悪役令嬢の妹(=モブのはず)なのでメインキャラクターとは関わりたくありません! 〜快適な読書時間を満喫するため、モブに徹しようと思います〜

詩月結蒼

文字の大きさ
88 / 184
第一部

87.めっちゃ盛り上がってる~

しおりを挟む



 もしあの眉目秀麗で儚げなアルトゥール様が寵愛するとしたら、もう女神以外いないだろう。
 同じ国宝級の美女じゃなきゃつりあわない。

「えーっと、アルトゥール様からの贈り物、贈り物……」
「ユリィ。今つけてるバレッタは?」
「あっ、そうだった」

 すっかり忘れていた。

「ぜひ見せてくださいユリアーナお姉様!」
「少し、見せてもらってもいいかしら?」
「え、あ、はい」

 私はバレッタを取り、机に置いた。
 精密な細工によって作られたバレッタだ。
 銀製で作られた小さな銀木犀が素敵で、最近の私のお気に入りである。
 よくハーフアップにしているので、お風呂に入る時と寝る時以外は基本的につけており、不器用な私でも使いやすいのでありがたい。

「素敵……」
「銀木犀はリンドール家の家紋にもなっている花ですし、銀色はアルトゥール様の髪の色……。両家の関係を深めたいという意思が感じられます」
「金製じゃないところから、私はユリィのことを想って贈ったと思うの。ユリィは銀色の方が似合うからね」
「華美なものをあまり好まないユリアーナ様の性格も反映されてます」
「あっ……!」
「どうしたんですか? リズ様」
「か、勘違いかもしれないんですけど……アルトゥール様は銀髪ですよね? だから、銀製にしたのかなって……っ」
「!! 自分色に染めたいという微かな独占欲ですね!?」
「もしかしたら、ですけど、そうなります。……でも、もしそうだとしたら、これ、すごい愛の現れだと思いませんか?」
「~~すっごく愛を感じるわ」
「絶対に愛ですね、愛」
―――めっちゃ盛り上がってる~。

 私のことなのに私が一番ついていけない。
 もっと頑張らないとなぁ~。

―――センスいいよね、アルトゥール様は。

 このバレッタは単体で贈られたものだ。
 小さな箱に入っていて、何かと思って開けたらこんなに綺麗なものが出てきたので、ちょっとびっくりしたのを覚えている。

―――たしか、一緒にメッセージカードが入ってたっけ。『早く貴女に逢いたい』みたいなことが書かれてた気がする。

 やはり主要人物メインキャラクターの言うことは違う。

「愛のある婚約など、滅多にないこと……。ユリアーナお姉様が羨ましいです」
「ですが、私より素敵な人をまだ知らないから大切にしてくれているだけですよ。きっと数年後には他に好きな人ができるに決まって……」
「ユリアーナ様。それはないです。少なくとも見た目で選ぶことはないですし」
「そうですけど……」

 私よりも性格のいい人はたくさんいる。
 だからアルトゥール様が他の人を好きになっても何もおかしくないのだ。
 だって私よりも優れた人はたくさんいるのだから。

「大丈夫だよ、ユリィ」
「エリィ姉さん……?」
「一度好きになったら、その人以外好きにならないよ。他の人を好きになるなんて無に等しいから平気平気」
―――いや、アルトゥール様が私を好きかどうかは定かじゃないし、別に他の人と婚約し直しても特に何も思わないと思うよ?

 けれど、エリィが私を思って言ってくれたのは嬉しい。

「ありがと、エリィ姉さん」
「ふふ、どういたしまして」

 一通り話し終えると、リズ様が話題を振った。

「では、そろそろ恒例のアレに移りましょうか」
「アレ……?」
「ユリアーナお姉様は初めてですよね。アレというのは、女性同士のお茶会では定番のもの―――ズバリ、惚気話です!」

 え、のろけ……え?

「このために来ているようなものよね~」
「自分が話すのもいいですが、やはり、他の人のお話を聞くのも面白いものですしね」
「……」

 私はずっと、婚約祝いは貴族として普通のことで、ちょっと場が和んだ後に重要な本題が話されると思っていたのだが……

―――これ、重要なことでもなんでもない、ただの女子会というやつでは?

 このお茶会を開催する意義は、果たしてあるのだろうか。



――――――――――――
補足/
 銀木犀の花言葉は、
「あなたの気を引く」
「初恋」
「高潔」
「唯一の恋」など……
 恋にまつわることが多い花です。

補足2/
 家紋について軽く紹介させてください。

・リンドール公爵家……長剣に銀木犀
 →敵から国を守る騎士の血筋の現れ
・フォーレイン公爵家……雫とクロッカス
 →五穀豊穣
・シュヴァリエ伯爵家……白薔薇とベリー
 →日々の平穏など
・アンリィリル王国……赤い薔薇に緑の羽
 →高貴さと平和の祈願
(※アンリィリル王国のは国旗です)

 王族は国旗が家紋のようなものです。
 各家紋の花はその土地によく見られるものが多く、先祖が好きだった花などもあります。
 リンドール家は騎士団に所属する人が多いため剣が、フォーレイン家はアンリィリル王国の食糧を支える地のため雨の雫が家紋の一つになっています。

