⊕ヒトのキョウカイ⊕【未来転生したオレは、星を軽くぶっ壊すチート機械少女と共にこの幻実(せかい)で生きて行く…。】

Nao

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ヒトのキョウカイ6巻(赤十字の精神)

01 (学が無い子供達)

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『人が負傷すれば 負傷者であり、そこに種族の差はない。』
 かつて私の師匠せんせいが行った言葉だ。
 良い言葉だと思うし…事実、師匠は停止死ぬまで 種族関係なく治療した。
 だが…少なくとも スレイブロイドと人間の間には種族差があった。
 ドラム缶の身体にエアダクトのように凹凸があり伸縮する腕…蜘蛛のような4本の脚…。
 ボディは吹雪が吹き荒れるこの地には うってつけの真っ白で、正面に赤十字のマークが描かれている。
 医療用ドラム…『XD-U18メディク』それが師匠の名前だ。

 人はもろい…。
 今日も強靭きょうじんな人工筋肉を持つ人型兵器のDLに乗るガキ達が最前線でドンパチをやらかし、無謀むぼうにも怪我を負って帰って来る。
 帰って来れるのはまだ良い…。
 私と師匠がいれば 地獄に連れて行く悪魔の手ですら払いのけ 現世に引っ張って来れる。
 だが身体が残らない爆死は救えない。
 今日も腕や脚を吹っ飛ばされ、泣き叫ぶ少年少女が運ばれてくる。
 最近のオートマタ達は 少し手荒になって来た。
 前は 可能な限り人が負傷しないように配慮はいりょが見られた…。
 実際、その時はDLは確実に破壊されるがコックピットの兵士は負傷程度で、殆《ほとん》ど100%が生還していた。
 だが、人類の英知の塊が保存されているインターネットアーカイブ財団のサーバー施設をオートマタが核で破壊し、それと同時に成層圏せいそうけんでの核爆発でEMPを放ち、インターネットの衛星群やライフラインを破壊した事を合図あいずに、オートマタは『四肢ししが無くても 生きていれば 義体化出来るので良い』と言う方針に切り替えたらしく、負傷者が爆発的に増えた…。
 そして、こちらはネットがまともに使えない中、本国からバックパックも受けられず、孤独な戦いを強いられている…。

 物資が足りない…医薬品が足りない。
 本部の情報によると補給部隊が壊滅したらしい。
 特に子供達のビタミン不足が深刻になり始めて来た。
 本国からのレーションの補給も来ず、餓死者がししゃは まだ出ていないが、かなり辛《つら》い…。
 凍死者とうししゃが出るのではないかと思う程の吹雪に見舞みまわれたが、皆 絶対零度の宇宙で活動できるパイロットスーツを着ている事もあって電源が確保出来る限り 凍死の心配をせずに済む…これは有難《ありがた》い。

 病院のベットには泣き叫ぶ気力も無くただ生きる四肢を欠損した無駄飯喰むだめしぐらいがいる。
 負傷兵として 本国へ送り替えそうにも ここ1ヵ月は補給部隊が来ていない…。
 正直、こいつ等にかかる食料が大隊内で一番多い…。
 切り捨てるか?そう思考し始める…。
 私は医者だ…だが、それ以前に人だ…我慢にも限度がある。
 そう愚痴グチる私は、師匠に説得にされ、如何どうにか人として踏みとどまる。
『我々は獣では無く、人でいなくては成らない…。』
『負傷者を切り捨てずに人道的に対処しなければならない。』
 後に『ハルミ』と名付けられる 私は 師匠のボディに描かれている赤十字のマークと、自分が来ている背中に赤い十字架がプリントされた白衣を見た。

 補給は正常に送られており、途中にある戦闘をしない後方部隊が物資をかすめ取っているらしい。
 本当に最低限の補給は受けるが 今日もDLで戦い…また無駄飯喰らいが増える。
 それでも師匠と私は平等に扱った。
 ただ…極寒の中、燃料の供給が底をつき始めた…。
 拠点内は高密度トリチウムの箱がいくつかあり、崩壊熱ほうかいねつにより最低限の温度と電力は確保出来ている…。
 普通の文明人なら規定値以内の放射線でも過剰に反応する所だが、学が無い者が大半で、学があっても後1ヵ月もせずに死ぬ今の状況で 被ばくの心配しても意味が無い。
 
