絶世のハンターは魔族に狙われ、情報屋に抱かれる

琴葉悠

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二人のダンピールのハンターとそれを巡る関係

意外な存在の登場と、ダンピールのハンターは愛に鈍感だった

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「あの坊ちゃんが部屋から出てこない?」
「ええ、食事は置けば取ってくれるのだけども、部屋から一切出てくれないの……」
 ワーム型の魔物と戦って数日後、しばらく依頼を受けずにいたクロウは情報屋を休みにしてマリーの店に日中訪れるとそんな言葉を聞いた。
「……やっぱり精神的にやられたか」
 クロウはバリバリと頭を掻く、ディストに何とかしろと言っても多分ディストは何をすればいいか分からないだろうし、まず自分がさせたくなかった。
 誰か、ディストとは別に支えてくれる存在が居ないものかと考える。
 がちゃりと扉が開いた。
 黒いローブで全身を隠した人物だ、クロウは敵意は感じないが身構えた。
「アンタこの店に何の用だ?」
「真祖様のご子息――アレフィード様がおられるのはこちらで良いのかな?」
「その声……あの時の門番か?!」
 クロウは情報を見る前に、声で気づいた。
 そう、闇の城の門でディストの実力を試したヴァンパイアだったのだ。
 相当上位でない限り日向はヴァンパイアにとっては毒だ、それなのにこのヴァンパイアはやってきたのだ。
「あの……どちら様でしょうか?」
「これは失礼、『賢者』様。私はファレス、アレフィード様の御父上に仕えていた者です」
「あんた、今までどこにいたんだ?」
「……アレフィード様が何処に姿を隠したか分からず探し回っていたのです……破壊者クロウ、一言私に言って欲しかったのですが……」
「あー、それはわりぃ」
 ヴァンパイア――ファレスは扉を閉めた。
 マリーが部屋の日差しを弱めると、彼はフードを取った。
 ディストやアレフィードにわずかに劣るが端正で美しい顔立ちの黒髪の男だった。
「それで、アレフィード様は何処へ?」
「ちょい待ち、アンタの目的はなんだ?」
「……可能ならば、アレフィード様と静かに暮らしたい、それだけです……」
「それはちょっと厳しいかもしれない、と言いたいが今ならできるかもしれねぇぜ?」
「クロウ!」
 マリーが思わずクロウを咎めるかのように名前を呼ぶが、クロウは気にせず続けた。
「ハンター業の過酷の一面を身をもって体感したからな、結構まいっているようだ、持ち帰るのが可能ならそうしな、持ち帰れるならな」
「ではそうしましょう、『賢者』――」
「マリーです」
「マリー様、アレフィード様がいる部屋へ案内をお願いできますかな?」
 マリーは戸惑った表情を浮かべるが、クロウが案内しろと指示した為、ファレスを案内しに自宅の方へと案内した。
「さて、あの坊ちゃんどうなるかな……?」
 クロウはそう呟いて自宅へと戻っていった。


 ファレスはマリーに案内されながら進んだ。
 一見ただの家に見えるが、あらゆる物質に魔力が込められている。
 害意をもって侵入すれば魔力全てが牙をむき、相当強い魔族でなければ一瞬で浄化される規模だと予測できた。
 自分の目的は明確だ、かつての主君のご子息――アレフィードと静かに暮らす事、それをできることなら叶えたかった。
 今すぐでなくてもいい、いずれ。
「こちらが、部屋になります、ただ今は開かないので……」
「大丈夫です、待ち続けます」
「では……」
 マリーはそう言うとその場から去っていった。
「……」
 ファレスは部屋をノックした。
「アレフィード様、私です、ファレスです」
 しばらくの間静寂が包んだ。
「……ファレス⁇ ファレスなのか……⁇」
 そして声が部屋からした。
 アレフィードの声だ。
「アレフィード様、どうかお顔をお見せください。あの時から私は貴方と一度も会えていないのです」
「……」
 また沈黙が包むと扉の鍵が開く音がした。
「……入れ」
「はっ」
 ファレスは部屋の中に入った。
 そして鍵をかける。
 部屋のベッドの上には、どこか虚ろな色香を纏ったアレフィードが居た。
 その姿に、ぞわりと独占欲が現れそうになるのを、ファレスは必至で押さえる。
「……どうなさったのです」
 ファレスはアレフィードの乱れた服を正した。
 アレフィードは虚ろな表情で口を開く。
「私はとんでもないことをしてしまったし……そして穢されてわかったこともある」
「アレフィード様は穢されてなどおりませんよ」
 ファレスが言うと、アレフィードは首を横に振った。
「淫魔の術にはまった上あの美しい存在を犯すような行為をしてしまった……その上魔族に穢された時、あんな美しい存在もこのような目にあっているのかと興奮した……なんて酷く汚い感情だ……!!」
 ファレスはここで、穢されたという言葉の意味を理解する。

