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第8話
1・一難乗り越えまた一難
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魔法の国に嫁ぐことが決まったとき、琥珀は姉や侍女たちと、もしも自分に魔法をかけてもらえるならいちばんになにがしたいかということを話題に出しあった。
ほとんど全員一致で決まった願いごとは、『空を飛びたい』。雲のように、鳥のように。
あの青空のなか、広げた両腕いっぱいに風を受けるのはどんなに気持ちがいいことだろう。
その答えは、
(怖いだけだわ――――!)
いま琥珀は、かつての願いごとのほぼ半分を叶えられていた。青空のなか、広げた両腕いっぱいに風を受けている……海に面した断崖絶壁から波によって切り離された巨岩のてっぺんに、手枷のついた鎖で縛りつけられているのだった。
ほかにもいくつか似たような巨岩が、蝋燭のように波間に突き立っている。
黄金の陽光が顔に照りつける。足もとはるか下を鴎が飛んでいた。
「お目覚めですね、琥珀姫」
涼しい声のするほうを振り向くと、枷につながる鎖がじゃらりと音をたてた。
魔法の国の魔法使いはあいかわらず女性よりも優美な姿のまま、横から吹きつける風にも下から吹きあげる風にも髪一筋とて乱していない。
「エルクウァル……! これはどういう冗談なのっ?」
「冗談ですって? いいえ、とんでもない。ここは魔法の国のなかでも難所として知られていまして、船で辿りつくのは困難ですし、ドルイドたち程度の魔法ではここまで飛ぶこともできません」
「あなたがすごい魔法使いなのはとっくに知っているわ。それとわたしをここに縛りつけることとどういう関係があるの」
「僕は手を汚したくないからです」
エルクウァルはほっそりした両手を挙げ、あっさりと言った。
「なんの、手?」
「体に血の匂いが染みつくと精霊たちが混乱して、魔法の効力に支障が出るんですよ。だから魔法を使うものはだれかを殺したくても直接に手は下せません。だったら動物に変えて野に放ってやろうと思いましたが、あなたはどうやら魔法が効きにくい体質のようですし」
心底面倒くさそうに眉をひそめて告げられ、琥珀も眉根を寄せてしまった。
「魔法、って……もしかして」
あの苺。
「熊に変えたら結婚もできなくなるかと思いきや、変化したのは手だけだし、ディランはあなたを連れてきてしまうし。それならと僕のもとに囲ってやろうとした申し出も断りましたよね。あとはもう、殺すしかないじゃありませんか」
「話が飛びすぎよ! どうしてわたしとディランの結婚に反対なの、っていうか、やっぱりわたしの婚約者はディランだったのね。あなた、自分のことが王太子だなんてよく嘘をつけたものね!」
「嘘ではないと言ったでしょう。僕はこの国の王子であり、王太子の資格は充分です」
「でも……」
エルクウァルの醒めた目。紫の瞳は琥珀の胸の内まで見透かしながら、魔法使い自身の内面はすっかり隠してしまっているようで、怖い。
(王太子というのは嘘じゃない……少なくとも、エルクウァルに嘘を話しているつもりはないんだわ。だったら、ディランはなんなの? どうして、わたしが憎まれるの)
「あなたを憎んでいるわけではないんですけどね。僕には僕なりの事情があるもので」
(また心を読んだの)
「こんなことをしなくても……話してくれたら、力になれるかもしれないのよ」
「あいにく、自分の問題の解決を他人に委ねるほど甘い育ちかたはしていません。あなたは心配しなくとも……半日もあれば、彼らが片づけてくれますよ」
「ほかにだれかいるの?」
答えの代わりに、
クエェェェェ……。
遠く近く、鳥の鳴き声が聞こえた。
巨大な黒い翼と鋭い鉤爪を持つ鳥が、ばさり、と琥珀の頭上すれすれを飛び、エルクウァルを避けるように高く飛び去る。琥珀は横目で鳴き声を追った。同じような鳥が少なくとも三羽、奇岩のまわりを旋回している。
「ハゲワシですよ。やつら、子育て中でしてね。生きのいい餌にはすぐに食いついて持ち去ってしまいますよ」
「言っておくけれど、わたし、食べるところ少ないわよ!」
「太らせるのを待つ余裕がないのが残念ですね。さすがに、宮殿でもあなたが敷地内にいないのに気づいたようで、僕の館まで捜索隊を向かわせたようですから……ちなみに、陣頭指揮はディランがとっているようですが」
(ディラン)
それは婚約者として? 琥珀を心配して? ディランを思いだすことで、かちかちに強ばっていた心に潤いが生まれたような気がする。琥珀の表情が変わったのに気づいたようで、エルクウァルがふん、と笑った。
「魔法を使えないあの男があなたを見つけたとしても、手は出せないし助けることもできない。無力さにうちひしがれるディランを見るのも、それはそれで面白いかもしれませんね」
「うちひしがれたりするものですか。あの人、わたしを嫌いだもの」
「……それはどうだか」
目を細めたエルクウァルの周りに風が起こった。銀髪が巻きあげられ、きらめきを残して痩身の姿が消える。琥珀は慌ててあたりを見回したものの、視界に入る生きものといえばハゲワシだけだ。
「……うそ。どこ行ったの、エルクウァル」
クエェェェ……!
