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本編
第十一話:薬師と医務長
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「えっ、えと……どこかで会いましたか?」
「ーーあぁ、そういやアナタとはまだ起きた状態で会っていなかったな、そうか……。」
明澄はルメルダと何処かで会ったことがあったか聞いた。ルメルダは明澄の言葉で明澄が起きた状態で話をしたことがなかったことを思い出した。
「ーーじゃあ改めて自己紹介するわね、明澄様。この王宮で薬師をやっている“ルメルダ”よ、ここにいるリョウジの研究員仲間なの。」
「どっ、どうも……」
人魚の女性はルメルダと名乗り、自分は薬師でリョウジの研究員仲間ということを明澄に明かした。親しみやすいように接してくれているのはいいが、どこかであったかと戸惑いながらも挨拶を済ませる。
「昨日、お前が砕波の件で取り乱した時にクローディオと一緒にお前を診察してくれたんだ。だからお前の顔を知っているんだよ。」
詠寿は、ルメルダは明澄が砕波にちょっかいを出されて取り乱した時に診察してくれた人物の一人だと明かし、ルメルダが明澄を知っている理由を明かした。
「“クローディオ”?」
「医務長さ、この王宮にある医務室の取締役。」
聞き覚えのない名前に詠寿にクローディオと呼ぶ人物が誰なのか聞くと、王宮にある医務室の管理や医務係の管理や教育、怪我人の介護と治療など王宮内の医務全般を任せられている医務長だとリョウジが詠寿の代わりに答える。
「容体が酷ければ薬を出すかもしれないからって言われて同行したのよ、そうなったらすぐ何を作ればいいか指示できるからって」
「ーーあっ、そうだったんだ。」
ルメルダがそうした理由でクローディオに呼ばれた為に明澄の事は知っているのだと話し、明澄は漸くルメルダが自分を知っている理由を理解できた。
そしてふとルメルダの下半身を見ると、ルメルダの下半身は青い体色をしていて、太い黄色いラインが入った魚だった。
「あの、失礼ですが……」
「――ん、なぁに?」
「綺麗な色ですね、腹びれや背びれの感じからして“アオダイ”の仲間ですか?」
明澄は明澄はルメルダの下半身を見ながらルメルダの下半身に有るヒレの形状からして鯛の仲間か聞き、さらにアオダイの仲間なのかルメルダの魚種を確認する。
「ーーおや? うふふ、本当だ。」
そう聞いてくる明澄にルメルダは一人くすくすと笑う。
「――?」
「いえね……、アリヴがさっき言っていたけど魚に詳しい人だって本当だったんだなって思ってね」
ルメルダは決して馬鹿にしたつもりではないことを弁解し、アリヴが言っていたことが本当だったことを知って思わずほころんで笑ってしまっただけだと話す。
「でも惜しいわ、アオダイの仲間ではあるけれど……私はウメイロの人魚よ」
ルメルダは明澄が惜しいところまで行っていたことに感心し、自分はアオダイの仲間であるウメイロの人魚である事を明かした。
「ウメイロかぁ……」
「ーー残念だったな。」
明澄はルメルダの魚種を外したことに少し悔しそうに言うと、詠寿はそれを慰めるように声を掛ける。
「ははは……ルメルダの魚種は知ってたら“魚博士レベル”だからな。そこまでいい線行っていたなら大したもんだよ」
リョウジはルメルダの魚種は相当マニアックな為、近いところまで答えた明澄を逆に称賛してフォローを入れる。
「そう言えばリョウジ、ルメルダに何を頼んでいたんだ?」
「あぁ……、材料のストックをね。もう少しで出来そうな新薬があるんだけどね、もうちょっとのところで材料が切れちまったもんだから昼飯買いに行くって言うもんで、ついでにルメルダに頼んだんだよ」
詠寿はリョウジがルメルダに何を頼んだか聞くと、リョウジは必要な材料のストックが切れていたので昼飯を買いに街に出かけようとしたルメルダに新薬に必要な材料を頼んだのだと話した。
