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第三部
第20話 掌の上
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意識を失っていたという事に気が付いたのは、見慣れない天井が視界に入ってからだった。ベッドに横たわったまま部屋の中を見渡してみると救護室のような場所で、他のベッドにはヘリオドールたちが横になっているようだ。
どのようにしてここに移動してきたのかだとか、ここは何処なのかとか解らないことばかりだ。とりあえず今の状況を確認したい。扉の向こうに幾つかの気配を感じるので、誰か近くを通りかからないかと期待するが、忙しそうな声は聞こえるものの人が来る様子は無い。
あの男にたった一瞬でボロボロにされて動けるか判らないが、体を動かして通路に出て声を掛けたほうが良い。そう判断して起き上がろうとしたところで、ベッドの淵からメテオライトがにゅっと顔を出した。
「うおっ!?」
「うふふ。びっくりした?」
「目が赤い……ってことは、お前ケイオスか」
「そうよ。治療はしてあるから、いつも通り動いてくれて大丈夫」
「本当だ。全然どこも痛くない」
起き上がり腕を動かしてみるが何の違和感もなく、身体中どこにも痛みは残っていない。
俺が身体の確認をしている脇で、ケイオスはここは神殿の隣にある修道院であることを教えてくれる。男性陣はここで寝ているが、気を失っていただけで怪我はしていなかったミシェルとエルナは宿泊できる施設の関係で神殿のほうにいるらしい。
「ワタシが助けてあげられれば良かったんだけど、ゲオルグが相手だと難しいのよね」
「……ゲオルグって、あのゲオルグか?」
「そう、そのゲオルグ。あの子はね、ワタシが最初に作った人間たちの一人なの」
創世の時代を生きた翠緑の勇者ゲオルグ――俺の大先輩ともいえる男だ。シスル王国建国の騎士カーネリアンの祖先であり、大公スヴェルの奥方だったレテの父親。そしてケイオスを肉体と魂に分離するまでに追い詰め、封印した英傑だと聞いていた相手だ。
「世界を作ったとき、最初に幽冥と闇夜、次に上天と昼光を作ったんだけど、その時に大地がいつの間にか出来ていることに気が付いて……でもそこには何もなくて寂しかったから、エレボスたちにも自分と同じような器と力を与えて仲間を増やすように言いつけて、ワタシは他のモノを作ることにしたの。最初は山や海みたいな皆の住処を。次にワタシたち竜族と似た容姿の蛇や蜥蜴を作ったわ。でも彼らにはワタシたちほどの知性や感情が無かったから、今度は全く違った形の生物を幾つか作ったの。その中に含まれているのが貴方たち人間や、獅子族みたいなアスラの民ね」
そういうとケイオスは掌の上に粘土を生み出した。大きさは子供の握りこぶしくらいだ。
「土遊び。貴方も子供のころに一度くらいはしたことがあるでしょう?」
ケイオスは以前に小さな惑星を作って見せてくれたのと同じように、掌で粘土をこねて生物を形作る。それは小さな獣の姿をしていた。化け物と呼ぶほど悍ましい容姿ではないが、見たこともないような姿をしている。だが掌サイズの小さな身体だから恐ろしさを感じないだけで、狼くらいの大きさであれば恐怖を覚える人間は多そうだ。
「ワタシは昔、人間をおかしな方向で進化させたことがあるの。腕が百本あったり、背中に目玉が付いていたり……多いと便利だと思って付けてみたんだけど、今じゃそんな姿の子が居たら化け物扱いでしょうね」
「当時はそれが普通に居たってことか?」
「う~ん。そこそこ居たかな。でも色んな子に怒られて止めたから、もうどこにも残っていないわ。貴方たちが言う創世の時代から神話の時代にかけて、異種族間で何度も殺し合いがあったから、その時に『化け物退治』ってされちゃったみたい」
掌の生物を潰すと、それはまた最初と同じように粘土状になる。それを二つに割り再び捏ねなおすと、今度は土偶のような人型で手には剣と盾を持っていた。土偶の片割れがもう一体を切り殺すと、それは砂のように崩れさる。
