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2・亡霊
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当時の俺は、ピアノ科クラシックピアノ専攻の二年で、齋藤秋名誉教授が指導教官としてついてくださっていた。
齋藤先生はお年を召されているため、第一線での演奏活動は控えておられたが、かつては日本人ピアニストの草分けとして海外でも活躍されていたという、尊敬できるかただった。
その先生が俺に、二年次の後期に取り組むべき楽曲として勧めたのは、シューベルトの即興曲集Op90。
フランツ・シューベルトが死の半年前に出版を切望したという曲集だが……正直言って難易度は低すぎ、弾くだけならどの曲も初見でこなせた。
特にOp90-2の変ホ長調などは、まるで子供の練習曲レベルだ。
同じシューベルトの即興曲なら、せめてOp142のほうがまだ取り組みがいがあったろうが……齋藤先生が俺にこの曲集を勧めた意図は明白だったので、文句も言えない。
「矢奈くんには簡単すぎるかもしれませんけれどね。簡単な曲ほど美しく弾きこなすのは難しいものですよ。まあ、やってみましょうか、あまり気負わずにね」
気負わずに……ともかく気楽に、最後まで弾きとおすこと。
つまりこの頃の俺は、それすらできないピアニストだったのだ。
毎日午後、斎藤先生に個人レッスンをつけていただく前に一時間ほど自主練習をするのが習慣になっていた。
ピアノ科の練習棟三階の一室は、特待生の特権として自由に使うことを許されている。
二台並んだグランドピアノの片方に向かい、指慣らしをしてから楽譜を開く。
四曲からなる即興曲のはじまりは、ハ短調。Allegro molto moderato(非常に程よい速度で快活に)。わかるようでわからない指示を念頭に置きながら鍵盤を叩けば、秋の枯れ葉を踏むような物悲しさと力強さを含む旋律が交互に現れてきた。
不思議な音楽だと感じる。これを作曲者の自由さとみるか、不安定さとみるかは判断の分かれるところかもしれない。
美しい曲だが、技術的な難しさはない。だから俺も気負わずに、淡々と弾きはじめ……やがて、シューベルトの描いた曲の景色に意識が塗りつぶされていく。
切ない主旋律。窓の外の枯れ葉。あまり光の射さない部屋のなかで、ひたすらピアノに向かい、練習に励む子供の姿。
懸命に、弾いても弾いても母に満足してはもらえない……いや、違う。母が求めていたのは俺が『上手に』弾くことではなく、『完璧』に弾いてコンクールで優勝すること。そしてピアニストとして成功することだ。
無名な地方私立大学のピアノ科などで、初歩的な曲に躓いている場合ではない。
気負わず、気楽に弾くんだ。こんな簡単な曲、なんなら目を瞑ってでも弾けるのだから。
「……はぁ……」
実際に目を閉じてみても、過去の練習室の風景は消えてくれない。
そう思うべきではない、と、わかっている思いこみも、自分自身で消せるものなら苦しみはしない。
それでも集中して、なんとか弾きとおそうとするのだが――やや曲の難易度があがる部分にさしかかると必ず聞こえてくるのが、母の叱責の声だ。
――『結加! どうしてそんなところを間違うの!』
間違っていない。ミスタッチはしていない……はず?
