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私の主人、ご尊父と遊戯に勤しむ
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「ええ~?何この修羅場」
唐突に玄関口に現れた私と泣きながら怒りをぶちまけるベグマン様を見たプランは、開口一番このように言いました。
「修羅場と言えなくもないですが、感情が制御出来ていないのはベグマン様だけですので、やはり違うと思います」
「…まぁ、ベグマン様も相手が悪かったと思ってお茶でも飲んで落ち着いてください。僕が今気に入っているお茶とお菓子はおすすめですよ~」
「グラン様!ありがとうございます。この方、ガスピアージェ様は私の事がお嫌いなんですか?」
「いえ?嫌いでございませんよ。興味がないだけです」
「きぃぃっ!」
「またそうやって火に油を注ぐような事を言う~。大丈夫ですよベグマン様、エノームはシニフェ様の事しか見えていないだけです」
「いいえ、プランの事もそれなりに考えていますよ」
と私は反論をしましたが、プランはその答えを無視して、ベグマン様を応接室へ案内するためにいなくなっていました。
グラン邸の玄関ホールに残された私はまずはシニフェ様にも報告をする為に、近くを通りかかったメイドに電話をお借りする事にしました。
電話をかけるとワンコールでシニフェ様は出て下さいました。
大概シニフェ様は御用がなければすぐに電話を取って下さいます。
『プランどうした?』
「いいえ、エノームです」
『あれ?グラン邸の番号だからプランだと思ったのに。なんだお前達2人で遊んでいるのか?』
「遊んでいるわけではーー」
『俺を除け者にして遊ぶのか。そーかそーか。俺をハブっちゃう感じかぁ』
「ハブっちゃう・・・?なんでしょうそれは。昨日クーラッジュに渡したポーションが妙な事になってしまい、プランに助けを求めた次第です」
『ん?昨日のってカジノの件か?』
シニフェ様がそう言った瞬間、電話口の後ろの方で叫ぶ声が聞こえてきました。
『シーたん、カジノってどういう事かな!?パパそんなの聞いてないよ?』
『いや、ちょっ、お父様うるさい!エノームの声聞こえなくなるから!それにカジノの件もお母様の許可はもらってます!』
思いもよらない方向で侯爵にカジノの件がバレてしまいました。
『エノーム、エノームっていつもそうじゃない!今日はパパとチェスをするってお約束でしょう!?というかカジノなんて行ったら危ないでしょうっ!!!』
『チェスはまた今度してあげますから。ーーエノーム、今聞いた声と会話は忘れろ。とりあえずプランの家に行けば良いな?』
「はい」
と私が言うのと同時に、電話口からは侯爵が『パパは当分お休みがないんだよーー!』と叫ぶ声が響いておりました。
◆◆◆◆◆◆
「プラン坊ちゃん、グランメション様がいらっしゃいました」
メイドがプランにそう言うや否や、シニフェ様が応接室にいらっしゃいました。
「エノーム、プラン、2人だけで何かをするのはダメって何度も言っているのにっ、ってラーム嬢?なんでプランの家に?」
「グランメション様ごきげんよう。私もそこの、あなた以外にご興味がない唐変木に連れてこられたので理由は分かりませんわ」
にっこりとしながら刺のある返しをしてきたラーム嬢を見たシニフェ様は、面食らったようなお顔をされて私の方を向きました。
「ーーなんか、ラーム嬢いつもと違くない?」
「でしょうか?いつもこういったようだと思いますが。それよりも侯爵はよろしかったのですか?」
「言うな。今度のお父様が休みの際にお母様と3人で別荘に行く事で手を打ってもらった」
面倒そうにそうおっしゃって私の方に視線を向けられてると、続けて口を動かされます。
「お前も来るか?」
特に予定もないですし、私としては行くのはやぶさかではないですが、先ほど耳にした会話からしますと私が行くと侯爵は良い顔をしなさそうです。
これまで侯爵とは普通にお話をさせていただいておりました。とはいえ、あんな風に思われていると分かりますとせっかくの親子水入らずにお邪魔するのも気が引けます。
「……せっかくですから侯爵とチェスを楽しんで下さい。勝報をお待ちしています」
「そうか」
私たちがそんな会話をしていると、ラーム嬢がプランに何かを言っているようでした。
さて、シニフェ様もいらっしゃったので、改めて先ほどの『ポーションをベグマン前公爵にお渡しする』という件をお2人に説明をしました。
すると間髪入れずにシニフェ様が声を発しました。
「お爺様が具合悪いなんて心配だよなぁ。良いんじゃないか?別にウチから渡している材料については俺がもらっている植物園から採ってるから費用は問題ないし、横流しとか他の人に口外しないでもらえれば良いと思う。人助けだ!」
「そうは言ってもですねぇ。他の方にはお金を、それもかなり高額いただいちゃってるんですよねぇ~」
「グラン様!勿論お支払いはさせていただきますわっ!ベグマン公爵家の状況はお聞き及びかとは思いますので正直に申し上げます。資金や資産は少ないですが家宝はそれなりにあるのです。たとえば代々伝わる鏡、これは伝説の魔法使いの力の一部が封じ込められているという代物ですっ!こう言った物を好む方であれば高額で購入されると思うのです」
「「「鏡!?」」」
ベグマン様の言った単語に私たちは声を揃えました。
その反応を見たベグマン様は目をキラリと光らせました。