「置き去りにするつもり? 陰険すぎるじゃないの、ばか――――!」
琥珀は見悶えしたが、肘や背中が岩に擦れるばかりだ。力自慢の熊の手も爪を出したり引っこめたりするのが精いっぱいである。
おまけに、もしも手枷が壊れたとしても、海に真っ逆さまに叩きつけられて終わりだ。
顔に陽射しが照りつける。
「日焼けしちゃう……」
せめても、顔を伏せて日差しから肌を庇おうとした。裸足で岩に引っかかっている琥珀の爪先は桃色で、結婚に備えた手入れの数々のおかげで、爪はまだ貝のようにふっくらしていた。
この爪までハゲワシに食べられてしまうのか?
エルクウァルの企み一つで、すべての努力が無駄になってしまうのだろうか?
「……冗談じゃないわ」
(わたしは、これでも虹の国の王女よ。国のためになんにもできないまま、無駄死にできるものですか)
では、どうしたらいいだろう。鎖はこの岩をぐるりと取り巻いているようだ。陽光に目をすがめながら上方を見ると、奇岩の先端はここよりも細くなっているらしい。
琥珀は熊の爪を岩に引っかけた。爪先で足元を探り、比較的凸になっている部分に足の裏全体を押しつけ、手の力だけで体を持ちあげる。
「う……くっ」
ほんの少しだけ鎖がたわんだ。すかさず、片腕をひねらせて余った分を手首に巻きつける。手のひら一つぶんだけ、さっきより上の位置だ。琥珀は再び足元を探り、爪先をかけられる部分を探しながら体の位置をずらしていく。
時おり、ハゲワシが顔すれすれを飛んでいった。黄金の目で琥珀をじっと見つめ、この餌がまだ生きているかどうか、反撃するか否か確かめているようだ。
「わたしは、鳥の餌になるほどお安くないのっ」
ハゲワシを怒鳴りつけて威嚇し、琥珀は鎖を緩めたり引いたりしながら上を目指していった。
あと少し、もう少し。体がのけぞり、白い首がハゲワシの前にさらされる。恐怖に耐えながら、鳥の糞だらけの岩に熊の爪を叩きつけ、最後のひと踏ん張りでてっぺんに辿りついた。
琥珀は両肘を胸の前で合わせて、思わず叫んだ。
「ばんざーい! 生きているわ、すごい、わたし! ……きゃああっ」
ばさり、と黒い翼の風圧に、慌てて顔を覆った。おそるおそる肘をどけたところ、目の前に草をすり鉢状に固めたような妙なものがあり、なかからギャアギャアとわめく声が響いていた。そして、琥珀の体ほど大きなハゲワシがすり鉢の縁にとまっており、おもむろに翼を広げると、
「グエェェェ!」
「きゃあああ! ここが巣だったのっ? 痛い、痛いっ」
鋭いくちばしに顔となく腕となくつつかれ、さらにもう一羽がうつぶせになった琥珀の背に爪をたてた。黙っていても死ぬだけだ。琥珀は岩からすっぽ抜けた鎖を振りまわす。
鎖にぶたれたハゲワシが悲鳴をあげて飛びあがった。
「ごめんなさい……っ、死にたくないのよ、襲ってこないならなにもしないわ!」
二羽のハゲワシが飛びあがり、威嚇するように鳴きながら頭上を旋回する。琥珀も鎖を振りまわす手を止めるわけにはいかなかった。立ちあがると、茶色い雛がいじらしく首を伸ばして餌をねだっている。
(うううう、どうしよう。この子からしたらわたしのほうが侵入者なんだわ。いつまでも餌をもらえなかったら死んじゃうかもしれないし。それに、わたしも目が、回……)
熊の手のおかげで腕に力はあるものの、体は普通の少女のままだ。鎖は重く、岩に擦られつづけた足元はおぼつかない。一瞬、息をついた琥珀の隙をハゲワシは見逃さなかった。
矢のように死角から飛びだしてきた鳥の爪が、琥珀の腕を斬り裂く。
「あ……」
体がぐらつく。
「あ――――――!」
体が投げだされる。琥珀はとっさに、最後の力を振り絞って岩に爪をたてた。体は鎖とともにずるずる岩の表面をずり落ちてゆき、はじめに拘束されていた位置に近い場所で宙づりになる。
足は足場になるところを必死に探るが、小さな石が爪先に蹴りだされて落ちていく。腕からどろりとした血が溢れ、衣のなかの肌を伝っていった。
血の匂いに惹かれたか、ハゲワシの数が先ほどまでより増えている。ひどい鳴き声が琥珀の心を萎えさせた。
(ちょっと……そろそろ、だめかも)
手に力が入らなくなっているのだ。さすがに、もうこの岩をのぼりきる気力はないし、のぼったとしてもハゲワシの巣だし、雛がいるし。
(落ちれば……一瞬?)
