騎士団長のお抱え薬師

衣更月

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再訪のランス②

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 毛糸で編んだセーターが4着!
 水色2着と赤色2着。
 単色の毛糸で編まれていて、華やかさはないけど編み方が4着とも異なっているので地味さもない。2着は丸襟。もう2着はタートルネックと、襟の形まで違う。
 食堂の隅っこのテーブルに広げたセーターに、飲み物を持ってきてくれたピーターも「すごいな」と賛辞を送っていた。
 ランスは誇らしげだ。
「メリンダ。妊娠が分かってから編み物に凝り始めて、出産後は輪をかけてって感じなんだよ。俺から見ると売り物でもおかしくはないんだけど、メリンダは”まだ下手くそだし、イヴに地味でごめん”って伝えておいてだと」
 これで下手というメリンダの向上心はすごい。
 そういえば、メリンダは手先が器用だった。
 貴族としては魔力が少ないことがコンプレックスだったらしいメリンダは、せめて淑女らしくと刺繍に力を入れた時期があったのだと笑って教えてくれた。私が繕い物も料理もダメなのを気にしていたのを知り、こっそり打ち明けたのだ。それから、「イヴは治癒魔法を使いこなせてるわ。私たち、2人合わせればちょうど良いのかも」と笑っていた。
「お礼の手紙は書くけど、とりあえずメリンダにお礼を伝えてもらえる?」
「ああ、伝えとく。てか、この前、イヴから手紙が届いたよ。”クロムウェル領に無事に到着して、ようやく落ち着いてきました”ってさ」
 ランスは笑うけど、国を越えた配達というのはお金がかかる。
 なので、私が使うのは商人経由の配達だ。
 これはハベリット商会のような大手の商会や国内外を行き来する商人が、善意で手紙のような小さなものを配達してくれる。謂わばサービスだ。
 配達料金は重さで決まり、商人の配達ルートに沿って進むので、到着には恐ろしく時間がかかる。
 しかも、クロムウェル領から繋がる最短ルートは危険すぎて使えないので、彼らは安全な迂回路を使う。安全な迂回路とは、見張りも警備もないゴールドスタイン領以外の領地に延びる街道のことを指す。
 迂回路の上、色んな積み荷を回収し、または配達しながら巡って行くので、手紙がハノンに着くにはひと月以上かかってしまう。雪の時季に重なると、春まで配達が先延ばしになることも珍しくない。その間、うっかり紛失するなんてこともあるらしいので、手紙が届くだけでも御の字なのだ。
 一方、冒険者経由の速達というのもある。
 基本料金は距離と重さ。
 Cランク以下のお使い程度の配達から、Bランク以上のパーティーを指名する配達まで、ギルドの受付に相談すれば配達先を考慮した上で冒険者を斡旋してくれる。
 ハノンは危険街道を行くので、自ずとBランク以上のパーティーしか指名できない。さらに入国料も加算されるという高額仕様だ。
 ただし、依頼達成の受領書を貰えるので、確実な配達は冒険者一択だ。
 お金があれば…だが。
 ちなみに、迂回路の場合は主要な荷物に便乗させてもらっているので、手紙のような小さなものの場合は配達料金以外は不要となっている。
「イヴ。これから手紙を出す時はトレバーに言えばいい」
「カルスギルド長ですか?」
「ギルド間は定期連絡で鷹を飛ばしている。1枚程度の手紙なら便乗しても問題ないだろ」
 そんなものなのかと曖昧に頷けば、ランスが苦笑する。
「本来ならダメなんだけど、イヴはハノンのギルド所属になっているし、今や魔物除けの香を作れる唯一のヴァーダトだからな。私的利用だと目くじらを立てる奴はいない。魔物除けの香の進捗状況を一行だけ付け足して、あて先を俺にしてくれればいいよ。気を付けてほしいのは、公爵家や騎士団の話題は出さないこと。政治的と歪曲されかれないからな」
「政治的?」
「ギルドっていうのは色んな種類があるけど、冒険者ギルドは唯一、国に属さない独立機関なんだよ。荒くれ者が集う機関だから、ギルド独自のルールがある。そうじゃなきゃ厄介な国にある冒険者ギルドは戦争の度に徴兵されかねないからな。これは国とギルド間で条約として結ばれている。冒険者が剣を向けるのは魔物、または盗賊などに限られる。ただし、国の有事…これはスタンピードを指すんだけど、その際は各ギルドが連携して優れた冒険者を参戦させる。それに同意できない国にはギルドは設置しない。なので、冒険者ギルドは独立機関として、国を跨いで情報をやり取りできる」
「へぇ~」と、間抜けな声が口から漏れる。
「細かく言えば、密偵などの違反行為を行った冒険者は厳罰に処されるし、ギルド側に圧力をかけた国にもペナルティが課される。要は冒険者は政治的な動きをするなってことだ」
 なるほど。
「だから手紙に誤解を招くようなことを書くなってこと?」