 淫魔と魔族に犯されたのだ。

 どす黒い感情はファレスの中に吹き上がる、憎悪とも嫉妬ともわからぬ、様々な感情が入り混じった気持ちが沸き上がった。

 そして美しすぎる存在とは、破壊者といたあの美しすぎるダンピールの事を指しているのだと。

 ファレスは、自分の最愛の存在が他の存在へ恋慕の情や、色々な感情を向けているのを知る。
「……アレフィード様、良いのです、良いのですよ……」
 ファレスは自分の感情をぐっと抑えて、アレフィードを抱きしめた。
 感情のまま動けるものなら、今すぐその服を脱がして、白い肌に口づけて、犯してしまいたかった。
 だが、傷ついているアレフィードにそれをするわけにはいかなかった。
 すすり泣く、最愛の存在を抱きしめ、泣き止むのをじっと待った。
 アレフィードが泣き止むと、ファレスは本題を切り出した。
「……アレフィード様、よろしければ私と暮らしませんか?」
「……何?」
 アレフィードが驚きの表情を浮かべる。
「貴方様にはこのような事をさせるのは心苦しい、よろしければ私とともに静かに暮らしましょう、その準備はできています」
「……」
「思い人と離れるのは辛いでしょう、ですが――」
「言うな!」
 アレフィードが声を張り上げた。
 ファレスは思わずアレフィードを腕の中から解放する。
「……分かっているのだ……彼には……あの男がもう既にいる……私など入る余地もない……」
 ファレスは表情を悲しみに色づかせた。
 最愛の存在は知っているのだ、自分が恋い慕っている相手にはもう入る余地などない程に愛しい存在がいることを。
「だが……私はこれほど父を止めるという責任感よりも、強いこの感情を捨てることができぬのだ……」
 か細い声でアレフィードは言う。
 顔を覆い蹲るアレフィードを抱きしめながら、ファレスは最愛の存在が落ち着き眠るまでそうしていた。


 その夜、ディストとクロウは依頼を受けに仲介屋に来た。
「え、坊ちゃん今日は休み?」
「ええ、今日は休みたいそうです」
「……大丈夫なのか?」
「そうか、そっとしておけ。そういえばあの――ファレスか、あのヴァンパイアは帰ったのか?」
「ええ、今日は戻ると言って帰られました。明日また来るそうです」
「……色々面倒なことになったな」
「何がだ?」
「……ハニーその鈍感羨ましい反面、マジどうにかした方がいいぜ……」
「……?」
 色々と察しているクロウは、とある事柄には凄まじいレベルで鈍感なディストに言うと、ディストは分からないという雰囲気を醸し出した。
「それはそうと依頼だが――」
「今日はスケルトン系の魔族が出ています」
「分かった、じゃあ行ってくる」
「ああ」
 クロウが空間の穴を開けると、ディストと共に空間の穴を通って移動した。