「必要な奴……? 他にもあったでしょうが! 以前の依頼された調合で使い切った材料とか!」
「あー、あったっけねぇ……あははは」
ルメルダが不機嫌そうに買い物欄に追加を多く頼んで荷物を重くした事を言うと、リョウジは笑ってごまかす。
「あ・ん・たねぇ~~、せめてこの小汚い机を何とかしなさいよ! どうしてあんたはそうなわけ!?」
「いででで……!」
ルメルダがリョウジのだらしなさに怒ってリョウジの耳を引っ張り、リョウジは痛みを訴える。夫婦漫才のようなやりとりを見て二人は苦笑いを浮かべる。
「こらこら、やめなさいよ……王子の御前で」
ーー二人のやり取りに呆れながらも、仲裁に入る声が研究所内に響いて来た……。
仲裁の声が響いた方向に振り向くと、研究室の入り口に30代ぐらいに見える男人魚一人立っており、傍には海亀がいた。海亀の方には詠寿たちが装着しているベルトそっくりなものを甲羅に着けて浮いている。
「クローディオ、快泉」
ルメルダがクローディオを目にしてリョウジの耳から指を放す。
「――たくっ、久々に研究室を覗いたらこれだもの……快泉の苦労が分かるよ」
――コクコクッ
クローディオと呼ばれた男人魚は快泉と呼ばれた海亀の立ち位置に同情すると言うと、同意してくれたクローディオに答えるかのように快泉は頷く。
「あの……もしかしてあなたが、“クローディオ"さん?」
明澄は先程ルメルダの話に出てきたクローディオ本人か聞いた。
「ーーん? おや……ご機嫌麗しゅう、明澄様。その様子だと大丈夫そうですね」
クローディオは明澄を目にすると挨拶をしてきた、
明澄の顔色を見てクローディオと思わしき男性人魚は問題なしと判断していた。
「その様子だと、俺があなたを診察した男だというのを知った様な感じですね?」
「――えっ? えぇ、まぁ」
クローディオがもしかして自分の事を詠寿の口から訊いたのか聞いてきたので、明澄はそうだと答える。
「じゃあ改めて……“クローディオ”と申します、明澄様。またお身体の具合が悪ければ仰ってくださいな。」
「あっ、いえ……こちらこそ、いろいろお世話になりました」
クローディオが一礼して改めて自己紹介してくると、明澄は自分を診察してくれたクローディオに逆にお礼を言う。明澄が慌てふためきながら挨拶する様子を見て詠寿はくすくすと笑っている。
「アリヴ兵士長から聞きましたよ、魚に詳しい方と……」
「いや、あの、そんなんじゃ……」
「ご謙遜を……さっきルメルダの魚種を惜しいところまで答えたくせに」
アリヴから明澄は魚に詳しいと聞いたとクローディオは言うと、明澄は照れて大したものじゃないと遠慮する姿勢を出すが、リョウジは明澄をからかうようにさっき明澄がルメルダの魚種をいいところまで当てたことをクローディオの前で明かす。
「ほぅ? じゃあ、俺がなんの人魚か……当てて貰おうとしますかな。」
「――えぇっ!?」
「あはは、頑張れ」
リョウジから聞いた言葉でそれならクイズ形式で自分の魚種も当てて貰おうとクローディオも意気込んてきて無茶ぶりをされて明澄は困惑する。詠寿は微笑ましそうにその様子を笑って応援する。
「言っときますけど、教えちゃだめですからね? 王子」
「ーー分かってるさ。」
クローディオは明澄がギブアップするまで詠寿に絶対に答えを教えるなと念を押し、詠寿は笑いながら了承する。
「えぇーと……」
プレッシャーを感じながらも明澄はクローディオの下半身をまじまじと見た。
(あっ、バイト先の水族館にもいた気がする……)
通常の魚の尾ひれの部分はクローディオにはなく、代わりに鞭状の尾が伸びている。
そして、腹は白く背中辺りは黒く白い斑点があった。そして決定的な菱形の体型、エイの仲間で間違いはない。これでもう明澄はクローディオの魚種は分かった。
明澄がバイトしていた水族館にもいたその魚種は……、
「エイ……多分、“マダラトビエイ”」
明澄はそう答えるとクローディオは笑顔で、「正解、お見事。」と称賛の言葉をかける。
「――おお、すげぇじゃないか。」
ぱちぱちぱち……
クローディオの魚種を正式名称で当てた明澄にリョウジ達は拍手して称賛する。
「エイだというのはまだしも、何処で“マダラトビエイ”と気付きましたか?」
「体の斑点かな? 黒い身体だったのもそうだし、普通のエイより尻尾長かったし。それに貴方と同じエイがボクの働いていたところにいたんです」
身体の形状でエイだと言うのは察しがついたのは良いとして、何処で自分がマダラトビエイの人魚だったと分かったのか聞くと鞭上の尻尾が通常のエイより長かったのと、黒い斑点で水族館にいたエイの姿を思い出し、答えることが出来たと明澄は正直に答えた。
「ーー成程、まいりました。」
その答えを聞いたクローディオは納得し、明澄の観察力に感服した。
「そろそろ行こうか、明澄……これ以上厳生たちを待たせちゃいけないからな」
「あっ、そうだった。」
詠寿は厳生たちが待ちくたびれていると思ってそろそろ研究室から立ち去る事を提案し、アロマポットの近くでクリア達が待っていることを忘れていた明澄はそれに同意する。
「すまないな、リョウジ時間を取らせてしまって、そろそろ行くよ」
「あらそうかい……大丈夫かい?」
詠寿は自分たちはもう戻ると言うと、リョウジは一人で戻れるか聞く。
「大丈夫さ、それより……“薬”のストック、もうないからなるべく早く作ってくれ。」
「――?」
詠寿は意味深な命令をリョウジたちに告げる。
「まぁ、善処はしますよ……お気をつけて。」
リョウジは詠寿の命令を承諾する。
「じゃあ行こう」
「? ――あっ、はい。」
詠寿にそう言われ、明澄も詠寿について行くように出て行った。
――明澄たちが研究室を去った後……、
「もしかして、あの様子明澄にまだ伝えてないのかねぇ」
明澄たちを見送った後、リョウジはそう発言する。
「あの様子だとまだ言っていないみたいね、まぁ仕方ないよ……あの“悪癖”は本人がそうしたくなくても相手を傷つけちゃうから、言いづらいのは仕方ない。」
「だから俺たちが治そうとしなきゃいけないんじゃないか……王子だけじゃない、他の鮫の人魚たちにも効く“悪癖”を治せる薬を」
ルメルダはリョウジのまだ大事なことを話していないのではという見解に同意し、クローディオが眼を試薬品に向けてそれを手に取る。
「俺の中に眠る“魔女”の血筋の名に懸けて作ってやるさ、王子には……人魚姫の二の舞には絶対にさせない。詠寿にはちゃんと幸せになって欲しいから。」
――ぐっ!
クローディオは研究結果がいい方向に進まないことに歯がゆい気持ちを抑えながら、試薬品が入ったコルクの封がしてある試験管を握りしめる。
「ーーそれは俺も同じだ、クローディオ。リヴェラを亡くした後、クエシスにもそう誓ったんだからよ」
完成の日を焦りでもどかしそうにするクローディオに目標は自分も一緒だとリョウジは言う。
「今処方してるやつはあくまで抑制でしかない……、心優しい詠寿様にはこの悪癖はつらいだろうから早く治してやりたい」
「焦るんじゃないよ、クローディオ。焦って失敗したら元も子もないだろう?」
薬が完成になかなか至らず焦るクローディオにルメルダは焦りは失敗につながりかねない為、先走りするなと忠告する。
「わかってるさルメルダ、でもどうしても……」
――そんなことは分かり切ってはいるが、どうしても不安要素が拭えない。
クローディオはそう言いたげな目をして口を噤む。
「――今、俺達が出来ることは詠寿サマを含めた鮫の人魚の“悪癖”を治すような薬を作ることと、明澄ちゃんがちゃんと詠寿サマの悪癖を知ったうえで受け入れてくれることを祈るだけだ」
リョウジが自分たちは二人を温かく見守ることと、詠寿を含めた鮫の人魚の悪癖を治すことに尽力を尽くすしかないと言う。
「今は明澄ちゃんと詠寿サマをちゃんと見守ろう、厳生ちゃんの言う通り、俺も明澄ちゃんには……詠寿サマのことちゃんと知って欲しいからな」