甘い誘惑が頭を過ぎる。どのみち、ここに張りついていてもじわじわ死ぬか鳥の餌としてちぎられていくばかりだ。だれも気づいてくれないし、助けに来てくれないし。
(だれも……来てくれない)
それだけで、生きる気力を萎えさせるのはじゅうぶんだった。琥珀ががんばっても諦めても、だれにとっても同じことなら。
(諦めても……いいの、かな)
ふっと意識が遠のきそうになった。ぎりぎりのところで、琥珀を呼び覚ましたのはだれかの声だ。
――琥珀――こーはーくー!
目覚めて慌てて手に力をこめる。腕の傷がひどく熱く感じた。
「ディラン? まさか……」
斜め上に視線をずらすと、断崖の縁からディランが身を乗りだしているのが見えた。ああだめだ、ととっさに悟る。エルクウァル以外はここまで辿りつけない。
だけど来てくれた。
――縄を持ってこい、はやく!
「……ディラン様! あなたが婚約者でないかもしれないなんて、疑ってごめんなさい。代わりに剣を抜いてしまってごめんなさい。ほかにいいお嫁さんを見つけてくださいね、ありがとう……」
半ば独り言への返事の代わりに聞こえたのは、不思議なハミングだった。なにかの鳥の声に似ている。琥珀の周りに集まっていたハゲタカが幾羽か、歌に注意を惹かれてディランのほうへ飛んでいった。
(だめよ。ハゲワシを傷つけたって、わたしを助けられるわけじゃない)
琥珀は心臓が竦む思いだったが、ディランは手を高くかざし、鳥を呼び寄せている。そして、
「!」
ハゲワシの爪が自分に向かってきた瞬間、その足に飛びつき、両腕でつかまった。
「琥珀、そこを動くな!」
ディランは断崖を蹴り、ハゲワシとともに滑空した。ディランは自由になる腕に縄を握っていて、その先端には鉤のようなものが取りつけられていた。ハゲワシが重みに怒りを爆発させ、ディランを振り落とそうと手近の岩に向かっていく。ディランは無理をしなかった。その岩に降りたつと、縄を軽くひと巻きして固定させてから、鉤をぐるぐる振りまわしはじめる。
(なにをするつもりなの?)
「ハァッ!」
勢いよく、投げつけた鉤が十尋の距離を伸びて琥珀の頭上に突き刺さった。風圧で髪が揺れるくらいにすれすれである。そしてディランはあろうことか、
「よし、こっちまで伝ってこい!」
気軽に言って、手招きしている。
(なーにーが、伝ってこい、よ! 簡単に言わないでよ、こっちはもう、じっとしているのがやっと……)
「ぼーっとするんじゃねえ、はやくしろ!」
「……や、やればいいんでしょう、やれば……」
琥珀は片手の爪を岩から引き抜こうとしたが、肩が強ばっていて手を動かせない。肘を支点にしてようやく手を浮かせたときにはもう、綱をつかむ力など残っていなかった。
体が宙に投げだされる。背中に風を感じた。これが空を飛ぶということか。
再び歌が聞こえた。琥珀のすぐそばをハゲワシが飛んでいく。次の瞬間、空を飛んでいるはずのハゲワシの背を、若者の足が踏みつけた。同時に琥珀を抱きとめる力強い腕。
「ディラ……」
「この、くそばかっ! 諦めてんじゃねえ!」
踏まれたハゲワシの伴侶が近づいてくると、ディランは一羽目を踏み台にしてそちらの背に飛び移った。琥珀とディランの血の臭いに惹かれ、次々と集まってくる鳥から鳥へと跳びながら高度を下げていく。
ハゲワシの羽が雪のように舞った。ディランが最後の鳥から岩の上に降りたったとき、その足もとから羽毛がふわりと舞いあがる。
ディランは岩に膝をつき、深く息をついた。琥珀の顔を覗きこんで、頬を軽く叩く。
「おい、死んでねえよな?」
「し……」
生きている。自分でそう気づいたとたん、溢れる感情を外にぶつけなければ死んでしまいそうになった。
「生きているに決まっているじゃないの、ばかー! あなたが助けてくれたんでしょ、生きていないかもって思うなら無茶な真似しないでしょ!」
「あーうるせえ。そんだけ口が元気なのになんで助けを呼ばねえんだ。ハゲワシどもが集まっていなかったら、あんたがどこにいるかなんてわかりゃしなかったぞ」
「だって、来てくれるなんて思わなかったもの。あそこにはだれも辿りつけないって、エルクウァルが……」
「エルクウァル?」
ディランの目がすっと細くなった。琥珀は慌てて口をつぐむ。
「やっぱりあいつか。あのろくでなしの魔法使いが、あんたを宮殿から連れ去り、岩に宙づりにしたんだな」
「そういうこと……なんだけど、その前からわたしは暗い部屋に閉じこめられていたわ。エルクウァルが来なくても、わたしは殺されていたかもしれないんでしょう……」
「馬鹿なことを言うな!」
助けてくれた人なのに。改めて湧きあがってきた恐怖のせいで、琥珀の口は止まらなかった。
「だってそうじゃないの、あなたが欲しがっていた剣をわたしが抜いてしまったから、もう呪われた娘を生かしておく理由なんてないのよ。わたしと結婚する理由もなくなったんだから、助けてくれる必要もなかったはずよ」
「必要とかそんなん、考えていられる場合か! 剣についてはあんたに話が……」
「だったらどうしてあんな危険な真似をするのよ,あなたが死んじゃうかもしれなかったじゃない!」
