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やり直す時間
94:閉じられた道
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国王が仕切り直しをしてから、1週間程経った。
あの日、アガタとコラーロは私が戻って来るや涙を流して喜んでくれた。
「ご無事で何よりです」
「あの子爵はどうにかして懲らしめましょう!」
と私以上に怒ってくれていた。
無事に戻って来れたのも、2人が迅速にシュケレシュ、アケロンそれにエッセ侯爵にフルクトスと方々走り回ってくれていたからこそだ。私は2人にお礼を言って、それから国王が下した判断を伝えたのだった。
それからは同じように部屋の中で謹慎をして過ごしていた。謹慎初日は「今までと変わらないから」と軽く思っていたけれど、今後の話をシドンにしに行こうとホールクロックの扉を開けたところで時が止まった。
「…アガタ、コラーロ、ここを見てくれる?」
「はい。振り子がございますね」
「ゲートが閉じているようですね~」
なんと、アケロンが作って入れていたゲートが綺麗さっぱりなくなっているのだ。魔法で作った物が自然消滅する訳がないからアケロンが意図的に消したとしか考えられない。勝手な事をしすぎたとは分かっているので、文句も言えなかった。
おそらくシドンのことだから、コラーロから話を聞いてもう動き始めているだろう。アケロンが私をシュケレシュに行けないようにしていることも私に教えたくないことだと思うと行くべきではないのだろう。だからシドンやシュケレシュに関してはあまり問題視していない。
報告というか、顔を見せなきゃと思うのはフルクトスに対してだ。
アガタがフルクトスにまで助けを求めに行ったと聞いた時は卒倒しそうだった。だって私の問題で彼には全く関係がない事だし、国王やオケアノスと関わりを持つ事を避けているはずだから。
「とんでもございません。フルクトス殿下は話を聞くや急いでセルブス様に何か指示を出されて、それから魔法で何かをされていましたよ」
アガタの話で今度こそフルクトスに対して五体投地したくなった。
どれだけ借りを作らなければならないのか、と我ながら呆れてしまうし、おかげさまで無事にやっていますとご報告に行きたいのに…ゲートが開かないと何も出来ない。
私も何か魔法が使えれば、自分の力で会いに行けたのかしら。
ただの振り子と板しかなくなったホールクロックを前に私はそんな事を考えていた。
「皇女様、国王陛下より謁見の間へ来るようにと」
使いの方からの言葉をアガタが言いに来たので、私は今までの下らない考えを止めてアガタに向かって頷いてから書斎を後にした。
いつ呼ばれるかも分からなかったので、謹慎になってからは常に外出用に身支度をしていたお陰ですぐに出られる。アガタにもそのように指示をしていたので、2人で並んで自室の扉を開けると、侍従の方が驚いたように私たちを見ていた。
「お待たせいたしました」
「いいえ、全く待っておりません。随分と…ご用意の方は…全く問題なさそうですね」
「ええ。謹慎の身です。いつお呼出を受けても良いようにと思いまして」
「さようでございますか。もしかすると、他の方々がいらっしゃるまでお待たせする事になってしまうかもしれませんし、もう少しお部屋にいらっしゃるようにしますか?」
「お気遣いありがとうございます。しかし、そうしてしまって逆にお待たせする事になったら申し訳ございませんし、私が発端の事ですから、先に到着しておきたく思います」
「承知いたしました。では、参りましょう」
侍従の方に連れられて、私とアガタはゆっくりと謁見の間に向かって歩き始めた。
あの日、アガタとコラーロは私が戻って来るや涙を流して喜んでくれた。
「ご無事で何よりです」
「あの子爵はどうにかして懲らしめましょう!」
と私以上に怒ってくれていた。
無事に戻って来れたのも、2人が迅速にシュケレシュ、アケロンそれにエッセ侯爵にフルクトスと方々走り回ってくれていたからこそだ。私は2人にお礼を言って、それから国王が下した判断を伝えたのだった。
それからは同じように部屋の中で謹慎をして過ごしていた。謹慎初日は「今までと変わらないから」と軽く思っていたけれど、今後の話をシドンにしに行こうとホールクロックの扉を開けたところで時が止まった。
「…アガタ、コラーロ、ここを見てくれる?」
「はい。振り子がございますね」
「ゲートが閉じているようですね~」
なんと、アケロンが作って入れていたゲートが綺麗さっぱりなくなっているのだ。魔法で作った物が自然消滅する訳がないからアケロンが意図的に消したとしか考えられない。勝手な事をしすぎたとは分かっているので、文句も言えなかった。
おそらくシドンのことだから、コラーロから話を聞いてもう動き始めているだろう。アケロンが私をシュケレシュに行けないようにしていることも私に教えたくないことだと思うと行くべきではないのだろう。だからシドンやシュケレシュに関してはあまり問題視していない。
報告というか、顔を見せなきゃと思うのはフルクトスに対してだ。
アガタがフルクトスにまで助けを求めに行ったと聞いた時は卒倒しそうだった。だって私の問題で彼には全く関係がない事だし、国王やオケアノスと関わりを持つ事を避けているはずだから。
「とんでもございません。フルクトス殿下は話を聞くや急いでセルブス様に何か指示を出されて、それから魔法で何かをされていましたよ」
アガタの話で今度こそフルクトスに対して五体投地したくなった。
どれだけ借りを作らなければならないのか、と我ながら呆れてしまうし、おかげさまで無事にやっていますとご報告に行きたいのに…ゲートが開かないと何も出来ない。
私も何か魔法が使えれば、自分の力で会いに行けたのかしら。
ただの振り子と板しかなくなったホールクロックを前に私はそんな事を考えていた。
「皇女様、国王陛下より謁見の間へ来るようにと」
使いの方からの言葉をアガタが言いに来たので、私は今までの下らない考えを止めてアガタに向かって頷いてから書斎を後にした。
いつ呼ばれるかも分からなかったので、謹慎になってからは常に外出用に身支度をしていたお陰ですぐに出られる。アガタにもそのように指示をしていたので、2人で並んで自室の扉を開けると、侍従の方が驚いたように私たちを見ていた。
「お待たせいたしました」
「いいえ、全く待っておりません。随分と…ご用意の方は…全く問題なさそうですね」
「ええ。謹慎の身です。いつお呼出を受けても良いようにと思いまして」
「さようでございますか。もしかすると、他の方々がいらっしゃるまでお待たせする事になってしまうかもしれませんし、もう少しお部屋にいらっしゃるようにしますか?」
「お気遣いありがとうございます。しかし、そうしてしまって逆にお待たせする事になったら申し訳ございませんし、私が発端の事ですから、先に到着しておきたく思います」
「承知いたしました。では、参りましょう」
侍従の方に連れられて、私とアガタはゆっくりと謁見の間に向かって歩き始めた。
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