そして自分たちはただ二人を見守ろうとルメルダとクローディオに奨めるのだった。
「ーーあぁ、そういやアナタとはまだ起きた状態で会っていなかったな、そうか……。」
明澄はルメルダと何処かで会ったことがあったか聞いた。ルメルダは明澄の言葉で明澄が起きた状態で話をしたことがなかったことを思い出した。
「ーーじゃあ改めて自己紹介するわね、明澄様。この王宮で薬師をやっている“ルメルダ”よ、ここにいるリョウジの研究員仲間なの。」
「どっ、どうも……」
人魚の女性はルメルダと名乗り、自分は薬師でリョウジの研究員仲間ということを明澄に明かした。親しみやすいように接してくれているのはいいが、どこかであったかと戸惑いながらも挨拶を済ませる。
「昨日、お前が砕波の件で取り乱した時にクローディオと一緒にお前を診察してくれたんだ。だからお前の顔を知っているんだよ。」
詠寿は、ルメルダは明澄が砕波にちょっかいを出されて取り乱した時に診察してくれた人物の一人だと明かし、ルメルダが明澄を知っている理由を明かした。
「“クローディオ”?」
「医務長さ、この王宮にある医務室の取締役。」
聞き覚えのない名前に詠寿にクローディオと呼ぶ人物が誰なのか聞くと、王宮にある医務室の管理や医務係の管理や教育、怪我人の介護と治療など王宮内の医務全般を任せられている医務長だとリョウジが詠寿の代わりに答える。
「容体が酷ければ薬を出すかもしれないからって言われて同行したのよ、そうなったらすぐ何を作ればいいか指示できるからって」
「ーーあっ、そうだったんだ。」
ルメルダがそうした理由でクローディオに呼ばれた為に明澄の事は知っているのだと話し、明澄は漸くルメルダが自分を知っている理由を理解できた。
そしてふとルメルダの下半身を見ると、ルメルダの下半身は青い体色をしていて、太い黄色いラインが入った魚だった。
「あの、失礼ですが……」
「――ん、なぁに?」
「綺麗な色ですね、腹びれや背びれの感じからして“アオダイ”の仲間ですか?」
明澄は明澄はルメルダの下半身を見ながらルメルダの下半身に有るヒレの形状からして鯛の仲間か聞き、さらにアオダイの仲間なのかルメルダの魚種を確認する。
「ーーおや? うふふ、本当だ。」
そう聞いてくる明澄にルメルダは一人くすくすと笑う。
「――?」
「いえね……、アリヴがさっき言っていたけど魚に詳しい人だって本当だったんだなって思ってね」
ルメルダは決して馬鹿にしたつもりではないことを弁解し、アリヴが言っていたことが本当だったことを知って思わずほころんで笑ってしまっただけだと話す。
「でも惜しいわ、アオダイの仲間ではあるけれど……私はウメイロの人魚よ」
ルメルダは明澄が惜しいところまで行っていたことに感心し、自分はアオダイの仲間であるウメイロの人魚である事を明かした。
「ウメイロかぁ……」
「ーー残念だったな。」
明澄はルメルダの魚種を外したことに少し悔しそうに言うと、詠寿はそれを慰めるように声を掛ける。
「ははは……ルメルダの魚種は知ってたら“魚博士レベル”だからな。そこまでいい線行っていたなら大したもんだよ」
リョウジはルメルダの魚種は相当マニアックな為、近いところまで答えた明澄を逆に称賛してフォローを入れる。
「そう言えばリョウジ、ルメルダに何を頼んでいたんだ?」
「あぁ……、材料のストックをね。もう少しで出来そうな新薬があるんだけどね、もうちょっとのところで材料が切れちまったもんだから昼飯買いに行くって言うもんで、ついでにルメルダに頼んだんだよ」
詠寿はリョウジがルメルダに何を頼んだか聞くと、リョウジは必要な材料のストックが切れていたので昼飯を買いに街に出かけようとしたルメルダに新薬に必要な材料を頼んだのだと話した。
「必要な奴……? 他にもあったでしょうが! 以前の依頼された調合で使い切った材料とか!」
「あー、あったっけねぇ……あははは」