「だから、理由なんかねえんだよ。目の前で女が死のうってときに放っとけるもんか、胸糞悪い!」
「じゃあ、わたしじゃなくても助けたのね?」
「ったりめえだろ、命はみんな同じだ」
ディランの答えが、琥珀の気持ちを冷静にさせた。自分だから助けられたなんて思いあがりもいいところで、ディランは、だれであっても手を差し伸べられる人だったのだ。
ほとんど全員一致で決まった願いごとは、『空を飛びたい』。雲のように、鳥のように。
あの青空のなか、広げた両腕いっぱいに風を受けるのはどんなに気持ちがいいことだろう。
その答えは、
(怖いだけだわ――――!)
いま琥珀は、かつての願いごとのほぼ半分を叶えられていた。青空のなか、広げた両腕いっぱいに風を受けている……海に面した断崖絶壁から波によって切り離された巨岩のてっぺんに、手枷のついた鎖で縛りつけられているのだった。
ほかにもいくつか似たような巨岩が、蝋燭のように波間に突き立っている。
黄金の陽光が顔に照りつける。足もとはるか下を鴎が飛んでいた。
「お目覚めですね、琥珀姫」
涼しい声のするほうを振り向くと、枷につながる鎖がじゃらりと音をたてた。
魔法の国の魔法使いはあいかわらず女性よりも優美な姿のまま、横から吹きつける風にも下から吹きあげる風にも髪一筋とて乱していない。
「エルクウァル……! これはどういう冗談なのっ?」
「冗談ですって? いいえ、とんでもない。ここは魔法の国のなかでも難所として知られていまして、船で辿りつくのは困難ですし、ドルイドたち程度の魔法ではここまで飛ぶこともできません」
「あなたがすごい魔法使いなのはとっくに知っているわ。それとわたしをここに縛りつけることとどういう関係があるの」
「僕は手を汚したくないからです」
エルクウァルはほっそりした両手を挙げ、あっさりと言った。
「なんの、手?」
「体に血の匂いが染みつくと精霊たちが混乱して、魔法の効力に支障が出るんですよ。だから魔法を使うものはだれかを殺したくても直接に手は下せません。だったら動物に変えて野に放ってやろうと思いましたが、あなたはどうやら魔法が効きにくい体質のようですし」
心底面倒くさそうに眉をひそめて告げられ、琥珀も眉根を寄せてしまった。
「魔法、って……もしかして」
あの苺。
「熊に変えたら結婚もできなくなるかと思いきや、変化したのは手だけだし、ディランはあなたを連れてきてしまうし。それならと僕のもとに囲ってやろうとした申し出も断りましたよね。あとはもう、殺すしかないじゃありませんか」
「話が飛びすぎよ! どうしてわたしとディランの結婚に反対なの、っていうか、やっぱりわたしの婚約者はディランだったのね。あなた、自分のことが王太子だなんてよく嘘をつけたものね!」
「嘘ではないと言ったでしょう。僕はこの国の王子であり、王太子の資格は充分です」
「でも……」
エルクウァルの醒めた目。紫の瞳は琥珀の胸の内まで見透かしながら、魔法使い自身の内面はすっかり隠してしまっているようで、怖い。
(王太子というのは嘘じゃない……少なくとも、エルクウァルに嘘を話しているつもりはないんだわ。だったら、ディランはなんなの? どうして、わたしが憎まれるの)
「あなたを憎んでいるわけではないんですけどね。僕には僕なりの事情があるもので」
(また心を読んだの)
「こんなことをしなくても……話してくれたら、力になれるかもしれないのよ」
「あいにく、自分の問題の解決を他人に委ねるほど甘い育ちかたはしていません。あなたは心配しなくとも……半日もあれば、彼らが片づけてくれますよ」
「ほかにだれかいるの?」
答えの代わりに、
クエェェェェ……。
遠く近く、鳥の鳴き声が聞こえた。
巨大な黒い翼と鋭い鉤爪を持つ鳥が、ばさり、と琥珀の頭上すれすれを飛び、エルクウァルを避けるように高く飛び去る。琥珀は横目で鳴き声を追った。同じような鳥が少なくとも三羽、奇岩のまわりを旋回している。
「ハゲワシですよ。やつら、子育て中でしてね。生きのいい餌にはすぐに食いついて持ち去ってしまいますよ」
「言っておくけれど、わたし、食べるところ少ないわよ!」
「太らせるのを待つ余裕がないのが残念ですね。さすがに、宮殿でもあなたが敷地内にいないのに気づいたようで、僕の館まで捜索隊を向かわせたようですから……ちなみに、陣頭指揮はディランがとっているようですが」
(ディラン)
それは婚約者として? 琥珀を心配して? ディランを思いだすことで、かちかちに強ばっていた心に潤いが生まれたような気がする。琥珀の表情が変わったのに気づいたようで、エルクウァルがふん、と笑った。
「魔法を使えないあの男があなたを見つけたとしても、手は出せないし助けることもできない。無力さにうちひしがれるディランを見るのも、それはそれで面白いかもしれませんね」
「うちひしがれたりするものですか。あの人、わたしを嫌いだもの」
「……それはどうだか」
目を細めたエルクウァルの周りに風が起こった。銀髪が巻きあげられ、きらめきを残して痩身の姿が消える。琥珀は慌ててあたりを見回したものの、視界に入る生きものといえばハゲワシだけだ。
「……うそ。どこ行ったの、エルクウァル」
クエェェェ……!
