7 / 10
第一章、草の友達
7、正義とか神託
しおりを挟む
「お、おい!今何が起きたんじゃ!」
神様の声だ。
やばい。しらばっくれようかな……
俺が何も言わずにいると、神様の声が近づいて来た。
「どうせお主の仕業じゃろう!」
怒ってそうな感じ。かなり怒鳴り声に近い。
(俺じゃないよ)
俺は小さく、呟くように言った。
神様は大きくため息をついてから言う。
「人族の脅威を生み出していたというのに、これじゃ台無しなのじゃ!しかしお主、ここがエーリング界で良かったのぉ。もし外でやったら、天罰を与えんといかんところじゃったわい」
うーむ。何か、気になることが多すぎるな。
俺は気になることを聞いてみた。
「神様、人族の脅威って、何だ?」
「うむ。よくぞ聞いてくれたのぉ!」
神様はそう言うと、俺にことの顛末を教えてくれた。
以下が神様が説明してくれたことである。
「かつて、この世界が暴力により支配されていた時代。弱肉強食が当たり前だった時代に、わしは人族を作り出した。
わしは人族を魔獣のように牙や角を持たず、魔族のように魔法も扱えない。最弱の種族として生み出したのじゃ。
それはなぜかって?暴力が正義であるこの世界を、愛で満たしかったのじゃ。こう見えて、わしは平和主義での。
人族はわしの期待通り、世界を愛で満たしてくれたのじゃ。その道のりは険しいものじゃった。
暴力に打ちひしがれながらも、怯むことはあっても、決してそれに屈することはなかったのじゃ……」
そう言って、神様は、何かを思い出すかのように小さく息を吐いた。
「そうだったのか。でも、まるで今は違うような言い方をするんだな」
俺がそう聞くと、神様は大きく頷いて続けた。
「そうじゃ。人族はある時、暴力に加担し始めてしまったのじゃ。その役目である、愛を忘れての。
わしはそれを止めようと、愛の賢者を召喚した。もう一度、愛を思い出して欲しくて。じゃが、ダメじゃった……
やつらはしぶとい。その結束力は半端ではない。
世界の危機を救おうお言っておる。じゃが今では、彼らの存在自体が、世界の危機になってしまっておるのじゃ」
大きくため息をつく神様。
人族は、そんなに愚かなのか?暴力による支配。愛を忘れた存在。
元々最弱だった?けど、今では世界に危機をもたらすまでに……
なぜ、愛を忘れてしまったんだ、人族よ。
「今回が、人族に対する最後の警告のはずじゃったんじゃ。
お主にその役目を、世界を愛で満たす最後の番人を担ってもらうはずじゃった。じゃが、少しばかり下手をこいてな」
それってまさか……
「座標をミスって、最後の警告ができなくなった?」
「そうなのじゃ」
神様、あなたという人は……
俺は腹立たしかった。人族に対しても、神様に対しても。
できることなら、俺が人族を救ってあげたかった。なんで、俺は草に……
「それに、事態は深刻なんじゃ!以前、お主に勇者の体を用意したと言ったじゃろう。
用意した体に、他の魂が宿ってしまったのじゃ!」
「一体、それはどういう……」
俺は神様が言っている意味が分からなかった。
「インパシオ王国の初代国王。人族で、最初に暴力によって世界を支配しようとした者の魂が、勇者の体に宿ってしまったのじゃ!
暴力を打ち滅ぼすはずの勇者が、今となっては愛を滅ぼそうとする存在に変わってしまったのじゃ!」
「そんな、とんでもないこと……じゃあ、どうするんだ!そんな存在が生み出されたのなら……」
「暴力の勇者は、暴れ回るじゃろう。世界を支配するために。
そうなればもはや、人族を滅亡させる他ないじゃろう。実際、わしは人類の脅威は用意しておった」
人族よ。正義とはなんだ。
お前たちの正義は、愛のはずだろう!
一度でいい、思い出してくれ!
しばらくして、神様が呟いた。
「じゃが……」
「じゃが?」
「お主が……何か変なものををあの山に飛ばしてきたんじゃ!それで、消滅してしまったのじゃ!