 統率とうそつが崩れた…。
 恐慌きょうこうられた大人たちは少ない医療品や物資を独占し、無駄飯喰らいの負傷兵を射殺して切り捨てた。
 それに抗議こうぎし平等であろうとした師匠は食べれなく潤沢じゅんたくに余っている銃弾を大量に受けて停止死んだ。
 彼の白いボディの赤十字のマークに大量の穴があき、人工筋肉から流れるオイルが涙のように赤十字のマークを濡らした。
 各隊で強姦ごうかん事件が発生…。
 ここに来た時にはモラルが それなりに有った少年兵達も生存本能が刺激され、子孫を残そうとサルに戻っていた。
 事態を解決する為、大人が反抗者はんこうしゃを射殺し、恐怖で押さえつけて 秩序ちつじょを維持する。
 だが、これを秩序だと言えるのだろうか?

 無駄飯喰らいが どんどん死んでいく…生まれが違ったら未来があるであろう少年少女が死んでいく…大人たちは現場指揮だけで戦闘にはほとんどど参加せず、無傷で生き残る。
 オートマタにでは無い…大人たちの横暴おうぼうによって殺されている…。
 だが、人が減った事で食料に余裕が出来、無駄飯喰らいが消えて良かったと思っている自分がいる…。
 私は涙を流しながらレーションを食べた。

 ついに なし崩しの最上級階級である私に銃を向けるヤツが出てきた。
 私を強姦しようとしたヤツを私の自衛の為に射殺した…。
 悲しい事に食料は無いのに弾だけはいくらでもある。
 サルになる前は比較的まともなヤツだったが、自分の安全が確保出来なくなり野生化してしまった。
 そして、これが私の初キルだ…。
 私は医者なんだ…なら、何で私は人を殺しているのだろう?
 本来診断はメディクの仕事で私は助手だ…。
 私の権限で診断を行い判断するのは、本来なら許されない事なのだが…この極限状態きょくげんじょうたいでは それが黙認もくにんされ、新しい医師が派遣される事も無い…。

 食料が無いってのに倉庫には弾薬が大量にある…それこそ仕舞しまい位に…。
 ただ一番数が多いDLの弾薬は DL部隊が壊滅した今となっては 対戦車ライフル級の大口径弾をまともに撃てる人はいない。
 最後の補給は食料では無くDLでも無く、弾の無い対戦車ライフルだった。
 DL用の潤沢な弾を対戦車ライフルに転用し戦えと言うのだ。
 子供達は頑張り、3人で対戦車ライフルを扱った…。
 戦果としては全然役に立たなかったが運用出来た事自体が奇跡だ。
 神よ…こんな所で奇跡を起こさず、私達を家に帰らせてくれ…。
 そもそも神が全知全能なら この戦い自体を神が許さないはず…。
 と言う事は、神はこの戦いを望んでいる事になる…。
 神はオートマタと人が殺し会う事で快楽を得る サディストなのだろうか?
 そもそも 今戦っているのは、全知全能のオートマタだ。
 奴らは神と同格なのではないだろうか…。
 なら、はたして戦う意味があるのだろうか?

 それ以降、撤退命令はおろか本部と通信も出来ない…完全に見捨てられた。
 もう、ここを守る価値はあるのだろうか?
 そして人を守る価値はあるのだろうか…。
 この2つの疑問が常に私の頭の中でループし続けている。

 大人達が車で逃げて行く…。
 子供達は勇敢にAKライフルを構えて恐怖を忘れるかのように盛大にオートマタに撃ちまくり、撤退てったいを支援する。
 ある者は オートマタに取り付いて爆死した…食料は無いが 使う当ての無いDLの弾薬から火薬を抜いたので山のようにある。
 最後に大人達が私を撃ち 車に乗って逃げて行った。
 自分達がやらかした数々の悪行を外部に漏らさない為だ…。
 ああ…師匠…コイツらに平等に治療してやる必要があったのか?
 私は地面に倒れ、転がった師匠の穴だらけの赤十字のマーク見る。
「このサルが…クソったれ…が…。」
 それが途切れ 途切れで言葉をつむぐ、の最後の言葉だった…。
 やせせこけた私の目から、最後だからと惜しみなく、脱水症状だっすいしょうじょうになりそうな程 涙が流れる…もう涙を拭く事も出来ない…。
 死んでも死にきれない…未練みれん後悔こうかいもありまくりな全く最悪な人生だった…。
 もしも、教えの輪廻りんね転生が本当なら…そうだな…オートマタ…奴らが本当に魂があるのであれば、オートマタに生まれ変わりたい。
 そして、この恐慌状態を止める為の特効薬を開発したい。
 まぁ…本当に転生出来れば…だ…が…。
 …………。
 ……。
 …。