「そう。政治的な関りを持たないという制約ルールがあるから、冒険者は他国へ自由に行き来できる。国境を越えてのやり取りも検閲がない。スムーズな情報交換は重要だし、それがスタンピードに繋がるものなら悠長に手続している暇はないからな。情報はギルドでは命綱でもあるから、それを妨害されないためにも制約ルールはきっちり守ってる」
「戦争屋と違法奴隷商の件は、冒険者ギルドと領主間で情報を共有する数少ない例外だ。それに絡む貴族がいれば国もギルドも共に動き対処する案件になる」
 冒険者ギルドって単純に冒険者を束ねて魔物を狩ったり護衛をしたりするだけの組織かと思ったけど、内情はお役所みたいだ。
 豪快に笑い、粗暴な一面を見せるハノンのお頭からは想像もできないけど…。
 ひとり苦笑しながら広げたセーターを畳んでいると、ジャレッド団長が「ところで」とランスを見据えた。
「ヴァーダト家の管理は出来そうか?」
「ああ、ちゃんとしているよ。早速、大工を入れて今冬に備えさせている。中に入ることはできないから外側だけ修復して、敷地にかかりそうな木は枝打ちするようにしている。終わり次第、ギルド経由で費用の請求がいくようになっている」
「分かった」
 話がどんどん進んでいくけど、ヴァーダト家は私の家でもある。
 大雪対策してくれるのは嬉しいし、費用も出してくれるなら甘えたい気持ちもある。ただ、申し訳なさで居た堪れなくなる。
 自分の家のことなのに、と。
「話は変わるが、ペパードに訊きたいことがある」
「俺に?」
「ウルバス大公国について知りたい。知っていれば…だが」
「ウルバスか」
 ランスが困ったような、安心しているような笑みを浮かべて私を見た。
「それはイヴから?」
 訊かれて、私は緩く頭を振る。
「公爵様…ジャレッド団長のお父さんが、私の目がウルバス人の特徴だって教えてくれて。私は父方については全然知らないから」
「そうだったのか。イヴが父親のことを知らないって分かっていたら、お節介でも俺が教えれば良かったな。悪い」
 ランスは頭を掻きながら小さくため息を吐いた。
「別にランスが謝る必要はないよ。ただ、少しだけ父のことを知りたい…かな。ウルバスっていうのも最近知ったばかりだけど、お父さんのことはなにも知らないから。せめて私のルーツだけでも知りたいの。ウルバスについて知ってたら教えてほしい」
 両親が亡くなって、祖父母に報せが行くまで1年近く間が空いた。
 それまでに家や店を含め何もかもが処分された。その中には、形見も含まれていたのだと思う。祖父母が迎えに来るまで、孤児院に押し込められていた私の手元にあったのは数枚の着替えのみだった。
 すべてを勝手に処分されたことに祖父母は怒って、役所に抗議したけど、王都は田舎以上に特権階級が分厚い世界だ。あまり強く抗議すれば、こちらが罰せられることがあるので、ほぼほぼ泣き寝入りで帰路に着いた。
 その悔しさをずっと引き摺っていたのだろう。
 祖父はお酒を飲む度に憤りを口にして、祖母は王都の方角を睨んでは呪詛を吐いていた。
 売り払われた私財は、私のいた孤児院に寄付されたそうだけど、間違いなく着服されていると祖父母は断言していた。それくらい、王都の役人は腐っているそうだ。
 幸か不幸か、私は幼かったのと、両親を亡くしたショックで孤児院での暮らしを殆ど覚えていない。
 時間の経過とともに私の中の両親の記憶も朧になってしまった。特に形見がないことで、父の手がかりは消えた。
 そんな事情を話せば、2人は苦虫を噛み潰したような表情で舌打ちする。
「ヴァーダト家には母の形見というか…母ものは残ていたけど、父のものはなにもないから。せめて、どんなところで育ったのかは知りたいから、ランスの知ってるウルバスを教えてほしい」
「イヴの母国を悪く言いたくはないが、本当に腐った国だな」
 ジャレッド団長が憤慨し、ランスは怒ったウサギのようにダンダンと床を蹴る。
「ハノンは良いところですよ?」
「領主がアレだがな」
 ふん、とジャレッド団長は鼻を鳴らす。
「あっちは国王が帝国との国交を開くことに舵を切ったからな。それに対立するように、反王党派の差別主義者が目立つんだ。得てして、そういう輩に傲岸不遜なのが多い。王党派は半々ってところだが、王党派の差別主義者は腹の底で思ってても態度には出さない。俺の可愛い奥さん。メリンダの実家は中立派なんだが、中立派は事なかれ主義というか、領地領民第一だから選民思想はないな。口さがない連中は日和見主義と馬鹿にしているらしいが」
 貴族にも色々あるらしい。
 でも、メリンダの実家が領地領民第一主義と聞いて納得する。差別主義だったら平民になろうとも、ギルドの受付をしようとも思わないだろうし、私と仲良くしてくれるなんてことはしない。
 メリンダが貴族的じゃなくて良かった。
 ホッとする。
「んで、話を戻そう。ウルバス大公国について知りたいんだったな」
 私とジャレッド団長は揃って頷く。
