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ep.3
3-3
* * *
「御堂さん、少し展示会見てきてもいいですか?」
三神峯から控えめにそう言われたのは、人の出が落ち着いた、まもなく終了の時間を迎える頃だった。
この展示会は医薬品だけでなく医療機器や研究機械の展示も行われている。今回三神峯は営業の補佐要因として同行してくれたが、三神峯の普段の業務からしても研究機械などには興味があるだろう。
「いいですよ、逆にすみません、ずっと僕たちが頼り切りで……」
「いえ、それが今回の僕の仕事ですし、そう言ってもらえるなら嬉しい限りですよ」
三神峯が作ってくれた概算書は即席で作ったものとは思えないほど隙がなかった。概算はもちろん、受注直後の売上から先10年の見通し、契約に伴う宣伝効果、細部まで記載された資料だった。そのまま上層部に提出しても問題はないほどだ。それを受注するたびに作ってくれるものだから、御堂は感心する反面、自分も勉強が足りないのだと実感していた。
「会場まわるの、僕も一緒について行ってもいいですか?」
「もちろんです」
終了間近とあって人の出は落ち着いているし、ブースには関西支社の営業部もいる。諏訪を一人残しても問題はないだろう。真面目にブース前に立つ諏訪にひと言声をかけて、三神峯と展示会場内をまわることにした。
御堂としては今回、諏訪の経験になればと思って連れてきたつもりだったが、あのあと諏訪の来場者対応に同席しても結局御堂が主導になって説明をしてしまった。三神峯の補助もあって反応は上々だったが、あれではあまり諏訪の勉強にはならなかった。今日一日通しての御堂自身の反省も兼ねて、広い展示会場を歩き出した。
(まつ毛長いな……。明美(※元カノ)より長いかも)
隣を歩く三神峯に視線を落とせば、綺麗な顔立ちに思わず感嘆のため息がこぼれた。色素の薄い髪と瞳、白く透明感のある肌。そのせいで、逆に痛々しい唇の傷が際立ってしまっている。男性特有の骨張った骨格ではないせいか、陽に溶けてしまいそうな髪と白い肌は違和感がなかった。彼から甘い香りがするのは香水なのか、それとも。
「御堂さん?」
「……あ、いえ。三神峯さんの髪の色、地毛なのかなって……」
三神峯は御堂の視線に気づいたのか、首を傾げた。まさか三神峯と前の彼女を見比べていました、なんて言えるはずもなく、口から出た言い訳はあまりにも幼稚な言葉だった。
「御堂さん、少し展示会見てきてもいいですか?」
三神峯から控えめにそう言われたのは、人の出が落ち着いた、まもなく終了の時間を迎える頃だった。
この展示会は医薬品だけでなく医療機器や研究機械の展示も行われている。今回三神峯は営業の補佐要因として同行してくれたが、三神峯の普段の業務からしても研究機械などには興味があるだろう。
「いいですよ、逆にすみません、ずっと僕たちが頼り切りで……」
「いえ、それが今回の僕の仕事ですし、そう言ってもらえるなら嬉しい限りですよ」
三神峯が作ってくれた概算書は即席で作ったものとは思えないほど隙がなかった。概算はもちろん、受注直後の売上から先10年の見通し、契約に伴う宣伝効果、細部まで記載された資料だった。そのまま上層部に提出しても問題はないほどだ。それを受注するたびに作ってくれるものだから、御堂は感心する反面、自分も勉強が足りないのだと実感していた。
「会場まわるの、僕も一緒について行ってもいいですか?」
「もちろんです」
終了間近とあって人の出は落ち着いているし、ブースには関西支社の営業部もいる。諏訪を一人残しても問題はないだろう。真面目にブース前に立つ諏訪にひと言声をかけて、三神峯と展示会場内をまわることにした。
御堂としては今回、諏訪の経験になればと思って連れてきたつもりだったが、あのあと諏訪の来場者対応に同席しても結局御堂が主導になって説明をしてしまった。三神峯の補助もあって反応は上々だったが、あれではあまり諏訪の勉強にはならなかった。今日一日通しての御堂自身の反省も兼ねて、広い展示会場を歩き出した。
(まつ毛長いな……。明美(※元カノ)より長いかも)
隣を歩く三神峯に視線を落とせば、綺麗な顔立ちに思わず感嘆のため息がこぼれた。色素の薄い髪と瞳、白く透明感のある肌。そのせいで、逆に痛々しい唇の傷が際立ってしまっている。男性特有の骨張った骨格ではないせいか、陽に溶けてしまいそうな髪と白い肌は違和感がなかった。彼から甘い香りがするのは香水なのか、それとも。
「御堂さん?」
「……あ、いえ。三神峯さんの髪の色、地毛なのかなって……」
三神峯は御堂の視線に気づいたのか、首を傾げた。まさか三神峯と前の彼女を見比べていました、なんて言えるはずもなく、口から出た言い訳はあまりにも幼稚な言葉だった。
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