急きたてられるように指は勝手に動き、蠢く音の流れのなかで、より速く、もっと正確に、と気が焦る。
俺にとってのmoderatoは、母から逃げおおせる速度のことだ。やがて叱責が聞こえなくなり……ほっとして気を抜きそうになったとたん、今度は背後に気配を感じるのだった。
――『うん、そこは良い。とても良いが、もっと力を抜けないかな?』
ざわりと総毛だつが、曲はようやくハ短調のコーダが終わるところだ。ここで手は止められない。
後ろからするりと伸びてくる気配が、ズボンの隙間に入りこみ、太腿をじかに触る。
見なくてもわかっていた。それは皺の寄った皮に血管が浮きだした、老人の手だと。
耳元に吹きかけられる、ミントの香りの息。
――『力を抜いて……かつ、くっきりと、明瞭に、だ。指を止めたらおしおきだよ。さあ、弾き続けなさい』
「……っ!」
老人の指が、俺の太腿でテンポをとる。彼も高名なピアニストであり、器用な指先は時おり位置を変えて、俺の中央部でトリルの手本をみせる。
その、くすぐったさと奇妙さが入り混じった感覚を、まだ子供だった俺はどう捉えていいのかわからなかった。
生まれつき色素の薄い肌を赤く上気させながら、必死に鍵盤に縋りつく俺の姿に、老人は嬉しげに囁く。
――『とても良い。では、いま感じている気持ちを右手の旋律部分に込めてごらん』
幻想の言うとおりに指を動かしそうになってから、これは幻想だと思いだした。
ハ短調はとっくに終わり、いまは二曲目、変ホ長調Op.90-2の冒頭を弾きだすところだった。
我に返ったはずなのに、まだ老人がそばにいるような気がして、耐えきれずに後ろを振り向く。
もちろんそこには誰もいないのだが、防音ボードの小さな穴が俺を観察する無数の目に見えてきて、吐き気を催した。
頭の奥がちかちかするのは、呼吸ができていない証拠だ。ここにいるはずもない老ピアニストの口の臭いが、自分の身体のどこかからか漂ってくる。
ピアノの椅子から転げるように降り、窓に駆け寄って全開にした。
夏の終わりの風が吹きこむ。
ピアノから離れさえすれば、悪夢は遠のく。
脱力して窓脇にもたれかかりながら、俺に残っているのは絶望だけだった。
幼い頃、母のアクセサリーとして習い始めたピアノに素質を見いだされてから、ピアニストになるためだけに追いたてられてきた人生。
二十歳になり、自分の才能など宝石には届かない、貴石レベルのものだと気づいたとしても、いまさらほかの道を選べはしない。
俺にはピアノしかないのに、練習曲レベルの曲すら弾きとおせない――いや、違う。
(弾けないわけじゃない。『一人では』弾けないだけだ)
その証拠に――もう思いだしたくもないが――蛇体の前では弾けた。
やつが俺への誕生日プレゼントとして貸し切ったホテルのラウンジで、リクエストされるままショパンを披露したこともある。
きみは美しい、最高だと――熱のこもった眼差しと、曲の合間の囁きがあるあいだは、過去の亡霊を遠ざけていられた。
だが蛇体の言葉は、嘘だった。あれは俺を利用するために言っただけのおべっかにすぎず、お世辞に喜ぶ反応を観察して、作品に使うことが目的だった。
母は天才になれなかった息子を「恥ずかしい」と言って見放したし、老ピアニストは子供の体型ではなくなった俺に興味を失ったとたん、演奏をクソミソにけなして放りだした。
要するに、この世の誰も、俺のピアノなどほんとうには必要としていない。
弾く意味などどこにもない。
(だからといって……ほかになにができる? この世にしたいことなどなにもないのに)
吐き気はおさまったが、まだ息はしづらかった。
練習室の壁にゆらゆらと泳ぐ光の輪がある。なにかの反射だろうか?
立ちあがって、よろよろピアノに近づくと、脱力した手を鍵盤にのせた。
弾こうと意識したわけではないが、指が勝手に音を叩きだす。
ソソ、ラソラシ、ラソファミレ……バッハの『ゴルドベルク変奏曲』だ。
一年次に齋藤先生に勧められた課題曲。
バッハの友人の貴族が、お気に入りの少年に弾かせるために依頼した曲だそうで、俺は勝手に、その少年に親近感を抱いていた。
遊興にただれた中年男の、不眠の夜を慰めるためにピアノを弾く。まるで稚児だが、そこに自分の想いなど込める必要はなく、ただ淡々と、役目だから彼は弾いたのだろう。
喜びもなく、悲しみもなく。
バッハの完璧な音楽に亡霊の入りこむ余地などないらしく、この曲に限っては、演奏中に過去に追われることもなかった。
「――……」
しばらく弾いていると、コン、とドアを叩く音がして、齋藤先生がいらしたとわかった。
もう個人レッスンがはじまる時間らしい。俺は慌てて立ちあがり、開きっぱなしだった窓を閉めに行った。
ちらりと感じた眩しさが、裏庭に設置された銀色のテントのようなもののせいだと気づいたが、特になんの興味も湧かなかった。
もし、そのとき窓の外を見おろしていたら――俺は、俺を救ってくれる天使の姿を、もっと早く見いだすことができていたのだろうか?
齋藤先生はお年を召されているため、第一線での演奏活動は控えておられたが、かつては日本人ピアニストの草分けとして海外でも活躍されていたという、尊敬できるかただった。
その先生が俺に、二年次の後期に取り組むべき楽曲として勧めたのは、シューベルトの即興曲集Op90。
フランツ・シューベルトが死の半年前に出版を切望したという曲集だが……正直言って難易度は低すぎ、弾くだけならどの曲も初見でこなせた。
特にOp90-2の変ホ長調などは、まるで子供の練習曲レベルだ。
同じシューベルトの即興曲なら、せめてOp142のほうがまだ取り組みがいがあったろうが……齋藤先生が俺にこの曲集を勧めた意図は明白だったので、文句も言えない。
「矢奈くんには簡単すぎるかもしれませんけれどね。簡単な曲ほど美しく弾きこなすのは難しいものですよ。まあ、やってみましょうか、あまり気負わずにね」
気負わずに……ともかく気楽に、最後まで弾きとおすこと。
つまりこの頃の俺は、それすらできないピアニストだったのだ。
毎日午後、斎藤先生に個人レッスンをつけていただく前に一時間ほど自主練習をするのが習慣になっていた。
ピアノ科の練習棟三階の一室は、特待生の特権として自由に使うことを許されている。
二台並んだグランドピアノの片方に向かい、指慣らしをしてから楽譜を開く。
四曲からなる即興曲のはじまりは、ハ短調。Allegro molto moderato(非常に程よい速度で快活に)。わかるようでわからない指示を念頭に置きながら鍵盤を叩けば、秋の枯れ葉を踏むような物悲しさと力強さを含む旋律が交互に現れてきた。
不思議な音楽だと感じる。これを作曲者の自由さとみるか、不安定さとみるかは判断の分かれるところかもしれない。
美しい曲だが、技術的な難しさはない。だから俺も気負わずに、淡々と弾きはじめ……やがて、シューベルトの描いた曲の景色に意識が塗りつぶされていく。
切ない主旋律。窓の外の枯れ葉。あまり光の射さない部屋のなかで、ひたすらピアノに向かい、練習に励む子供の姿。
懸命に、弾いても弾いても母に満足してはもらえない……いや、違う。母が求めていたのは俺が『上手に』弾くことではなく、『完璧』に弾いてコンクールで優勝すること。そしてピアニストとして成功することだ。
無名な地方私立大学のピアノ科などで、初歩的な曲に躓いている場合ではない。
気負わず、気楽に弾くんだ。こんな簡単な曲、なんなら目を瞑ってでも弾けるのだから。
「……はぁ……」
実際に目を閉じてみても、過去の練習室の風景は消えてくれない。
そう思うべきではない、と、わかっている思いこみも、自分自身で消せるものなら苦しみはしない。
それでも集中して、なんとか弾きとおそうとするのだが――やや曲の難易度があがる部分にさしかかると必ず聞こえてくるのが、母の叱責の声だ。
――『結加! どうしてそんなところを間違うの!』
間違っていない。ミスタッチはしていない……はず?