「昔もね、こういう風に異種族間だったり、同じ種族だったり……とにかく何かしら違った要素を持つもの同士が何度もなんども、沢山殺し合ったわ」
砂は再び一塊の粘土へと変化すると今度は群衆となり、それは軍隊へと進化した。そうして先ほど自分たちを殺したほうの土偶へと襲い掛かる。小さくてとてもちっぽけな存在たちがそれを何度か繰り返したところで、ケイオスはいつの間にか作っていた別の人形を放り込んだ。それは小さな竜の姿をしていた。だがその力はとても強く、土偶たちは一捻りにされてしまう。しかし更に追加された人形が小さな竜を光り輝く剣で紙屑のように簡単に切り裂いた。
「創世の時代が終わりに近づき神話の時代が始まるころ、始まりの地であるこのローレッタ大陸からほとんどの竜族が去ったのは、この地の人間たちに見切りをつけたからなの。ハールみたいな物好きが間接的に手を貸しはしたけれど、ロキなんて問題児をテミスが放置するなんておかしな話でしょう?」
肉体を失い魂だけとなった状態でこのローレッタ大陸を見守っていたケイオスは、文字通り手も足も出せず声すら持たない状態だった。その為なのか、ゆっくりと世界に存在する生物たちを観察していたらしい。
「当時、テミスは娘たちと手分けして人間たちに争う事を止めるよう説いたわ。外見の違いは人間同士でも当たり前に存在するでしょう? 竜族からすると、ちょっと毛深いからとか、耳の形が違うからとか馬鹿みたいな理由だってなっちゃうんだけど、人間は何かにつけて優劣をつけたがるから……まあ、流石のあの子たちでも説得に疲れちゃったんでしょうね」
創世の時代が終わるとともに指導者の交代が何度も巻き起こり、英雄であるはずのゲオルグの言葉ですら聞く耳を持ってもらえなかったという。それだけ人間という生き物は貪欲で愚かだという事なのだろう。現に聖王リーヴが邪竜ロキを封印するために立ち上がるまでは本能のままに生きる者のほうが多かったという。
今でこそ当たり前になった魔法も当時は竜族のみに扱えた技術だし、ありとあらゆる知識というのは竜族の物だったのだからハール神が人間たちに与えてくれた反逆の機会というのは奇跡のようなものだ。
「ゲオルグはワタシを殺すことに特化した人間なの。だから今も魂はテミスの眷属として現世に干渉できる。他の人間より丈夫で力が強いのは副産物みたいなもので、本来のあの子なら人間同士の争いには向かない性質のはずだからメテオライトがあんな風にされたのは想定外だったわ」
ケイオスは何故か俺のベッドの脇でお菓子が包まれた布を広げ始める。それは貴族の家で見るような見た目や材料などが凝ったものではなく、庶民にも馴染みがあるようなシンプルなビスケットやグミだ。おそらくは修道院の人間に貰ったのだろう。
「それにしても昔はあんなにサドじゃなかったのに、天界で何か嫌なことでもあったのかしらね。メテオライトなんて治療に結構かかったから、たぶん暫くは起きないわよ」
「ああ。だからケイオスが表に出ているのか」
「あの怖い顔のおじさんがお客さんが来るみたいなこと言ってたから、メテオライトには起きてほしいんだけど、ワタシが成り済ましたら怒られるかしら?」
「今のそのキャラのままだと確実にまた殴り飛ばされるぞ。あとその身体で直接本人に怖い顔のおじさんとか言わないでやれ。可愛そうだから」
「もう言ったわよ。膝から崩れ落ちたわ」
遅かったか――そう思いながらも俺は次の話題を探す。ケイオスと直接話せる機会が、あとどれほどあるか判らない状況だ。聞けることは聞いておきたい。
頭を悩ませているとケイオスは俺にもお菓子の分け前を渡してくるが、差し出されたグミは凄い味がすることで有名なグミだ。子供のころに一度だけ騙されて食べたことがある。あれは酷い目にあった。なので直球で断るとケイオスは自身の口に含み「ワタシ好みの混沌とした味なのに……」と残念そうにしていた。
「そういえば、あいつが奪っていった神竜族の骨って、どんな意味があったんだ? 随分と執着してたみたいだけど」
これは恐らく重要なのではないか。俺なりに考えて質問を投げかける。メテオライトがあんな状態になるまで、渡すのをためらったほどの物だ。何かしらのヒントがあるのではないだろうか。
「あれはテミスの指の骨ね。ワタシがまだ肉体を持って居た頃、退治される少し前の話なんだけどね。さっき話した最初の子供たちと一緒にテミスたちと戦ったの。その時にカロンちゃん――人間の感覚でいうとワタシの孫みたいな子ね! その子が最後の一撃って感じでテミスの腕を切り落としたの。そのあとカロンちゃんは死んじゃって今じゃ砂漠になっちゃってるけど、そこには当時の道具とか色々埋まってるのよ。だから今度みんなで宝探ししましょう。きっと楽しいわ!」
ケイオスは身振り手振りを交えながら、相手の防御をぶち抜く殺意マシマシの凄い子なの!と孫自慢も欠かさない。メテオライトが魔力を節約中なのは、近いうちにそのカロンちゃんとやらの骨を触媒に神器を作る予定だからだと付け足してくる。
「メテオライトは儀式で役に立つかもってテミスの骨も持ち帰ってきてたんだけど、それをゲオルグに捕捉されちゃったみたい。あの子が何に使うつもりかは知らないけど、テミスが出てくるよりはう~んとマシだったから結果オーライってやつね!」
そう言いながらケイオスは菓子を口に放り込む。俺も腹が空いていたのでビスケットを少し貰い食べていると、勢いよく扉が開く。慌てた様子のオブシディアン将軍が飛び込んで来た。
「メテオライトさま!」
「あっ、やばっ! この子もう復活しちゃった」
「……ケイオス様。メテオライトさまの身体も休ませるよう申し上げたはずですが?」
あの時一緒だったメンバーではメテオライトが一番重傷だったのだから、これは尤もな言い分だ。外見上は問題なさそうだが、いくらケイオスの力で保護しているにしても限度がある。
「てへっ!」
怒られたことに対するケイオスのこの態度に、オブシディアン将軍は無言で腹パンした。さっき注意したはずなのに、ケイオスは全く懲りていないらしい。前回殴り飛ばされたときと同じで、ケイオスからメテオライトに人格の主導権が戻ってきたようだ。メテオライトはすやすやと眠っている。
「城へ戻るために馬車を手配してある。到着は夕方ごろになるから、出発は明日の朝になるだろう。エリアス殿もしっかり休まれるように」
どのようにしてここに移動してきたのかだとか、ここは何処なのかとか解らないことばかりだ。とりあえず今の状況を確認したい。扉の向こうに幾つかの気配を感じるので、誰か近くを通りかからないかと期待するが、忙しそうな声は聞こえるものの人が来る様子は無い。
あの男にたった一瞬でボロボロにされて動けるか判らないが、体を動かして通路に出て声を掛けたほうが良い。そう判断して起き上がろうとしたところで、ベッドの淵からメテオライトがにゅっと顔を出した。
「うおっ!?」
「うふふ。びっくりした?」
「目が赤い……ってことは、お前ケイオスか」
「そうよ。治療はしてあるから、いつも通り動いてくれて大丈夫」
「本当だ。全然どこも痛くない」
起き上がり腕を動かしてみるが何の違和感もなく、身体中どこにも痛みは残っていない。
俺が身体の確認をしている脇で、ケイオスはここは神殿の隣にある修道院であることを教えてくれる。男性陣はここで寝ているが、気を失っていただけで怪我はしていなかったミシェルとエルナは宿泊できる施設の関係で神殿のほうにいるらしい。
「ワタシが助けてあげられれば良かったんだけど、ゲオルグが相手だと難しいのよね」
「……ゲオルグって、あのゲオルグか?」
「そう、そのゲオルグ。あの子はね、ワタシが最初に作った人間たちの一人なの」
創世の時代を生きた翠緑の勇者ゲオルグ――俺の大先輩ともいえる男だ。シスル王国建国の騎士カーネリアンの祖先であり、大公スヴェルの奥方だったレテの父親。そしてケイオスを肉体と魂に分離するまでに追い詰め、封印した英傑だと聞いていた相手だ。