「イヴはここが西マルデル州っていうのは知ってるか?」
「公爵家の執事さんに教わったよ」
 私が言えば、ランスは満足そうに頷いて話を続ける。
「ウルバス大公国は北エルバス州に属するんだけど、隣国は西マルデル州になる。ウルバス大公国は北エルバス州の端っこってことだ。国交を結んでいるのは西マルデル州側の近隣国が多いから、主要言語も西マルデル州の共通言語を使ってる。年寄りは方言みたいな感じで皇国語交じりになるから聞き取りづらいけど、年寄り以外なら言葉の心配はない。まぁ、北エルバス州の国々でもウルバス大公国は特異ってことだ。それは後で説明するとして、まずウルバス人の特徴としては、全国民が聖属性のような性格だな。用心深く、排他的な傾向がある。他国へ旅行へ行くのも躊躇するような国民性なんだ。国を出るのは、外交官とかの仕事ありきだな。冒険者ギルドだって、事務員以外にウルバス人はいない」
「聖属性しかいないのか?」
「あくまで聖属性の性格ってこと。ああ、聖属性は排他的じゃないぞ。用心深さとか故郷から離れたがらない性格が、聖属性っぽいんだ。小心者っていうより思慮深い」
「詳しいね。しばらく立ち寄ったの?」
「少しだけな。とは言っても、北エルバス州ではウルバス大公国は有名なんだ。子供だって知ってる」
 私は首を傾げたけど、ジャレッド団長はその謎を知っているように頷く。
「ウルバス大公国が異質な理由な。今は国だけど、昔はカルバス皇国の皇弟が治める1領地、ウルバス公爵領だったんだ。それがある日、貴族がやらかした。皇帝への献上品として高位貴族が欲をかいたとも、王位簒奪のクーデターに利用されたとも言われているが、真偽不明。ただ、やらかした。皇帝に献上する為に竜の卵を盗んだんだ。竜は愛情深く、執念深い。竜を狩るなら、単独の雄竜だと決まっている。もし群れを成す竜を狩るならば、群れを駆逐する覚悟で挑まなきゃならない。ただし、卵はダメだ。卵を盗めば、全ての竜が怒ると言われる」
「すべての…」
「竜の特性だ。竜は己の群れ以外の竜を嫌うし、攻撃する。別種の竜を捕食することもあるが、なぜか卵や子供だけは種を問わずに守る傾向が強い。胎に卵を持つ雌竜への攻撃も許さない。北エルバス州は竜種が多い地域だけに、竜についての伝説やら格言やら大量にあるんだが……なぜかカルバス皇国はやってしまったんだよ。で、起こるべくして起こった竜種のスタンピードだ。最期は皇都のあった中心からばっさり。古代竜のブレスで国が真っ二つに分断した。かれこれ150年は経つらしいが、今も高濃度の魔力を帯びた焦土が広がっている。冒険者ギルドが竜害立ち入り禁止区域に指定しているくらいの危険地域だ」
「それがある為に、ウルバス大公国は北エルバス州から孤立しているのか」
「そう。ウルバス大公国は公爵領と生き延びた幾つか領を併合させて国にしたんだが、生き残った場所はコブみたいにぽこっと西マルデル州につき出てるんだよ。だから北エルバス州から孤立してしまった。いや、助かったというべきかな?」
 とりあえず、竜が怖いってことは分かった。
 思わず手に汗握ってしまう。
「では、ウルバス大公国は他の北エルバス州の国とは没交渉なのか?」
「いや。一応、西マルデル州と接している、比較的自国から近い国とは交易はある。ただ、それが商人となると話は別だ。北エルバス州の国々との貿易は、ウルバス人の商人には難易度が高い。かなり遠回りしなきゃならないからな。そんな労力はウルバス人にはないし、竜種の恐怖を口伝されている彼らは、わざわざ竜種の多い北へ行こうとも思わない。北エルバス州以外の国と取り引きしてはいけないってわけじゃないからな。西マルデル州の方が近いなら、そっちと仲良くするだろ?」 
 ウルバス人は用心深く排他的っていうのも、その過去があるからじゃないかと思う。危険地域の傍は嫌だけど、生き残った幸運という実績がある。
 ゲン担ぎじゃないけど、領地にいれば安心安全という思いが根底にある気がする。
「ウルバス人の瞳が紫なのは?それとも北は紫の瞳が生まれやすいの?」
「ウルバス人だけだ。理由は分からないけど、ウルバス大公国にあるドゥハール湖の影響じゃないかと言われている。真っ二つになったカルバス皇国の北側は、別の生き残りの皇族がブルゴス王国を興してるんだが、そっちには生まれないんだ。信心深い年寄り連中は、湖に住む精霊女王が紫の瞳をしていて、ウルバス人の紫の瞳は精霊女王の加護を受けし証だと言ってたかな」
 急におとぎ話!
「俺から見れば、金色の目の方が珍しいんだが」
 言われてみれば…。
 ジャレッド団長を見れば、目が合った途端に嬉しそうに目元を緩ませる。
「まぁ、そういうことで、初めてイヴを見た時は驚いた。外に出ないウルバス人が、国交のない国にいるんだからな。相当な覚悟だ」
 そんなことを言われると、ますます父が分からなくなる。
 私の中の父は、のんびりと留守番をして、お客さんと他愛のない話をする穏やかさしかないのだから…。





