甘くてほろ苦い、恋は蜜やかに。

米粉あげぱん

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ep.5

5-1

『東京ー、東京です』

「やっと終わった……」

「無事に終わってよかったです……」

 無事に展示会も終わり、東京に戻ってきた。この2日間で諏訪にもいい勉強になったと思う。御堂は東海道新幹線の改札を抜けて体を伸ばした。同行してくれた三神峯はというと、展示会の終了直前に外せない用事が出来てしまったと一足先に帰ってしまい、一緒に帰ってくることもまともにお礼をすることも叶わなかった。それが少しだけ、心残りである。

「諏訪、お疲れ」

「お疲れ様でした! 御堂主任、ありがとうございました!」

 時刻はすでに22時近くになっていた。展示会が終わったときに部長からは直帰していいと言われたため、諏訪とも東京駅で解散だ。

「あ、あとお礼なら三神峯さんにも言っておけよ。今回はあの人のおかげも大きいからな。週明け、メールでもチャットでも内線でもいいから」

「はい! 最後、忙しそうにしててお話しできませんでした……」

「研究がなかなか進まなくて色々大変だったらしいよ。そんな中来てくれてありがたいよ、本当に」

 外せない用事というのも、きっと彼の上司からの命令だろう。展示会中も何度も連絡が来ていたことに気づいていながらも何もできなかった自分のやるせなさに、御堂は苛立ちすら覚えていた。

「御堂主任?」

「……あ、ごめん。じゃあ今日のことは週明け、定例会で報告するから」

「分かりました! お疲れ様でした!」

 律儀に頭を下げる諏訪にもう一度お疲れ、と伝えて、家に帰るべく東西線の乗り換え口に向かう。この二日間は色々ありすぎて珍しく疲れてしまった。三神峯と一緒に仕事ができたことは諏訪にも、そして自分にもプラスになったと思う。それに、三神峯を守りたいと思うのは決して酒の勢いやその場の同情などではない。

(景、もう家に着いたかな……)

 メッセージアプリを開いて昨日交換したばかりの三神峯とのトーク画面を開く。しつこくメッセージを送るのもどうかと思って、昨日は三神峯の返信を見て終わりにしてしまった。本当は、声ももう一度聞きたかったけれど。

 ≪展示会お疲れ様。土日、ゆっくり休んでね。今度時間があったらコーヒーでも飲みに行こうよ≫

 デート一つ誘うのもこんなに緊張するなんて何年ぶりだろうか。御堂は電車のドアに凭れて三神峯が今朝返してきたマフラーに顔を埋めながら、トーク履歴を何度も読み返した。
 たった数回のやり取りを何度も読み返しては、顔が緩むのを抑えきれなかった。
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