わしが用意しておった、人族滅亡のための脅威を!研究所も、すべてパーじゃ!失くなった!」
「あ……」
「お主のせいじゃ!」
「それを言ったら……神様が座標をミスったのがそもそもの……」
「そ、それを言うでない!」
なんか、申し訳ないことをした。だが、一応は日本人で、元人類だ。
この世界の人族の危機を救えたとも言える、かもしれない。それはそれで……
突然、神様が顔を上げた。
「そうじゃ……お主が、お主がやれば良いんじゃ!」
「え、何を」
「お主が、今の人族を、救えば良いのじゃ!わしはちと本気を出した力は、お主に宿っておる!」
「えっと、それはつまり……」
「ここで、遂に台本の登場じゃ!元々はお主が勇者の体を得てから言うつもりだったのじゃが……」
そう言って、神様はゴソゴソと何かを探し始めた。そして見つかったのか、くしゃくしゃの紙を広げる音が響いた。
――――
不運にもその命を謳歌できなかったものよ
ここに神託を授ける
暴力から世界を救い、世界に愛の名を轟かせよ
――――
神様の声だ。
やばい。しらばっくれようかな……
俺が何も言わずにいると、神様の声が近づいて来た。
「どうせお主の仕業じゃろう!」
怒ってそうな感じ。かなり怒鳴り声に近い。
(俺じゃないよ)
俺は小さく、呟くように言った。
神様は大きくため息をついてから言う。
「人族の脅威を生み出していたというのに、これじゃ台無しなのじゃ!しかしお主、ここがエーリング界で良かったのぉ。もし外でやったら、天罰を与えんといかんところじゃったわい」
うーむ。何か、気になることが多すぎるな。
俺は気になることを聞いてみた。
「神様、人族の脅威って、何だ?」
「うむ。よくぞ聞いてくれたのぉ!」
神様はそう言うと、俺にことの顛末を教えてくれた。
以下が神様が説明してくれたことである。
「かつて、この世界が暴力により支配されていた時代。弱肉強食が当たり前だった時代に、わしは人族を作り出した。
わしは人族を魔獣のように牙や角を持たず、魔族のように魔法も扱えない。最弱の種族として生み出したのじゃ。
それはなぜかって?暴力が正義であるこの世界を、愛で満たしかったのじゃ。こう見えて、わしは平和主義での。
人族はわしの期待通り、世界を愛で満たしてくれたのじゃ。その道のりは険しいものじゃった。
暴力に打ちひしがれながらも、怯むことはあっても、決してそれに屈することはなかったのじゃ……」
そう言って、神様は、何かを思い出すかのように小さく息を吐いた。
「そうだったのか。でも、まるで今は違うような言い方をするんだな」
俺がそう聞くと、神様は大きく頷いて続けた。
「そうじゃ。人族はある時、暴力に加担し始めてしまったのじゃ。その役目である、愛を忘れての。
わしはそれを止めようと、愛の賢者を召喚した。もう一度、愛を思い出して欲しくて。じゃが、ダメじゃった……
やつらはしぶとい。その結束力は半端ではない。
世界の危機を救おうお言っておる。じゃが今では、彼らの存在自体が、世界の危機になってしまっておるのじゃ」
大きくため息をつく神様。
人族は、そんなに愚かなのか?暴力による支配。愛を忘れた存在。
元々最弱だった?けど、今では世界に危機をもたらすまでに……
なぜ、愛を忘れてしまったんだ、人族よ。
「今回が、人族に対する最後の警告のはずじゃったんじゃ。
お主にその役目を、世界を愛で満たす最後の番人を担ってもらうはずじゃった。じゃが、少しばかり下手をこいてな」
それってまさか……
「座標をミスって、最後の警告ができなくなった?」
「そうなのじゃ」
神様、あなたという人は……
俺は腹立たしかった。人族に対しても、神様に対しても。
できることなら、俺が人族を救ってあげたかった。なんで、俺は草に……
「それに、事態は深刻なんじゃ!以前、お主に勇者の体を用意したと言ったじゃろう。
用意した体に、他の魂が宿ってしまったのじゃ!」
「一体、それはどういう……」
俺は神様が言っている意味が分からなかった。
「インパシオ王国の初代国王。人族で、最初に暴力によって世界を支配しようとした者の魂が、勇者の体に宿ってしまったのじゃ!
