ゲームコインをザクザク現金化。還暦オジ、田舎で世界を攻略中

あ、まん。

文字の大きさ
11 / 45

# 11 Phase3

しおりを挟む

自宅が崩れてから1週間が経過した。

あれからいつ襲撃があるかもしれないと、モリ達を50体規模で敷地内にくまなく配置して備えていたが、入り口付近で小規模な戦闘があるばかりで、少数のモリでも対応できるものばかりだった。

食料を確保したおかげで、1週間、敷地の外に出る必要もなく、ひたすら畑いじりをしながら、敷地内を整備していた。

ログハウスの方も順調に仕上がってきている。
1か月はかかるかと思っていたが、さすが力持ちのゴリ親方。2、3人で持ち上げるような資材を軽々と扱っていた。

屋根まで仕上げたので、あとは内装や窓枠などをやっている最中。
1棟15坪もあるので、3人であれば十分な広さだ。

太陽光パネルが先週の襲撃で壊れてしまったので電気が使えず、ガスも壊されてしまったので、お風呂は川の水を引き込んで使っているが、常温のまま。まだまだ夏なので今は大丈夫だが、いずれ、解決しないといけない問題だった。

だが、今、いちばん困っているのが、服や布団といった衣類や寝具が足りないこと。
瓦礫の山の下から回収したが、3人も暮らしているので、そろそろ手を打たないといけない。

そのため、ある計画を実行すべく、スマホを確認することにしたのだが……。

「ちょっと、スマホ返してくれる?」
「アベ? べべべっ!」

モリモリのゲームでも異色のキャラ、アベべ。
ずっとベロを出している葉っぱの形をした変なキャラで、スキルも発動しないと何が起きるかわからないというおかしかスキルの持ち主だった。

このキャラのオブジェクト化後のスキルは「代行」。
モリモリの世界では、バレたらBANされる行為だが、ここは現実世界。BANされることもなく、スマホを使っていない時はずっとモリモリのゲームでコインを溜めてもらっている。

それは非常に助かるのだが……。

「……スマホ」
「べべべっ!」

ほら、出た。

べべべって言いながら、渡すのを拒否した……。

「いやいや、早く渡して?」
「べべべっ!」

ぐっ──。

ここで感情的になってはダメだ。アベベの思い通りになってしまう。

小さい子どもだって、思って接すれば。

「……おじさんにスマホを貸してくれるかな?」  
「べべべっ!」

アベベがスマホを背中に隠す。  
いや、丸見え。横からはみ出てるし。

「それ、見えてるから」  
「べっ?」

チラリと後ろを見て、見えているのに気づくと、今度は自分の後ろに置いて短い手足で、スマホを守り始めた。

「どいて」
「べべべっ!」
「『べべべっ』じゃなくて、いいからどいて」
「べべべっ!」
「どいてってば!」 
「……べっ」

スッと、素直にどいた⁉
と思ったら──

そこにあったはずのスマホがない⁉

「べーべべべべっ!」
「ぐぬぬぬぬ……」

手品?
いつの間にか、アベベが帽子を被っていて、帽子を取ると頭の上に豆丸のマイスマホが乗っていた。小馬鹿にした笑い。おのれ、もう許せん!

「早く渡さないと、次からモリモリをさせないからな?」

やむなく、怒る方向でスマホを取り返す戦法に出た。

「……べ」

お? なんかしおらしい?
さすがに懲りたか。

アベベが、そっとスマホを差し出した。

「ありがとう。っておいぃぃぃ‼」

また背中に隠した。そしてちょっと見えてる。

振り出しに戻り、似たようなことを3ループほど繰り返した。

「ハアハアハア……もういいだろ?」
「ベェベェベェ……べっ!」

互いに息が切れた頃にようやくスマホが手元に戻った。毎回、これをやるのいい加減歳のせいでしんどいって。

モリモリのゲームを起動して、コインを確認すると約150万枚。日本円に換算すると、15万円ほど戻してくれていた。助かるっちゃ助かるが、毎回アレをやるのはさすがにきつい……。

実は、この1週間でアベベをオブジェクト化できるようになった以外、もうひとつ、機能が解放された。


───────────────
【No00000812】
Phase3 ── Player等級の獲得〝エリアコマンダー〟
役割:半径Nkm以内のUnitあるいはPlayerを指揮する。
等級スキル〈Lv1〉
▪仮想戦術領域 - Active
▪オーバーライド権限 - Trigger
▪エリアバフ - Passive
───────────────


仮想戦術領域というのは、目の前に現実の地形を線形のみで投影した仮想領域を展開し、そこに事前にリンクしたUnitまたはPlayerとそれ以外のものの位置を反映させるというものだと書かれている。オーバーライド権限は事前にリンクしたUnit、
Playerの意志を一時的に上書きし、強制的に行動させる権限だそうだ。

正直、この2つの等級スキルの使い方はよくわからないが、〝エリアバフ〟というのは、エリア内の味方の能力を引き上げるというものなので、この等級スキルだけは理解できた。

スキルの後ろに〝Active〟とか〝Trigger〟と書かれているが、よく意味がわからない。ゲーム用語っぽいが、なにせこちとらシニア世代。現代のゲームの用語なんて、わかるはずもない。

ただ、どうやらUnitというのは、モリ達のことを指しているらしく、力が強くなっていたり、動きが速くなっているのはこの目で確認した。





しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

おばちゃんダイバーは浅い層で頑張ります

きむらきむこ
ファンタジー
ダンジョンができて十年。年金の足しにダンジョンに通ってます。田中優子61歳

【完結】捨てられた双子のセカンドライフ

mazecco
ファンタジー
【第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞作】 王家の血を引きながらも、不吉の象徴とされる双子に生まれてしまったアーサーとモニカ。 父王から疎まれ、幼くして森に捨てられた二人だったが、身体能力が高いアーサーと魔法に適性のあるモニカは、力を合わせて厳しい環境を生き延びる。 やがて成長した二人は森を出て街で生活することを決意。 これはしあわせな第二の人生を送りたいと夢見た双子の物語。 冒険あり商売あり。 さまざまなことに挑戦しながら双子が日常生活?を楽しみます。 (話の流れは基本まったりしてますが、内容がハードな時もあります)

魔力ゼロの英雄の娘と魔族の秘密

藤原遊
ファンタジー
魔法が支配する世界で、魔力を持たない少女アリア・マーウェラ。彼女は、かつて街を守るために命を落とした英雄的冒険者の両親を持ちながら、その体質ゆえに魔法を使えず、魔道具すら扱えない。しかし、彼女は圧倒的な身体能力と戦闘センスを武器に、ギルドでソロ冒険者として活動していた。街の人々やギルド仲間からは「英雄の娘」として大切にされつつも、「魔力を捨てて進化した次世代型脳筋剣士」と妙な評価を受けている。 そんなある日、アリアは山中で倒れていた謎の魔法使いイアンを助ける。彼は並外れた魔法の才能を持ちながら、孤独な影を背負っていた。やがて二人は冒険の中で信頼を深め、街を脅かす魔王復活を阻止するため、「カギ」を探す旅に出る。 しかしイアンには秘密があった。彼は魔族と人間の混血であり、魔王軍四天王の血を引いていたのだ。その事実が明らかになったとき、アリアは「どんな過去があっても、イアンはイアンだよ」と笑顔で受け入れる。 過去に囚われたイアンと、前を向いて進むアリア。二人の絆が、世界を揺るがす冒険の行方を決める――。シリアスとギャグが織り交ざる、剣と魔法の冒険譚!

ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。 前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。 ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。 「この家は、もうすぐ潰れます」 家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。 手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。

裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね

魚夢ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。 元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、 王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。 代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。 父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。 カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。 その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。 ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。 「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」 そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。 もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。 

ひっそり静かに生きていきたい 神様に同情されて異世界へ。頼みの綱はアイテムボックス

於田縫紀
ファンタジー
 雨宿りで立ち寄った神社の神様に境遇を同情され、私は異世界へと転移。  場所は山の中で周囲に村等の気配はない。あるのは木と草と崖、土と空気だけ。でもこれでいい。私は他人が怖いから。

【完結】妖精を十年間放置していた為SSSランクになっていて、何でもあり状態で助かります

すみ 小桜(sumitan)
ファンタジー
 《ファンタジー小説大賞エントリー作品》五歳の時に両親を失い施設に預けられたスラゼは、十五歳の時に王国騎士団の魔導士によって、見えていた妖精の声が聞こえる様になった。  なんと十年間放置していたせいでSSSランクになった名をラスと言う妖精だった!  冒険者になったスラゼは、施設で一緒だった仲間レンカとサツナと共に冒険者協会で借りたミニリアカーを引いて旅立つ。  ラスは、リアカーやスラゼのナイフにも加護を与え、軽くしたりのこぎりとして使えるようにしてくれた。そこでスラゼは、得意なDIYでリアカーの改造、テーブルやイス、入れ物などを作って冒険を快適に変えていく。  そして何故か三人は、可愛いモモンガ風モンスターの加護まで貰うのだった。

田舎娘、追放後に開いた小さな薬草店が国家レベルで大騒ぎになるほど大繁盛

タマ マコト
ファンタジー
【大好評につき21〜40話執筆決定!!】 田舎娘ミントは、王都の名門ローズ家で地味な使用人薬師として働いていたが、令嬢ローズマリーの嫉妬により濡れ衣を着せられ、理不尽に追放されてしまう。雨の中ひとり王都を去ったミントは、亡き祖母が残した田舎の小屋に戻り、そこで薬草店を開くことを決意。森で倒れていた謎の青年サフランを救ったことで、彼女の薬の“異常な効き目”が静かに広まりはじめ、村の小さな店《グリーンノート》へ、変化の風が吹き込み始める――。

処理中です...