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ランディ様の本気
しおりを挟む「そんな顔をするということは、悪いとは思っているのね。」
ロシュが私に、嘘をついていたなんて……
「申し訳ありません!! お嬢様が蔑ろにされているのが、我慢出来なかったのです! ランディ様を愛そうとなさっているお嬢様をずっと見てきました。ですが、ランディ様はマーサ様の事ばかり……ランディ様には、お嬢様の側から離れていただきたかったのです。」
「ランディ様には、私が熱を出した事を言っていなかったのね?」
「はい……」
ロシュは私のことを考えて嘘をついた。
ずっとトリシード伯爵家の為に働いてくれているロシュを、クビにしようとは思いません。
「今回の事は忘れる事にするわ。もう二度と、同じような事はしないで。」
もしもあの時、ランディ様が来てくれていたら、私の気持ちは変わっていたのでしょうか?
……きっと、変わっていなかったでしょう。
婚約してから2年間、ずっとマーサ様に振り回され、私を見てくれようともしなかったランディ様を、愛する事はなかった。
そう思っていたのですが、ランディ様の本気は凄かった。
あれから毎日、手紙が届きます。
内容は、どれ程私を想っているのかです。
手紙だけではなく、毎日邸へと会いに来て、毎日愛を囁く。聞いているこっちが恥ずかしい。
「クレアに会えない時間は、長くて仕方ない。」
マーサ様が病弱だと思っていた頃は、ほとんど会っていなかったではないですか。
「クレアと出会う為に、俺は生まれてきたんだ!」
なんだかクサイです。
「クレアが居てくれるから、俺は頑張れる。」
…………
「クレアが笑顔でいてくれる事が、俺の幸せだ。」
最初は口だけだと思っていたのですが、1ヶ月過ぎる頃には、本気で仰ってくださっているのだと分かってきました。
ランディ様は、騎士になる為にずっと頑張って来ました。領主になった時の事を考え、領主として、そして騎士として領民を守る為です。
すごく忙しいはずのランディ様は、毎日手紙を書き、毎日会いに来てくださる。
それに、私の前で、疲れた顔ひとつ見せないどころか、笑顔を絶やさない。
私を本気で想ってくださっているのは、伝わりました。
「マーサ様とは、あれからお会いになっていないのですか?」
「俺はマーサに対しても、間違えていた。もう、マーサに会うつもりはない。幼馴染みで妹のように思っていたから、あいつが言った事を信じてしまった。大切な人が出来た時に、俺はマーサから離れるべきだったんだ。クレア……許して欲しい。」
3ヶ月で、ほとんど知らなかったランディ様の事を少しだけ知る事が出来ました。
私はこのまま、ランディ様との婚約を続けようと思います。まさか3ヶ月で、気持ちが変わるとは思ってもみませんでした。
「ランディ様、婚約を継続いたします。」
そう告げると、ランディ様は泣きながら喜んでいました。でも本当は、少しだけ好きになっている事は、まだしばらくは教えてあげません。
「よし! クレアの気が変わらないうちに、結婚しよう!」
「結婚はまだ早いです!」
「……ごめんなさい。」
ランディ様の妻になったら、尽くすつもりですが、今はまだ、尽くしてくださいね!
END
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