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明日、断ろう

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「お、お母様今なんて」

「明日翠蓮様が此方の王宮にいらっしゃいますからしっかり身嗜みを整えるのよ、ナギ」

「それ前日に言うものですか!?」

俺の絶叫にもとぼけたような顔してほほほと笑うだけのお母様
急に嫁に行けと仰るお父様もだけど、お母様もとんでもない方だった


「お母様、明日その翠蓮様とやらがいらっしゃるのですね?僕も挨拶に行こうかな」

「へぇ~…俺のバルムンクをよぉーく磨いておこうかね」

「二人共止めて下さい…会いに行くのは俺だけでいいですから」

リギア兄様とダズ兄様が見慣れてない人なら卒倒する程の殺伐とした表情をしている
ちなみにバルムンクとはダズ兄様のお気に入りの剣だ


「落ち着きなさい息子達、どうするかはナギ次第ですからね。嫁ぐのであれば私が妃修行をお手伝いしますわよ」

「お母様は反対じゃないんですか、可愛いナギが旅立つかもしれないんですよ!?」

「ええ。国同士の繋がりは薄いですが、向方の皇女様とは機会がある度にお茶をする仲なのよ」

思わぬ所に繋がりがあって驚いたが、だからと言ってそこの皇太子が良い奴かと言われれば分からない訳で


「…取り敢えず会ってみます、今後の事は追追決めますから………」

兎も角一度会ってみないと分からないだろう
皇太子だってもしかしたら望まぬ男の嫁娶らされそうで怒り狂っているかも知れないし
と言うか多分そうだろう、王家とは言え何も誇る所のない俺なんかを娶るなんて嫌に決まっている

そうであれば直ぐにお断りの話をして、一件落着だ


あまり気負いはしていないが、緊張はする…



「さぁ、皆食べ終えたなら食後のお祈りをしますよ」

美味しい筈の食事の味は、後半ほぼ味がしなかった



部屋に戻る前に、ずっと黙っていたケリー兄様が俺の傍に近付いてきた

「…?ケリー兄様、どうかしましたか?」

「いいですかナギ、明日、皇太子にお茶を出す際はこの小瓶の中身を全て入れなさい」

「え、これは……」

こっそりと俺の手に握らせた小瓶をまじまじと見つめる

黒と緑がぐちゃぐちゃに混じったような、如何にも毒ですと言うような見た目だった


「に、兄様これ酷い色してます。と言うかこんなものずっと持っていたんですか!?」

「いつかナギが危険な目に会った時用に持っておいたものです。これを入れればお腹を壊して真面に話せなくなります」

「なんてもの持ってるんですか!!と言うか俺に隣国の皇太子様に毒を盛るなんて大犯罪をさせないでください!!!」

それからケリー兄様に返しますと押し付けても受け取っては貰えず

結局、小瓶を持ったまま部屋に帰ることになってしまった
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