「置き去りにするつもり? 陰険すぎるじゃないの、ばか――――!」
琥珀は見悶えしたが、肘や背中が岩に擦れるばかりだ。力自慢の熊の手も爪を出したり引っこめたりするのが精いっぱいである。
おまけに、もしも手枷が壊れたとしても、海に真っ逆さまに叩きつけられて終わりだ。
顔に陽射しが照りつける。
「日焼けしちゃう……」
せめても、顔を伏せて日差しから肌を庇おうとした。裸足で岩に引っかかっている琥珀の爪先は桃色で、結婚に備えた手入れの数々のおかげで、爪はまだ貝のようにふっくらしていた。
この爪までハゲワシに食べられてしまうのか?
エルクウァルの企み一つで、すべての努力が無駄になってしまうのだろうか?
「……冗談じゃないわ」
(わたしは、これでも虹の国の王女よ。国のためになんにもできないまま、無駄死にできるものですか)
では、どうしたらいいだろう。鎖はこの岩をぐるりと取り巻いているようだ。陽光に目をすがめながら上方を見ると、奇岩の先端はここよりも細くなっているらしい。
琥珀は熊の爪を岩に引っかけた。爪先で足元を探り、比較的凸になっている部分に足の裏全体を押しつけ、手の力だけで体を持ちあげる。
「う……くっ」
ほんの少しだけ鎖がたわんだ。すかさず、片腕をひねらせて余った分を手首に巻きつける。手のひら一つぶんだけ、さっきより上の位置だ。琥珀は再び足元を探り、爪先をかけられる部分を探しながら体の位置をずらしていく。
時おり、ハゲワシが顔すれすれを飛んでいった。黄金の目で琥珀をじっと見つめ、この餌がまだ生きているかどうか、反撃するか否か確かめているようだ。
「わたしは、鳥の餌になるほどお安くないのっ」
ハゲワシを怒鳴りつけて威嚇し、琥珀は鎖を緩めたり引いたりしながら上を目指していった。
あと少し、もう少し。体がのけぞり、白い首がハゲワシの前にさらされる。恐怖に耐えながら、鳥の糞だらけの岩に熊の爪を叩きつけ、最後のひと踏ん張りでてっぺんに辿りついた。
琥珀は両肘を胸の前で合わせて、思わず叫んだ。
「ばんざーい! 生きているわ、すごい、わたし! ……きゃああっ」
ばさり、と黒い翼の風圧に、慌てて顔を覆った。おそるおそる肘をどけたところ、目の前に草をすり鉢状に固めたような妙なものがあり、なかからギャアギャアとわめく声が響いていた。そして、琥珀の体ほど大きなハゲワシがすり鉢の縁にとまっており、おもむろに翼を広げると、
「グエェェェ!」
「きゃあああ! ここが巣だったのっ? 痛い、痛いっ」
鋭いくちばしに顔となく腕となくつつかれ、さらにもう一羽がうつぶせになった琥珀の背に爪をたてた。黙っていても死ぬだけだ。琥珀は岩からすっぽ抜けた鎖を振りまわす。
鎖にぶたれたハゲワシが悲鳴をあげて飛びあがった。
「ごめんなさい……っ、死にたくないのよ、襲ってこないならなにもしないわ!」
二羽のハゲワシが飛びあがり、威嚇するように鳴きながら頭上を旋回する。琥珀も鎖を振りまわす手を止めるわけにはいかなかった。立ちあがると、茶色い雛がいじらしく首を伸ばして餌をねだっている。
(うううう、どうしよう。この子からしたらわたしのほうが侵入者なんだわ。いつまでも餌をもらえなかったら死んじゃうかもしれないし。それに、わたしも目が、回……)
熊の手のおかげで腕に力はあるものの、体は普通の少女のままだ。鎖は重く、岩に擦られつづけた足元はおぼつかない。一瞬、息をついた琥珀の隙をハゲワシは見逃さなかった。
矢のように死角から飛びだしてきた鳥の爪が、琥珀の腕を斬り裂く。
「あ……」
体がぐらつく。
「あ――――――!」
体が投げだされる。琥珀はとっさに、最後の力を振り絞って岩に爪をたてた。体は鎖とともにずるずる岩の表面をずり落ちてゆき、はじめに拘束されていた位置に近い場所で宙づりになる。
足は足場になるところを必死に探るが、小さな石が爪先に蹴りだされて落ちていく。腕からどろりとした血が溢れ、衣のなかの肌を伝っていった。
血の匂いに惹かれたか、ハゲワシの数が先ほどまでより増えている。ひどい鳴き声が琥珀の心を萎えさせた。
(ちょっと……そろそろ、だめかも)
手に力が入らなくなっているのだ。さすがに、もうこの岩をのぼりきる気力はないし、のぼったとしてもハゲワシの巣だし、雛がいるし。
(落ちれば……一瞬?)