補足3/
 最後にあったユリィの質問にお応えします。

①重要なことでもなんでもない、ただの女子会というやつでは?
→正解。
②このお茶会を開催する意義は、果たしてあるのだろうか。
→ある。
 題名、キャッチコピー、タグが恋愛系なのに、これまでのお話のほとんどに恋愛系が含まれていなかったため。
(原因:著者が『恋愛は後回しでいっか~』と楽観し過ぎていたため。ルアの救出から従者の承認に辿り着くまで20話ぐらいかけてしまったから。など)
 つまり私のせいですね、はい。ここまで見てくださった読者の方に本当に感謝しています。ありがとうございます。
 お茶会はもう少し続きますので、お付き合いいただけると幸いです。

しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました

佐倉穂波
恋愛
 転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。  確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。 (そんな……死にたくないっ!)  乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。 2023.9.3 投稿分の改稿終了。 2023.9.4 表紙を作ってみました。 2023.9.15 完結。 2023.9.23 後日談を投稿しました。

【完結】6人目の娘として生まれました。目立たない伯爵令嬢なのに、なぜかイケメン公爵が離れない

朝日みらい
恋愛
エリーナは、伯爵家の6人目の娘として生まれましたが、幸せではありませんでした。彼女は両親からも兄姉からも無視されていました。それに才能も兄姉と比べると特に特別なところがなかったのです。そんな孤独な彼女の前に現れたのが、公爵家のヴィクトールでした。彼女のそばに支えて励ましてくれるのです。エリーナはヴィクトールに何かとほめられながら、自分の力を信じて幸せをつかむ物語です。

モブ転生とはこんなもの

詩森さよ(さよ吉)
恋愛
あたしはナナ。貧乏伯爵令嬢で転生者です。 乙女ゲームのプロローグで死んじゃうモブに転生したけど、奇跡的に助かったおかげで現在元気で幸せです。 今ゲームのラスト近くの婚約破棄の現場にいるんだけど、なんだか様子がおかしいの。 いったいどうしたらいいのかしら……。 現在筆者の時間的かつ体力的に感想などを受け付けない設定にしております。 どうぞよろしくお願いいたします。 他サイトでも公開しています。

プロローグでケリをつけた乙女ゲームに、悪役令嬢は必要ない(と思いたい)

犬野きらり
恋愛
私、ミルフィーナ・ダルンは侯爵令嬢で二年前にこの世界が乙女ゲームと気づき本当にヒロインがいるか確認して、私は覚悟を決めた。 『ヒロインをゲーム本編に出さない。プロローグでケリをつける』 ヒロインは、お父様の再婚相手の連れ子な義妹、特に何もされていないが、今後が大変そうだからひとまず、ごめんなさい。プロローグは肩慣らし程度の攻略対象者の義兄。わかっていれば対応はできます。 まず乙女ゲームって一人の女の子が何人も男性を攻略出来ること自体、あり得ないのよ。ヒロインは天然だから気づかない、嘘、嘘。わかってて敢えてやってるからね、男落とし、それで成り上がってますから。 みんなに現実見せて、納得してもらう。揚げ足、ご都合に変換発言なんて上等!ヒロインと一緒の生活は、少しの発言でも悪役令嬢発言多々ありらしく、私も危ない。ごめんね、ヒロインさん、そんな理由で強制退去です。 でもこのゲーム退屈で途中でやめたから、その続き知りません。

追放された悪役令嬢はシングルマザー

ララ
恋愛
神様の手違いで死んでしまった主人公。第二の人生を幸せに生きてほしいと言われ転生するも何と転生先は悪役令嬢。 断罪回避に奮闘するも失敗。 国外追放先で国王の子を孕んでいることに気がつく。 この子は私の子よ!守ってみせるわ。 1人、子を育てる決心をする。 そんな彼女を暖かく見守る人たち。彼女を愛するもの。 さまざまな思惑が蠢く中彼女の掴み取る未来はいかに‥‥ ーーーー 完結確約 9話完結です。 短編のくくりですが10000字ちょっとで少し短いです。

3歳で捨てられた件

玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。 それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。 キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。

無一文で追放される悪女に転生したので特技を活かしてお金儲けを始めたら、聖女様と呼ばれるようになりました

結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
スーパームーンの美しい夜。仕事帰り、トラックに撥ねらてしまった私。気づけば草の生えた地面の上に倒れていた。目の前に見える城に入れば、盛大なパーティーの真っ最中。目の前にある豪華な食事を口にしていると見知らぬ男性にいきなり名前を呼ばれて、次期王妃候補の資格を失ったことを聞かされた。理由も分からないまま、家に帰宅すると「お前のような恥さらしは今日限り、出ていけ」と追い出されてしまう。途方に暮れる私についてきてくれたのは、私の専属メイドと御者の青年。そこで私は2人を連れて新天地目指して旅立つことにした。無一文だけど大丈夫。私は前世の特技を活かしてお金を稼ぐことが出来るのだから―― ※ 他サイトでも投稿中

昭和生まれお局様は、異世界転生いたしましたとさ

蒼あかり
ファンタジー
局田舞子(つぼたまいこ)43歳、独身。 とある事故をきっかけに、彼女は異世界へと転生することになった。 どうしてこんなことになったのか、訳もわからぬままに彼女は異世界に一人放り込まれ、辛い日々を過ごしながら苦悩する毎日......。 など送ることもなく、なんとなく順応しながら、それなりの日々を送って行くのでありました。 そんな彼女の異世界生活と、ほんの少しのラブロマンスっぽい何かを織り交ぜながらすすむ、そんな彼女の生活を覗いてみませんか? 毎日投稿はできないと思います。気長に更新をお待ちください。

処理中です...