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5・自覚
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ほんとうに? と思う。いまのような自己顕示欲たっぷりの『ゴルドベルグ変奏曲』でも聴いていて、感動したというのなら、どこが、どんなふうに。
どのフレーズが印象だった? どこのパッセージがうまく弾けたと思う?
砂をシャベルでほじくるように誉め言葉を探りだしたかったが、あいつの専門分野に音楽用語が混ざっていないことは承知している。
だから自分自身に呆れて「……くだらない」と、言いながらも、森脇から目を離せなかった。
「建物に向かってあまり大きな声を出すな。ほかの学生の練習の邪魔になる……閉めるぞ」
「うん、じゃあ」
いま、俺だけに向かってぶんぶん振っている両手と、笑顔を、永遠に自分のものにしたくなりそうで、怖くてたまらなかった。
だから、自分から突き放すような言い方をしておきながら、もう少しだけ森脇を見ていたい――後ろ髪を引かれる思いで窓枠に手をかけたままでいると、誰かが銀色のテントのなかから現れて、森脇の隣に立った。
学生ではない。中年の男だ。胸の奥が不安で疼く。
あの男はいったい誰で、どうして森脇のそばにいるのだろうか……と。
「あ、この人、教授」
森脇はなんの邪念もないように、さっさと教えてくれた。
納得はしたものの、教授という男はまるで値踏みするような眼差しでこちらを見据えてくる。森脇の教官なら無下にはしたくないが、嫌な感じだ。
どうすればいい? と森脇のほうに視線を移すと、わかんね、というように大きく首を傾げたが、すぐあとに、
『構わなくていいよ』
と、ばかりに、ひらひらと手を横に振る。なるほど。
俺もまもなく個人レッスンの時間だったので、あまり余計なことに時間を割きたくなかった。その教授とやらに目礼だけして窓を閉めかけたのだが、いきなり呼びとめられる。
「や……矢奈、くん! 私は、環境デザイン科教授の三下だ。きみに、訊きたいことがあるので、あとで私の教授室に来なさい」
森脇はなにを言いだすのかというように教授を見ていたが、俺は、その言葉でだいたいの意図を察した。ああ、またか、と。
――『あとで私の部屋に来なさい』
これまで幾度となく、大人たちが値踏みするような視線をくれたあとに、俺にかけてきた言葉だ。
だいたい相手は逆らえないくらいの財産家か実力者であり、部屋に行ったあとはもっともらしい会話、食事、ベッドイン……と、お決まりのコースを辿る羽目になる。
あの三下という教授はどこで俺に目をつけたのだろう?
もしかして……森脇が? 成績のために俺を売ったか、俺にまとわりついていることを教授に面白おかしく話したりしたのだろうか。
ちらっとだけ疑念が掠め、三下から視線を移すと、ぽかんとしながら教授を見ていた森脇は、俺の視線に気づくなり小刻みに首を横に振ってみせた。
オレは関係ない。か、従わなくていい、という意味なのか……?
森脇の本心を捉えきれずに迷っていると、後ろでコン、と音が響いた。
斎藤先生がいらした合図だ。お待たせするわけにはいかないし、練習には集中したい。俺は「はい」と慌てて返事をしたあと、ぴしゃりと窓を閉めた。
その日のレッスン終盤。シューベルトの『即興曲』を最後まで弾き終えた俺に向かい、斎藤名誉教授が言った。
「矢奈くん、なにかいいことがあったようですね」
「……なぜですか?」
「音が弾んでいたからよ。良い傾向です。音楽はまず、楽しむためにあるものですからね。お友達でもできたのかしら?」
「……」
もちろん思い浮かんだのは森脇の顔だが、あいつとの関係は一方的に向こうから距離を詰めてきているのであって、俺から歩み寄ったりはしていない。
そういう関係を友達を呼ぶべきかどうかわからなかったので「よくわかりません」と答えた。
ただ、確かに今日は森脇のおかげで、斎藤先生とのレッスンを危なげなくこなせたのは確かだ。集中しようにも、雑念が多すぎたとも言える。
最初は、あの三下教授とやらの呼びかけを思いだして苛立ちを覚えていたのだが、まもなくその隣でぶんぶん頭を振る森脇の姿が浮かび、あいつの笑顔と、それから――、
――『オレが感動したの、おまえの演奏で間違いなかった!』
という言葉。小さくて硬い歯と、よだれ。ころころと変わる表情や仕草を思い浮かべながら弾くシューベルトがどんなものだったか、まったく自覚はなかったが、齋藤先生は注意めいたことを一つも言わずに楽譜をまとめてしまった。
「この即興曲は技術的には簡単なものですから、並行して別の曲をやってみるのもいいかもしれませんね」
「技術的には……ですか」
「シューベルトの難しさは、その精神性にあります。軽やかさの陰にある深い哀しみ、とでもいうのかしらね。矢奈くんの若さで理解し、なおかつ表現するのは難しいかもしれませんが」
軽やかさ、で思いだしたのは……あのキラキラした目のことだ。軽やかそのものみたいな笑顔と態度。
あの裏にも哀しみなど、あったりするのだろうか?