甘い誘惑が頭を過ぎる。どのみち、ここに張りついていてもじわじわ死ぬか鳥の餌としてちぎられていくばかりだ。だれも気づいてくれないし、助けに来てくれないし。
(だれも……来てくれない)
それだけで、生きる気力を萎えさせるのはじゅうぶんだった。琥珀ががんばっても諦めても、だれにとっても同じことなら。
(諦めても……いいの、かな)
ふっと意識が遠のきそうになった。ぎりぎりのところで、琥珀を呼び覚ましたのはだれかの声だ。
――琥珀――こーはーくー!
目覚めて慌てて手に力をこめる。腕の傷がひどく熱く感じた。
「ディラン? まさか……」
斜め上に視線をずらすと、断崖の縁からディランが身を乗りだしているのが見えた。ああだめだ、ととっさに悟る。エルクウァル以外はここまで辿りつけない。
だけど来てくれた。
――縄を持ってこい、はやく!
「……ディラン様! あなたが婚約者でないかもしれないなんて、疑ってごめんなさい。代わりに剣を抜いてしまってごめんなさい。ほかにいいお嫁さんを見つけてくださいね、ありがとう……」
半ば独り言への返事の代わりに聞こえたのは、不思議なハミングだった。なにかの鳥の声に似ている。琥珀の周りに集まっていたハゲタカが幾羽か、歌に注意を惹かれてディランのほうへ飛んでいった。
(だめよ。ハゲワシを傷つけたって、わたしを助けられるわけじゃない)
琥珀は心臓が竦む思いだったが、ディランは手を高くかざし、鳥を呼び寄せている。そして、
「!」
ハゲワシの爪が自分に向かってきた瞬間、その足に飛びつき、両腕でつかまった。
「琥珀、そこを動くな!」
ディランは断崖を蹴り、ハゲワシとともに滑空した。ディランは自由になる腕に縄を握っていて、その先端には鉤のようなものが取りつけられていた。ハゲワシが重みに怒りを爆発させ、ディランを振り落とそうと手近の岩に向かっていく。ディランは無理をしなかった。その岩に降りたつと、縄を軽くひと巻きして固定させてから、鉤をぐるぐる振りまわしはじめる。
(なにをするつもりなの?)