「そのご様子、皆様もご興味があるようですね。いかがですか?魔法薬1年分と交換で」
唐突に玄関口に現れた私と泣きながら怒りをぶちまけるベグマン様を見たプランは、開口一番このように言いました。
「修羅場と言えなくもないですが、感情が制御出来ていないのはベグマン様だけですので、やはり違うと思います」
「…まぁ、ベグマン様も相手が悪かったと思ってお茶でも飲んで落ち着いてください。僕が今気に入っているお茶とお菓子はおすすめですよ~」
「グラン様!ありがとうございます。この方、ガスピアージェ様は私の事がお嫌いなんですか?」
「いえ?嫌いでございませんよ。興味がないだけです」
「きぃぃっ!」
「またそうやって火に油を注ぐような事を言う~。大丈夫ですよベグマン様、エノームはシニフェ様の事しか見えていないだけです」
「いいえ、プランの事もそれなりに考えていますよ」
と私は反論をしましたが、プランはその答えを無視して、ベグマン様を応接室へ案内するためにいなくなっていました。
グラン邸の玄関ホールに残された私はまずはシニフェ様にも報告をする為に、近くを通りかかったメイドに電話をお借りする事にしました。
電話をかけるとワンコールでシニフェ様は出て下さいました。
大概シニフェ様は御用がなければすぐに電話を取って下さいます。
『プランどうした?』
「いいえ、エノームです」
『あれ?グラン邸の番号だからプランだと思ったのに。なんだお前達2人で遊んでいるのか?』
「遊んでいるわけではーー」
『俺を除け者にして遊ぶのか。そーかそーか。俺をハブっちゃう感じかぁ』
「ハブっちゃう・・・?なんでしょうそれは。昨日クーラッジュに渡したポーションが妙な事になってしまい、プランに助けを求めた次第です」
『ん?昨日のってカジノの件か?』
シニフェ様がそう言った瞬間、電話口の後ろの方で叫ぶ声が聞こえてきました。
『シーたん、カジノってどういう事かな!?パパそんなの聞いてないよ?』
『いや、ちょっ、お父様うるさい!エノームの声聞こえなくなるから!それにカジノの件もお母様の許可はもらってます!』
思いもよらない方向で侯爵にカジノの件がバレてしまいました。
『エノーム、エノームっていつもそうじゃない!今日はパパとチェスをするってお約束でしょう!?というかカジノなんて行ったら危ないでしょうっ!!!』
『チェスはまた今度してあげますから。ーーエノーム、今聞いた声と会話は忘れろ。とりあえずプランの家に行けば良いな?』
「はい」
と私が言うのと同時に、電話口からは侯爵が『パパは当分お休みがないんだよーー!』と叫ぶ声が響いておりました。
◆◆◆◆◆◆
「プラン坊ちゃん、グランメション様がいらっしゃいました」
メイドがプランにそう言うや否や、シニフェ様が応接室にいらっしゃいました。
「エノーム、プラン、2人だけで何かをするのはダメって何度も言っているのにっ、ってラーム嬢?なんでプランの家に?」
「グランメション様ごきげんよう。私もそこの、あなた以外にご興味がない唐変木に連れてこられたので理由は分かりませんわ」
にっこりとしながら刺のある返しをしてきたラーム嬢を見たシニフェ様は、面食らったようなお顔をされて私の方を向きました。
「ーーなんか、ラーム嬢いつもと違くない?」
「でしょうか?いつもこういったようだと思いますが。それよりも侯爵はよろしかったのですか?」
「言うな。今度のお父様が休みの際にお母様と3人で別荘に行く事で手を打ってもらった」
面倒そうにそうおっしゃって私の方に視線を向けられてると、続けて口を動かされます。
「お前も来るか?」
特に予定もないですし、私としては行くのはやぶさかではないですが、先ほど耳にした会話からしますと私が行くと侯爵は良い顔をしなさそうです。
これまで侯爵とは普通にお話をさせていただいておりました。とはいえ、あんな風に思われていると分かりますとせっかくの親子水入らずにお邪魔するのも気が引けます。
「……せっかくですから侯爵とチェスを楽しんで下さい。勝報をお待ちしています」
「そうか」
私たちがそんな会話をしていると、ラーム嬢がプランに何かを言っているようでした。
さて、シニフェ様もいらっしゃったので、改めて先ほどの『ポーションをベグマン前公爵にお渡しする』という件をお2人に説明をしました。
すると間髪入れずにシニフェ様が声を発しました。
「お爺様が具合悪いなんて心配だよなぁ。良いんじゃないか?別にウチから渡している材料については俺がもらっている植物園から採ってるから費用は問題ないし、横流しとか他の人に口外しないでもらえれば良いと思う。人助けだ!」
「そうは言ってもですねぇ。他の方にはお金を、それもかなり高額いただいちゃってるんですよねぇ~」
「グラン様!勿論お支払いはさせていただきますわっ!ベグマン公爵家の状況はお聞き及びかとは思いますので正直に申し上げます。資金や資産は少ないですが家宝はそれなりにあるのです。たとえば代々伝わる鏡、これは伝説の魔法使いの力の一部が封じ込められているという代物ですっ!こう言った物を好む方であれば高額で購入されると思うのです」
「「「鏡!?」」」
ベグマン様の言った単語に私たちは声を揃えました。
その反応を見たベグマン様は目をキラリと光らせました。
「そのご様子、皆様もご興味があるようですね。いかがですか?魔法薬1年分と交換で」
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