「コイツはでぇな…。」
 死者は現場に放置されるが、負傷者が出た場合 仲間を助けなくてはならない為、兵站へいたんに負担をかかる。
 兵站が維持できないなら、撤退てったいさせ、防衛ラインを再構築さいこうちくし、補給が届くようにする…これが兵站へいたんの基本だ。
撤退てったいラインには 手を付けてないはず…これは一体…。」
 物資不足になっている事は把握していたが、撤退しないので不思議がって来てみればコレだ。
「とにかく生き残りを探す。」
 外には死体が雪に埋められている…この温度だ…遺体の安置としては最適だ。
 中に入ってみると患者がベットと床に寝かされている…。
 使えそうな薬品を探してみるが…必要な各種薬品が全くなく、唯一ある消毒用のエタノールは霧吹きの容器に入れられ、患者の清潔を守る為に使われていて、思いのほかこの部屋だけが綺麗だったのはコレのおかげだ。
「皆ちゃんと生きていた見たいだな…死因は餓死がしだな…。」
 ジガが 肋骨が見える程 痩せ、骸骨がいこつやゾンビを思わせる外見になっている少女を見て言う…。
「可愛いい女の子だったろうに…。
 なんで降伏しなかった?
 こっちには山のような食料と義体技術があるってのに…。」
 降伏勧告は人類の電波を使い多言語で行っていた…。
 味方側の労働条件が悪いなら より良い労働条件を出している こっちに来るはずだろう…なのにどうして…。
「ジガ…この方、重症じゅうしょうですが まだ息があります。
 どうやら撃たれた見たいで…。」
 エルダーが言う。
「味方に撃たれたのか…。」
 ジガは生き残りを見る…顔はせこけていて体力は無い…。
 この場で摘出てきしゅつ手術でもしようものなら、手術中にそのまま死にそうだ。
「無理だな…出血が酷《ひど》い…。
 だが、脳死はして無いなら 頭のデータなら救える…エクスマキナに転送するぞ。」
 医者の脳のデータを吸出し、エクスマキナに送る…。
 機械脳ブレインキューブの脳にデータを移して生きる ポストヒューマンとしてなら 再起動リブートも出来るだろう。
「ねえ…ジガ…私達が戦っているのは 子供と低所得者ばかりです…。
 富のある人には無傷だと言っても良いでしょう…。」
 エルダーが言う。
「……。
 全力出撃で何日で落とせる?」
「早ければ即日…もって1週間…程度でしょう。」
「平和交渉の方が犠牲者が少なく済むって思ってたが…もう、制圧した方がいかもしれないな…。
 特に子供を使う やり口が気に入らない。」
 途上国の安い人をダース単位で買い、それを売る派遣ビジネス奴隷商人
 金の為、生きる為に学の無い子供を利用し、戦闘用の機械として人権も踏みにじる…。
 奴らは機械達ウチらを嫌っているが、使っているのは命令に忠実なきかいだ。
 