「ハァッ!」
勢いよく、投げつけた鉤が十尋の距離を伸びて琥珀の頭上に突き刺さった。風圧で髪が揺れるくらいにすれすれである。そしてディランはあろうことか、
「よし、こっちまで伝ってこい!」
気軽に言って、手招きしている。
(なーにーが、伝ってこい、よ! 簡単に言わないでよ、こっちはもう、じっとしているのがやっと……)
「ぼーっとするんじゃねえ、はやくしろ!」
「……や、やればいいんでしょう、やれば……」
琥珀は片手の爪を岩から引き抜こうとしたが、肩が強ばっていて手を動かせない。肘を支点にしてようやく手を浮かせたときにはもう、綱をつかむ力など残っていなかった。
体が宙に投げだされる。背中に風を感じた。これが空を飛ぶということか。
再び歌が聞こえた。琥珀のすぐそばをハゲワシが飛んでいく。次の瞬間、空を飛んでいるはずのハゲワシの背を、若者の足が踏みつけた。同時に琥珀を抱きとめる力強い腕。
「ディラ……」
「この、くそばかっ! 諦めてんじゃねえ!」
踏まれたハゲワシの伴侶が近づいてくると、ディランは一羽目を踏み台にしてそちらの背に飛び移った。琥珀とディランの血の臭いに惹かれ、次々と集まってくる鳥から鳥へと跳びながら高度を下げていく。
ハゲワシの羽が雪のように舞った。ディランが最後の鳥から岩の上に降りたったとき、その足もとから羽毛がふわりと舞いあがる。
ディランは岩に膝をつき、深く息をついた。琥珀の顔を覗きこんで、頬を軽く叩く。
「おい、死んでねえよな?」
「し……」
生きている。自分でそう気づいたとたん、溢れる感情を外にぶつけなければ死んでしまいそうになった。
「生きているに決まっているじゃないの、ばかー! あなたが助けてくれたんでしょ、生きていないかもって思うなら無茶な真似しないでしょ!」
「あーうるせえ。そんだけ口が元気なのになんで助けを呼ばねえんだ。ハゲワシどもが集まっていなかったら、あんたがどこにいるかなんてわかりゃしなかったぞ」
「だって、来てくれるなんて思わなかったもの。あそこにはだれも辿りつけないって、エルクウァルが……」
「エルクウァル?」
ディランの目がすっと細くなった。琥珀は慌てて口をつぐむ。
「やっぱりあいつか。あのろくでなしの魔法使いが、あんたを宮殿から連れ去り、岩に宙づりにしたんだな」
「そういうこと……なんだけど、その前からわたしは暗い部屋に閉じこめられていたわ。エルクウァルが来なくても、わたしは殺されていたかもしれないんでしょう……」
「馬鹿なことを言うな!」
助けてくれた人なのに。改めて湧きあがってきた恐怖のせいで、琥珀の口は止まらなかった。
「だってそうじゃないの、あなたが欲しがっていた剣をわたしが抜いてしまったから、もう呪われた娘を生かしておく理由なんてないのよ。わたしと結婚する理由もなくなったんだから、助けてくれる必要もなかったはずよ」
「必要とかそんなん、考えていられる場合か! 剣についてはあんたに話が……」
「だったらどうしてあんな危険な真似をするのよ,あなたが死んじゃうかもしれなかったじゃない!」
「だから、理由なんかねえんだよ。目の前で女が死のうってときに放っとけるもんか、胸糞悪い!」
「じゃあ、わたしじゃなくても助けたのね?」
「ったりめえだろ、命はみんな同じだ」
ディランの答えが、琥珀の気持ちを冷静にさせた。自分だから助けられたなんて思いあがりもいいところで、ディランは、だれであっても手を差し伸べられる人だったのだ。
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『ああ、やっと私のご主人さまにあえた! さぁあぁ、私とともに旅立とうではありませんか!』
と、アシュリンを旅に誘う。
どういうこと? とノワールに聞くと「説明するから、家族のもとにいこうか」と彼女をリビングにつれていった。
魔法の絵本を手に入れたアシュリンは、フォーサイス家の掟で旅立つことに。
アシュリンの夢と希望の冒険が、いま始まる!
※ほのぼの~ほんわかしたファンタジーです。
※この小説は7万字完結予定の中編です。
※表紙はあさぎ かな先生にいただいたファンアートです。
【奨励賞】氷の王子は、私のスイーツでしか笑わない――魔法学園と恋のレシピ【完結】
旅する書斎(☆ほしい)
児童書・童話
【第3回きずな児童書大賞で奨励賞をいただきました】
魔法が学べる学園の「製菓科」で、お菓子づくりに夢中な少女・いちご。周囲からは“落ちこぼれ”扱いだけど、彼女には「食べた人を幸せにする」魔法菓子の力があった。
ある日、彼女は冷たく孤高な“氷の王子”レオンの秘密を知る。彼は誰にも言えない魔力不全に悩んでいた――。
「私のお菓子で、彼を笑顔にしたい!」
不器用だけど優しい彼の心を溶かすため、特別な魔法スイーツ作りが始まる。
甘くて切ない、学園魔法ラブストーリー!
四尾がつむぐえにし、そこかしこ
月芝
児童書・童話
その日、小学校に激震が走った。
憧れのキラキラ王子さまが転校する。
女子たちの嘆きはひとしお。
彼に淡い想いを抱いていたユイもまた動揺を隠せない。
だからとてどうこうする勇気もない。
うつむき複雑な気持ちを抱えたままの帰り道。
家の近所に見覚えのない小路を見つけたユイは、少し寄り道してみることにする。
まさかそんな小さな冒険が、あんなに大ごとになるなんて……。
ひょんなことから石の祠に祀られた三尾の稲荷にコンコン見込まれて、
三つのお仕事を手伝うことになったユイ。
達成すれば、なんと一つだけ何でも願い事を叶えてくれるという。
もしかしたら、もしかしちゃうかも?
そこかしこにて泡沫のごとくあらわれては消えてゆく、えにしたち。
結んで、切って、ほどいて、繋いで、笑って、泣いて。
いろんな不思議を知り、数多のえにしを目にし、触れた先にて、
はたしてユイは何を求め願うのか。
少女のちょっと不思議な冒険譚。
ここに開幕。
星降る夜に落ちた子
千東風子
児童書・童話
あたしは、いらなかった?
