君の唇がさよならと告げる前に

HAZZA

文字の大きさ
上 下
11 / 51

羽音 2

しおりを挟む
暫くベンチに座って海翔の様子を見ていた犬飼が

「タクシーで帰りましょう」

と、海翔を促した

「え・・・もう少し休めば電車で帰れるよあと一駅だし」

「帰れるようには見えませんよ」

すっかり血の気を失って青ざめたままの海翔の横顔を見つめながら、犬飼が静かに言った

「私もそろそろ戻って食事の支度をしないと」

所用を済ませてこれから寮に戻るところだった、と犬飼は言っていた

「それに・・・朝から朋君が随分心配してましたよ」

「あぁ・・・」

 そういえば、寮に着いたら連絡しろって言ってたな・・・

落ち着かない様子で何度もスマホを確認している朋の姿が脳裏に浮かんだ

「お願いします」

「改札を出れば駅前にタクシーが並んでいるはずです。そこまで歩けますか?」

「たぶん・・・」

何度か小さく瞬きをしてから、海翔は息を止めるようにしてゆっくり立ち上がる

「荷物、持ちますよ」

犬飼は自然な動きで海翔が持っていた鞄とペットボトルを引き受けると、海翔の様子を伺いながら駅の改札へと先に立って歩いた

しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

ゲイ体験談集

BL / 連載中 24h.ポイント:1,235pt お気に入り:0

【修正予定】君と話がしたいんだ

BL / 完結 24h.ポイント:7pt お気に入り:50

俺の上司は完璧な恋人

BL / 連載中 24h.ポイント:0pt お気に入り:20

最強パーティーのリーダーは一般人の僕

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:7pt お気に入り:29

【短編集】リアル・ラブドールの憂鬱

SF / 連載中 24h.ポイント:21pt お気に入り:31

階段落ちたら異世界に落ちてました!

ファンタジー / 完結 24h.ポイント:14pt お気に入り:871

ドS×ドM

BL / 連載中 24h.ポイント:42pt お気に入り:690

BL / 連載中 24h.ポイント:21pt お気に入り:276

処理中です...