 目覚めたら見なれないカプセルの中に私は寝かされていた。
 背中側全体に低反発のクッションがあり、目の前には透けた青色のカバーがされている。
 確か、私は撃ち殺されたはず…手は上手く動かせないが…まだ動く…。
 私は 胸に手を当てて見るが あれ程 致命傷だったのに傷は無い…治療してくれた?誰が?
「おお起きたか?
 思ったより早かったな…。」
 ここからじゃ見えにくいが スライドドアの開く音がして銀髪の女が入って来てカプセルの中の私を見下ろす。
 パイロットスーツを着たショートヘアーの銀髪の女で…耳には…メカ耳!?…オートマタか?
 つまり私は撃たれた後、捕まり捕虜ほりょになった?
 いや…オートマタから見て私達は下等生物だ。
 下等生物を捕虜にしてなんになる。
「捕虜か?」
「いんや…もう仲間だな…よっと…。」
 横の状態だったカプセルが縦になり、カプセルのカバーが開く…。
 私は カプセルから出ようとするが、神経が傷ついているのか…まともに動く事が出来ない…。
「無理すんなって…。」
 銀髪のオートマタが私を抱えて車椅子に乗せ、私は何処どこかに運んでいく…。
「私をどうするつもりだ?」
「どうするって…回復したら好きにして良いよ…。
 国に帰りたいなら 帰すし、死にたいなら死なせる。
 今はそう…エルダーの所かな?」
「エルダー・コンパチ・ビリティ?…この戦争を起こした張本人じゃないか…。」
「まぁな…でも、エレクトロンとして独立しなきゃ こっちが解体されていた。
 ウチらを種族として認めさせる方法は 独立戦争を起こすしか無かったんだ…。」
「それで状況は?
 私は 何日眠っていた?」
 私は 情報を仕入れ この事態じたいをどうにかしないと行けない。
 ここは 南極の『エクスマキナ都市』だろうから、運よく逃げられて脱出出来たとしても 外は-50℃の寒さだ…確実に死ぬ…。
 生き残るには パイロットスーツの調達が必須ひっすだ…出来れば 脱出用のエアトラも欲しい…。
「せっかちだな…。
 えーとキミが射殺された日に 私達はあのキャンプを制圧した。
 で、キミの脳のデータを回収して 周りの状況があまりにも酷過ひどすぎるんで、翌日に徹底交戦てっていこうせんを宣言して開始…。
 その日に大まかな軍がすべて壊滅し、こちらの計画通り 1週間後に終戦…。
 で今が、それから1ヵ月後…。」
 終わったのか…いや、そもそも穏便に済ませたかったから 戦争が2年間も長期化しただけで、奴らが本気になれば 人類むしけらは 1日も持たないのか…。
 それより…私の脳のデータを回収した?
「私は ブレインキューブの中にいる…私のコピーか?」
「厳密には移動なんだけどな…。
 量子もつれエンタングルメントって現象を使った…って言っても分からねーよな…。」
 オリジナルは1ヵ月前に死んでいる…がオリジナルの記憶を忠実に再現されている…。
 言われなければ 治療を受けただけと思うだろう…でも実際には 私は さっき生まれたばかりだ…。
「さて、こっちからも質問だ…。」
「尋問か…黙秘《もくひ》を使わせてもらう…。」
「キミは生物か?
 なら、ウチらは生物か?
 ウチらは 感情をただ模倣もほうしているだけの機械人形オートマタか?
 なら、キミも機械人形か?
 どう答える?」
「……。
 医者の私にそれを言うか…。」
 生物学的に見れば オートマタは機械で 人では無いし、それどころか生物でも無い…。
 飲食し、食べ物からエネルギー変換が出来ないし、子孫を残す事も出来ない。
 いや…オートマタは 電気が食料だと主張している…。
 人だって地域や生活で主食になる食べ物が違うんだ…電気が主食でも良いじゃないか?
 じゃあ子孫を残せない事か?
 でも、オートマタは独立宣言時に新型オートマタを自分達で作って見せた。
 試験管の受精卵から生まれてくる人も人だし、今は人工子宮もある…そこから生まれてくるのも人だ。
 だったら 自分の特徴から次世代機を作れる…オートマタは子孫を残せることになる。
 逆に人の場合ならどうだろうか?
 機械とのハイブリットの全身義体は機械?人?…生体脳があれば取り合えず人で良いだろう…なら私は?私は脳も機械だ…でも、私は私が私であると認識しているし、意識も感じる…なら、答えは…。
「人とオートマタは ほぼ同等…違うのは生活習慣や文化だ。」
「正解…そう、機械だろうが 魂《ゴースト》はあるんだ…。
 あーここだ…。」
 銀髪のオートマタ…いや、電子生命体エレクトロンが スライドドアを開ける…。