ルメルダが不機嫌そうに買い物欄に追加を多く頼んで荷物を重くした事を言うと、リョウジは笑ってごまかす。
「あ・ん・たねぇ~~、せめてこの小汚い机を何とかしなさいよ! どうしてあんたはそうなわけ!?」
「いででで……!」
ルメルダがリョウジのだらしなさに怒ってリョウジの耳を引っ張り、リョウジは痛みを訴える。夫婦漫才のようなやりとりを見て二人は苦笑いを浮かべる。
「こらこら、やめなさいよ……王子の御前で」
ーー二人のやり取りに呆れながらも、仲裁に入る声が研究所内に響いて来た……。
仲裁の声が響いた方向に振り向くと、研究室の入り口に30代ぐらいに見える男人魚一人立っており、傍には海亀がいた。海亀の方には詠寿たちが装着しているベルトそっくりなものを甲羅に着けて浮いている。
「クローディオ、快泉」
ルメルダがクローディオを目にしてリョウジの耳から指を放す。
「――たくっ、久々に研究室を覗いたらこれだもの……快泉の苦労が分かるよ」
――コクコクッ
クローディオと呼ばれた男人魚は快泉と呼ばれた海亀の立ち位置に同情すると言うと、同意してくれたクローディオに答えるかのように快泉は頷く。
「あの……もしかしてあなたが、“クローディオ"さん?」
明澄は先程ルメルダの話に出てきたクローディオ本人か聞いた。
「ーーん? おや……ご機嫌麗しゅう、明澄様。その様子だと大丈夫そうですね」
クローディオは明澄を目にすると挨拶をしてきた、
明澄の顔色を見てクローディオと思わしき男性人魚は問題なしと判断していた。
「その様子だと、俺があなたを診察した男だというのを知った様な感じですね?」
「――えっ? えぇ、まぁ」
クローディオがもしかして自分の事を詠寿の口から訊いたのか聞いてきたので、明澄はそうだと答える。
「じゃあ改めて……“クローディオ”と申します、明澄様。またお身体の具合が悪ければ仰ってくださいな。」
「あっ、いえ……こちらこそ、いろいろお世話になりました」
クローディオが一礼して改めて自己紹介してくると、明澄は自分を診察してくれたクローディオに逆にお礼を言う。明澄が慌てふためきながら挨拶する様子を見て詠寿はくすくすと笑っている。
「アリヴ兵士長から聞きましたよ、魚に詳しい方と……」
「いや、あの、そんなんじゃ……」
「ご謙遜を……さっきルメルダの魚種を惜しいところまで答えたくせに」
アリヴから明澄は魚に詳しいと聞いたとクローディオは言うと、明澄は照れて大したものじゃないと遠慮する姿勢を出すが、リョウジは明澄をからかうようにさっき明澄がルメルダの魚種をいいところまで当てたことをクローディオの前で明かす。
「ほぅ? じゃあ、俺がなんの人魚か……当てて貰おうとしますかな。」
「――えぇっ!?」
「あはは、頑張れ」
リョウジから聞いた言葉でそれならクイズ形式で自分の魚種も当てて貰おうとクローディオも意気込んてきて無茶ぶりをされて明澄は困惑する。詠寿は微笑ましそうにその様子を笑って応援する。
「言っときますけど、教えちゃだめですからね? 王子」
「ーー分かってるさ。」
クローディオは明澄がギブアップするまで詠寿に絶対に答えを教えるなと念を押し、詠寿は笑いながら了承する。
「えぇーと……」
プレッシャーを感じながらも明澄はクローディオの下半身をまじまじと見た。
(あっ、バイト先の水族館にもいた気がする……)
通常の魚の尾ひれの部分はクローディオにはなく、代わりに鞭状の尾が伸びている。
そして、腹は白く背中辺りは黒く白い斑点があった。そして決定的な菱形の体型、エイの仲間で間違いはない。これでもう明澄はクローディオの魚種は分かった。
明澄がバイトしていた水族館にもいたその魚種は……、
「エイ……多分、“マダラトビエイ”」
明澄はそう答えるとクローディオは笑顔で、「正解、お見事。」と称賛の言葉をかける。
「――おお、すげぇじゃないか。」
ぱちぱちぱち……
クローディオの魚種を正式名称で当てた明澄にリョウジ達は拍手して称賛する。
