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女装男子って良くない? Byユリアーナ
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「おい、なにしてるんだよ」
「なにって、ドレスを着せてるだけだけど?」
リンドール邸の自室にて、私はルアにドレスを着せていた。
フリルとレースたっぷりの黒のドレスは可愛らしい。
うんうん、ルアに似合うね。
「⋯⋯俺は男なんだが?」
「女装男子っていいよね」
「よくねぇよ。少なくとも俺はい、や、だ」
「なんでよ? 可愛いじゃない」
「あんたと俺は違うんだよ」
はぁ、と息を吐くルア。
なんか疲れてる時のエヴァに似てる。
兄弟だから似ているのは当然か。
「人形でやれよ、こういうのは」
「本物に着せるからいいんじゃない!」
「⋯⋯知らねぇよ」
分かってないなぁルアは。
人形遊びより従者遊びのほうがよっぽど楽しいし、人形よりルアのほうが綺麗な顔をしているので着せ甲斐があるというものだ。
「⋯⋯ルアってさ、女装したことあるでしょ?」
「いきなりなんだよ」
「なんか、着せやすいなぁって思ったの。もしかして慣れてる? 女装癖でも⋯⋯」
「あるわけないだろ!」
―――だよねぇ~。
逆に女装癖があったら驚きである。
「⋯⋯けど、慣れてるのは本当だ」
「え?」
「任務で女装することもあったからな。⋯⋯エヴァに『下手くそだな』って言われて、女装の練習をしたことがある」
―――あ~、想像できるわ。
ルアを煽って腕を上げさせるとは、さすがエヴァ。
「ちなみに女装してなにしたの?」
「暗殺だよ。娼館通いの下衆を女の体で油断させて殺す」
「……最悪な仕事だね」
「まったくだ。二度としたくない。女性の暗殺者に頼めばいいのに……」
多分、女性暗殺者に頼まなかったのは、女装したルアがめちゃくちゃ可愛いからだろうな。
私はルアの姿を見て思う。
綺麗な黒髪(ウィッグで長髪)に、すらっとした手足(ドレスで隠しているけれど、無駄な脂肪がなく筋肉質だから見ればすぐに男だと分かる)は、どんな男もイチコロだろう。
―――これで目つきがもっと優しくなれば……。
さらにルアに心を堕とされる野郎は増えるだろう。
いや、だがこの目つきがまた魅力なのか……?
「ごしゅじんさま」
「あ、おかえりユリ」
おつかいを頼んでいた有能メイドのユリが戻ってくる。
と、ユリは目を見開いてルアを見つめる。
「驚いた? 今ね、ルアに女装させてるの」
「頼むユリ。こいつを俺から離してくれ」
ふふん、何を言っても無駄だぞルア。
ユリは私の複製体。
性格は最近ちょっと変わってきてるけど、根は私。
好みは一緒に決まっているではないか!
「―――ごしゅじんさま」
「なーに? ユリも一緒にやる?」
「……私では、ごしゅじんさまの理想に届きませんか……?」
「え?」
どうしたどうした?
私の理想って……どゆこと?
「私はごしゅじんさまの複製体です。どんな姿にでもなれる理想の人形だと思っていましたが……そうでは、なかったのですね」
―――ユリが落ち込んでるー!!
な、なんでそういう考えに発展するのかな!?
理想の人形って……まあたしかにそうだけど、でも私、ユリのこと人形だなんて思ってない。
「ユリ、ユリ。たしかにユリは理想の人形みたいな子だけど、今回の場合、ルアをからかって楽しむっていう目的もあるのよ」
「おい、今聞き捨てならない言葉が聞こえたんだが?」
「だから、勘違いしないで。ね?」
「無視すんじゃねぇよ馬鹿主人!」
「ごしゅじんさま……」
ルアはちょっと黙ってください!
