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第一部おまけ
メテオライト02.霊峰ガリアにて
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霊峰ガリアはシスル王国の北西に位置する神聖な地だ。原作ゲームでは巨大な雪玉が自軍ターン終了時にごろごろ転がってくるふざけたマップだが、シスル王国では神聖な場所なので一般人の立ち入りは禁止されている。
僕たち三人は周囲の魔物を警戒しながら、大陸最高峰であるこの山を登り始めた。
「ところでメテオライト様。槍の扱いは経験あります?」
「えっ? ないけど」
進み始めて暫くたち魔物との交戦の後、休憩中にヘリオドールがそんな質問を飛ばしてきた。魔道士系である僕が槍を使う必要などないのだが、いったいどういう事だろう?
彼は他の騎士に比べると、テンションが緩めで付き合いやすい相手だ。僕は普段から死の砂漠を歩き回って鍛えているので、霊峰ガリアを登りきる体力もあるし足腰にも自信がある。なので唐突に筋トレを進めてくるなんて事は無いはず。ただでさえ僕の力のステータスは、成長率が15パーセントしかないのだから無理ゲーでしかない。
「せっかく神槍ゲイレルルを取りに来たんですし、陛下を隠居させるんでしたら脅しにちょうどいいじゃないっすか」
「いやいや。さすがにそれはマズいだろう! メテオライト様、やりませんよね? ね?」
「あ~、その手があったね。やっぱりオニキスを連れてくればよかったな」
小心者の父であれば軽い威嚇どころか、僕が騎士たちを引き連れて迫るだけで腰を抜かしそうだ。最初の予定では中級風魔法の一発でも浴びせてやろうかと思っていたが、流血沙汰ともなると民たちへ与える印象があまりにも悪い。
だがオニキス派の騎士たちとその実家に加え、僕の亡き母上の実家であるラナンキュラス侯爵家を味方につけられていることは実に有利だ。これを利用しない手はない。特にその中でも、この国の貴族の中では古い歴史を持つミスルトー侯爵家も併せれば強力な後ろ盾となってくれるはずだ。
「槍の使い方なら教えますよ。……ジェイドが」
「お前も槍は扱えるだろう!」
「魔導騎士に昇格してからは持たなくなったし、ジェイドのほうが従騎士時代から成績良かったじゃないか」
ゲームではシステム上、装備できない武器であっても持ち物欄には入れられた。武器も複数持ち歩けば普通に体格を上回るので、積載量を超えるとかそういったシステムもない。
そもそも武器熟練度と体格は『戦闘中』に武器を振るうのに必要なステータスだ。なので持ち上げるだけなら必要ない。
「実際に戦闘で振り回すのは無理だけど、持ち上げるくらいならギリギリできるかな」
それに神槍ゲイレルルの武器重量は僕の体格より上だが、全く持ち上げられない範囲じゃない。運搬をジェイドに任せれば短時間限定で持ち上げられるだろう。運搬まで自分でやったら翌日以降、しばらく腕が筋肉痛になりそうだ。
その後も休憩を挟みつつ少しづつ上り続け、五日半の時間をかけて霊峰ガリアの頂に辿り着いた。そこには石造りの祠がある。神話の時代に初代国王カーネリアンが建てさせたものだ。この祠の入り口は彼の血を引く者にしか開くことができないよう、魔法によるプロテクトが掛けられている。なので僕は手をかざすと、重厚な音を立てて封印の祠が開かれた。
僕は祠の中にある祭壇から神槍ゲイレルルを取り出すと、そのままジェイドに渡す。駄目だ、結構重い。こんなの振り回すとか、相当ムキムキじゃないと無理だろう。ゲーム画面では片手で槍を振り回すドット絵を採用していたけど、ここまで重いと無茶だったんじゃないかとさえ思えてしまう。