ねえ、お父さん、お母さん。
ずっと心で泣いている女の子がいました。
名前は世羅。
いつもいつも弟ばかり。
何か買うのも出かけるのも、弟の言うことを聞いて。
ハイキングなんて、来たくなかった!
世羅が怒りながら歩いていると、急に体が浮きました。足を滑らせたのです。その先は、とても急な坂。
世羅は滑るように落ち、気を失いました。
そして、目が覚めたらそこは。
住んでいた所とはまるで違う、見知らぬ世界だったのです。
気が強いけれど寂しがり屋の女の子と、ワケ有りでいつも諦めることに慣れてしまった綺麗な男の子。
二人がお互いの心に寄り添い、成長するお話です。
全年齢ですが、けがをしたり、命を狙われたりする描写と「死」の表現があります。
苦手な方は回れ右をお願いいたします。
よろしくお願いいたします。
私が子どもの頃から温めてきたお話のひとつで、小説家になろうの冬の童話際2022に参加した作品です。
石河 翠さまが開催されている個人アワード『石河翠プレゼンツ勝手に冬童話大賞2022』で大賞をいただきまして、イラストはその副賞に相内 充希さまよりいただいたファンアートです。ありがとうございます(^-^)!
こちらは他サイトにも掲載しています。
極甘独占欲持ち王子様は、優しくて甘すぎて。
猫菜こん
児童書・童話
私は人より目立たずに、ひっそりと生きていたい。
だから大きな伊達眼鏡で、毎日を静かに過ごしていたのに――……。
「それじゃあこの子は、俺がもらうよ。」
優しく引き寄せられ、“王子様”の腕の中に閉じ込められ。
……これは一体どういう状況なんですか!?
静かな場所が好きで大人しめな地味子ちゃん
できるだけ目立たないように過ごしたい
湖宮結衣(こみやゆい)
×
文武両道な学園の王子様
実は、好きな子を誰よりも独り占めしたがり……?
氷堂秦斗(ひょうどうかなと)
最初は【仮】のはずだった。
「結衣さん……って呼んでもいい?
だから、俺のことも名前で呼んでほしいな。」
「さっきので嫉妬したから、ちょっとだけ抱きしめられてて。」
「俺は前から結衣さんのことが好きだったし、
今もどうしようもないくらい好きなんだ。」
……でもいつの間にか、どうしようもないくらい溺れていた。
【完結】またたく星空の下
mazecco
児童書・童話
【第15回絵本・児童書大賞 君とのきずな児童書賞 受賞作】
※こちらはweb版(改稿前)です※
※書籍版は『初恋×星空シンバル』と改題し、web版を大幅に改稿したものです※
◇◇◇冴えない中学一年生の女の子の、部活×恋愛の青春物語◇◇◇
主人公、海茅は、フルート志望で吹奏楽部に入部したのに、オーディションに落ちてパーカッションになってしまった。しかもコンクールでは地味なシンバルを担当することに。
クラスには馴染めないし、中学生活が全然楽しくない。
そんな中、海茅は一人の女性と一人の男の子と出会う。
シンバルと、絵が好きな男の子に恋に落ちる、小さなキュンとキュッが詰まった物語。
アリアさんの幽閉教室
柚月しずく
児童書・童話
この学校には、ある噂が広まっていた。
「黒い手紙が届いたら、それはアリアさんからの招待状」
招かれた人は、夜の学校に閉じ込められて「恐怖の時間」を過ごすことになる……と。
招待状を受け取った人は、アリアさんから絶対に逃れられないらしい。
『恋の以心伝心ゲーム』
私たちならこんなの楽勝!
夜の学校に閉じ込められた杏樹と星七くん。
アリアさんによって開催されたのは以心伝心ゲーム。
心が通じ合っていれば簡単なはずなのに、なぜかうまくいかなくて……??
『呪いの人形』
この人形、何度捨てても戻ってくる
体調が悪くなった陽菜は、原因が突然現れた人形のせいではないかと疑いはじめる。
人形の存在が恐ろしくなって捨てることにするが、ソレはまた家に現れた。
陽菜にずっと付き纏う理由とは――。
『恐怖の鬼ごっこ』
アリアさんに招待されたのは、美亜、梨々花、優斗。小さい頃から一緒にいる幼馴染の3人。
突如アリアさんに捕まってはいけない鬼ごっこがはじまるが、美亜が置いて行かれてしまう。
仲良し3人組の幼馴染に一体何があったのか。生き残るのは一体誰――?
『招かれざる人』
新聞部の七緒は、アリアさんの記事を書こうと自ら夜の学校に忍び込む。
アリアさんが見つからず意気消沈する中、代わりに現れたのは同じ新聞部の萌香だった。
強がっていたが、夜の学校に一人でいるのが怖かった七緒はホッと安心する。
しかしそこで待ち受けていたのは、予想しない出来事だった――。
ゾクッと怖くて、ハラハラドキドキ。
最後には、ゾッとするどんでん返しがあなたを待っている。
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