急きたてられるように指は勝手に動き、蠢く音の流れのなかで、より速く、もっと正確に、と気が焦る。
俺にとってのmoderatoは、母から逃げおおせる速度のことだ。やがて叱責が聞こえなくなり……ほっとして気を抜きそうになったとたん、今度は背後に気配を感じるのだった。
――『うん、そこは良い。とても良いが、もっと力を抜けないかな?』
ざわりと総毛だつが、曲はようやくハ短調のコーダが終わるところだ。ここで手は止められない。
後ろからするりと伸びてくる気配が、ズボンの隙間に入りこみ、太腿をじかに触る。
見なくてもわかっていた。それは皺の寄った皮に血管が浮きだした、老人の手だと。
耳元に吹きかけられる、ミントの香りの息。
――『力を抜いて……かつ、くっきりと、明瞭に、だ。指を止めたらおしおきだよ。さあ、弾き続けなさい』
「……っ!」
老人の指が、俺の太腿でテンポをとる。彼も高名なピアニストであり、器用な指先は時おり位置を変えて、俺の中央部でトリルの手本をみせる。
その、くすぐったさと奇妙さが入り混じった感覚を、まだ子供だった俺はどう捉えていいのかわからなかった。
生まれつき色素の薄い肌を赤く上気させながら、必死に鍵盤に縋りつく俺の姿に、老人は嬉しげに囁く。
――『とても良い。では、いま感じている気持ちを右手の旋律部分に込めてごらん』
幻想の言うとおりに指を動かしそうになってから、これは幻想だと思いだした。
ハ短調はとっくに終わり、いまは二曲目、変ホ長調Op.90-2の冒頭を弾きだすところだった。
我に返ったはずなのに、まだ老人がそばにいるような気がして、耐えきれずに後ろを振り向く。
もちろんそこには誰もいないのだが、防音ボードの小さな穴が俺を観察する無数の目に見えてきて、吐き気を催した。
頭の奥がちかちかするのは、呼吸ができていない証拠だ。ここにいるはずもない老ピアニストの口の臭いが、自分の身体のどこかからか漂ってくる。
ピアノの椅子から転げるように降り、窓に駆け寄って全開にした。
夏の終わりの風が吹きこむ。
ピアノから離れさえすれば、悪夢は遠のく。
脱力して窓脇にもたれかかりながら、俺に残っているのは絶望だけだった。
幼い頃、母のアクセサリーとして習い始めたピアノに素質を見いだされてから、ピアニストになるためだけに追いたてられてきた人生。
二十歳になり、自分の才能など宝石には届かない、貴石レベルのものだと気づいたとしても、いまさらほかの道を選べはしない。
俺にはピアノしかないのに、練習曲レベルの曲すら弾きとおせない――いや、違う。
(弾けないわけじゃない。『一人では』弾けないだけだ)
その証拠に――もう思いだしたくもないが――蛇体の前では弾けた。
やつが俺への誕生日プレゼントとして貸し切ったホテルのラウンジで、リクエストされるままショパンを披露したこともある。
きみは美しい、最高だと――熱のこもった眼差しと、曲の合間の囁きがあるあいだは、過去の亡霊を遠ざけていられた。
だが蛇体の言葉は、嘘だった。あれは俺を利用するために言っただけのおべっかにすぎず、お世辞に喜ぶ反応を観察して、作品に使うことが目的だった。
母は天才になれなかった息子を「恥ずかしい」と言って見放したし、老ピアニストは子供の体型ではなくなった俺に興味を失ったとたん、演奏をクソミソにけなして放りだした。
要するに、この世の誰も、俺のピアノなどほんとうには必要としていない。
弾く意味などどこにもない。
(だからといって……ほかになにができる? この世にしたいことなどなにもないのに)
吐き気はおさまったが、まだ息はしづらかった。
練習室の壁にゆらゆらと泳ぐ光の輪がある。なにかの反射だろうか?
立ちあがって、よろよろピアノに近づくと、脱力した手を鍵盤にのせた。
弾こうと意識したわけではないが、指が勝手に音を叩きだす。
ソソ、ラソラシ、ラソファミレ……バッハの『ゴルドベルク変奏曲』だ。
一年次に齋藤先生に勧められた課題曲。
バッハの友人の貴族が、お気に入りの少年に弾かせるために依頼した曲だそうで、俺は勝手に、その少年に親近感を抱いていた。
遊興にただれた中年男の、不眠の夜を慰めるためにピアノを弾く。まるで稚児だが、そこに自分の想いなど込める必要はなく、ただ淡々と、役目だから彼は弾いたのだろう。
喜びもなく、悲しみもなく。
バッハの完璧な音楽に亡霊の入りこむ余地などないらしく、この曲に限っては、演奏中に過去に追われることもなかった。
「――……」
しばらく弾いていると、コン、とドアを叩く音がして、齋藤先生がいらしたとわかった。
もう個人レッスンがはじまる時間らしい。俺は慌てて立ちあがり、開きっぱなしだった窓を閉めに行った。
ちらりと感じた眩しさが、裏庭に設置された銀色のテントのようなもののせいだと気づいたが、特になんの興味も湧かなかった。
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