「……道化師のようなものでしょうか。涙の仮面を被りながらおどけるイメージ……?」
「それとも少し違うのよ」
斎藤先生はなにか思いだした人があるように、皺のある顔を柔らかく緩めた。
「でも『道化師』の表現から入るのもいいかもしれないわね。ラヴェルの曲も面白いですから」
ラヴェルといえば『道化師の朝の歌』だろうか。技術的に手応えがありそうだが、俺はそれが自分が弾きたい曲なのかどうか、自分自身で判断ができなかった。
なぜなら、脳裏で流れるのはバッハの『ゴルドベルク変奏曲』ばかりだったから。
森脇は、あの曲以外を弾いても俺のピアノを好きだと言ってくれるのだろうか?
四時きっちりに斎藤先生が退出なさり、俺も後片付けと掃除をしてからレッスン室を出る。
苦戦していたシューベルトに、あっさりと合格を告げられたことが信じられず、どことなくぼうっとしていた。とりあえず一人で祝杯でもあげられるように、つまみを買って帰ろうか。
そんなことを考えながら歩きだした俺に向かい、足音が近づいてきた。
「矢奈!」
「……?」
森脇だ。昼に会ったときと同じ格好でいつもと同じ教科書の束を抱えているが、いつもより表情が冴えないというか、なんとなく疲れているように見える。
なぜここに? どうかしたのか? 訊きたいことはいろいろあったが、それを訊く資格が俺にあるのかどうかわからない。
だから何も言えずに黙っていると、森脇が真面目な顔で俺を見あげて、口を開いた。
「矢奈、さっきの、三下教授のことだけど」
「……。ああ」
あの呼びだしのことか。
従うつもりはさらさらないので記憶から消し去りかけていたが、建築科の森脇にとっては、機嫌を取っておいたほうがいい指導教官なのだろう。
「いつ来いとかいう伝言があるのか?」
「ちげーよ。もう話はついてるから、行かなくていいって言いに来たの」
森脇はきっぱり言う。俺は少々意外で、首を傾げた。
「俺への用事を、森脇が片づけたのか。いったいなんの話があったんだ?」
「知らね……じゃなくて、ほんっと、どうでもいい話だったから! 三下の趣味の話であって、矢奈の問題じゃなかったから。気にしなくていいんだよ。それよりもピアノ、やっと聴けてすっげー嬉しかった。俺のために窓を開けて弾いてくれたわけじゃないだろうけど、サンキューな」
にこっと笑う笑顔がいつもの森脇に戻り、安心する。森脇が望むなら三下とかいう教授の機嫌を取るくらいはしてやってもよかったのに、もう必要ないというのだから、それでいいのだろうと思ってしまった。
まだ暗くなる時間ではないはずなのに、練習棟の建物が西日を遮るせいで、俺たちの周りは薄暗かった。俺は思い切って口を開く。
「これから帰りか? よかったら……」
「うん。えっと、いま何時……げっ、もう四時半じゃん! やべっ、これからバイトなんだ。んじゃな、矢奈、また――明日とか! できれば!」
「……ああ。……また」
(できれば?)
どういう意味だろう。
そしておれは『よかったら』のあと、なにを言うつもりだったのだろう。
練習棟の陰から離れ、夕焼けの光に溶けていく森脇の後ろ姿を捕まえて、確かめたくてたまらなかったくせに、勇気を出せずにそのまま見送ってしまった。
あのとき捕まえて離さずにいたなら、俺はもっと長く、あいつを抱きしめていられたかもしれないのに。
どのフレーズが印象だった? どこのパッセージがうまく弾けたと思う?
