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センセイをいじめるやつはゆるさない!
しおりを挟む勉強の時間が終わりセシディが城から帰った後、プリシア王女はロイドの部屋へと訪れていた。
「お兄さま! センセイにお会いしていたなら、どうして教えてくれなかったのですか!?」
「すまなかった。プリシアに頼まれた事を調べに行ったら、彼女が泣いていたような気がしたんだ。だから思わず、ダンスに誘ってしまった。」
「センセイ……泣いていたの?」
「いや……表情は変わらなかったが、私には泣いているように見えただけだ。」
「お兄さまがそう言うのなら、そうなんですね。センセイを泣かせたひとは誰ですか?」
「んー。子供のプリシアに、話していいものか悩んでいたから、話せなかったんだよなあ。」
プリシア王女は、頬をぷくーっとふくらませ、
「子供扱いしないで! お兄さまはいつも私を子供扱いする! お兄さまと、10歳しかかわりません!」
「……お前の歳より、離れているぞ? まあ、プリシアはセシディ嬢が大好きだから、私が話さなくても調べそうだしな。仕方ないか。」
「さすがお兄さまです! 私をよくわかってる!」
「はぁ……なぜ10個も離れた妹に、こうも手玉に取られてしまうのか。……どうやら、セシディ嬢の婚約者が妹に奪われたようだ。」
「それは、チャンス……いいえ、ゆるせない! だからセンセイは、あんなに悲しそうだったのですね……」
「……チャンスと言ったことには、触れないでおくよ。婚約者も婚約者だが、妹はセシディ嬢を貶めようとしていた。なぜ、あんな真似をするのか……」
「それは嫉妬です。センセイはキレイで頭もいいから、嫉妬したんですよ!」
「プリシアは本当に八歳なのか?」
「八歳でも女ですから!」
「そうだな。プリシアは、立派なレディだ。」
ロイド王子は、プリシア王女の頭を優しく撫でた。
「えへへっ! お兄さま、もっと褒めてください!」
こういう所は子供なのに……と、ロイド王子は心の中で呟いた。
「お兄さま、センセイのことをいじめた人たちに、おしおきしましょう!」
プリシア王女はまた、目をうるうるさせながらロイド王子を見つめている。
「またそんな目で見る……。ずいぶん過激な事を言うな。だが、私もそう思っていた。プリシア、一緒に先生を笑顔にしようか。」
「さすが、お兄さま! センセイをいじめて泣かせたやつは、私がぜったいにゆるさないんだから!」
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