暴力を打ち滅ぼすはずの勇者が、今となっては愛を滅ぼそうとする存在に変わってしまったのじゃ!」
「そんな、とんでもないこと……じゃあ、どうするんだ!そんな存在が生み出されたのなら……」
「暴力の勇者は、暴れ回るじゃろう。世界を支配するために。
そうなればもはや、人族を滅亡させる他ないじゃろう。実際、わしは人類の脅威は用意しておった」
人族よ。正義とはなんだ。
お前たちの正義は、愛のはずだろう!
一度でいい、思い出してくれ!
しばらくして、神様が呟いた。
「じゃが……」
「じゃが?」
「お主が……何か変なものををあの山に飛ばしてきたんじゃ!それで、消滅してしまったのじゃ!
わしが用意しておった、人族滅亡のための脅威を!研究所も、すべてパーじゃ!失くなった!」
「あ……」
「お主のせいじゃ!」
「それを言ったら……神様が座標をミスったのがそもそもの……」
「そ、それを言うでない!」
なんか、申し訳ないことをした。だが、一応は日本人で、元人類だ。
この世界の人族の危機を救えたとも言える、かもしれない。それはそれで……
突然、神様が顔を上げた。
「そうじゃ……お主が、お主がやれば良いんじゃ!」
「え、何を」
「お主が、今の人族を、救えば良いのじゃ!わしはちと本気を出した力は、お主に宿っておる!」
「えっと、それはつまり……」
「ここで、遂に台本の登場じゃ!元々はお主が勇者の体を得てから言うつもりだったのじゃが……」
そう言って、神様はゴソゴソと何かを探し始めた。そして見つかったのか、くしゃくしゃの紙を広げる音が響いた。
――――
不運にもその命を謳歌できなかったものよ
ここに神託を授ける
暴力から世界を救い、世界に愛の名を轟かせよ
――――
0
あなたにおすすめの小説
まったく知らない世界に転生したようです
吉川 箱
ファンタジー
おっとりヲタク男子二十五歳成人。チート能力なし?
まったく知らない世界に転生したようです。
何のヒントもないこの世界で、破滅フラグや地雷を踏まずに生き残れるか?!
頼れるのは己のみ、みたいです……?
※BLですがBがLな話は出て来ません。全年齢です。
私自身は全年齢の主人公ハーレムものBLだと思って書いてるけど、全く健全なファンタジー小説だとも言い張れるように書いております。つまり健全なお嬢さんの癖を歪めて火のないところへ煙を感じてほしい。
111話までは毎日更新。
それ以降は毎週金曜日20時に更新します。
カクヨムの方が文字数が多く、更新も先です。
転生してチートを手に入れました!!生まれた時から精霊王に囲まれてます…やだ
如月花恋
ファンタジー
…目の前がめっちゃ明るくなったと思ったら今度は…真っ白?
「え~…大丈夫?」
…大丈夫じゃないです
というかあなた誰?
「神。ごめんね~?合コンしてたら死んじゃってた~」
…合…コン
私の死因…神様の合コン…
…かない
「てことで…好きな所に転生していいよ!!」
好きな所…転生
じゃ異世界で
「異世界ってそんな子供みたいな…」
子供だし
小2
「まっいっか。分かった。知り合いのところ送るね」
よろです
魔法使えるところがいいな
「更に注文!?」
…神様のせいで死んだのに…
「あぁ!!分かりました!!」
やたね
「君…結構策士だな」
そう?
作戦とかは楽しいけど…
「う~ん…だったらあそこでも大丈夫かな。ちょうど人が足りないって言ってたし」
…あそこ?
「…うん。君ならやれるよ。頑張って」
…んな他人事みたいな…
「あ。爵位は結構高めだからね」
しゃくい…?
「じゃ!!」
え?
ちょ…しゃくいの説明ぃぃぃぃ!!