砂をシャベルでほじくるように誉め言葉を探りだしたかったが、あいつの専門分野に音楽用語が混ざっていないことは承知している。
だから自分自身に呆れて「……くだらない」と、言いながらも、森脇から目を離せなかった。
「建物に向かってあまり大きな声を出すな。ほかの学生の練習の邪魔になる……閉めるぞ」
「うん、じゃあ」
いま、俺だけに向かってぶんぶん振っている両手と、笑顔を、永遠に自分のものにしたくなりそうで、怖くてたまらなかった。
だから、自分から突き放すような言い方をしておきながら、もう少しだけ森脇を見ていたい――後ろ髪を引かれる思いで窓枠に手をかけたままでいると、誰かが銀色のテントのなかから現れて、森脇の隣に立った。
学生ではない。中年の男だ。胸の奥が不安で疼く。
あの男はいったい誰で、どうして森脇のそばにいるのだろうか……と。
「あ、この人、教授」
森脇はなんの邪念もないように、さっさと教えてくれた。
納得はしたものの、教授という男はまるで値踏みするような眼差しでこちらを見据えてくる。森脇の教官なら無下にはしたくないが、嫌な感じだ。
どうすればいい? と森脇のほうに視線を移すと、わかんね、というように大きく首を傾げたが、すぐあとに、
『構わなくていいよ』
と、ばかりに、ひらひらと手を横に振る。なるほど。
俺もまもなく個人レッスンの時間だったので、あまり余計なことに時間を割きたくなかった。その教授とやらに目礼だけして窓を閉めかけたのだが、いきなり呼びとめられる。
「や……矢奈、くん! 私は、環境デザイン科教授の三下だ。きみに、訊きたいことがあるので、あとで私の教授室に来なさい」
森脇はなにを言いだすのかというように教授を見ていたが、俺は、その言葉でだいたいの意図を察した。ああ、またか、と。
――『あとで私の部屋に来なさい』
これまで幾度となく、大人たちが値踏みするような視線をくれたあとに、俺にかけてきた言葉だ。
だいたい相手は逆らえないくらいの財産家か実力者であり、部屋に行ったあとはもっともらしい会話、食事、ベッドイン……と、お決まりのコースを辿る羽目になる。
あの三下という教授はどこで俺に目をつけたのだろう?
もしかして……森脇が? 成績のために俺を売ったか、俺にまとわりついていることを教授に面白おかしく話したりしたのだろうか。
ちらっとだけ疑念が掠め、三下から視線を移すと、ぽかんとしながら教授を見ていた森脇は、俺の視線に気づくなり小刻みに首を横に振ってみせた。
オレは関係ない。か、従わなくていい、という意味なのか……?
森脇の本心を捉えきれずに迷っていると、後ろでコン、と音が響いた。
斎藤先生がいらした合図だ。お待たせするわけにはいかないし、練習には集中したい。俺は「はい」と慌てて返事をしたあと、ぴしゃりと窓を閉めた。
その日のレッスン終盤。シューベルトの『即興曲』を最後まで弾き終えた俺に向かい、斎藤名誉教授が言った。
「矢奈くん、なにかいいことがあったようですね」
「……なぜですか?」
「音が弾んでいたからよ。良い傾向です。音楽はまず、楽しむためにあるものですからね。お友達でもできたのかしら?」
「……」
もちろん思い浮かんだのは森脇の顔だが、あいつとの関係は一方的に向こうから距離を詰めてきているのであって、俺から歩み寄ったりはしていない。
そういう関係を友達を呼ぶべきかどうかわからなかったので「よくわかりません」と答えた。
ただ、確かに今日は森脇のおかげで、斎藤先生とのレッスンを危なげなくこなせたのは確かだ。集中しようにも、雑念が多すぎたとも言える。
最初は、あの三下教授とやらの呼びかけを思いだして苛立ちを覚えていたのだが、まもなくその隣でぶんぶん頭を振る森脇の姿が浮かび、あいつの笑顔と、それから――、
――『オレが感動したの、おまえの演奏で間違いなかった!』
という言葉。小さくて硬い歯と、よだれ。ころころと変わる表情や仕草を思い浮かべながら弾くシューベルトがどんなものだったか、まったく自覚はなかったが、齋藤先生は注意めいたことを一つも言わずに楽譜をまとめてしまった。
「この即興曲は技術的には簡単なものですから、並行して別の曲をやってみるのもいいかもしれませんね」
「技術的には……ですか」
「シューベルトの難しさは、その精神性にあります。軽やかさの陰にある深い哀しみ、とでもいうのかしらね。矢奈くんの若さで理解し、なおかつ表現するのは難しいかもしれませんが」
軽やかさ、で思いだしたのは……あのキラキラした目のことだ。軽やかそのものみたいな笑顔と態度。
あの裏にも哀しみなど、あったりするのだろうか?