=====ちょっと長いあとがき=====
今更ながらイヴの口調ですが、庶民や親しい人にはタメ口、そうでなければ丁寧な言葉遣い。
イヴが知る貴族はメリンダ(本人がカミングアウト)だけ。ハノンに貴族はいない(メリンダだけが例外中の例外)と思っているので、実は貴族出身のランスにタメ口でした。貴族と知ってびっくりです。
イヴにとって貴族家に生まれた子供は嫡子に関係なく貴族の括り。
キャトラル王国の爵位継承は基本的に嫡子。それ以外の子は法的に平民となるので金で爵位を買って継がせたり、結婚したり、騎士や文官、女官と両親の庇護があるうちに身分を確立させる必要がある。
メリンダは子爵家3女なので平民となってギルド職員として働いても子爵家的には大丈夫なのです。メリンダの両親も懐が深いので余程のことがなければ子供たちの自由にさせてます。

ジャレッドは公爵令息以前に団長なので丁寧な喋り方で対応。
ジャレッドは少し不満に思ってるけどイヴに強要することはしません。
他の騎士団員は貴族平民入り乱れているので丁寧な喋り方を心掛けつつ様子見。それでも団員によっては少しずつ砕けた喋り方になりつつあります。
イヴのしゃべり方に一貫性がないのはそういう事情です。
貴族怖い…という貴族至上主義の国育ちの弊害です。
地雷は回避すべし!

一応、キャトラル王国の王様は差別主義を排そうと努めてますが、この差別は獣人差別に対しての国交対策なので自国の選民思想を改革しようとは思ってません。そこは各々の考えで対応してね。でも王城の仕事は貴族と平民で明確な線引きは止めないよって感じです。いかに優秀な平民でも重役には就けないし侍女や女官にもなれません。
差別主義の貴族は、獣人も平民も見下しています。青い血こそ全てな人たちなので、同じ貴族でも新興貴族は差別の対象になり得る立場です。なので、新興貴族は上手く立ち回らないと先はありません。
中立派は領民領地が第一。過去、災害などで苦労した歴史をもつ領地が多く、領民と一丸にならなければ領地が成り立たないと理解しています。現在進行形で貧乏な領地の領主なども中立派…というか、復興に忙しくて中央から距離を置いているだけの領主もいます。
地方の貴族に多い思想です。
同じ地方でもゴールドスタイン伯領のように中央に憧れを抱く貴族は選民思想が根強いです。

配達時の迂回路は、(キャトラル王国側の)領主が中立派、もしくは表向き王党派(実は中立派)の領地を介して商人たちは進みます。
そこの街道は国境までしっかりと騎士や雇われ冒険者が見回り安全です。森も浅く(川幅が広く、水深があるので中立地帯含め街道は長い。ゴールドスタイン領にさしかかる辺りで急激に川幅が狭く、水深は浅く、森が深くなります。国を跨ぐほど森は広大になっているのでゴールドスタイン領以降に街道は作られていません)、そこまで凶暴な魔物が出ないというのも理由の1つ。
ゴールドスタイン領は街道を見回るなら魔物対策にかなりの費用が必要になるので放置。そちらが放置なら…と、クロムウェル領側も見回りの回数を減らしています。一応、見回るけど、1日1回くらいの頻度です。
互いに中立地帯は放置している街道なので危険度は高くなってます。
ただ、腕試しに冒険者パーティーが行き来している様子です。
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