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クーバー公爵家の崩壊
しおりを挟むクーバー公爵はデイモン王にすぐさま城へと呼ばれ、爵位剥奪と追放を告げられた。
「愚かな弟よ、なぜこうなったか分かるな? クレアならお前を変えられると思ったのだが……。クレアとティナには、申し訳ないことをしてしまった。もうお前は私の弟ではないが、ティナは私の姪だ。ティナに近付くことを一切禁じる。 」
「兄上……私をお見捨てになるのですか!?」
セルドアはデイモン王に縋り付いた。
「自業自得ではないか! それと、お前の妻ロザリアとその連れ子イライザはブレディントの貴族の奴隷としてデルダン王子が連れていくそうだ。」
「奴隷!? 私の妻が奴隷にされるのですか!?」
「デルダン王子の気性からすると、ロザリアとイライザはその場で斬られてもおかしくなかった。それくらいで済んだ事を感謝するんだな。」
「兄上! 私だけはお助け下さい! この国を追放されて、私はこれからどう生きろと言うのですか!?」
ロザリアとイライザの事など、もうどうでも良かった。自分さえ助かれば……そう思った。
「……やはりお前は変わらないな。この者を直ちにこの国から追放せよ! 」
デイモン王は、自分の事しか考えないセルドアを見限り、兵士に国境まで連れて行くよう命じた。
「離せ! 私を誰だと思ってるんだ!? 」
「何を偉そうに!お前はもうこの国の公爵でも国民でもない!」
「な!? 兵士の分際で、その口の聞き方はなんだ!?」
「黙れ! お前達夫婦に同情するものなどいない! 」
この国にクーバー夫妻をよく思っている者などいなかった。国王の弟とという立場を利用して好き放題して来たのだから当然だ。
セルドアは兵士に馬車へと乗せられ、国境で降ろされた。
「おい! お前達は悪魔か! 何も持たぬ私をこんな所に置き去りか!?」
「自業自得だ。その高そうな服でも売れば数日は生きられるだろう。お前がどうなろうと、知ったことではない。」
兵士は冷たく言い放ち、そのまま馬車に乗り込み帰って行った。
「くそ! なぜ私がこんな目に!? これからどうすればいいのだ……」
セルドアはしばらくその場から動くことができず、途方に暮れていた。
セルドアが追放された頃、クーバー邸にデルダン王子がロザリアとイライザをブレディントへと連れて行くために訪れていた。
「離しなさい無礼者! 私は公爵夫人よ!? 旦那様はどこにいるの!?」
「お母様……これはどういうことなのでしょう!? なぜ私達がこんな目に??」
自分達がしてきた事などなかったかのように被害者面する二人。
「つくづく救えないな。私も大概だが、お前達は私より遥かにクズのようだ。セルドア・クーバーは爵位を剥奪され、国を追放された。お前達は我が国の貴族の奴隷となるのだ!!」
「「奴隷!!?」」
「ふざけないで! 隣国の王子が勝手な事を……」
「これはデイモン王が許可した事だ。これ以上面倒をかけるようなら斬り捨てて構わん。私は先に行くぞ。」
デルダン王子は数名の護衛にあとを任せ、馬車へと乗り込みブレディントへと帰って行った。
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