「世界を作ったとき、最初に幽冥と闇夜、次に上天と昼光を作ったんだけど、その時に大地がいつの間にか出来ていることに気が付いて……でもそこには何もなくて寂しかったから、エレボスたちにも自分と同じような器と力を与えて仲間を増やすように言いつけて、ワタシは他のモノを作ることにしたの。最初は山や海みたいな皆の住処を。次にワタシたち竜族と似た容姿の蛇や蜥蜴を作ったわ。でも彼らにはワタシたちほどの知性や感情が無かったから、今度は全く違った形の生物を幾つか作ったの。その中に含まれているのが貴方たち人間や、獅子族みたいなアスラの民ね」
そういうとケイオスは掌の上に粘土を生み出した。大きさは子供の握りこぶしくらいだ。
「土遊び。貴方も子供のころに一度くらいはしたことがあるでしょう?」
ケイオスは以前に小さな惑星を作って見せてくれたのと同じように、掌で粘土をこねて生物を形作る。それは小さな獣の姿をしていた。化け物と呼ぶほど悍ましい容姿ではないが、見たこともないような姿をしている。だが掌サイズの小さな身体だから恐ろしさを感じないだけで、狼くらいの大きさであれば恐怖を覚える人間は多そうだ。
「ワタシは昔、人間をおかしな方向で進化させたことがあるの。腕が百本あったり、背中に目玉が付いていたり……多いと便利だと思って付けてみたんだけど、今じゃそんな姿の子が居たら化け物扱いでしょうね」
「当時はそれが普通に居たってことか?」
「う~ん。そこそこ居たかな。でも色んな子に怒られて止めたから、もうどこにも残っていないわ。貴方たちが言う創世の時代から神話の時代にかけて、異種族間で何度も殺し合いがあったから、その時に『化け物退治』ってされちゃったみたい」
掌の生物を潰すと、それはまた最初と同じように粘土状になる。それを二つに割り再び捏ねなおすと、今度は土偶のような人型で手には剣と盾を持っていた。土偶の片割れがもう一体を切り殺すと、それは砂のように崩れさる。
「昔もね、こういう風に異種族間だったり、同じ種族だったり……とにかく何かしら違った要素を持つもの同士が何度もなんども、沢山殺し合ったわ」
砂は再び一塊の粘土へと変化すると今度は群衆となり、それは軍隊へと進化した。そうして先ほど自分たちを殺したほうの土偶へと襲い掛かる。小さくてとてもちっぽけな存在たちがそれを何度か繰り返したところで、ケイオスはいつの間にか作っていた別の人形を放り込んだ。それは小さな竜の姿をしていた。だがその力はとても強く、土偶たちは一捻りにされてしまう。しかし更に追加された人形が小さな竜を光り輝く剣で紙屑のように簡単に切り裂いた。
「創世の時代が終わりに近づき神話の時代が始まるころ、始まりの地であるこのローレッタ大陸からほとんどの竜族が去ったのは、この地の人間たちに見切りをつけたからなの。ハールみたいな物好きが間接的に手を貸しはしたけれど、ロキなんて問題児をテミスが放置するなんておかしな話でしょう?」
肉体を失い魂だけとなった状態でこのローレッタ大陸を見守っていたケイオスは、文字通り手も足も出せず声すら持たない状態だった。その為なのか、ゆっくりと世界に存在する生物たちを観察していたらしい。
「当時、テミスは娘たちと手分けして人間たちに争う事を止めるよう説いたわ。外見の違いは人間同士でも当たり前に存在するでしょう? 竜族からすると、ちょっと毛深いからとか、耳の形が違うからとか馬鹿みたいな理由だってなっちゃうんだけど、人間は何かにつけて優劣をつけたがるから……まあ、流石のあの子たちでも説得に疲れちゃったんでしょうね」
創世の時代が終わるとともに指導者の交代が何度も巻き起こり、英雄であるはずのゲオルグの言葉ですら聞く耳を持ってもらえなかったという。それだけ人間という生き物は貪欲で愚かだという事なのだろう。現に聖王リーヴが邪竜ロキを封印するために立ち上がるまでは本能のままに生きる者のほうが多かったという。
今でこそ当たり前になった魔法も当時は竜族のみに扱えた技術だし、ありとあらゆる知識というのは竜族の物だったのだからハール神が人間たちに与えてくれた反逆の機会というのは奇跡のようなものだ。
