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捜索の色
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長らくお待たせいたしました。週一更新のはずが、気付いたら更新せずに放置していました……。
不定期になるかとは思いますが、少しずつ更新を。
気長にお付き合いいただけると幸いです。
**********
細心の注意を払って、一文字一文字を拾い上げていく。書いては消してを繰り返した先。文章によって精緻に作り上げられた一つの世界。最初から最後までじっくりと目を通し。
「くぅぅ」
ぎしっと音を立てて椅子に凭れかかり。青藍は肺の底から空気を絞り出して、心地よい疲れとともに息を吐きだした。
チラリとパソコンの画面を一瞥して。青藍は己の口元に笑みが浮かぶのを自覚した。ゆっくりと目を閉じ、全身の力を抜く。長かったなぁと口の中で呟き、疲れの中に確かに存在する満足感に酔いしれた。
己の全てを絞り出して作る小説。それが、たった今完成した。
原稿が完成した。その知らせを受けて、菫は驚きの速さで駆けつけてきた。くたびれた様子で出迎えた青藍は全く視界に入っていない様子で飛び込んで来ると、一目散に書斎へと駆け込んでいき。
「つか、なんでお前までパスワード知ってんだ?!」
「煩いわね!あんたの考える事なんてお見通しに決まってるじゃない!」
のそりと後をついていった青藍は、がっくりと項垂れる羽目になった。邪魔をするなと言わんばかりに怒鳴りたてた菫の視線はパソコンに釘付けとなり。何故かパスワードが解除されて、出来上がった原稿が早速呼び出されて、読まれていた。
こうなった菫に何を言っても聞き入れられない。やれやれ、とため息をついた青藍は、一心不乱に読みふける菫をそのままにリビングへと引き返した。
「あー。満足。久々の満腹感だわぁ」
「お前の主食は小説か何かか」
「今更何言ってるのよ。当たり前でしょ」
ファイリングされた常盤の絵をじっくり眺めつつ、待つ事暫くして。ゆらりと現れた菫は、つやつやとした顔でリビングに現れた。しっかりUSBを握りしめた彼女は、実に満足気な表情をしている。自分のコーヒーを淹れるついでに菫の分も差し出してやると、ほくほく顔で受け取った。揶揄ってやるつもりが不発に終わり、やれやれと息をつく羽目になる。
「早速、社に持ち帰って作業させてもらうわ。青藍の久方ぶりの新作だもの。腕がなるわぁ」
「そりゃどうも。訂正部分があるなら纏めて一気に流してくれ。その他の雑事はそっちで勝手に処理してくれて構わん」
「いつも通りね。了解。……それはそうと、何見てたわけ?」
端的に打ち合わせを済ませ、二人してソファに沈む。菫が気に入った様子から見るに、今回の出来は悪くないのだろう。青藍自身満足していると、ふっと手元を覗き込まれた。ぎょっとしてつい隠すような動作をしてしまい、益々興味を持たれてしまう。
「絵?しかも、結構粗削りというか、完成品って感じがしない絵ね。珍しい」
「……」
一瞬見えただけなのに、相変わらず目が良い女である。さっさと見せなさいよ、と視線で圧を掛けられ。言い訳を探すも、降参した方が早いと理性が白旗を上げてしまい。渋々差し出す事になった。
「へぇ。綺麗ね」
「だろ」
自他ともに認める、文章については一流の編集者の菫。しかし、絵については専門外のはずだ。そのある意味一般人たる彼女にも、常盤の絵の魅力が伝わったらしい。息をのんだ菫は、一枚一枚じっくり丁寧に見つめている。その世界観に引き込まれていくのが見て取れる。
そうして暫く黙ったまま鑑賞していた菫だったが、ふと一枚の絵に釘付けになった。じっくり舐めるようにその絵を見つめ。何事かを考えるように首を傾げたかと思うと。
「青藍?」
ニヤリと笑って顔を上げた。
不定期になるかとは思いますが、少しずつ更新を。
気長にお付き合いいただけると幸いです。
**********
細心の注意を払って、一文字一文字を拾い上げていく。書いては消してを繰り返した先。文章によって精緻に作り上げられた一つの世界。最初から最後までじっくりと目を通し。
「くぅぅ」
ぎしっと音を立てて椅子に凭れかかり。青藍は肺の底から空気を絞り出して、心地よい疲れとともに息を吐きだした。
チラリとパソコンの画面を一瞥して。青藍は己の口元に笑みが浮かぶのを自覚した。ゆっくりと目を閉じ、全身の力を抜く。長かったなぁと口の中で呟き、疲れの中に確かに存在する満足感に酔いしれた。
己の全てを絞り出して作る小説。それが、たった今完成した。
原稿が完成した。その知らせを受けて、菫は驚きの速さで駆けつけてきた。くたびれた様子で出迎えた青藍は全く視界に入っていない様子で飛び込んで来ると、一目散に書斎へと駆け込んでいき。
「つか、なんでお前までパスワード知ってんだ?!」
「煩いわね!あんたの考える事なんてお見通しに決まってるじゃない!」
のそりと後をついていった青藍は、がっくりと項垂れる羽目になった。邪魔をするなと言わんばかりに怒鳴りたてた菫の視線はパソコンに釘付けとなり。何故かパスワードが解除されて、出来上がった原稿が早速呼び出されて、読まれていた。
こうなった菫に何を言っても聞き入れられない。やれやれ、とため息をついた青藍は、一心不乱に読みふける菫をそのままにリビングへと引き返した。
「あー。満足。久々の満腹感だわぁ」
「お前の主食は小説か何かか」
「今更何言ってるのよ。当たり前でしょ」
ファイリングされた常盤の絵をじっくり眺めつつ、待つ事暫くして。ゆらりと現れた菫は、つやつやとした顔でリビングに現れた。しっかりUSBを握りしめた彼女は、実に満足気な表情をしている。自分のコーヒーを淹れるついでに菫の分も差し出してやると、ほくほく顔で受け取った。揶揄ってやるつもりが不発に終わり、やれやれと息をつく羽目になる。
「早速、社に持ち帰って作業させてもらうわ。青藍の久方ぶりの新作だもの。腕がなるわぁ」
「そりゃどうも。訂正部分があるなら纏めて一気に流してくれ。その他の雑事はそっちで勝手に処理してくれて構わん」
「いつも通りね。了解。……それはそうと、何見てたわけ?」
端的に打ち合わせを済ませ、二人してソファに沈む。菫が気に入った様子から見るに、今回の出来は悪くないのだろう。青藍自身満足していると、ふっと手元を覗き込まれた。ぎょっとしてつい隠すような動作をしてしまい、益々興味を持たれてしまう。
「絵?しかも、結構粗削りというか、完成品って感じがしない絵ね。珍しい」
「……」
一瞬見えただけなのに、相変わらず目が良い女である。さっさと見せなさいよ、と視線で圧を掛けられ。言い訳を探すも、降参した方が早いと理性が白旗を上げてしまい。渋々差し出す事になった。
「へぇ。綺麗ね」
「だろ」
自他ともに認める、文章については一流の編集者の菫。しかし、絵については専門外のはずだ。そのある意味一般人たる彼女にも、常盤の絵の魅力が伝わったらしい。息をのんだ菫は、一枚一枚じっくり丁寧に見つめている。その世界観に引き込まれていくのが見て取れる。
そうして暫く黙ったまま鑑賞していた菫だったが、ふと一枚の絵に釘付けになった。じっくり舐めるようにその絵を見つめ。何事かを考えるように首を傾げたかと思うと。
「青藍?」
ニヤリと笑って顔を上げた。
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