「……道化師のようなものでしょうか。涙の仮面を被りながらおどけるイメージ……?」
「それとも少し違うのよ」
斎藤先生はなにか思いだした人があるように、皺のある顔を柔らかく緩めた。
「でも『道化師』の表現から入るのもいいかもしれないわね。ラヴェルの曲も面白いですから」
ラヴェルといえば『道化師の朝の歌』だろうか。技術的に手応えがありそうだが、俺はそれが自分が弾きたい曲なのかどうか、自分自身で判断ができなかった。
なぜなら、脳裏で流れるのはバッハの『ゴルドベルク変奏曲』ばかりだったから。
森脇は、あの曲以外を弾いても俺のピアノを好きだと言ってくれるのだろうか?
四時きっちりに斎藤先生が退出なさり、俺も後片付けと掃除をしてからレッスン室を出る。
苦戦していたシューベルトに、あっさりと合格を告げられたことが信じられず、どことなくぼうっとしていた。とりあえず一人で祝杯でもあげられるように、つまみを買って帰ろうか。
そんなことを考えながら歩きだした俺に向かい、足音が近づいてきた。
「矢奈!」
「……?」
森脇だ。昼に会ったときと同じ格好でいつもと同じ教科書の束を抱えているが、いつもより表情が冴えないというか、なんとなく疲れているように見える。
なぜここに? どうかしたのか? 訊きたいことはいろいろあったが、それを訊く資格が俺にあるのかどうかわからない。
だから何も言えずに黙っていると、森脇が真面目な顔で俺を見あげて、口を開いた。
「矢奈、さっきの、三下教授のことだけど」
「……。ああ」
あの呼びだしのことか。
従うつもりはさらさらないので記憶から消し去りかけていたが、建築科の森脇にとっては、機嫌を取っておいたほうがいい指導教官なのだろう。
「いつ来いとかいう伝言があるのか?」
「ちげーよ。もう話はついてるから、行かなくていいって言いに来たの」
森脇はきっぱり言う。俺は少々意外で、首を傾げた。
「俺への用事を、森脇が片づけたのか。いったいなんの話があったんだ?」
「知らね……じゃなくて、ほんっと、どうでもいい話だったから! 三下の趣味の話であって、矢奈の問題じゃなかったから。気にしなくていいんだよ。それよりもピアノ、やっと聴けてすっげー嬉しかった。俺のために窓を開けて弾いてくれたわけじゃないだろうけど、サンキューな」
にこっと笑う笑顔がいつもの森脇に戻り、安心する。森脇が望むなら三下とかいう教授の機嫌を取るくらいはしてやってもよかったのに、もう必要ないというのだから、それでいいのだろうと思ってしまった。
まだ暗くなる時間ではないはずなのに、練習棟の建物が西日を遮るせいで、俺たちの周りは薄暗かった。俺は思い切って口を開く。
「これから帰りか? よかったら……」
「うん。えっと、いま何時……げっ、もう四時半じゃん! やべっ、これからバイトなんだ。んじゃな、矢奈、また――明日とか! できれば!」
「……ああ。……また」
(できれば?)
どういう意味だろう。
そしておれは『よかったら』のあと、なにを言うつもりだったのだろう。
練習棟の陰から離れ、夕焼けの光に溶けていく森脇の後ろ姿を捕まえて、確かめたくてたまらなかったくせに、勇気を出せずにそのまま見送ってしまった。
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