「エイだというのはまだしも、何処で“マダラトビエイ”と気付きましたか?」
「体の斑点かな? 黒い身体だったのもそうだし、普通のエイより尻尾長かったし。それに貴方と同じエイがボクの働いていたところにいたんです」
身体の形状でエイだと言うのは察しがついたのは良いとして、何処で自分がマダラトビエイの人魚だったと分かったのか聞くと鞭上の尻尾が通常のエイより長かったのと、黒い斑点で水族館にいたエイの姿を思い出し、答えることが出来たと明澄は正直に答えた。
「ーー成程、まいりました。」
その答えを聞いたクローディオは納得し、明澄の観察力に感服した。
「そろそろ行こうか、明澄……これ以上厳生たちを待たせちゃいけないからな」
「あっ、そうだった。」
詠寿は厳生たちが待ちくたびれていると思ってそろそろ研究室から立ち去る事を提案し、アロマポットの近くでクリア達が待っていることを忘れていた明澄はそれに同意する。
「すまないな、リョウジ時間を取らせてしまって、そろそろ行くよ」
「あらそうかい……大丈夫かい?」
詠寿は自分たちはもう戻ると言うと、リョウジは一人で戻れるか聞く。
「大丈夫さ、それより……“薬”のストック、もうないからなるべく早く作ってくれ。」
「――?」
詠寿は意味深な命令をリョウジたちに告げる。
「まぁ、善処はしますよ……お気をつけて。」
リョウジは詠寿の命令を承諾する。
「じゃあ行こう」
「? ――あっ、はい。」
詠寿にそう言われ、明澄も詠寿について行くように出て行った。
――明澄たちが研究室を去った後……、
「もしかして、あの様子明澄にまだ伝えてないのかねぇ」
明澄たちを見送った後、リョウジはそう発言する。
「あの様子だとまだ言っていないみたいね、まぁ仕方ないよ……あの“悪癖”は本人がそうしたくなくても相手を傷つけちゃうから、言いづらいのは仕方ない。」
「だから俺たちが治そうとしなきゃいけないんじゃないか……王子だけじゃない、他の鮫の人魚たちにも効く“悪癖”を治せる薬を」
ルメルダはリョウジのまだ大事なことを話していないのではという見解に同意し、クローディオが眼を試薬品に向けてそれを手に取る。
「俺の中に眠る“魔女”の血筋の名に懸けて作ってやるさ、王子には……人魚姫の二の舞には絶対にさせない。詠寿にはちゃんと幸せになって欲しいから。」
――ぐっ!
クローディオは研究結果がいい方向に進まないことに歯がゆい気持ちを抑えながら、試薬品が入ったコルクの封がしてある試験管を握りしめる。
「ーーそれは俺も同じだ、クローディオ。リヴェラを亡くした後、クエシスにもそう誓ったんだからよ」
完成の日を焦りでもどかしそうにするクローディオに目標は自分も一緒だとリョウジは言う。
「今処方してるやつはあくまで抑制でしかない……、心優しい詠寿様にはこの悪癖はつらいだろうから早く治してやりたい」
「焦るんじゃないよ、クローディオ。焦って失敗したら元も子もないだろう?」
薬が完成になかなか至らず焦るクローディオにルメルダは焦りは失敗につながりかねない為、先走りするなと忠告する。
「わかってるさルメルダ、でもどうしても……」
――そんなことは分かり切ってはいるが、どうしても不安要素が拭えない。
クローディオはそう言いたげな目をして口を噤む。
「――今、俺達が出来ることは詠寿サマを含めた鮫の人魚の“悪癖”を治すような薬を作ることと、明澄ちゃんがちゃんと詠寿サマの悪癖を知ったうえで受け入れてくれることを祈るだけだ」
リョウジが自分たちは二人を温かく見守ることと、詠寿を含めた鮫の人魚の悪癖を治すことに尽力を尽くすしかないと言う。
「今は明澄ちゃんと詠寿サマをちゃんと見守ろう、厳生ちゃんの言う通り、俺も明澄ちゃんには……詠寿サマのことちゃんと知って欲しいからな」
そして自分たちはただ二人を見守ろうとルメルダとクローディオに奨めるのだった。
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