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ep.5
5-2
≪こちらこそお疲れ様。最後まで居られなくてごめんね。ぜひコーヒーも連れてって≫
三神峯から返信が来たのは午前5時半を回った頃で、ちょうどいつもの癖で早くに目が覚めた御堂が日課であるジョギングに行こうとしていたタイミングだった。
≪おはよう。早いね。俺はこれからジョギングに行くよ≫
三神峯も同じように早くに目が覚めたのだろう、朝からメッセージのやりとりができることに心が浮足立つ。するとスマートフォンが突然震えだした。メッセージの通知ではなく、三神峯からの電話だった。はやる気持ちを抑えて、通話ボタンをタップする。
「おはよう、景。どうしたの?」
『あ……。おはよう。ごめんね、朝早くに』
浮かれた気持ちはすぐに冷静になった。電話越しの三神峯の声は、心なしか疲れているような声色だったからだ。
「いや、俺は起きてたからいいんだけど……。……景、眠れなかった? それとも、何かあった?」
そう問えば、三神峯は何かをためらうかのように息をこぼした。電話の向こうからは車が通る音と、ガラガラとスーツケースのようなものを引きずるような音がする。早朝でもスーツケースを引いている人はいるが、通行人が引いている音ではない。てっきり家にいて起きたばかりなのだと思っていたが、彼は家の中にいるのではないのだろうか。
嫌な予感が、御堂の中に走った。
「景、今どこに」
『……違うんだ。声、聞きたかっただけ。ちょっと嫌な夢見ちゃって。ごめん、こんなしょうもないことで電話しちゃって』
「今どこにいる? 外だよな?」
夢を見た、なんて嘘だ。御堂はそう確信した。強がる三神峯を諭すように、少しだけ口調を強める。
「景、俺は迷惑なんかじゃないよ。むしろ今電話してきてくれてることも嬉しい。それだけお前は、俺を頼ってくれてるんだろ」
『……っ』
「ね、大丈夫。だから教えて。今どこにいる?」
今度は優しく、宥めるように三神峯に問いかけた。御堂のその言葉に三神峯は言葉を詰まらせ、ガラガラと転がしていたスーツケースであろうの音が止まった。何度もためらったあと、三神峯は小さく呟く。
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