 現場に着くと穴を消して周囲を見る。
 骸骨のような魔族が徘徊している。
「……ま、今日は大丈夫そうだな」
「ああ、ところでファレスとは?」
「闇の城の門のところでハニーが戦った相手だよ。どうやらあの坊ちゃんと静かに暮らしたいそうだ」
「そうか……それが良いかもしれん、ハンター業は彼にはきついだろう」
「……それハニーが言うか?」
「ダンピールは男だろうと女だろうと比較凌辱されやすい。それに耐えれないならば、やめたほうがいい」
「……ハニーそれさ……」
「何だ?」
「絶対あの坊ちゃんに言うなよ」
「……? ああ、分かった」
 前回の件でディストも凌辱されてるのが薄々分かってしまっただろう、ディストに恋慕の情等を抱いているアレフィードにディストの口から言ってトドメを刺されるのは良心が痛んだ。
 恋敵とは呼べないが、同じ相手を愛した者同士、それ位は気遣ってやる余裕がクロウにはあった。
「んじゃ、今日はさくさく終わらせますか」
「ああ」
 クロウとディストは武器を手にし魔族に向かっていく。
 銃で頭部を破壊されると、浄化されるはずだった。
 頭部を失った骨が集まり、巨大な異形の形になる。
「なるほど、今回のは全部ぶっ壊せってか、任せろ!!」
「頼んだ」
 クロウは手を異形に変えると、巨大な魔族に手を突き刺し、全身にヒビを入れた。
 魔族の全身にヒビが入り粉々に砕け散る。
 すると今度こそ欠片も集まることなく浄化された。
 クロウは浄化の術で周囲を念のため浄化した。
「よし、終わりだ。帰るぜハニー」
「ああ……その、アレフィードと少しだけ話したいのだが、いいか?」
「え? ……変な事言うなよ……」
 クロウはディストが少々何か無神経な事を言うのではと不安になったが、軽く釘さすだけにした、色々と言うと面倒なことになりかねないからだ。

 クロウの自宅に戻る前に、マリーに頼んでディストはアレフィードが使っている部屋の前に案内してもらった。
 マリーは何故か不安そうだったが、ほんの少しだけということで一人にしてもらった。
「アレフィード」
「……?! ディスト……?!」
 驚いた声が上がる、しかし扉は開かない。
「そのままでいい、聞いてほしい。ハンター業は前回のような事が結構ある……淫魔の件もあるしお前には精神的に辛いものがあるだろう……」
「いや……私は……私は……!!」
「お前がそれでも続けるというなら俺は止めはしない、ただ一人で抱え込むような事はするな、俺で良ければ話など聞こう、俺がダメならマリーでもいい。……クロウから聞いたがお前の父の配下だったヴァンパイア――ファルスとやらも聞いた話ではお前の身を案じている、お前の身を案じる者はいるのだ、だから一人で抱え込むような事だけはするな」
「……わかった、少しだけ、少しだけでいい、こちらに……」
 部屋の鍵が開いた、ディストは部屋の中に入り、扉を閉める。
 やつれたような面持ちのアレフィードを見て、ディストは痛々しいと思った。
 ベッドに座っているアレフィードを見て、ディストは優しく頭を撫でた。
「無理をするな」
 アレフィードは戸惑いの表情をしてから、目に涙を浮かべてディストに縋り付いた。
「うう……」
 アレフィードはディストの胸元に顔をうずめすすり泣いた。
 ディストは慈悲の目をもってアレフィードを見つめ、彼の頭を静かに撫で続けた。


 クロウは少しばかり心配になって覗き見るかどうか悩んでいた。
 しかし、それをやるのもどうかと思い、ひたすら我慢していた。
 マリーもどこか不安そうな顔をして待ってる。
「見に行きましょうか?」
「ああ、そうし――」
「……」
 静かにディストが店に戻ってきた。
「アレフィードさんは?」
「泣き疲れて眠った、起こさないでやってほしい」
「分かりました?」
「ハニー何言った?」
「お前の身を案じるものはいるから、一人で抱え込むような事だけはするな、と」
「……いや、言っていい言葉だけどさぁ……」
 クロウはそれをお前が言うかと言わんばかりの表情になり。
「それ、散々無茶してきたハニーが言えるセリフ?」
「……」
 クロウが指摘すると、ディストは黙り込んだ、反論できないことに気づいたのだ。

 ディストはかつて、心配するクロウとマリーが居るにも関わらず無茶を続けて心配させてきた事実がある。
 その結果クロウがハンター業を仮復帰するという状況や、他にも色々起きたのだが。