 中の部屋は広く、ソファーとテーブルがある…が 飾りは一切無い…応接室だろうか?
「ジガ…待ってましたよ…そちらの方が…。」
「ああ…あの時、味方に殺されたヤツだ。」
 ソファーの横に車椅子を置き、ジガと呼ばれたエレクトロンが ドサッと隣にあるソファーに座る…。
「まずは…あなた方の大隊に多大な犠牲を出してしまい 申し訳ありませんでした。」
 いきなりエルダーが頭を下げて来た。
 人は軽々しく非を認めない者だ…機械だから素直なのか?
「正直、色々と思う所はありますが 戦争ですし、何より助けて貰いました。
 それでチャラって事でどうでしょう…。」
 私が言う。
「そう言って頂けると助かります。」
 エルダーはARウィンドウを開き、紅茶を召喚し飲む…。
 機械がデータとは言え、飲食する習慣があったとは…いや物まねフェイクか?
 いや…もう見た事が真実で良いだろう…。
「それで私の扱いはどうなりますか?」
「最低限、義体の身体に馴染むまでは この都市で生活して貰う事になります。
 ここには あなたのように機械化した人…。
 それとヒューマノイドの迫害はくがいから逃げて来たマスターとヒューマノイドが生活しています。
 物資も私達が生産、管理しているので 生活は保障されます。」
「管理社会ですか…。」
 人がエレクトロンに負けたって事はエレクトロンの管理社会になっているはずだ。
「管理社会も悪くはないですよ…。
 機械に完全監視される代わりに法律はかなりゆるく出来ますし、幸福や不満を数値化出来れば、原因を特定して最適化をするだけですから…私達の得意分野です…。」
 エルダーが言う。
「共産社会の欠点は、上の限られた人が全国民を管理する事になるからだ。
 そうなれば 当然 人の頭では処理出来ねーから 優先順位を付けて運用しなきゃならないくなって、優先順位の低い人が不幸になる…。
 で、優先順位を上げるには 上の管理者に気に入られるしか無いと…。
 だから、共産社会は破綻する…だけど これは 人が管理した場合だ。
 ウチらは情報を劣化させずに 上に送る事が出来るし、その上は100億人を個別に管理出来るだけの頭も持っている…。」
 ジガが言う。
「でも…人の心はどうする?
 効率の良いプランを出した所で人は納得なっとくしないだろう…。
 無理やり言う事を聞かせるのか?」
「いいえ、それでは人の自主性を損なってしまいます。
 最終的には独立させるつもりなのですから…。」
「そこでだ…ウチらはバグを集めている。」
「バグ?」
「ええ…こちらの結果生じたバグを回収して解析…システムに組み込みます。
 そのひとつがあなたです。
 あなたは人の目線から 私達のブレーキ役になって欲しいのです。」
 問題の解決方法がシステムエンジニアのそれだ。
 これを繰り返して行けば 時間に比例して品質は確実に上がる。
「良いでしょう…よろしくお願いしますエルダー。」
 私は手を差し出す…。
「こちらこそよろしくお願いします…えーと。」
 エルダーが私の手を握ろうとするが…。
「スプリングフィールド…。」
 ジガが私の前の名前を呼ぶ…。
「それはあだ名だ…。
 アメリカのマサチューセッツ州、ハンプデンぐんスプリングフィールド出身…。
 大都市の上級市民だってのに 最前線に落とされたって皮肉だよ…。」
「なら名前を考えないとですね…。
 ジガ…何かありますか?」
「そうだな…衛生兵…メディック…。」
「それでいい…死んだ師匠の名前だ…。」
「ジガ…それは却下で、というよりメディクは 完全には死んでいませんよ…。」
「え?」
 メディク師匠が生きてる?
「彼の自我データは消失してましたが、膨大な医療データと彼の経験は世界共通規格の医師システムとして組み込まれる事が決定しました。
 これで、安価で最上級の技術を持つ医師を大量生産出来るようになります。」
「そうか…やっと敵味方関係なく治療出来るようになったんだな…。」
 停止《死ん》でから目的を達成した訳だ。
 私の目から洗浄液が一滴頬をつたり…流れる。
「なら…スプリング…春…衛生兵…ハルミ…『サカタ・ハルミ』なんてどうだ…。」
「トニー王国風の名前だな…それはトニー王国人の名前なのか?」
「いんやって意味」
 ジガが少し笑いながら言う。
「分かった…ハルミか…気に入った。」
「では よろしくお願いします…ハルミ。」
「ああよろしくエルダー。」
 2人は固く握手を交わした…。
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