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私の主人、幅広い人脈を見せつける

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ベグマン様の切ったカードで私たちの立場が一片に逆転してしまったようでした。
その申し出に、シニフェ様が即座に受け入れてしまいそうになっているのをプランがなんとか止めつつ頭の中でそろばんを弾いている様子が見て取れました。
私自身としても、願ったりな展開に思わず交渉成立と言ってしまいそうでした。
しかし、幸運な事に懸念点が私を引き止めてくれました。

「皆様方が何故当家ベグマン公爵家の家宝についてご存知なのかは存じませんが、これは本当に存在している物です。当家でも最早お爺様と私しか存在している事も保管場所も知りませんし、なくなってもバレません」
「非常に魅力的な申し出かと思います。とは言いましても問題は金銭ではないのです。先ほどもお話ししましたが、ご容態が分からない限り闇雲に魔法薬をお渡ししたくありません」
「でもエノーム、一回飲んで効いたんだから何かしら回復出来ているんじゃないか?」
「ポーションですからね、一時的な回復にはなります。しかし、それは病状の根本的な回復にならないのです。むしろ寿命を前借りして一時的に元気になっていると考えた方がよろしいでしょう。診断して、適した対応をするなり魔法薬を飲むべきです」
「それならエノームのお父様に頼めば良いんじゃないかなぁ?」
「それは…、ガスピアージェ様にはお伝えしましたが、わたくしの父は宮廷医師以外の診察は受けないと固く決めているのです」
「宮廷医師って、あんまり良い話聞かないけどな。お前達的にはどうなの?」

シニフェ様がそう投げかけた質問に私は返事を出すのは控えました。

「そうですねぇ、伝統とか権威があるのは間違いないですねぇ。でもそれが技術に比例するかとは言えないんじゃないでしょうか。ま、年配の方や高位の家柄では好まれていると思いますよ~」
「そうなんだな。俺は子供の頃から具合が悪い時とか何かあると全部エノームのお父様が診察してくれているからなぁ。そう言えば最近会ってないけど、サーヴィユおじさんは元気か?」
「元気ですよ。シニフェ様に覚えていただいていると伝えたら喜ぶと思います」
喜ぶと表現するよりも、感激するの方がふさわしいかもしれませんけども。

「私の父は宮廷や権威ある研究会とは永らく疎遠です。グランメション侯爵家やグラン伯爵家も私の父が対応させていただいておりますのでそちらとはあまり関係はないでしょうね。私の父は、私から見ましても権威とは真逆の人です。宮廷と並ぶ権威となると神殿ですが、ああ、良い事思いつきましたよ。ベグマン様、ベグマン公爵家は神殿とは懇意ですよね」
「はい。貧しいのに神殿にはよく献金をしたり、逆に神殿からお声がけをいただく事もございます」
神殿系であれば、私たちは非常に都合が良い人物がいるのです。
「魔法薬はもちろんご用意致しますが、まずは診断をさせていただけないでしょうか」
「え?!ですから、当家は…」
「私の父が診断させていただくのではございません。神殿でも最高位の方です。シニフェ様は神殿からも神聖な存在とされている純血のエルフと懇意なのです」
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