画は持ち出し出来ないし、そもそも 今は再生媒体も無いからね。」
ここで扱っている作品は、現代で流通している映画と化石映画に分かれ、貸し出しも1週間の期限で再生権利を買うと言うものだ。
なので、返却はしなくても再生期間が過ぎたら自動的に見れなくなるようになっている。
しかも、デバイスにセキュリティ付きのデータを送るのではなく、映画館側が行うリアルタイム配信なので、手元にデータは残らず権利データをハックして解除する事も出来ない。
そして、そんな手続きはネットで十分出来、そもそもここに来る理由が無い…従ってここに来るのは、シアタールームを含めたアトラクションとして楽しむ人達だ。
そこは、旧メディアへの並々ならぬこだわりを持つマスターとその人望がなせる業ともいえる。
さて時間は戻り、スプリングと2階に行ったナオは…。
0
あなたにおすすめの小説
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
人生初めての旅先が異世界でした!? ~ 元の世界へ帰る方法探して異世界めぐり、家に帰るまでが旅行です。~(仮)
葵セナ
ファンタジー
主人公 39歳フリーターが、初めての旅行に行こうと家を出たら何故か森の中?
管理神(神様)のミスで、異世界転移し見知らぬ森の中に…
不思議と持っていた一枚の紙を読み、元の世界に帰る方法を探して、異世界での冒険の始まり。
曖昧で、都合の良い魔法とスキルでを使い、異世界での冒険旅行? いったいどうなる!
ありがちな異世界物語と思いますが、暖かい目で見てやってください。
初めての作品なので誤字 脱字などおかしな所が出て来るかと思いますが、御容赦ください。(気が付けば修正していきます。)
ステータスも何処かで見たことあるような、似たり寄ったりの表示になっているかと思いますがどうか御容赦ください。よろしくお願いします。
案山子の帝王
柚緒駆
SF
神魔大戦から百年。世界は『Dの民』が支配していた。そこにある日現われる、謎の存在。エリア・エージャンをパニックに陥れ、オリンポス財閥総合本社ビル『グレート・オリンポス』に迫る。迎え撃つのはジュピトル・ジュピトリス、しかし想像を超える敵に追い詰められたとき、彼が現われる。
「俺の名前は3J。デルファイの3J」
デルファイの『五人目の魔人』であり『案山子の帝王』と呼ばれる彼が現われたのは何故か。彼の目的は何か。謎が謎を呼び、世界は混沌に叩き込まれる。
永き夜の遠の睡りの皆目醒め
七瀬京
歴史・時代
近藤勇の『首』が消えた……。
新撰組の局長として名を馳せた近藤勇は板橋で罪人として処刑されてから、その首を晒された。
しかし、その首が、ある日忽然と消えたのだった……。
近藤の『首』を巡り、過去と栄光と男たちの愛憎が交錯する。
首はどこにあるのか。
そして激動の時代、男たちはどこへ向かうのか……。
※男性同士の恋愛表現がありますので苦手な方はご注意下さい
追放されたけど実は世界最強でした ~元下僕の俺、気ままに旅していたら神々に愛されてた件~
fuwamofu
ファンタジー
「お前なんか要らない」と勇者パーティから追放された青年リオ。
しかし彼は知らなかった。自分が古代最強の血筋であり、封印級スキル「創世の権能」を無意識に使いこなしていたことを。
気ままな旅の途中で救ったのは、王女、竜族、聖女、そして神。彼女たちは次々とリオに惹かれていく。
裏切った勇者たちは没落し、リオの存在はやがて全大陸を巻き込む伝説となる――。
無自覚にチートでハーレムな最強冒険譚、ここに開幕!
のほほん異世界暮らし
みなと劉
ファンタジー
異世界に転生するなんて、夢の中の話だと思っていた。
それが、目を覚ましたら見知らぬ森の中、しかも手元にはなぜかしっかりとした地図と、ちょっとした冒険に必要な道具が揃っていたのだ。
異世界転生はどん底人生の始まり~一時停止とステータス強奪で快適な人生を掴み取る!
夢・風魔
ファンタジー
若くして死んだ男は、異世界に転生した。恵まれた環境とは程遠い、ダンジョンの上層部に作られた居住区画で孤児として暮らしていた。
ある日、ダンジョンモンスターが暴走するスタンピードが発生し、彼──リヴァは死の縁に立たされていた。
そこで前世の記憶を思い出し、同時に転生特典のスキルに目覚める。
視界に映る者全ての動きを停止させる『一時停止』。任意のステータスを一日に1だけ奪い取れる『ステータス強奪』。
二つのスキルを駆使し、リヴァは地上での暮らしを夢見て今日もダンジョンへと潜る。
*カクヨムでも先行更新しております。
ちっちゃくなった俺の異世界攻略
ちくわ
ファンタジー
あるとき神の采配により異世界へ行くことを決意した高校生の大輝は……ちっちゃくなってしまっていた!
精霊と神様からの贈り物、そして大輝の力が試される異世界の大冒険?が幕を開ける!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる