4 / 15
ダナ村の人々
しおりを挟む「ダナ村の? じゃあ、トーマスも……?」
「今まで、黙っていてすみません。俺はシャーロット様に救われ、シャーロット様にお仕えしたくてあの邸の使用人になったのです。」
だから、私の事をあんなに気遣ってくれてたんだ。私の為に、あの邸に来てくれたなんて、なんだか嬉しい。
「シャーロット様、二度も助けていただき、本当にありがとうございます! トーマスもありがとう!」
「お姉ちゃん、お兄ちゃん、おじいちゃんを助けてくれてありがとう!」
「俺は何もしてない。けど、ケガが治ってよかった!」
「これからはお孫さんに心配かけないように、気を付けてくださいね。」
「気を付けます。ところで、シャーロット様とトーマスはどこかに行くところだったのですか?」
「王都に行こうと思いまして。」
「歩いてですか? 3ヶ月以上かかりますよ!?」
「急いでるわけではないので……」
お金がなくて、馬車に乗れないとは言えない……
「ワシらはダナ村に帰るところだったのですが、荷台でよかったら、次の町まで乗って行きますか? 」
「良いんですか?」
「もちろんです! シャーロット様には、本当に感謝してます。こんな事しか出来ず、申し訳ないのですが……そうだ! よかったらダナ村に寄っていってください! シルバード子爵様もお喜びになります!」
ルークが伯爵になった後、ダナ村をシルバード子爵に譲り渡していたのだが、ルークの領地でなくなってからも、シャーロットは3年前からずっとダナ村に結界を張り続けていた。
「ダナ村にですか? ……そうですね。行きましょうか。」
トーマスの故郷なら、きっと帰りたいはず。
「そうと決まったら、行きましょう!」
「わぁい! お姉ちゃん達も村に来るの?」
「ダナ村かあ、久しぶりです。」
シャーロットとトーマスは荷台に乗せてもらい、馬車はダナ村へと走り出した。3時間ほど走ったところで、ダナ村が見えて来た。
「そんなに長く住んでいなかったのに、なんだか懐かしい。トーマスのご両親は、今もダナ村に?」
「両親はダナ村で食堂をしているんです。シャーロット様が来たのを知ったら、二人共驚きます!」
両親かぁ……私にはいなかったから、トーマスが羨ましい。帰る故郷も帰る家も待っててくれる家族もいるんだね。
ダナ村へと到着し、私達をトーマスのご両親の食堂の前に降ろしてくれた。
「ワシ達は荷物を下ろしたらまた来ますので、美味しいもの沢山食べて休んでいてください。」
「お姉ちゃん、あとでねー!」
「分かりました。気を付けてくださいね。」
荷馬車は、シルバード子爵邸へと向かって行った。
「ここが、トーマスの実家の食堂なんだね。」
「ウチの店は、卵料理が絶品なんです! ぜひ、シャーロット様に食べて欲しいです!」
「食べたい! お腹が空いたー! 」
店の入口のドアを開いて中へと入ると、いい匂いが漂って来た。
ぐうううぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!
盛大なお腹の音が、店中になり響いた。
え"!?
ばかばかばか! 私のお腹のばかー!
「クスクス……」
「今のは凄かったな。」
恥ずかし過ぎて、顔を真っ赤にしていると……
「すみません! 腹減りすぎて、なっちゃった……」
トーマスは、自分のお腹の音だと周りの人に思わせてくれた。
「トーマス!? いつ帰ってきたの!?」
優しそうな女性が、トーマスに駆け寄る。
「母さん、ただいま。腹が減ってるから、何か食わせて。」
「帰って来てそうそう、仕方のない子ね。……そちらの方は、まさか……」
191
あなたにおすすめの小説
殿下、幼馴染の令嬢を大事にしたい貴方の恋愛ごっこにはもう愛想が尽きました。
和泉鷹央
恋愛
雪国の祖国を冬の猛威から守るために、聖女カトリーナは病床にふせっていた。
女神様の結界を張り、国を温暖な気候にするためには何か犠牲がいる。
聖女の健康が、その犠牲となっていた。
そんな生活をして十年近く。
カトリーナの許嫁にして幼馴染の王太子ルディは婚約破棄をしたいと言い出した。
その理由はカトリーナを救うためだという。
だが本当はもう一人の幼馴染、フレンヌを王妃に迎えるために、彼らが仕組んだ計略だった――。
他の投稿サイトでも投稿しています。
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
私の願いは貴方の幸せです
mahiro
恋愛
「君、すごくいいね」
滅多に私のことを褒めることがないその人が初めて会った女の子を褒めている姿に、彼の興味が私から彼女に移ったのだと感じた。
私は2人の邪魔にならないよう出来るだけ早く去ることにしたのだが。
〖完結〗私を捨てた旦那様は、もう終わりですね。
藍川みいな
恋愛
伯爵令嬢だったジョアンナは、アンソニー・ライデッカーと結婚していた。
5年が経ったある日、アンソニーはいきなり離縁すると言い出した。理由は、愛人と結婚する為。
アンソニーは辺境伯で、『戦場の悪魔』と恐れられるほど無類の強さを誇っていた。
だがそれは、ジョアンナの力のお陰だった。
ジョアンナは精霊の加護を受けており、ジョアンナが祈り続けていた為、アンソニーは負け知らずだったのだ。
精霊の加護など迷信だ! 負け知らずなのは自分の力だ!
と、アンソニーはジョアンナを捨てた。
その結果は、すぐに思い知る事になる。
設定ゆるゆるの架空の世界のお話です。
全10話で完結になります。
(番外編1話追加)
感想の返信が出来ず、申し訳ありません。全て読ませて頂いております。ありがとうございます。
婚約者が妹と結婚したいと言ってきたので、私は身を引こうと決めました
日下奈緒
恋愛
アーリンは皇太子・クリフと婚約をし幸せな生活をしていた。
だがある日、クリフが妹のセシリーと結婚したいと言ってきた。
もしかして、婚約破棄⁉
〖完結〗婚約者の私より幼馴染みが大切なあなたを、捨てようと思います。
藍川みいな
恋愛
婚約者のハリソン様は、私を愛していない。それどころか、お金を出す道具としか思っていなかった。会いに来るのは、お金が必要な時だけ。
お金を借りに来る理由は毎回同じで、幼馴染みのマーシャさんの体調が悪いと言ってくる。2年間も同じことを繰り返して来たのだから、いい加減うんざりだ。
私は彼と別れる決心をした。2人には、今まで私を利用して来たことを後悔させてあげる。
*設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。
*全12話で完結になります。
誤字報告ありがとうございます!承認不要との事でしたので、こちらでお礼を言わせていただきます。
悪役令嬢の涙
拓海のり
恋愛
公爵令嬢グレイスは婚約者である王太子エドマンドに卒業パーティで婚約破棄される。王子の側には、癒しの魔法を使え聖女ではないかと噂される子爵家に引き取られたメアリ―がいた。13000字の短編です。他サイトにも投稿します。
氷の王弟殿下から婚約破棄を突き付けられました。理由は聖女と結婚するからだそうです。
吉川一巳
恋愛
ビビは婚約者である氷の王弟イライアスが大嫌いだった。なぜなら彼は会う度にビビの化粧や服装にケチをつけてくるからだ。しかし、こんな婚約耐えられないと思っていたところ、国を揺るがす大事件が起こり、イライアスから神の国から召喚される聖女と結婚しなくてはいけなくなったから破談にしたいという申し出を受ける。内心大喜びでその話を受け入れ、そのままの勢いでビビは神官となるのだが、招かれた聖女には問題があって……。小説家になろう、カクヨムにも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる