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ep.3
3-4
しおりを挟む「? はい、母が外国籍なのと、父もハーフなもので。どちらかというと母方の血を強く引いてしまったんです。男なのに変ですよね」
「あ、そうなんですね。いや、綺麗だし似合うなと思いまして」
(俺は一体何を言っているんだ)
同性に綺麗だと言われても嬉しくはないだろう。そう慌てて取り繕う前に、一瞬驚いた顔をした三神峯は柔らかく微笑んだ。その顔に、不覚にも胸が高鳴ってしまう。
「御堂さん、やっぱりかっこいいですね」
「えっ」
「研究課の女性社員が御堂さんと仕事をするなんて羨ましいと言われて昨日プレゼンをされたんです。研究課でも女性の間では人気のようですよ。それを聞いていたからというわけではないですが、今日一日一緒に仕事をして、彼女たちの言う通り背も高いし、仕事も出来るしかっこいいなって」
自慢ではないがこれまで御堂の容姿や仕事ぶりを褒める人はたくさんいた。だけど、こんなにも嬉しく思ってしまうのは何故だろう。
「……あの」
「あ、ここの研究機械、気になっていたんです。見てもいいですか?」
「あっ、はい」
これは彼のお世辞であり、同じ課の女性社員が話していたことを伝えてくれているだけだ、と御堂は自分に言い聞かせながら相手の話を聞く三神峯の横に立つ。専門用語が飛び交う会話には正直ついていけず、ずっと三神峯の言葉が頭の中で巡っていた。
「いいなあ、この機械、ずっと導入したいと思っているんだけどなあ……」
「導入申請は出さないんですか?」
三神峯は相手と話しながら、小さくそう呟いた。昨今、社内では業務効率化を目的とした新システムの導入に前向きで、導入申請を出して承認が得られれば比較的すぐに導入することが可能だ。営業支援部でも何度かシステムを導入していることを聞いている。効率化になるのであれば、導入しないという選択肢は会社的にもあまりないだろう。
そう問えば、あきらめたようにため息をついた。
「何度かは試みています。でも、そもそも主任の承認から得られなくて。この機械を導入するだけでもかなり効率化になるとは踏んでいるのですが、効率化は私の工夫次第でどうにでもなると強く叱られたことがあって……」
「それは……」
「すみません、戻りましょうか」
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