「ゲオルグはワタシを殺すことに特化した人間なの。だから今も魂はテミスの眷属として現世に干渉できる。他の人間より丈夫で力が強いのは副産物みたいなもので、本来のあの子なら人間同士の争いには向かない性質のはずだからメテオライトがあんな風にされたのは想定外だったわ」
ケイオスは何故か俺のベッドの脇でお菓子が包まれた布を広げ始める。それは貴族の家で見るような見た目や材料などが凝ったものではなく、庶民にも馴染みがあるようなシンプルなビスケットやグミだ。おそらくは修道院の人間に貰ったのだろう。
「それにしても昔はあんなにサドじゃなかったのに、天界で何か嫌なことでもあったのかしらね。メテオライトなんて治療に結構かかったから、たぶん暫くは起きないわよ」
「ああ。だからケイオスが表に出ているのか」
「あの怖い顔のおじさんがお客さんが来るみたいなこと言ってたから、メテオライトには起きてほしいんだけど、ワタシが成り済ましたら怒られるかしら?」
「今のそのキャラのままだと確実にまた殴り飛ばされるぞ。あとその身体で直接本人に怖い顔のおじさんとか言わないでやれ。可愛そうだから」
「もう言ったわよ。膝から崩れ落ちたわ」
遅かったか――そう思いながらも俺は次の話題を探す。ケイオスと直接話せる機会が、あとどれほどあるか判らない状況だ。聞けることは聞いておきたい。
頭を悩ませているとケイオスは俺にもお菓子の分け前を渡してくるが、差し出されたグミは凄い味がすることで有名なグミだ。子供のころに一度だけ騙されて食べたことがある。あれは酷い目にあった。なので直球で断るとケイオスは自身の口に含み「ワタシ好みの混沌とした味なのに……」と残念そうにしていた。
「そういえば、あいつが奪っていった神竜族の骨って、どんな意味があったんだ? 随分と執着してたみたいだけど」
これは恐らく重要なのではないか。俺なりに考えて質問を投げかける。メテオライトがあんな状態になるまで、渡すのをためらったほどの物だ。何かしらのヒントがあるのではないだろうか。
「あれはテミスの指の骨ね。ワタシがまだ肉体を持って居た頃、退治される少し前の話なんだけどね。さっき話した最初の子供たちと一緒にテミスたちと戦ったの。その時にカロンちゃん――人間の感覚でいうとワタシの孫みたいな子ね! その子が最後の一撃って感じでテミスの腕を切り落としたの。そのあとカロンちゃんは死んじゃって今じゃ砂漠になっちゃってるけど、そこには当時の道具とか色々埋まってるのよ。だから今度みんなで宝探ししましょう。きっと楽しいわ!」
ケイオスは身振り手振りを交えながら、相手の防御をぶち抜く殺意マシマシの凄い子なの!と孫自慢も欠かさない。メテオライトが魔力を節約中なのは、近いうちにそのカロンちゃんとやらの骨を触媒に神器を作る予定だからだと付け足してくる。
「メテオライトは儀式で役に立つかもってテミスの骨も持ち帰ってきてたんだけど、それをゲオルグに捕捉されちゃったみたい。あの子が何に使うつもりかは知らないけど、テミスが出てくるよりはう~んとマシだったから結果オーライってやつね!」
そう言いながらケイオスは菓子を口に放り込む。俺も腹が空いていたのでビスケットを少し貰い食べていると、勢いよく扉が開く。慌てた様子のオブシディアン将軍が飛び込んで来た。
「メテオライトさま!」
「あっ、やばっ! この子もう復活しちゃった」
「……ケイオス様。メテオライトさまの身体も休ませるよう申し上げたはずですが?」
あの時一緒だったメンバーではメテオライトが一番重傷だったのだから、これは尤もな言い分だ。外見上は問題なさそうだが、いくらケイオスの力で保護しているにしても限度がある。
「てへっ!」
怒られたことに対するケイオスのこの態度に、オブシディアン将軍は無言で腹パンした。さっき注意したはずなのに、ケイオスは全く懲りていないらしい。前回殴り飛ばされたときと同じで、ケイオスからメテオライトに人格の主導権が戻ってきたようだ。メテオライトはすやすやと眠っている。
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