異世界転生したら王女で聖女扱いと思ったら生け贄で魔(術)王の妻にされた件~勘弁してよ女神様~

琴葉悠

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目覚めて騒動~そういやそうだ~

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 目を覚ますと、色んな人が自分の顔を覗き込んでいた。
「……おはよう?」
「御妃様が目を覚まされたぞー!!」
「リア様!!」
「陛下を、陛下をお呼びしろー!!」
 普段とは違う部屋に寝ていたが、リアは首を傾げた、何があったのかさっぱりわからないのだ。
「ねぇ、メアリ、何があったの?」
「リア様は一週間も眠り続けてたのですよ!!」
「へー一週間かー……まぁ、二十年眠り続けてたからそこまで……って一週間?!」
「精鋭達が女神の加護を授かるように力を使った影響と思われます……」
「はぁ」
 部屋の扉が勢いよく開く、イオスが血相を変えて入ってきた。
「リア!」
「あーイオス、おはよ……」
 イオスはリアを抱きしめた。
「ぐえええ苦しい……」
「……目覚めぬかと思った、其方はしばらく城から出さぬ……」
「分かった、分かったから、苦しいから離れて……ぐぇええ」
 背中をばしばし叩くとようやく解放された。

 それからしばらくの間、リアはイオスの傍にいることとなった。
 話によると、リアが眠っていた後、政務はこなしていたものの自分の事は全く手につかず、眠っているリアのそばでじっと祈るように手を握り続けていたという。


 前の世界の夢見ている間そんな事あったのかー……それにしてもあいつ動揺しすぎだなぁ、ちゃんと飯食って風呂はいって歯を磨いて寝ろよ。
 でも心配してくれてたのかなーこれ。


 心の中でそんな事は思っても言わないでおく、ため口状態が許されてても、あれこれ口出しするのは良くないと思ったのだ。
 リアはそう思いながら、遠い目をしていた。


 そのころ、城の侍女たちの部屋ではこんな会話が繰り広げられていた。
「御妃様と陛下、まだぎくしゃくしてるんですって」
「陛下は御妃様をたいそう愛しておられるそうだけど、御妃様は鈍くて分からないみたい」
「御妃様、どうして鈍いのかしら……」
「二十年間も寝ていたんだもの、恋愛事に疎くて仕方ないわ」
「ああ、私早く御妃様と陛下が仲睦まじくしているのを見たい!」

 リアは盛大にくしゃみをした。
「医師と神官を呼べ!!」
 くしゃみをしたリアを見て、イオスは顔色を変えて大臣に命令する。
「いや、ただくしゃみでただけだから大事にするなー!!」
 リアの絶叫が響いた。


 悪しき神アリュンが復活しているなら再度封印することなどを命ぜられた精鋭からちょくちょく魔術で情報が来ているらしく、今のところ順調らしい。
 やっぱり目覚めたのか、イオスが封印したという魔の物が出没するようになっており、各国がそれの対応に追われていると。
 リアは、もしかしてあの兵器を作るように天啓みたいなのを下したのは神アリュンだったりするのではないかと思い、二人っきりの時イオスに尋ねてみた。
「その可能性は高い、あの技術はいきなり手に入るものではないからな、その上マナを大量に消費させるように作って生物を次々と衰弱させる物も多かったらしい」
「そういや、マナがないと何で生き物が生きられないの?」
「空気という概念はわかるな、あれと一緒だ、殆どの生き物にとってマナが空気と同じなのだ。空気がなければ死んでしまう、それと一緒だ」
「ほへー」
「ただ、私は其方のように大量のマナを体にため込んでいる存在であればマナが枯渇した場所でも問題ない、枯れたマナの森に入っても無事だったろう? 他の者であればあの時のマナの森には入れぬのだよ」
「あーそうだったの」
「……もしくは悪しき神アリュンの加護を受け、魔の物になった者とかなら可能だろうな、この間の『勇者』共のような……奴らには逆にマナは猛毒だ、強い加護を受けてない限り」
「……どうやってアリュンの加護を遠ざけるの? 封印しても堂々巡りじゃないこれだと?」
「これがある」
 イオスは何か種のようなものを見せた。
「何それ」
「マナの木の種だ。マナの森を構成しているあの木々の種だ。これに特殊な術を施した」
「どう言う?」
「マナが少ない場所だと急成長するようにな、そして増殖するように」
「へぇ」
「アリュンを印を受けた輩はそれで大半死ぬ」
「……わー……」

──そういや、容赦ない時は容赦ないんだったこいつー……──

 リアは遠い目をした。
「あの悪しき神、三回程倒して封印したが諦めることを知らぬからな」
「ちょっと待って三回もアンタ封印したの?!」
 予想外の言葉に、リアは目を丸くした。
「ああ、まぁ昔の事だがな、三回目までは国は作っていなかった。三回目になって監視するには手足がいるなと判断して急遽国を作った、本当に昔の事だ」
「建国理由がそれか……」

──なんつー理由だ……──

「国王になったからには責務は果たしているつもりだ」
「だろうねー」
 神殿に来る民は皆、イオスに感謝しているし、兵士や大臣たちも心の底から敬っているのが分かった。
 しかし、リアはイオスの自分への考えが全く分からなかった。
 とりあえず、自分は妃らしい、ただわりとファンタジーとか色々な奴で良くある「子どもを産む道具」としては見ていないのもわかる。
 見目に関しては自信がない、個人的に侍女たちの方が美人が多いように感じた。


 はて、自分は妃である意味があるのかこれ⁇


「……私が妃である意味はあるのか果たして」
「……鈍いと思っていたがここまで鈍いとは……」
 リアの言葉にイオスは額を抑えた。
 抱いている時や、日常での反応で、自分の思いがリアに伝わっていないのはイオスは良くわかっていた。
 しかし、ここまで悩む程鈍い上、自分の力の重要性も把握してないのは相当別の意味で鈍いのが分かった。
「……一つずつ答えよう、今や其方はこの国の妃であると同時にこの国の聖女でもあるのだ、民はそう理解している」
「ほへー」
「そしてお前の加護は重要な物だ、私と同じかそれ以上、この世界になくてはならぬ者だ、他の国にはやれぬ」
「へー」
「そして何より――」

「リア、私はを其方を愛している」

 リアはしばしぼけーっとしていたが、徐々に顔が赤くなっていった。
 信じられないものを見るような眼でイオスを見る。
「えええええええ?!」
 嘘だと言わんばかりの表情もしているし、初めて愛の言葉を囁かれたのが効いてるのか顔が真っ赤な状態だ。
「いや、待って、今までそういう意味での言葉聞かされたことないから、ちょっと待ってどういう事?!」
「愛していなければ、其方をここまで大切にしてはおらぬぞ?」
「いや、確かに大切にしてくれてる気はしてたけど、愛してるなんてさっきまで一度も言ったことないじゃない!!」
 リアの言葉に、イオスははっとしたようだった。

 そういう経験が無いため、行動で伝えられていると思い込んでいたのだろう。

「……っこほん、そういう訳だ。私は其方を愛している、それはわかってくれ」
「は、はい……」

──びっくりだよ本当──

 リアはそう思いながら、顔を赤くしているイオスが何か可愛いなと思いつつみつめていた。


 その日、神殿で民の治療をしつつ、城に戻るとイオスから精鋭達の情報を聞いた。
 加護を受けてものたちはマナの少ない場所でも活動し、魔の物を退治しつつ進んでいるそうだ。
 また、大量のマナの木の種を持っていったらしく、植えつつ進んでいるそうだ。


 ……アリュンの加護を受けている連中の死体がごろごろと転がってそう……


 リアはそんな事を考えつつ、イオスの話を聞く。
「今のところ問題はない、問題は神アリュンの封印だ」
「本当懲りない神様だなぁ」
「仮にも世界創造に携わったのだ、信仰も今はほとんどなくとも、その時の自尊心が許さぬのだろう」
「……めんどくせぇ、女神様も頭抱えてるよきっと」
 イオスはくくっと笑った。
「そう言えるのはお前くらいだろう」


 まー実際会いましたしね!!



 翌日、リアはいつものように起床した、頭に妙な違和感を感じつつ。
「リア様、おはようございます……」
 メアリが入ってくる、頭をさすっているリアに心配そうに声をかけてきた。
「うーん……なんかちょっと違和感が……」
「医師と神官をお呼びしましょうか⁇」
「いや、いいよー、それよりも朝食お願い、ここで食べたいな」
「分かりました、では朝食はここにお持ちいたしましょう」
「お願い」
「んー?」
 頭にある違和感がわからずリアはよく分からず首を傾げた。

 リアが朝食を終えた後、侍女が部屋に飛び込んできた!
「大変です!!」
「ん……どうしたの?」
「ディアマンテ王国の王が、自分の娘を陛下の正妻にし、御妃様を側室にせよと……!!」
「断ったら?」
「戦争を仕掛けると……!!」
「で、王は?」
「断りました!!」
「……うーん、戦争か、民の反応は?」
「向こうの国ふざけるな、正妻は聖女様ただ一人だすっこんでいろ! という感じです!!」
 侍女は嬉々として話していた。
「兵士は?」
「皆昂っておられます!!」
「……よし、ちょっとイオスのところ行ってくる」
 リアはイオスが居るであろう会議室へと向かった。

「陛下いるー?」
「御妃様!?」
「どうした我が妻よ」
「何かどっかの王国の言葉無視したんだって?」
「……前々から気に入らぬ国だったから気にするな」
「まぁ、それはおいとく。その国もしかして帝国の技術者を受け入れてた国だったりしない?」
「ああ、密偵からその情報がちょうど来た。こちらもこの戦を仕掛ける理由ができた」
「……兵器が強化されてるかもしれないよ?」
「それに関してはこちらも対策を取ってある、心配するな」
「……わかった、私にも何かできる事があったら言って」
「ああ」

 夜、リアは毛布をかぶって横になっていた。
「リア……」
「どうしたの」
 隣にいるイオスの不安そうな声に、リアは手を握った。
「其方は……私の妻でいることは嫌か?」
「嫌ならとっくに母国に帰ってるよ、くだらない事考えない」
 リアはそう言ってイオスの頭をなでると、イオスは安心したように眠った。
 それを見たリアも目を閉じて眠りに落ちた。



 二日後の朝、王国をあっさりと陥落させたという知らせがリアに届いた。





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