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第六章 最終章の、その先
エミィ。2
しおりを挟む「小さかったルナが、明日には十歳か。早いなぁ」
パパが、しみじみと腕組みする。
「来年からプレゼントは二つがいいわ。誕生日と、クリスマス」
ルナが調子の良いことを言うと、パパはルナの頭をわしゃわしゃとかき回した。
「まとめて豪華にしてるだろう?」
「そうよ。それに、おばあちゃんにも何か買ってもらうんでしょ?」
きれいに切り分けたケーキをルナに差し出しながらママが言った。
ルナは肩をすくめる。
バレてたか。ママは鋭い。
ルナのおばあちゃんは、駅前でかわいい喫茶店をやっている。
ルナが生まれるずっと前は、お酒を出すお店だったらしい。
ある時思い立って、喫茶店に改装したのだそうだ。
おばあちゃんのお店のコーヒーは絶品なんだとか。
まだ小学生のルナは、コーヒーの味なんて分からないけど。
将来カレシができたら、いちばんにお店に連れて行くと約束している。
明るくて、キレイでオシャレ。
とてもおばあちゃんには見えないおばあちゃん。
ルナの自慢だ。
たくさんの、大好きな人たちに囲まれている。
ルナは、今の生活が楽しくてたまらなかった。
***
「子どもは夜更かししない! プレゼントが逃げちゃうよ」
エミィが子供部屋までついて来て、パンパンと手を叩いた。
でも、ルナには分かっている。
大人は、絶対にプレゼントをくれる。
これくらいでビビるほど子どもじゃない。
まったく。みんな、いつまでも小さい子扱いするんだから。
「はぁい」
気のない返事と一緒にあくびが出た。
「ほらぁ。ずっとはしゃいでたから疲れたのよ。さあ」
確かにそうかも。
ルナは、大人しく寝ることにした。
ベッドへ潜り込むと、ごそごそとサルを探す。
小さなぬいぐるみ。
ふざけたような顔だけど優しそうにも見える。
元の持ち主はエミィだ。
いつも借りて遊んでいたのが、いつの間にかルナのものになっていた。
たくさん遊んだからもうボロボロだけど、この子がいるとよく眠れる。
大切な相棒だ。
「おやすみ、ルナ。また明日ね」
「うん……明日、ね」
エミィの、少しカサカサした手がルナの頭をそっと撫でてくれる。
心地良くて、既にトロンとしてきた。
エミィは、いつからエミィなんだろう。
ルナはもう大きいから、エミィの本当の名前を知っている。
それを教えてもらったのは、ちょうど一年前のクリスマスだ。
えーっと……。
そのまま、ルナは深い眠りに手繰り寄せられていった。
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