出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜
シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。
起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。
その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。
絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。
役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。
3点スキルと食事転生。食いしん坊の幸福無双。〜メシ作るために、貰ったスキル、完全に戦闘狂向き〜
幸運寺大大吉丸◎ 書籍発売中
ファンタジー
伯爵家の当主と側室の子であるリアムは転生者である。
転生した時に、目立たないから大丈夫と貰ったスキルが、転生して直後、ひょんなことから1番知られてはいけない人にバレてしまう。
- 週間最高ランキング:総合297位
- ゲス要素があります。
- この話はフィクションです。
英雄将軍の隠し子は、軍学校で『普通』に暮らしたい。~でも前世の戦術知識がチートすぎて、気付けば帝国の影の支配者になっていました~
ヒミヤデリュージョン
ファンタジー
帝国辺境でただ静かに生き延びたいだけの少年・ヴァン。
彼に正義感はない。あるのは、母が遺したノートに記された、物理法則を応用した「高圧魔力」の理論と、徹底した費用対効果至上主義だけだ。
敵国三千の精鋭が灰燼城に迫る絶望的状況。ヴァンは剣を振るわず、心理戦と補給線攪乱だけで、たった三日で敵軍を撤退させる。
この効率的すぎる勝利は帝国の中枢に届き、彼は最高峰の帝国軍事学院への招待状を手に入れる。
「英雄になりたいわけじゃない。ただ、母の死の真相と父の秘密を知るため、生き残らなきゃならないだけだ」
無口最強の仮面メイド・シンカク、命を取引に差し出した狼耳少女・アイリ。彼は常にコスパの高い道を選び、母の遺したノートの謎、そして生まれて一度も会ったことのない父・帝国大元帥のいる帝都の闇へと踏み込んでいく。
正義も英雄も、損をするなら意味がない。合理主義が英雄譚を侵食していく、反英雄ミリタリー学園ファンタジー。
家族転生 ~父、勇者 母、大魔導師 兄、宰相 姉、公爵夫人 弟、S級暗殺者 妹、宮廷薬師 ……俺、門番~
北条新九郎
ファンタジー
三好家は一家揃って全滅し、そして一家揃って異世界転生を果たしていた。
父は勇者として、母は大魔導師として異世界で名声を博し、現地人の期待に応えて魔王討伐に旅立つ。またその子供たちも兄は宰相、姉は公爵夫人、弟はS級暗殺者、妹は宮廷薬師として異世界を謳歌していた。
ただ、三好家第三子の神太郎だけは異世界において冴えない立場だった。
彼の職業は………………ただの門番である。
そして、そんな彼の目的はスローライフを送りつつ、異世界ハーレムを作ることだった。
週二回更新になります。お気に入り・感想、宜しくお願いします。
ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者
哀上
ファンタジー
チートを貰い転生した。
何も成し遂げることなく35年……
ついに前世の年齢を超えた。
※ 第5回次世代ファンタジーカップにて“超個性的キャラクター賞”を受賞。
※この小説は他サイトにも投稿しています。
転生能無し少女のゆるっとチートな異世界交流
犬社護
ファンタジー
10歳の祝福の儀で、イリア・ランスロット伯爵令嬢は、神様からギフトを貰えなかった。その日以降、家族から【能無し・役立たず】と罵られる日々が続くも、彼女はめげることなく、3年間懸命に努力し続ける。
しかし、13歳の誕生日を迎えても、取得魔法は1個、スキルに至ってはゼロという始末。
遂に我慢の限界を超えた家族から、王都追放処分を受けてしまう。
彼女は悲しみに暮れるも一念発起し、家族から最後の餞別として貰ったお金を使い、隣国行きの列車に乗るも、今度は山間部での落雷による脱線事故が起きてしまい、その衝撃で車外へ放り出され、列車もろとも崖下へと転落していく。
転落中、彼女は前世日本人-七瀬彩奈で、12歳で水難事故に巻き込まれ死んでしまったことを思い出し、現世13歳までの記憶が走馬灯として駆け巡りながら、絶望の淵に達したところで気絶してしまう。
そんな窮地のところをランクS冒険者ベイツに助けられると、神様からギフト《異世界交流》とスキル《アニマルセラピー》を貰っていることに気づかされ、そこから神鳥ルウリと知り合い、日本の家族とも交流できたことで、人生の転機を迎えることとなる。
人は、娯楽で癒されます。
動物や従魔たちには、何もありません。
私が異世界にいる家族と交流して、動物や従魔たちに癒しを与えましょう!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる