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セルドアの復讐?
しおりを挟むセルドアが酒屋で酒を買ってから数日が経っていた。服を酒に交換してしまった為、食べる物を買うことが出来ず、近くの川の水で飢えを凌ぎながらじっと何かを待っていた。
その時……
サチアーナから奴隷を運ぶ為の荷馬車が、コトコトとこちらへ向かって来た。
セルドアは荷馬車の前を走っていた兵士の乗った馬の前に飛び出した!
ヒヒーンッッ!!!
セルドアに気づいた兵士は急いで手綱を引き、何とか止まることができた。
「貴様! いきなり飛び出して来るなど正気なのか!?」
「兵士様! 私を覚えていらっしゃいますでしょうか!?」
激怒していた兵士はデルダン王子の護衛兵だった。
「お前は確か……セルドア・クーバー!? 何故ここにいるのだ!? サチアーナを追放されたはずではなかったのか!?」
「追放されましたが、ここはもうサチアーナではありません。数日前にここでデルダン王子にお会いしたところ、妻と娘に最後の挨拶をするならばここで待っていろと言われ、言われた通り待っていたら、兵士様がお通りになったのです。どうか……どうか、妻と娘に最後の挨拶をさせてください!」
デルダン王子に言われたというのはもちろん嘘だが、デルダン王子を待っていた時と同じ様に、ここで待っていればロザリアとイライザが乗せられた荷馬車が通るであろう事は容易に予想出来た。
「……デルダン王子が許可したのなら仕方がない。少しだけだぞ?」
「ありがとうございます! ありがとうございます!!」
護衛兵に礼を言うと、奴隷が乗せられた……ロザリアとイライザが乗せられた荷馬車へと駆け寄った。
「ロザリア! ロザリアよ、私だ! セルドアだ!」
ブレディントへと奴隷として連れて行かれているにもかかわらず、ロザリアとイライザは呑気に荷馬車の上で寝ていた。
「………………ん。誰?」
セルドアの声で起こされ、ロザリアは機嫌が悪そうだ。
「ロザリア! 私の妻よ! 私がわかるか?」
「……旦那様? 私達を助けに来てくださったのですか!?」
「お義父様!! 早く助けてください!!」
「……いや。すまないが、お前達を助ける事は出来ぬ。」
「「ハアッッッ!?」」
ロザリアとイライザはあからさまに嫌な顔をし、セルドアを睨み付けた。
「あんたなんかと結婚なんてしなければ良かった。何が王族よ! 何も出来ない王族なんて、ほんと笑っちゃうわ!!」
「お母様も見る目がないわね。私達はこんなに容姿が美しいのだから、もっとマシな相手くらいいくらでもいたのに!」
助けてもらえないと分かると、本性を現した2人に、セルドアは持っていた酒瓶を投げつけた!
ガシャンッッ!!
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