転生草の約束

おにぎり

文字の大きさ
3 / 10
第一章、草の友達

3、悪口とか夢

しおりを挟む
 俺はケリーに聞く。

「お前が、縄文人……いや、マンモスを狩っていたことは分かった」

「マンモス?あの毛むくじゃらマンモスっていうのか!弱そうな名前だな」

「……うん。でな、お前はいつからこの世界にいるんだ?」

「俺か?俺はな、いつからだろう」

 ケリーは少し考えた後、葉を揺らして答えた。

「1000年前からだな!人の一生を2回と、1回賢者を挟んでエルフやってから、草だ」

「なんか、なんだろう……」

「言葉に困るなよ。それが一番傷つくわ」

「あ、ごめん」


 これは、整理できたのか?よりケリーという人……ケリーという草が不思議になっただけだ。

「おい!」

 ケリーが叫んだ。その勢いでケリーの実がいくつか落ちる。

「だからお前、賢者は気にならないのかよ!」

「えぇ、そんな聞いてほしいの?」

「逆に気にならないのかよ!」


 気にならないと言えば嘘になる。だが、今はそれどころではないというのが実際のところ。

 一体、何から聞いたらいいのやら。


「よし!」

 ケリーが大きく息をする。

「考えるのをやめよう!この話はなしだ!」

 あぁ、そうか。そうだよな。

 俺は同意して言う。

「考えるのをやめればいい!俺とお前は友達!それだけだ!」

「あぁ!そうだとも!」

 よかった。ケリーも同意してくれたぞ!


 しばらくしてから、ケリーが俺に言った。

「にしても偶然がすぎるよなぁ。ここに元日本人が2人もいるなんてよ」

「そりゃあそうだよな。ま、俺がここにいるのは神様の座標ミスなんだがな!ははは!」

「あ?お前も……か?」

 お前もか。ケリーのその言葉に、俺は腹が震えた。


 たぶん、考えているのは同じだ。
 ケリーも、表情は見えないが、草の動きがそれを表している。

「リング、お前もか」

 ケリーが俺を見て言った。

 あぁ。そうだとも。

 直後、俺たちは神様の悪口を思いっきり言ってやった。
 クズだのなんだのクソだのと。

 それを言い終わった時、実はまだ言い足りなかった。
 だが、もう日が暮れて夜が来てしまうということで、神様の悪口言おう大会はこれにて閉会となった。


 夜。星空を見ながら話す。

「ケリー、お前の夢は何?」

「夢なんて、もうねぇよ。賢者とエルフだった時に全部叶えた」

「すごいな。そんなこと言ってみたいわ」

「リング、そんなこと言った後、何が残るか知ってるか?」

 何も分からない。夢が全部叶った後ってことか?
 俺が答えられずにいると、ケリーが小さく笑って、言った。

「無だよ。どうやって生きればいいか分かんねぇ。情けない話だがな」

「そんなことない。何かあるさ。きっと」

「そうかなあ。夢を探す人生ってのも、いいのかな。……あ、草生か」


 ジワジワくるな、草生って。それはケリーも同じようだった。始め小さく笑うだけだった俺たちは、いつの間にか大きく笑い、草を揺らして泣いていた。


 時代が違えば……ケリーがいれば、俺の前世はどんな人生だっただろうか。

 辛いことなんて忘れて、こうして笑い合えたのかもしれない。

 そんな心を抑えきれず、俺はケリーに言った。

「なぁケリー、この満天の空を見ろよ」

 俺たちの頭上に広がるのは、遥か先にある星々の光。今まで見た夜空の、どれよりも美しい。


「この星一つ一つに、夢が詰まってるんだ。その夢の光が、果てしない時間をかけてこの世界に降り注いでる」

 ケリーは夜空を眺め、ただじっと俺の言葉を聞いている。

「お前の叶えた夢なんて、この星空のに比べりゃ少ないもんだろう。時間はいくらだってある。辛くなったらさ、上を向こうや」

 ケリーは何も言わなかった。けれど、ありがとうとだけ静かに言った。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

まったく知らない世界に転生したようです

吉川 箱
ファンタジー
おっとりヲタク男子二十五歳成人。チート能力なし? まったく知らない世界に転生したようです。 何のヒントもないこの世界で、破滅フラグや地雷を踏まずに生き残れるか?! 頼れるのは己のみ、みたいです……? ※BLですがBがLな話は出て来ません。全年齢です。 私自身は全年齢の主人公ハーレムものBLだと思って書いてるけど、全く健全なファンタジー小説だとも言い張れるように書いております。つまり健全なお嬢さんの癖を歪めて火のないところへ煙を感じてほしい。 111話までは毎日更新。 それ以降は毎週金曜日20時に更新します。 カクヨムの方が文字数が多く、更新も先です。

転生してチートを手に入れました!!生まれた時から精霊王に囲まれてます…やだ

如月花恋
ファンタジー
…目の前がめっちゃ明るくなったと思ったら今度は…真っ白? 「え~…大丈夫?」 …大丈夫じゃないです というかあなた誰? 「神。ごめんね~?合コンしてたら死んじゃってた~」 …合…コン 私の死因…神様の合コン… …かない 「てことで…好きな所に転生していいよ!!」 好きな所…転生 じゃ異世界で 「異世界ってそんな子供みたいな…」 子供だし 小2 「まっいっか。分かった。知り合いのところ送るね」 よろです 魔法使えるところがいいな 「更に注文!?」 …神様のせいで死んだのに… 「あぁ!!分かりました!!」 やたね 「君…結構策士だな」 そう? 作戦とかは楽しいけど… 「う~ん…だったらあそこでも大丈夫かな。ちょうど人が足りないって言ってたし」 …あそこ? 「…うん。君ならやれるよ。頑張って」 …んな他人事みたいな… 「あ。爵位は結構高めだからね」 しゃくい…? 「じゃ!!」 え? ちょ…しゃくいの説明ぃぃぃぃ!!

出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜

シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。 起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。 その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。 絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。 役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。

3点スキルと食事転生。食いしん坊の幸福無双。〜メシ作るために、貰ったスキル、完全に戦闘狂向き〜

幸運寺大大吉丸◎ 書籍発売中
ファンタジー
伯爵家の当主と側室の子であるリアムは転生者である。 転生した時に、目立たないから大丈夫と貰ったスキルが、転生して直後、ひょんなことから1番知られてはいけない人にバレてしまう。 - 週間最高ランキング:総合297位 - ゲス要素があります。 - この話はフィクションです。

英雄将軍の隠し子は、軍学校で『普通』に暮らしたい。~でも前世の戦術知識がチートすぎて、気付けば帝国の影の支配者になっていました~

ヒミヤデリュージョン
ファンタジー
帝国辺境でただ静かに生き延びたいだけの少年・ヴァン。 彼に正義感はない。あるのは、母が遺したノートに記された、物理法則を応用した「高圧魔力」の理論と、徹底した費用対効果至上主義だけだ。 敵国三千の精鋭が灰燼城に迫る絶望的状況。ヴァンは剣を振るわず、心理戦と補給線攪乱だけで、たった三日で敵軍を撤退させる。 この効率的すぎる勝利は帝国の中枢に届き、彼は最高峰の帝国軍事学院への招待状を手に入れる。 「英雄になりたいわけじゃない。ただ、母の死の真相と父の秘密を知るため、生き残らなきゃならないだけだ」 無口最強の仮面メイド・シンカク、命を取引に差し出した狼耳少女・アイリ。彼は常にコスパの高い道を選び、母の遺したノートの謎、そして生まれて一度も会ったことのない父・帝国大元帥のいる帝都の闇へと踏み込んでいく。 正義も英雄も、損をするなら意味がない。合理主義が英雄譚を侵食していく、反英雄ミリタリー学園ファンタジー。

家族転生 ~父、勇者 母、大魔導師 兄、宰相 姉、公爵夫人 弟、S級暗殺者 妹、宮廷薬師 ……俺、門番~

北条新九郎
ファンタジー
 三好家は一家揃って全滅し、そして一家揃って異世界転生を果たしていた。  父は勇者として、母は大魔導師として異世界で名声を博し、現地人の期待に応えて魔王討伐に旅立つ。またその子供たちも兄は宰相、姉は公爵夫人、弟はS級暗殺者、妹は宮廷薬師として異世界を謳歌していた。  ただ、三好家第三子の神太郎だけは異世界において冴えない立場だった。  彼の職業は………………ただの門番である。  そして、そんな彼の目的はスローライフを送りつつ、異世界ハーレムを作ることだった。  週二回更新になります。お気に入り・感想、宜しくお願いします。

ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者

哀上
ファンタジー
チートを貰い転生した。 何も成し遂げることなく35年…… ついに前世の年齢を超えた。 ※ 第5回次世代ファンタジーカップにて“超個性的キャラクター賞”を受賞。 ※この小説は他サイトにも投稿しています。

転生能無し少女のゆるっとチートな異世界交流

犬社護
ファンタジー
10歳の祝福の儀で、イリア・ランスロット伯爵令嬢は、神様からギフトを貰えなかった。その日以降、家族から【能無し・役立たず】と罵られる日々が続くも、彼女はめげることなく、3年間懸命に努力し続ける。 しかし、13歳の誕生日を迎えても、取得魔法は1個、スキルに至ってはゼロという始末。 遂に我慢の限界を超えた家族から、王都追放処分を受けてしまう。 彼女は悲しみに暮れるも一念発起し、家族から最後の餞別として貰ったお金を使い、隣国行きの列車に乗るも、今度は山間部での落雷による脱線事故が起きてしまい、その衝撃で車外へ放り出され、列車もろとも崖下へと転落していく。 転落中、彼女は前世日本人-七瀬彩奈で、12歳で水難事故に巻き込まれ死んでしまったことを思い出し、現世13歳までの記憶が走馬灯として駆け巡りながら、絶望の淵に達したところで気絶してしまう。 そんな窮地のところをランクS冒険者ベイツに助けられると、神様からギフト《異世界交流》とスキル《アニマルセラピー》を貰っていることに気づかされ、そこから神鳥ルウリと知り合い、日本の家族とも交流できたことで、人生の転機を迎えることとなる。 人は、娯楽で癒されます。 動物や従魔たちには、何もありません。 私が異世界にいる家族と交流して、動物や従魔たちに癒しを与えましょう!

処理中です...