 黙りこんだディストを見て、クロウははぁとため息をつくとディストの頭をわしゃわしゃと撫でてやる。
「まぁいい、帰るぞ」
「ああ」
 クロウはそう言ってディストとともに空間に穴を開けて自宅に戻った。
 穴を閉じ、ディストの腕を掴んでベッドに押し倒す。
「おい」
「ハニー忘れんなよ、ハニーの心配してる奴もいるってな」
「……今は理解はしてるつもりだ」
「本当か?」
 クロウはディストの服に手をかけ始めた。
 少し濡れていることに気づく。
「……何してた」
「泣いてる彼を抱きしめただけだ、他には何もしてない」
「ならいいんだが」
「何がだ」
「気にするな」
 クロウはそう言いながら服を脱がせる。
 美しすぎる裸体を撫でながら、口づける。
 胸元に赤い花を咲かせる。
「痕をつけるな」
「たまにはいいだろ?」
 クロウはディストの頬にキスをした。
「一体なんだ」
「俺にも色々あるんだよ、ハニーみたいな無自覚な恋人持つとな」
「誰が恋人だ」
「またそうやって認めない」
 クロウはディストの瞼の上にキスをしてから、後孔に指を入れる。
 指で柔らかくほぐされ始める。
「俺以外じゃそうそう感じないのにな」
「……っ黙れ……っく」
「じゃあ好きでもない相手に感じるのか?」
 クロウが指を抜いて、男根を後孔に押し入れる衝撃を感じながらその言葉を頭の中で半数する。

 ディストはそのはずだと考えた。
 最初に魔族に犯された時は痛みと不快感しかなかった。
 だが、二度目と三度目、この男に抱かれた時酷い快感を感じた。
 二度目は何故か覚えていないが、三度目は血で欲情させられてたからだと思った。
 それ以降も薬などを使わなかったり使ったり、色々あったが、クロウに抱かれている時に快感を感じなかった事は一度もなかった。
 魔族が強力な催淫剤に当たる物質を飲ませない限り魔族に絶頂させられた事はほとんどない、あっても片手で数えられる程度だった。
 淫魔のは、催淫効果があるもの以上にクロウの姿と瓜二つで仕草さえ完璧にまねて抱いてきたのに体が誤反応を起こしていた。
 淫魔に促されて突っ込まれたアレフィードのモノではあまり快感を感じなかった、異物感があった。
 ディストはこの差が何故だか今まで考えてこなかった。

――まさか、俺はこいつの事を好いているのか?――

 その解が思い浮かんだ時、あり得ないという考えが浮かんだ。

――こいつには助けられた回数は数えられないが、ひどい目にあわされた回数だって数えられない、なのに、好き、だと?――

「嫌いなら拒んでいいんだぜ?」
「……っ」
 クロウが笑みを浮かべながら言う、ディストは何か言おうとしたが、言葉がでてこなかった。
 拒否の言葉を言いたいのに、浮かぶのは欲しがる言葉ばかりで脳みそがおかしくなったのではないかと思った。
 腹の奥を突かれ、声が出そうになった。

 みっともない声が。

 ディストは声を押さえ込みながら、何とかクロウを拒否する言葉を浮かべようとするが、欲しがる言葉しか思い浮かばない。
 脳みそと体がクロウを欲しがって仕方ないのをディストは押さえつける。
「ほら、言えないだろう?」
「う、る、さ……ひぅあ!?」
 みっともない声を出してしまい、慌てて口を閉ざす。
 ばちゅんばちゅんと突きあげられ、体がそれを欲しがってぎゅうぎゅうと締め付ける。
 感触でクロウの男根の形が分かる程に。
 そして熱を奥に吐き出されて、絶頂し、どぷりと自身の男根から射精してしまう。
 それでも体は物足りないかのように、クロウの男根を締め付け、さらなる快感と熱を得ようとする。

 この間の触手では何も感じなかったのに、なんてざまだとディストは自分自身に苛立った。

 しかし、苛立とうが体は正直で、快感を拾って絶頂を繰り返す。
 腹は自身の白く濁った液体で汚れている。
「鈍感なところもひっくるめて好きだよハニー」
 クロウの囁きに背筋にぞくぞくとした快感が走る。
 そしてその声だけで弱く絶頂しているのにディストは気づかなかった。

 その夜、ディストは何度も絶頂に上らされ、腹のナカにいっぱいの熱を吐き出される。
 意識を失う時、酷い多幸感を感じながらディストは意識を飛ばした。




 その日も、いつも通り最後までディストは自分がクロウのことを「愛している」ことに気づかぬままだった。






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