今はユリのほうが大事だもん。
「そういうわけだから、ユリも一緒にやろ!」
「はいっ」
「お、おい、ユリ。お願いだ、助け……」
「申し訳ございませんルア様。私はごしゅじんさまの忠実なるメイドですので、そのお願いは聞けません」
この世の終わりのような顔をするルア。
大丈夫だって。
可愛い可愛い女の子にしてあげるからさ。
「じゃあルア、動かないでね~」
「私のメイド服も着てもらいましょう。きっとお似合いです」
「……誰か、助けてくれ」
こうして出来上がったルアは過去一可愛いゴスロリ地雷系女子と、ツンデレっぽいメイドさんになったのだった。
私の従者、最高だね。
「分かったでしょ、ユリ? 女装男子って良くない?」
「とっても良いです! 中身が男の子だからこそできる表情というものがあることを知ることができました。やはりごしゅじんさまは素晴らしいです」
「えっへん」
その後、ぐったりしたルアは部屋の隅で「なんでこんな姿に……」と嘆いていたが、私は見なかったことにした。
「またやろうね、ユリ」
「今度は何がよろしいでしょうか?」
「もうやめてくれ……」
――――――――――――
著者から/
ずっと書きたかったルアが女装される話です。可愛い服を着る女子もいいですが、かわいい服を着せられる男子(←「着る」ではなく「着せられる」が大事)も好きです。
実はルアはルミエール学院に入学した後、女装をするはめになったのですが……それはまた別の話。
「なにって、ドレスを着せてるだけだけど?」
リンドール邸の自室にて、私はルアにドレスを着せていた。
フリルとレースたっぷりの黒のドレスは可愛らしい。
うんうん、ルアに似合うね。
「⋯⋯俺は男なんだが?」
「女装男子っていいよね」
「よくねぇよ。少なくとも俺はい、や、だ」
「なんでよ? 可愛いじゃない」
「あんたと俺は違うんだよ」
はぁ、と息を吐くルア。
なんか疲れてる時のエヴァに似てる。
兄弟だから似ているのは当然か。
「人形でやれよ、こういうのは」
「本物に着せるからいいんじゃない!」
「⋯⋯知らねぇよ」
分かってないなぁルアは。
人形遊びより従者遊びのほうがよっぽど楽しいし、人形よりルアのほうが綺麗な顔をしているので着せ甲斐があるというものだ。
「⋯⋯ルアってさ、女装したことあるでしょ?」
「いきなりなんだよ」
「なんか、着せやすいなぁって思ったの。もしかして慣れてる? 女装癖でも⋯⋯」
「あるわけないだろ!」
―――だよねぇ~。
逆に女装癖があったら驚きである。
「⋯⋯けど、慣れてるのは本当だ」
「え?」
「任務で女装することもあったからな。⋯⋯エヴァに『下手くそだな』って言われて、女装の練習をしたことがある」
―――あ~、想像できるわ。
ルアを煽って腕を上げさせるとは、さすがエヴァ。
「ちなみに女装してなにしたの?」
「暗殺だよ。娼館通いの下衆を女の体で油断させて殺す」
「……最悪な仕事だね」
「まったくだ。二度としたくない。女性の暗殺者に頼めばいいのに……」
多分、女性暗殺者に頼まなかったのは、女装したルアがめちゃくちゃ可愛いからだろうな。
私はルアの姿を見て思う。
綺麗な黒髪(ウィッグで長髪)に、すらっとした手足(ドレスで隠しているけれど、無駄な脂肪がなく筋肉質だから見ればすぐに男だと分かる)は、どんな男もイチコロだろう。
―――これで目つきがもっと優しくなれば……。
さらにルアに心を堕とされる野郎は増えるだろう。
いや、だがこの目つきがまた魅力なのか……?
「ごしゅじんさま」
「あ、おかえりユリ」
おつかいを頼んでいた有能メイドのユリが戻ってくる。
と、ユリは目を見開いてルアを見つめる。
「驚いた? 今ね、ルアに女装させてるの」
「頼むユリ。こいつを俺から離してくれ」
ふふん、何を言っても無駄だぞルア。
ユリは私の複製体。
性格は最近ちょっと変わってきてるけど、根は私。
好みは一緒に決まっているではないか!
「―――ごしゅじんさま」
「なーに? ユリも一緒にやる?」
「……私では、ごしゅじんさまの理想に届きませんか……?」
「え?」
どうしたどうした?
私の理想って……どゆこと?
「私はごしゅじんさまの複製体です。どんな姿にでもなれる理想の人形だと思っていましたが……そうでは、なかったのですね」
―――ユリが落ち込んでるー!!
な、なんでそういう考えに発展するのかな!?
理想の人形って……まあたしかにそうだけど、でも私、ユリのこと人形だなんて思ってない。
「ユリ、ユリ。たしかにユリは理想の人形みたいな子だけど、今回の場合、ルアをからかって楽しむっていう目的もあるのよ」
「おい、今聞き捨てならない言葉が聞こえたんだが?」
「だから、勘違いしないで。ね?」
「無視すんじゃねぇよ馬鹿主人!」
「ごしゅじんさま……」
ルアはちょっと黙ってください!
今はユリのほうが大事だもん。
「そういうわけだから、ユリも一緒にやろ!」
「はいっ」
「お、おい、ユリ。お願いだ、助け……」
「申し訳ございませんルア様。私はごしゅじんさまの忠実なるメイドですので、そのお願いは聞けません」
この世の終わりのような顔をするルア。
大丈夫だって。
可愛い可愛い女の子にしてあげるからさ。
「じゃあルア、動かないでね~」
「私のメイド服も着てもらいましょう。きっとお似合いです」
「……誰か、助けてくれ」
こうして出来上がったルアは過去一可愛いゴスロリ地雷系女子と、ツンデレっぽいメイドさんになったのだった。
私の従者、最高だね。
「分かったでしょ、ユリ? 女装男子って良くない?」
「とっても良いです! 中身が男の子だからこそできる表情というものがあることを知ることができました。やはりごしゅじんさまは素晴らしいです」
「えっへん」
その後、ぐったりしたルアは部屋の隅で「なんでこんな姿に……」と嘆いていたが、私は見なかったことにした。
「またやろうね、ユリ」
「今度は何がよろしいでしょうか?」
「もうやめてくれ……」
――――――――――――
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