「さ~て、それじゃあ帰りは一気に戻ろうか」
「メテオライト様、下山のほうが危険です。それに今日はそろそろ日も暮れますし、野営の準備をいたしましょう」
「ああ、言い忘れてたっけ。二人とも、この腕輪を付けてくれるかい?」
僕は道具袋から腕輪を取り出すと、ヘリオドール達に一つずつ渡す。シスルに帰ってくる直前までマーリン様に手伝ってもらい、作っていた魔装具だ。
「何すかこの腕輪? 魔装具みたいですけど」
「リワープの腕輪の試作品さ。僧侶や賢者でなくてもリワープが使えるんだ。とはいえ、まだ試作品だから使用回数は一回でね。まあ簡単に言えば、魔晶石に座標登録した場所に帰ってこられる代物だよ」
魔晶石の準備に少し時間がかかってしまったのだが、これ自体は魔術の媒介――水晶さえあれば時間はかかるが作ることができる。術の源として僕の魔力を魔晶石に込めてあるが、兵種・吟遊詩人は魔力のステータス上限が賢者など他の魔道士系よりも低い。なので彼らが使うワープ・リワープに比べると移動範囲は狭まってしまう。だがこの霊峰ガリアの頂から麓まで下りるには問題ない。
そもそも『リワープの腕輪』は【レギンレイヴシリーズ】のかなり後続作品で登場したアイテムだ。遠い異大陸に存在するアイテムなので無理ということは無かったが、再現するのに時間がかかった。だが、その結果は満足いく仕上がりだ。
二人に使い方を説明し、順に使用すると問題なく術式が発動した。現在地は霊峰ガリアの麓だ。
「はあ~。古の魔女様に弟子入りしていたとは聞いてましたけど、こんな凄いもん作っちまうなんてメテオライト様って天才か何かですか?」
「ううん、草案だけ伝えて術式の構築はマーリン様に頼んじゃった。僕は魔晶石の試作で手一杯だし、賢者に昇格する必須条件である杖の才は持ち合わせていないからね」
「流石メテオライト様、ちゃっかりしてますね」
麓には一般人が立ち入らないように見張り小屋がある。そこで一晩を明かしたのちに、繋いでおいた馬でミスルトー家の邸へと戻ることとなった。ああ、柔らかいベッドと暖かい暖炉が恋しい。
僕たち三人は周囲の魔物を警戒しながら、大陸最高峰であるこの山を登り始めた。
「ところでメテオライト様。槍の扱いは経験あります?」
「えっ? ないけど」
進み始めて暫くたち魔物との交戦の後、休憩中にヘリオドールがそんな質問を飛ばしてきた。魔道士系である僕が槍を使う必要などないのだが、いったいどういう事だろう?
彼は他の騎士に比べると、テンションが緩めで付き合いやすい相手だ。僕は普段から死の砂漠を歩き回って鍛えているので、霊峰ガリアを登りきる体力もあるし足腰にも自信がある。なので唐突に筋トレを進めてくるなんて事は無いはず。ただでさえ僕の力のステータスは、成長率が15パーセントしかないのだから無理ゲーでしかない。
「せっかく神槍ゲイレルルを取りに来たんですし、陛下を隠居させるんでしたら脅しにちょうどいいじゃないっすか」
「いやいや。さすがにそれはマズいだろう! メテオライト様、やりませんよね? ね?」
「あ~、その手があったね。やっぱりオニキスを連れてくればよかったな」
小心者の父であれば軽い威嚇どころか、僕が騎士たちを引き連れて迫るだけで腰を抜かしそうだ。最初の予定では中級風魔法の一発でも浴びせてやろうかと思っていたが、流血沙汰ともなると民たちへ与える印象があまりにも悪い。
だがオニキス派の騎士たちとその実家に加え、僕の亡き母上の実家であるラナンキュラス侯爵家を味方につけられていることは実に有利だ。これを利用しない手はない。特にその中でも、この国の貴族の中では古い歴史を持つミスルトー侯爵家も併せれば強力な後ろ盾となってくれるはずだ。
「槍の使い方なら教えますよ。……ジェイドが」
「お前も槍は扱えるだろう!」
「魔導騎士に昇格してからは持たなくなったし、ジェイドのほうが従騎士時代から成績良かったじゃないか」
ゲームではシステム上、装備できない武器であっても持ち物欄には入れられた。武器も複数持ち歩けば普通に体格を上回るので、積載量を超えるとかそういったシステムもない。
そもそも武器熟練度と体格は『戦闘中』に武器を振るうのに必要なステータスだ。なので持ち上げるだけなら必要ない。
「実際に戦闘で振り回すのは無理だけど、持ち上げるくらいならギリギリできるかな」
それに神槍ゲイレルルの武器重量は僕の体格より上だが、全く持ち上げられない範囲じゃない。運搬をジェイドに任せれば短時間限定で持ち上げられるだろう。運搬まで自分でやったら翌日以降、しばらく腕が筋肉痛になりそうだ。
その後も休憩を挟みつつ少しづつ上り続け、五日半の時間をかけて霊峰ガリアの頂に辿り着いた。そこには石造りの祠がある。神話の時代に初代国王カーネリアンが建てさせたものだ。この祠の入り口は彼の血を引く者にしか開くことができないよう、魔法によるプロテクトが掛けられている。なので僕は手をかざすと、重厚な音を立てて封印の祠が開かれた。
僕は祠の中にある祭壇から神槍ゲイレルルを取り出すと、そのままジェイドに渡す。駄目だ、結構重い。こんなの振り回すとか、相当ムキムキじゃないと無理だろう。ゲーム画面では片手で槍を振り回すドット絵を採用していたけど、ここまで重いと無茶だったんじゃないかとさえ思えてしまう。
「さ~て、それじゃあ帰りは一気に戻ろうか」
「メテオライト様、下山のほうが危険です。それに今日はそろそろ日も暮れますし、野営の準備をいたしましょう」
「ああ、言い忘れてたっけ。二人とも、この腕輪を付けてくれるかい?」
僕は道具袋から腕輪を取り出すと、ヘリオドール達に一つずつ渡す。シスルに帰ってくる直前までマーリン様に手伝ってもらい、作っていた魔装具だ。
「何すかこの腕輪? 魔装具みたいですけど」
「リワープの腕輪の試作品さ。僧侶や賢者でなくてもリワープが使えるんだ。とはいえ、まだ試作品だから使用回数は一回でね。まあ簡単に言えば、魔晶石に座標登録した場所に帰ってこられる代物だよ」
魔晶石の準備に少し時間がかかってしまったのだが、これ自体は魔術の媒介――水晶さえあれば時間はかかるが作ることができる。術の源として僕の魔力を魔晶石に込めてあるが、兵種・吟遊詩人は魔力のステータス上限が賢者など他の魔道士系よりも低い。なので彼らが使うワープ・リワープに比べると移動範囲は狭まってしまう。だがこの霊峰ガリアの頂から麓まで下りるには問題ない。
そもそも『リワープの腕輪』は【レギンレイヴシリーズ】のかなり後続作品で登場したアイテムだ。遠い異大陸に存在するアイテムなので無理ということは無かったが、再現するのに時間がかかった。だが、その結果は満足いく仕上がりだ。
二人に使い方を説明し、順に使用すると問題なく術式が発動した。現在地は霊峰ガリアの麓だ。
「はあ~。古の魔女様に弟子入りしていたとは聞いてましたけど、こんな凄いもん作っちまうなんてメテオライト様って天才か何かですか?」
「ううん、草案だけ伝えて術式の構築はマーリン様に頼んじゃった。僕は魔晶石の試作で手一杯だし、賢者に昇格する必須条件である杖の才は持ち合わせていないからね」
「流石メテオライト様、ちゃっかりしてますね」
麓には一般人が立ち入らないように見張り小屋がある。そこで一晩を明かしたのちに、繋いでおいた馬でミスルトー家の邸へと戻ることとなった。ああ、柔らかいベッドと暖かい暖炉が恋しい。
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